2月9日 医薬品を巡る状況
Source :3 Charts About Drug Prices in the United States (KFF)
上記sourceは、現在のアメリカにおける医薬品を巡る状況を、3つのグラフを用いて紹介している。
  1. 過去20年間で、新薬の開発によりアメリカ人の生活が改善していると答えた割合は63%に達しているものの、その価格は不合理(に高い)と感じている割合は82%に達している。処方薬価格に関する規制が不十分だと考える人の割合は73%を占めている。
  2. アメリカの処方薬価格は、他の先進国と較べて格段に高い。
  3. Medicare処方薬について、連邦政府が価格交渉を行なうこととなっている10種類は、年間約$50Bの支出となっている(「Topics2023年8月30日(1) Medicare薬価交渉対象発表」参照)。これらをどれだけ抑えられるかが注目されている。
※ 参考テーマ「医薬品」、「Medicare

2月7日 Medicaid住居支援
Source :Is Housing Health Care? State Medicaid Programs Increasingly Say ‘Yes’(KFF)
アメリカ社会でホームレスが急増している。2023年には653,104人がホームレスを経験した。過去最高水準だそうだ。

"The 2023 Annual Homeless AssessmentReport to Congress" by The U.S. Department of Housing and Urban Development
この急増するホームレスへの対策として、Medicaidを利用する州が増えている。Medicaidの特例措置として認められている住居支援の類型は次の通り。
Intervention Description
1. Rent/temporary housing (+/- utilities) for up to 6 months Limited to: individuals transitioning out of institutional care or congregate settings; individuals who are homeless, at risk of homelessness, or transitioning out of an emergency shelter as defined by 24 CFR 91.5; and/or youth transitioning out of the child welfare system
2. Traditional respite services Temporary, short-term relief for primary caregivers provided by an at-home provider, a health care facility, or an adult day center
3. Day habilitation programs & sobering centers For <24 hours, no room and board
4. Pre-tenancy & tenancy sustaining services Including tenant rights education and eviction prevention
5. Housing transition navigation services Including individualized case management
6. One-time transition & moving costs Including security deposit, first month’s rent, utilities activation fees, movers, relocation expenses, application and inspection fees, fees to meet identification requirements, etc.
7. Medically necessary home accessibility modifications & remediation services Including carpet replacement, mold and pest removal, and ventilation improvements
8. Medically necessary home environment modifications As needed for medical treatment and prevention, including air conditioners, heaters, air filtration devices, and generators
Source: Addressing Health-Related Social Needs in Section 1115 Demonstrations (CMS)
こうした住居支援を提供している州は、上記sourceでは19州、KFFのサイトでは18州となっている。有名なのはCalifornia州のCalAIMである(「Topics2023年11月21日 CalAIM」参照)。

ただし、こうした住居支援が健康確保、改善に役立つかどうかについては、コンセンサスは得られていない。また、短期間の支援では元に戻すだけ、との批判もある。

壮大な社会実験が行なわれている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「人口/結婚/家庭/生活

2月5日 Medicare ACOs広がらず
Source :Medicare ACO participation spiked in 2024, CMS says (Modern Healthcare)
1月29日、CMSMedicare ACOsの状況を公表した(Press Release)。

出来高払い制プラン加入者数の約半数(1,370万人)がACOsに移行したという。
プラン数としてはようやく前年を上回ったものの、順調に普及しているとは言いにくい。「2030年までにすべての出来高払い制プランの加入者をACOsに移行させたい」という政策目標の達成は微妙である(「Topics2023年8月18日(3) Medicare ACOs前途多難」参照)。

※ 参考テーマ「Medicare

2月3日(1) 雇用大幅増
Source :The U.S. created an extraordinary number of jobs in January. Here's a deeper look (NPR)
2月2日、雇用統計が公表された(BLS)。1月の雇用増は35.3万人の大幅増となった(「Topics2024年1月7日 雇用需要が堅調」参照)。
雇用者数は157.7M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。医療、事務サービスそれぞれで7万人増となった。
失業率は3.7%で横ばい(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.5%で横ばい。
25~54歳の労働市場参加率は83.3%とわずかに上昇(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は上昇した。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、20.8%に上昇した。
サービス産業での雇用増が続き、しかもECIが4%台前半の伸びを続けている(「Topics2024年2月1日(2) ECI伸び率4.2%」参照)。物価上昇の勢いは簡単には弱まわらない(「Topics2024年1月12日 住宅/サービス価格上昇続く(2)」参照)。従って、政策金利緩和の開始も少し遠のいたのではないか(「Topics2024年2月1日(1) 政策金利据え置き」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

2月3日(2) Medicaid資格更新手続き過半
Source :Halfway Through the Medicaid Unwinding: What Do the Data Show? (KFF)
Medicaid資格更新手続きがようやく半分を超えた(51%)(「Topics2024年1月11日 Medicaid資格更新28.7%」参照)。
資格更新ができたのは32.1M人(34%)、資格更新が認められなかったのは16.2M人(17%)、更新手続きの結果を待っているのは45.7万人(49%)となった。
資格更新手続きは2024年5月まで続く。上記sourceは、その時点で資格更新が認められない人は17Mを超えると見ている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

2月1日(1) 政策金利据え置き 1月31日、FRBは政策金利の据え置きを決定した(FOMC Statement)(「Topics2023年12月14日 政策金利据置き3回目」参照)。FRBの経済に対する見立ては、冒頭の次の文章に表されている。
"Job gains have moderated since early last year but remain strong, and the unemployment rate has remained low. Inflation has eased over the past year but remains elevated."
FRBはまだまだインフレ警戒感を緩めていない。

※ 参考テーマ「労働市場
2月1日(2) ECI伸び率4.2%
Source :The Federal Reserve holds i5nterest rates steady but signals rate cuts may be coming (NPR)
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
1月31日、12月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比4.2%増と、9月(4.3%増)に較べて僅かに伸び率は低下したが、相変わらず大きな伸びが続いている。
  2. 民間セクターの賃金の伸び率は低下が続いている。
  3. 足許の3ヵ月前との比較では、民間の伸び率は低下がはっきりしてきている。
    ※ 参考テーマ「労働市場