11月15日 上院法案に個人加入義務廃止規定
Source :Senate Plans to End Obamacare Mandate in Revised Tax Proposal (New York Times)
上院共和党は、税制改革法案に個人保険加入義務の廃止を盛り込むことを決めた。大統領の執念(圧力)が効いているようだ(「Topics2017年11月12日 大統領の執念」参照)。

上院共和党は、加入義務を廃止しペナルティ課税がなくなれば、連邦政府の支出が減るばかりか、中堅所得層の負担が軽減されるとしている。これで公約を実現できると胸を張っているようだ。

しかし、先にも紹介したように、CBOの推計によれば、10年後には無保険者は1,300万人増加する。ということは、個人保険市場から1,300万人、しかも比較的若い人、健康な人が退出することになる。これにより、保険料の上昇速度は大幅に高まる。これで中堅所得層の負担が軽減されることになるのだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月13日 ME州:州民投票でMedicaid拡充
Source :Maine Voters Greenlight Medicaid Expansion, But Governor Says Whoa (Kaiser Health News)
11月7日、Maine州(ME)で州民投票が行われ、Medicaid拡充案が賛成59%で承認された。2013年以降、ME州議会がMedicaid拡充法案を5回にわたって可決してきたが、その度ごとに州知事の拒否権が発動されて、成立していなかった。

今回の州民投票可決に関しても、州知事は州議会が増税や緊急基金の取り崩し以外の方法で財源を用意しない限り、執行はしないと明言している。

Medicaid拡充が実現すれば約7万人の加入者増となる。これに伴い、連邦政府負担は年5億ドル、州政府は年5,000万ドルの負担が必要となる。この財源を議会が準備しなければ、州知事は執行しないとしているのである。

Idaho州、Utah州でも来年に州民投票にかけようという動きが出ている。ME州議会の対応が注目されている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/ME州

11月12日 大統領の執念 
Source :Trump personally pushing GOP leaders to use tax bill to undermine Obamacare (Washington Post)
アメリカ連邦議会で税制改革法案の論議が活発となっている(日経)。その中で、トランプ大統領は、PPACAで規定されている個人保険加入義務に伴うペナルティ税を廃止する規定を入れるよう、議会幹部に働きかけている。

連邦議会下院の共和党幹部がペナルティ税廃止の影響を試算するようCBOに要請したところ、11月8日に試算がリリースされた。 ペナルティ廃止で保険加入者が減り、保険料補助金が減少することが大きな要因である。

しかし、議会幹部は、ただでさえ調整が難しいのに、医療保険の課題が入ってくることで税制法案そのものが成立しなくなってくる可能性が高まると懸念している。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル