Source : | House passes package of PBM, price transparency, billing reforms (US Health News) |
12月11日、連邦議会下院は "Lower Costs, More Transparency Act"(HR 5378)を超党派で可決(Roll Call 708)した(「Topics2023年5月22日 PBM情報開示強化法案」、「Topics2023年7月19日 PBM情報開示強化法案(2)」参照)。企業側の支持も得ている。 法案の柱は次の3本。議会上院でも同様の法案が審議されている(S.1339、S.2973)が、連邦議会は既に年末休会に入っており、これらの法案間の調整が進み、成立するかは不透明ということらしい。
- PBMの収益構造に関する情報開示
- 医療機関、保険会社の価格情報開示の強化
- Medicare処方薬の販売価格の均衡
ただ、Pharmacy Benefit Management(PBM)に対する包囲網は確実に狭まっている。
※ 参考テーマ「医薬品」
Source : | Tackling student loan debt (Invesco) |
学生ローン債務残高は、2023年第2四半期で$1.766Tに達している(Student Loan Debt Statistics)(「Topics2023年7月18日(2) 学生ローン債務の過誤是正」参照)。そのような状況の中、今年10月から債務返済が再開された(「Topics2023年9月27日(2) 学生ローン返済再開」参照)。
学生ローン債務を抱えるアメリカ国民は43.6M人、一人当たり$40,499となっている。こうした学生ローン債務者に対するアンケート調査結果("50% Can’t Afford Student Loans. But Is That Really a Problem?" by LifeAndMyFinances)が公表されている。その中では、債務者の苦悩が示されている。また、学歴の高いほど抱えている債務残高は多い。勤労者全体でみると、学生ローン返済を支援してくれる企業に勤めたいと考える割合は84%にのぼる。 そうした状況で、企業が学生ローン返済を支援することは、有能な勤労者の採用、引き留めに有効な施策となる。企業の学生ローン返済支援策は、主に2つある(「Topics2023年5月8日(3) 学生ローン返済支援拠出」参照)。 企業提供ベネフィットとして、今後さらに注目されていくことだろう。
- 50%が返済に十分な資金を保有していない。
- 8.5%がDCプランからの引き出しを考えている。
- 3%がDCプランへの拠出を全面的に停止しようと考えている。
※ 参考テーマ「教 育」、「ベネフィット」
Sources : |
2024 Labor Market Outlook: Skills Shortages and Flexibility (HR Daily Advisor) US pay raises to remain high in 2024, WTW survey (WTW) |
鬼が笑うかもしれないが、来年のアメリカ労働市場は需給がしまった状態が続くと見られている。2023年の雇用ペースはやや鈍化したものの、2024年に入って再び加速し、供給不足が再燃すると考えられている。
こうした見通しを反映して、企業は賃金の引き上げを継続すると答えている。2024年も労働市場の動向は注視される。
- 2023年の賃金引き上げ率は4.4%だったが、2024年も4.0%引き上げる計画だ。2021年依然の平均値3.1%を大きく上回っている。
- 同時に、柔軟な働き方の推進(63%)、DE&Iの推進(60%)を重視している。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | The Fed leaves interest rates unchanged but sees scope to cut them next year (NPR) |
12月13日、3回連続で、政策金利の据え置きを決定した(「Topics2023年11月2日(2) 政策金利据え置き」参照)。ただし、労働市場は依然強く("Job gains have moderated since earlier in the year but remain strong, and the unemployment rate has remained low.")、インフレも継続している("Inflation has eased over the past year but remains elevated.")として、警戒を緩めた感はない(FOMC Statement)。
一方で、FRB議長は、会見で、今回の会合で利下げの開始時期について議論したことを明らかにした(NHK)。FOMCメンバーの予測値も、2024年、2025年の政策金利の低下を示唆している。 ※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Inflation continues to moderate thanks to a big drop in gas prices (NPR) |
12月12日、BLSは11月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前年同月比3.1%の上昇と、落ち着き感が強まった(「Topics2023年11月15日(2) CPI上昇率落ち着き」参照)。コアの伸び率は4.0%と横ばい。足許については前月比で+0.1%とわずかに上昇となった。 10月同様、エネルギー価格が低下したことから、全体の指数の伸びがマイルドなものとなった。エネルギー全体の価格指数は、前年同月比で伸び率はマイナス5.4%となり、大幅に低下した。足許では、前月比マイナス2.3%となった。特にガソリンは前月比でマイナス6.0%となっている。 食料品価格の伸び率は前年同月比2.9%増と低下しており、落ち着き感が増した。 エネルギー、食料品を除くCPI上昇率は前年同月比4.0%と横ばいだった。 住居費は前年同月比6.5%増と、低下したものの、高水準の伸び率が続いている。足許では、前月比0.4%増と若干上昇した。 サービス業の価格上昇率は5.5%と横ばいで、依然として高い水準を続けている。サービス分野での労働需要の高いことを反映している(「Topics2023年12月10日 雇用市場依然強い」参照)。 11月の実質時給は、10月と同様、前月比0.2%増、前年同月比で+0.8%となった(Real Earnings News Release)。 ※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | ‘Don’t get sick. It’s too expensive’: medical debt is putting more Americans in financial crisis (The Guardian) |
医療コストが急騰している中、医療債務を抱えるアメリカ人の割合が高まっている(「Topics2023年9月24日(3) 企業プランコスト急増」、「Topics2023年12月1日 家族プランは中小無理」参照)。医療債務が生活を圧迫している様子が覗われる。
- 1億人以上のアメリカ人が、何らかの医療債務を抱えている。("Sick and struggling to pay, 100 million people in the U.S. live with medical debt" by NPR)
- 医療債務が債権回収機関に回された住民の割合をcountyごとにみると、地域的な偏在があることが分かる。
- その割合の高い順に100のcountyを図示すると、その傾向が明確になり、TX州に集中していることがわかる。
- 医療債務の問題は、所得の多寡、保険加入の有無に関わらず、共通の課題となっている。
- また、年齢、人種にも共通している。
- 医療債務額の各州の中位数は、次の通り。
- 別の調査(The Commonwealth Fund)では、$500以上の医療債務を負っている人の割合は、85%にも達する。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | Biden-Harris Administration Announces New Actions to Lower Health Care and Prescription Drug Costs by Promoting Competition (The White House) |
12月7日、バイデン大統領は、医療費、処方薬価格の抑制策を公表した。基本的には競争性の強化を通じた施策となっている。主な提案は次の通り。※ 参考テーマ「医薬品」、「Medicare」、「人事政策/労働法制」
- Bayh-Dole Actの"March-in-rights"(詳細はCRS"March-In Rights Under the Bayh-Dole Act"、JETRO『日本企業が米国大学等と技術に関連して連携する際の留意点』参照)を利用して、特許を移転して安価な医薬品を製造する。
- 医療機関の統合が独禁法に抵触していないかどうかを調査する。
- Medicare Advantage プランの透明性を高める(「Topics2023年11月9日 2024年MAラインアップ」参照)。
- Medicare処方薬の価格交渉を継続する(「Topics2023年8月30日(1) Medicare薬価交渉対象発表」参照)。
- 医療機関の競合他社転職禁止ルールを禁止する(「Topics2023年6月7日 NLRB:転職禁止はNLRA違反」参照)。