10月9日 #MeTooから1年
Source :One Year After #MeToo and 'Weinstein Effect': What's Changed? (SHRM)
#Me Too』が始まってから1年が経過した(「Topics2017年12月29日 セクハラの定義」参照)。この間、職場におけるセクハラへの認識、対応は大きく変化した。

上記sourceによると、アンケート対象となった経営幹部1,034人のうち、約1/3がセクハラと見られる行為を意識的に変更したという(右表参照)。また、管理職1,022人の約1/4が変更した。これに対して、従業員の72%が会社の対応に満足しているとしているが、1/3以上の従業員がまだまだ職場でセクハラの芽が残っていると感じている。

一方、EEOCに対して性差別・セクハラで訴えてきた件数は、2017年度33件から、2018年度41件と増えている。

地方自治体レベル、連邦レベルでも、セクハラ対策が講じられつつある。 上記sourceは、こうした社会の流れが経営幹部を極度に委縮させ、出張やイベントに女性社員を同行しなくなり、結果として女性社員のチャンスを減じてしまうことを懸念している。常識の軸が動く時にはこうした反動的な現象が生まれるのかもしれないが、あくまで常識的に行動するしかないだろう。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

10月7日 Kavanaugh判事就任 
Source :Brett Kavanaugh Sworn In As Newest Supreme Court Justice (NPR)
10月6日、Kavanaugh判事の指名が上院で承認され、即日、同氏は連邦裁最高裁判事に就任した(「Topics2018年7月10日 Kavanaugh判事を指名」参照)。

Current Justices of the US Supreme Court (as of October 6, 2018)

Name Born Appt. by First day University
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 Harvard
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 Yale
Ruth Bader Ginsburg 01933-03-15 March 15, 1933 Bill Clinton 01993-08-10 August 10, 1993 Harvard
Stephen Breyer 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994 Harvard
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 Yale
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 Yale
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 Harvard
Neil McGill Gorsuch 01967-08-29 August 29, 1967 Donald Trump 02017-04-10 April 10, 2017 Harvard
Brett Kavanaugh 01965-02-12 February 12, 1965 Donald Trump October 6, 2018 Yale
これで長期安定保守派体制が出来上がったことになる。

上院での指名は、50vs48の僅差(Roll Call Vote 223)であった。賛成50票のうち共和党49、民主党1である。また、反対は全員民主党であった。

余談だが、今回、一つ面白い投票結果が示されている。共和党のMurkowski (R-AK)議員の投票が "Present"と表記されている。これは、やむなく娘の結婚式のために欠席した共和党のDaines (R-MT)議員とペアになって、欠席であるDaines議員の賛成という意向と出席しているMurkowski議員が反対であるとの意向を表明し、両方の票を総数から控除するというものだ。これにより、欠席議員の意向を反映できるとともに、賛成反対の票差を維持できるということになる。Murkowski議員としては、反対票を投じて50vs49、もしくは逆転となることを回避しながら反対の意思表明ができるという訳だ(Time)。

これにはトランプ大統領はお冠で、二度と上院で再選させないと息巻いている。

しかし、今回ほど連邦最高裁判事の指名でもめたことはなかっただろう。なにせ、指名審議中に性的暴行を受けたと訴える女性が3人も現れたのだから。アメリカ社会の最後のアンカーたるべき連邦最高裁だが、これで権威が低下する免れまい。

※ 参考テーマ「司 法

10月4日 既婚女性のシフト
Source :Married Women May Be Moving Away From The GOP (NPR)
この数十年、アメリカ社会の既婚女性は、未婚女性に較べて保守的な傾向が顕著であった。この既婚女性と未婚女性の間の政治的傾向の違いを"marriage gap"と呼ぶそうだ。

"marriage gap"の主な理由は、経済である。生活のためには経済状況がよくならなければいけない、という観念である。

ところが、上記sourceによれば、この伝統的とも言える"marriage gap"が、このところ顕著に縮小しているという。主因はトランプ大統領への反感である。調査機関の調べによると、トランプ大統領の仕事ぶりに対して認められないと考える人は、2017年3月時点で既婚女性の40%だった。それが、最新の調査では、既婚女性の57%にまで上昇している。

有権者である女性のうち、既婚者は半数以下だが、この大きな変化は中間選挙区に大きな影響をもたらすとみられている。既婚女性はそれほど強く政治的姿勢を明らかにしないのが一般的だが、『とにかくトランプ大統領には辞めてもらいたい』という一点で声が大きくなっているようだ。

※ 参考テーマ「中間選挙(2018年)

10月3日 外交官ビザに同性婚適用
Source :U.S. Halts Visas For Diplomats' Same-Sex Partners If They're Not Married (NPR)
アメリカ政府は、アメリカに滞在または来訪する外交官、国際機関職員に対するビザ発行のルールを変更する。

一般的に、外交官にはA-visa、IMFや世銀、国連などの国際機関職員にはG-visaが発給される。今回は、外交官や国際機関職員の配偶者に関するビザ発給のルールが変更される。

これまで、英語で言うところの"domestic partners"(日本語で言えば内縁?)は、家族の一員であるとしてAまたはGのビザが発給されていた。ところが、連邦最高裁の同性婚合憲判決(「Topics2015年6月27日 最高裁判決:同性婚は基本的権利」参照)を受けて、正式に法律上の結婚をした配偶者に対してAまたはGのビザが発給されることになる。従って、内縁関係だけではAまたはGのビザが発給されないことになる。

上記のA-visa、G-visaのサイトには、同じように"Important Notice: Same-sex Marriage"と題する注意事項が掲載されている。
"Effective immediately, U.S. Embassies and Consulates will adjudicate visa applications that are based on a same-sex marriage in the same way that we adjudicate applications for opposite gender spouses. Please reference the specific guidance on the visa category for which you are applying for more details on documentation required for derivative spouses. For further information, please see our FAQ’s."
連邦政府(国務省)は、異性婚と同性婚の扱いを平等にするだけ、と主張している。実際に影響を受けるのは、国際機関に所属する職員105人の家族と見られている。

上記sourceの情報によれば、今年いっぱいまでに同性婚をすることが勧められている。そうでなければ、来年早々にビザの変更が求められ、変更をしなければ30日以内に国外追放となる見通しだ。

外交官または国際機関職員のうち、出身母国でも同性婚が法律的に認められているのであれば、ことは簡単だ。同性配偶者と法律的に結婚すれば、現在と同じビザが発給される。問題は、母国で同性婚または同性カップルが法律的に認められていない、悪くすれば犯罪行為と見做されているような場合だ。トラブルを回避しようとすれば、パートナーがひっそりと母国に帰るしかなくなる。ここでも『家族の分断』が迫られている。

※ 参考テーマ「LGBTQ」、「政治/外交

10月2日 AHPs:州政府対応分かれる
Source :Calif. Takes Another Swipe at Trump Small Business Health Rule (Bloomberg Law)
AHPs規制緩和策が公表され、州政府の対応が分かれている(「Topics2018年6月20日 AHPs規制緩和」参照)。

もともと、州政府保険長官達の間では、AHPsに対する懸念が共有されていた(「Topics2018年4月10日 州政府連合:AHP拡大案に反対」参照)。その中で、州政府による規制を設けようとの動きが出ていたが、上記sourceによれば、具体的な規制案を検討しているのは、次の6州とされている(「Topics2018年8月9日 AHPsへの州規制」参照)。
California, Connecticut, Massachusetts, New York, Oregon, Pennsylvania
一方、AHPsの普及を積極的に図ろうとしている州も出てきている。
Michigan, Nebraska
州政府の対応は分かれているようだ。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/州レベル全般

10月1日 4州が就労義務規定提案
Source :Tennessee joins push for Medicaid work requirements (Modern Healthcare)
上記sourceによると、9月に4州(Alabama, Michigan, Virginia, Tennessee)が正式にMedicaid就労義務規定導入を提案した。今後、10月28日までパブリック・コメントを募集した後、正式にCMSに申請することになる。

CMSは、一般的に、Medicaid拡充策を採っていない州については、就労義務規定認可をしたがらない。Medicaid拡充策がないと、Medicaid対象者とExchnage補助金(cresit tax)対象者の間に大きな隙間ができてしまうからだ。

しかし、TN州の場合には、Medicaid対象者をFPL未満の所得世帯としているため、こうした隙間ができない。従って、TN州幹部は、CMSから承認が得られるものと楽観的な見通しを持っているそうだ。

ちなみに、9月28日時点でのCMSへの申請状況は次のようになっている。上記4州のうち、AL, MI両州は既にCMSに正式申請したことになっている。

Source : Kaiser Family Foundation "Medicaid Waiver Tracker: Which States Have Approved and Pending Section 1115 Medicaid Waivers?"
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/その他州