12月29日 セクハラの定義
Source :What's the difference between sexual assault and harassment? Let's break it down. (Washington Post)
#Me Too』によるセクハラ告発が世界中で行われている。そこで使われている用語はたくさんあるのだが、正直に言って、私の英語力ではそれらのニュアンスの違いはわからない。

上記sourceでは、用語の一般的な意味合いとともに、州の法律によってその持つ意味が変わってくることを説明している。つまり、全米中にニュースが流れても、その意味する所は、視聴者の在住地域によっても異なってきてしまうというのである。

まあ、参考までの情報としか言いようがない。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

12月28日 複数事業主プランに警鐘
Source :Why You Should Care About the Multiemployer Pension Crisis (U.S. Chamber of Commerce)
全米商工会議所が、複数事業主年金プランに危機が迫っていると警鐘を鳴らしている。国民全体の問題として捉えてもらいたい、という意図が明確である。

上記sourceのポイントは次の通り。
  1. 現在、約130万人の従業員の年金プランが財政危機に陥っている。複数事業主プランは全国でおよそ1,400あるが、そのうちの114プランが積み立て不足となっており、その積み立て不足額の合計は$36.4Bに達する。これら114プランが何もしなければ、5〜20年の間にほとんどのプランが破綻する。
    ("The Multiemployer Pension Plan Crisis: The History, Legislation, and What's Next?  ")

  2. 破綻した年金プラン加入者は給付を失い、地域経済の消費に悪影響を及ぼす。

  3. 破綻した年金プランの事業主は、多額の拠出金を払う義務を負っており、払えなければ企業として破綻するしかない。そうなれば、地域の雇用や投資に悪影響をもたらす。

  4. 一方、複数事業主プランが破綻した場合に救済するはずのPBGCの財政(正確に言えば複数事業主プラン勘定)も危機的な状況にあり、プランが破綻しても救済されない可能性が高い。

  5. そのような状況で、連邦議会が税金で救済しようという決断をすれば、国民の税負担は重くなる。決して対岸の火事では済まない。
本件は、当websiteで長年焦点を当ててきている。全米商工会議所がこうしたキャンペーンを張り出したということは、様々な地域で問題が表面化しつつあるということなのだろう。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

12月27日 減税法案のベネフィットへの影響
Source :What Individual Mandate Repeal Means for Employers (SHRM)
先ずは医療保険プランへの影響である。昨日紹介した通り、個人が保険プラン加入義務に違反した場合のペナルティ課税が0%に引き下げられた(2019年〜)。実質的に個人加入義務はなくなったと考えてよさそうだ。

ただし、次のPPACAの規定は残されたままだ。 この影響をどう見るかだが、専門家は、企業提供保険プランの加入者については若干の減少となるのではないか、と見ている。そもそも企業提供プランの加入者は、PPACAの発効により大きな影響を受けておらず、一部の配偶者の脱退程度なのではないだろうか。それでも、若年層、健康な加入者が減少すれば、保険料の上昇につながりかねない。

やはり、ペナルティ課税がなくなって最も大きな影響を受けるのは、各州が設けているExchange(個人向け、小規模グループ向け保険市場)であろう(「Topics2017年11月12日 大統領の執念」参照)。

ほかにも、ベネフィットに関する税制上の取り扱いの変更が盛り込まれている(Groom Law Group)。
  1. 過大報酬損金不算入:100万ドルを超える報酬については、企業の所得控除を認めていない。この100万ドルを超える報酬の対象として算定する範囲を拡大する(課税強化)。

  2. 従業員の移動のための費用について企業が負担した場合、損金不算入とする。

  3. 従業員の引っ越しのための費用について企業が負担した場合、損金不算入とする。

  4. 従業員の自転車通勤のための費用について企業が負担した場合、損金不算入とする。ただし、2024年まで。

  5. 従業員のレクリエーションのための費用について企業が負担した場合、損金不算入とする。

  6. 個人所得税医療費控除の一時拡大
    • 2016年:調整総所得(Adjusted Gross Income, AGI)の10%を超えた額(現行制度)
    • 2017〜2018年:AIGの7.5%を超えた額
    • 2019年〜:AIGの10%を超えた額
※ 参考テーマ「ベネフィット」、「無保険者対策/連邦レベル

12月21日 ペナルティ課税ゼロ
Source :Trump Celebrates Legislative Win After Congress Passes $1.5 Trillion Tax Cut Bill (NPR)
12月20日、大型減税法案(H.R.1)が議会で可決された。その後、大統領が署名し、法案は成立した。柱になったのは、 である。

ようやく共和党は統一行動を取ることができ、2017年の議会活動の成果としてカウントすることができた。ただし、この法律により、政府債務は今後10年間で$1.5T、仮に所得税率軽減措置が恒久化されれば$2T増加するとの試算が示されている。共和党としては痛しかゆしといったところだろう。

ところで、今回成立した減税法案の中に、「PPACAのPenalty Taxの税率を0%にする」との項目が入っている。個人加入義務は残していながらお咎めなし、ということになり、若年者、健康な人々が保険市場から大量に退出することが予想される。これを捉えて、トランプ大統領は「オバマケアを削除した」と誇らしげに宣言しているそうだ(CNN)。これに対して、CNNは、「オバマケアの一項目が変更になっただけ」と場外乱闘を挑んでいるが、penalty taxが事実上なくなることによる影響は大きい(「Topics2017年11月12日 大統領の執念」参照)。むしろ、CNNは、無保険者が10年間で1,300万人再び増えてしまうことをどう考えるか、を国民に問うべきではないだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル