7月31日(1) 労働市場の過熱感低下
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
7月31日、BLSが、6月末の求人数を発表した。6月末の求人数は818.4万人で、前月比-0.6%微減となった(「Topics2024年7月3日 求人数は若干増」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.9%と横ばい。
新規雇用数は534.1万人と、-5.6%の大幅減となった。
失業者数/求人数は、0.8で横ばいであった。
6月の自発的失業(Quits)は328.2万人と、-3.6%の減少であった。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2024年
アトランタ連銀による時間給のデータ公表は止まっったままだ(Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker)。

雇用市場の過熱感は、かなり収まってきたといえよう。

※ 参考テーマ「労働市場

7月31日(2) Medicare薬価交渉日程
Source :Medicare negotiations for lower drug prices near the finish line (NPR)
インフレ抑制法に基づいて続けられてきたMedicare薬価交渉が、大詰めを迎えている(「Topics2023年2月13日(1) Medicare薬価抑制策検討開始」「Topics2023年8月30日(1) Medicare薬価交渉対象発表」参照)。 そう言えば、インフレ抑制法案は、カマラ・ハリス副大統領の賛成票投票により上院で可決された(「Topics2022年8月8日 インフレ抑制法案:上院可決」参照)。

※ 参考テーマ「Medicare」、「医薬品

7月29日 Exchange補助金のインパクト
Source :Inflation Reduction Act Health Insurance Subsidies: What is Their Impact and What Would Happen if They Expire? (KFF)
2021年のアメリカ救済法、2022年のインフレ抑制法により、Exchange加入者に対する補助金が大幅増額されている(「Topics2021年2月28日(1) コロナ経済対策法案下院可決」「Topics2022年8月8日 インフレ抑制法案:上院可決」参照)。インフレ抑制法による保険料補助金拡充策は2025年末に失効するため、2026年のExchange保険料(実質負担額)は大幅に上昇するとみられている。

上記sourceのポイントは次の通り。
  1. 2020年から2024年にかけて、Exvhange加入者は88%増加(2020年:11.4M⇒2024年:21.4M)した。
  2. そのうち、保険料補助金を受け取っている加入者数は、2020年の9.6Mから2024年には19.7Mと、106%の増加となった。

  3. また、低所得層(FPL 250%以下)の加入者数は、2020年7.4Mから2024年には15.9Mと、2.5倍になった。
  4. 低所得層(FPL 250%以下)は免責額の減額等の補助も受けており、その対象者数は2020年5.6Mから2024年には10.6Mとなった。

  5. 現行法通りに保険料補助金の拡充策が失効すれば、Exchange加入者数は、2025年22.8Mから2026年18.9M、2030年15.4Mと大幅に減少すると推計されている(CBO)。

  6. 失効した場合、低所得層(FPL 250%以下)の実質保険料負担は573%の増大となる。
  7. 連邦議会下院選挙区別にExchange加入者割合を見ると、テキサス州、フロリダ州をはじめとした南部の州でその割合が高くなっている。
  8. こうした状況を回避するために保険料補助金等を延長しようとすれば、2025~2034年の10年間で、$335Bの財源手当てが必要となる(CBO推計)。

  9. 2026年のEXchange保険料を決定するためのプロセスは次の通り。2025年早々には、補助金等の延長か失効かを決定する必要がある。
    • 2025年前半:保険会社が保険料見積もりを提出。
    • 2025年8月:保険料決定
    • 2025年11月1日:加入者募集開始
2024年秋の選挙は、EXchange保険料補助金拡充策を延長するかどうかの大事な節目となる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

7月27日 ハリス副大統領の関心事項
Source :As she is poised to be the Democratic nominee, here are 5 facts about Kamala Harris (NPR)
バイデン大統領が大統領選から撤退し、ハリス副大統領が一気に民主党大統領候補のトップに躍り出ている(「Topics2024年7月22日(1) バイデン大統領撤退」参照)。もしも対抗馬が出てこなければ、8月1日に正式に民主党大統領選候補者として指名される(NPR)。

上記sourceは、ハリス副大統領について知っておくべき5点を紹介している。その中で興味深いのは、Brett Kavanaugh判事の連邦最高裁判事指名を巡る討議である(「Topics2018年10月7日 Kavanaugh判事就任」参照)。当時上院議員だったハリス副大統領は、Kavanaugh判事候補に対して、男性の体に関する"reproductive rights"について質問し、判事候補が回答に窮したということである。当然のことながら、当時のハリス上院議員は、反対票を投じた。

この他にも、若い世代、女性が関心を持つ政策課題に集中しているようだ。

※ 参考テーマ「大統領選(2024年)

7月26日(1) PA州連邦地方裁はFTCを支持
Source :Courts split on FTC’s noncompete ban after Pennsylvania judge’s decision (HR Dive)
7月23日、ペンシルバニア州連邦地方裁は、Federal Trade Commission(FTC)が定めた競業転職禁止規定廃止ルールを認める判決を下した。これで、テキサス州連邦地方裁とは異なる司法判断が示されたことになり、競業転職禁止規定は法的に不安定な状態に置かれることになった(「Topics2024年7月4日(1) FTC競業転職禁止規定廃止に差し止め判決」参照)。

※ 参考テーマ※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

7月26日(2) 一部が免責額を増額
Source :Employers increasingly offer deductibles of $4K or more, survey indicates (HR Dive)
最近の医療コストの増嵩を反映し、企業提供プランで免責額を引き上げる動きが顕著になっている(「Topics2024年7月17日 2025年医療費推計」参照)。上記sourceによれば、免責額を$4,000以上に設定した企業の割合は、昨年の36%から今年45%に急増した。

ただし、全ての企業が免責額増額を引き上げようとしているわけではなさそうだ。別の調査では、従業員に負担増を求めようと考えている企業が45%となる一方、負担増を求めないと考える企業が47%を占めており、対応方針が分かれている。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

7月26日(3) 連邦最低賃金の現状
Source :It has now been 15 years since the federal minimum wage rose to $7.25 (NPR)
上記sourceは、連邦政府最低賃金の状況について紹介している(「Minimum Wage」参照)。ポイントは次の通り。
  1. 連邦政府最低賃金は、2009年7月24日に引き上げられて以来、15年間$7.25/hで据え置かれている。

  2. 最低賃金以下で働いている労働者は、2023年時点で86.9万人。これはチップを受け取る労働者に対する最低賃金が低く抑えられていることによる所が大きい。

  3. 現時点で、連邦政府最低賃金を採用している州は20州。その他の州は、最低賃金を上回る州最低賃金を設定している(「America Minimum Wage Rates」参照)。

  4. 固定された連邦政府最低賃金は、インフレにより実質30%の減価となっている。
  5. 2023年に"Raise the Wage Act of 2023"が上程されたが、審議は進まなかった。内容は、今後5年間をかけて連邦最低賃金を$17/hに引き上げるというものだった。
※ 参考テーマ「最低賃金

7月26日(4) CA州Prop.22合憲確定
Source :California Supreme Court upholds Prop. 22, ending legal saga over status of gig drivers (Los Angeles Times)
7月25日、CA州最高裁は、"Proposition 22"は州憲法上合憲であるとの判断を示した(「Topics2023年4月27日(1) Prop.22再びCA州最高裁へ」参照)。

これで、CA州内では、ギグワーカーは、被用者ではなく、独立契約者として認識されることが確定した。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

7月23日 再保険料伸び続く
Source :Medical Stop-Loss Premiums Increase by More Than 9% (Segal)
2024年の再保険料伸び率は9.4%と、2023年の8.4%を上回った(「Topics2023年8月18日(2) 再保険料大幅増額」参照)。

免責額などを維持した(=保険料だけを変更した)再保険プランだけを比較すると11.5%(2023年:13.4%)と、高い伸びが続いている。
※ 参考テーマ「医療保険プラン

7月22日(1) バイデン大統領撤退
Source :President Biden drops out, endorses VP Harris as nominee (NPR)
7月21日、バイデン大統領が秋の大統領選から撤退すると表明した。同時に、ハリス副大統領を大統領選候補として推薦すると述べた。ハリス副大統領は大統領選出馬に意欲を見せているが、民主党は公正で透明なプロセスが必要としており、今後の候補者選出プロセスが注目される。

一方、Trump元大統領とVance副大統領候補は、Vance氏選出後初めてのキャンペーンに揃って臨んだ(NPR)。

なお、今後の大統領選の行方は、"2024 Election (NPR)"を参照する。

※ 参考テーマ「大統領選(2024年)

7月22日(2) 学生ローン債務免除実績
Source :35,000 more public servants see their student loan balances reduced or erased (NPR)
7月18日、教育省は、教育ローン債務免除の実績を公表した。これらは、2022年のPublic Service Loan Forgiveness (PSLF)の見直しに伴うものである(「Topics2022年8月25日 学生ローン返済免除」参照)。 大統領選に向けて、着実に実績をあげている。

※ 参考テーマ「教 育

7月22日(3) 賃上げ率低下見込み
Source :CFOs plan to raise salaries 3.9% in 2025: WTW (HR Dive)
上記sourceは、2025年の労務費について企業のCFOがどのように考えているかを調査したレポートを紹介している。ポイントは次の通り。
  1. 賃金上昇率の中位数は徐々に低下していく。

    2023年実績:4.5%
    2024年見込み:4.1%
    2025年予測:3.9%

  2. その要因としては、①インフレ率が低下していること(「Topics2024年7月12日 CPIは落ち着き」参照)、②労働需給のひっ迫度合いが低下していること(「Topics2024年7月8日 労働需要は落ち着き」参照)が挙げられている。
※ 参考テーマ「労働市場

7月22日(4) NLRBが控訴取り下げ
Source :NLRB withdraws 5th Circuit appeal of joint employer final rule injunction (HR Dive)
7月19日、NLRBは、自ら定めた共同経営者新定義を巡る第5控訴裁判所への控訴を取り下げた(「Topics2024年5月13日 共同経営者新定義を守る」参照)。NLRBを訴えていた全米商工会議所(USCC)は、勝利宣言を公表した。

こうした法的不安定性は、経済活動にとってマイナス要素となる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制