7月31日 ECIは伸び率4.5%
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
7月28日、6月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比4.5%増と、3月に較べて僅かに伸び率は低下したが、相変わらず大きな伸びが続いている(「Topics2023年5月5日(1) ECI伸び率5%続く」参照)
  2. しかし、ここに来て民間セクターの賃金の伸び率は低下が顕著となっている。
  3. 足許の3ヵ月前との比較では、民間、公的ともに、伸び率は低下に転じている。
  4. 民間部門の産業別を見ると、伸び率は、ほぼ4%前後に集中している。
※ 参考テーマ「労働市場

7月27日(1) 政策金利再度引き上げ
Source :The Fed's hot pause summer gets an ice bath: Interest rates rise again (NPR)
7月26日、FOMCは政策金利の引き上げを決定した(FOMC Statement)。
"Job gains have been robust in recent months, and the unemployment rate has remained low. Inflation remains elevated.…The Committee remains highly attentive to inflation risks."
依然として、インフレ・リスクを警戒している(「Topics2023年7月13日(2) CPI3.0%」参照)。その背景には、サービスへの需要が依然として堅調であることが挙げられる(「Topics2023年7月9日 サービス労働需要は堅調」参照)。

先月の小休止の後、再び政策金利が引き上げられ、5.25~5.5%となった(「Topics2023年6月15日(1) 金融引締め小休止」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

7月27日(2) 2024年COLA予測(2)
Source :How Big Will Social Security's COLA Be? (Center for Retirement Research at Boston College)
やはり、今年は公的年金COLAへの関心が早くから高まっているようだ(「Topics2023年6月15日(2) 2024年COLA予測」参照)。よほど、今年のCOLAの大きさが社会にインパクトを与えたのだろう。

上記sourceでは、年金の大家、Alicia H. Munnell教授御自ら推計を披露している。ポイントは次の通り。
  1. 2024年COLAを計算するためには、7~9月のCPI-Wが出てこないとできない(「Topics2022年10月17日 年金COLA計算法」参照)。

  2. 最新時点(2023年6月)でのCPI-Wの前年同月比伸び率は2.3%。CPI-Uの同伸び率3.0%を下回っている。
  3. 6月時点のCPI-Wの水準が、今後3ヵ月続くと仮定すると、2024年COLAは2.6%となる。前月比で0.2%、0.4%、0.6%ずつ上昇すると仮定すると、それぞれCOLAは、3.0%、3.4%、3.8%となる。
  4. Munnell教授は、3.4%あたりが妥当とみている。この数字だと、2023年COLAよりは大きく低下することになる。
※ 参考テーマ「公的年金改革

7月23日(1) 地方政府年金財政改善
Source :Public Pension Funded Levels Improve amidst Rising Interest Rates (Center for Retirement Research at Boston Colleges)
上記sourceは、地方政府年金基金の財政状況を分析している。ポイントは次の通り。
  1. 基金全体での積立比率は、2019年の72.9%から、2023年(推計)には78.0%にまで改善する。
  2. しかし、財政状況の分布は大きく分散している。
  3. そのグループ毎の積立比率は、大きく食い違う。
  4. 基金全体での資産割合と、そのリターンは次の通り。
  5. こうした積立比率改善に貢献しているのが、国債利率の上昇である。固定金利資産の増加もさることながら、債務の縮減にもつながっている。
※ 参考テーマ「地方政府年金

7月23日(2) Medicaidから企業プランへ
Source :Biden administration asks employers to help more workers who lose Medicaid (Modern Healthcare)
2023年か4月から再開した加入資格確認のため、Medicaid加入者が大きく減少することが懸念されている(「Topics2023年5月10日(1) PHE終結とMedicaid」参照)。この中から少しでも保険無加入者を減らそうと、CMSは、企業に対して、Medicaid加入資格を失った従業員が企業提供保険プランに加入できる期間を延長するよう求めた。そして、この延長措置を2024年7月31日まで継続するよう求めた。CMSでは、Medicaid加入資格喪失者のうちおよそ380万人は企業提供保険プランへの加入が可能と推計している。

通常、企業では、Medicaid加入資格喪失者については、資格喪失から60日間、保険プラン加入を認めている。この加入期間をもっと長くするよう求めているのである。

しかし、専門家によると、その効果はあまり期待できないという。まず、この要請は任意での延長要請ということで、強制力がない。また、企業が保険プランを提供する際、通常、秋に加入を募集し、暦年での加入としている。それとは違う時期にばらばらと少人数が加入することは、面倒であり、コストもかさむ。なので、企業側はなるべく中途での加入は受け入れたくないのだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「医療保険プラン

7月22日 残業代対象者見直し案検討中
Source :Overtime rule arrives at White House, set to undergo review (HR Dive)
労働省(DOL)の残業代対象者見直し案が、OMBで最終チェックが行われている。バイデン政権では、政権発足当初の2021年6月に、見直しの方向性を示していたが、それ以来、具体案が公表されていなかった(「Topics2021年6月23日 残業対象者の見直し」参照)。

2023年3月には、連邦議会にも見直し法案(S.1041)が提出されていたが、審議は進んでいない(「Topics2023年4月5日(3) 残業対象者拡大法案提出」参照)。

今回の提案は、『全米フルタイマー給与所得の55パーセンタイルに相当』という考え方を維持し、2026年に$82,732にするというものらしい。

労働省案の公表は、2023年8月が見込まれている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制