4月10日 年金申請難民
Sources : New Social Security rules will create hurdles for millions of seniors, report finds (NPR)
‘It’s a shambles’: DOGE cuts bring chaos, long waits at Social Security for seniors(Los Angeles Times)
4月14日以降、"my Social Security"で手続きができない場合、電話による申請が不可能となる(「Topics2025年3月23日 SSA改革案」参照)。他方、Medicare、障がい者年金などの申請は、電話による手続きが引き続き可能なままとなる(Press Release)。

Center on Budget and Policy Priorities(CBPP)の分析によれば、 しかも、現時点でSSA職員の減員が進められているため、電話がなかなかつながらず、事務所に赴くにしても予約日は遠い先になってしまうらしい。こうした事態を受けて、4月2日、American Association of People with Disabilities (AAPD)などの団体がSSAなどを相手取り、訴訟を起こした。高齢者、障がい者が受けるべき給付が著しく阻害されている、との内容である(Press Release)。

アメリカ社会の分断は益々深刻になっている。

※ 参考テーマ「公的年金改革

4月7日 DB余剰金の活用拡大案
Source :American Benefits Council proposal would free DB surplus assets (Mercer)
American Benefits Council (ABC)が、DBプランの余剰積立金の活用に関する規制緩和を提言している。主な提言のポイントは次の通り。
  1. DBプランを継続しながら、その余剰積立金をDCプランへの拠出金に利用できるようにする。

    現行制度では、DBプランを廃止する場合のみ、適格年金プラン(含むDCプラン)に拠出することができる。
    仮にDBプランを廃止して余剰積立金を企業に返還した場合、通常の法人所得税に加えて50%の付加税(excise tax)が課される。
    また、余剰積立金のうち最低25%を適格年金に拠出した場合には、その拠出金には所得税、付加税ともに課されない。残りの企業返還分への付加税は20%に軽減される。
    余剰積立金の全額を適格年金に拠出した場合には、企業への課税は生じない。

    ABC提案は、DBプランを廃止することなく、積立余剰金を適格年金に拠出する場合には課税が生じないようにしようという提案である。このことにより、DBプランを廃止しようとするインセンティブを防ぐことができる。

  2. 退職者医療ベネフィット向け積立金を他のベネフィットにも利用できるようにする。

    現行Sec.401(h)では、DBプランの補助勘定として、退職者等の医療ベネフィットに利用するための基金が認められている。利用目的は退職者等の医療ベネフィットに厳格に限定されており、全ての退職者医療給付債務を上回る部分のみが利用できる。

    ABC提案は、次の2つの提案を行なっている。
    1. 退職者医療ベネフィット用基金から引き出して、DBプランの給付に利用できるようにする。
    2. 同、他の従業員福利厚生に利用できるようにする。
一部の連邦議会議員は関心を示しているらしいが、法律として成立するまでに至るかどうかはわからない状況だそうだ。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「企業年金関連法制

4月5日(1) 労働市場堅調も不安も広がる
Source :The job market remains incredibly healthy - but the tariff storm could upend things (NPR)
4月4日、3雇用統計が公表された(BLS)。3月の雇用増は22.8万人となり、堅調な雇用増加が確認された(「Topics2025年3月10日(1) 労働需給は堅調(2)」参照)。
雇用者数は170.6M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は4.2%に上昇した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.5%と若干上昇した。
25~54歳の労働市場参加率は83.3%とわずかに低下(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、急増している。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、21.3%と若干上昇した。
労働市場の需給は依然として締まっている感じであるが、変調の予兆も現れている。 ※ 参考テーマ「労働市場

4月5日(2) 医療/年金への不安広がる
Source :Worry About U.S. Economy, Healthcare, Social Security Surges (GALLUP)
アメリカ人の半分超が懸念を抱いているのが、 の5項目となっている。
2024年調査と比較して、大きく懸念が広がっているのが、 である。
中でも、医療費に関する懸念は、共和党支持者の間でも高まっている点は注目だ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「公的年金改革

4月5日(3) HSAは順調な伸び
Source :2024 Year-End HSA Market Statistics & Trends Executive Summary (Devenir Research)
HSAは、資産、口座数ともに順調に伸びている。
2024年の拠出割合は、従業員65%、企業24%となっている。
※ 参考テーマ「HSA

4月3日 団体交渉権大統領令への抗議
Source :Pro-labor Republicans push Trump to rescind order busting most federal unions (Government Executive)
4月1日、労働組合寄りの共和党下院議員8人が、トランプ大統領に対して大統領令を見直すよう求めるレターを発出した。見直し対象として挙げられているのは、連邦政府職員が結成する労働組合の団体交渉権を除外するとの大統領令である(「Topics2025年3月29日 連邦職員の団体交渉権除外」参照)。

この8人の中心となっているのは、Rep. Brian Fitzpatrick(R-Pa)下院議員である。そのFitzpatrick議員は、4月2日、超党派の共同提案により、"Protect America’s Workforce Actを上程した。法案の主旨は、上記大統領令を無効にするというものである。

共同提案に名を連ねた下院議員は次の通り。
共和党民主党
Brian Fitzpatrick, R-Pa.
Nick LaLota, R-N.Y.
Michael Turner, R-Ohio
Michael Lawler, R-N.Y.
Jared Golden, D-Maine
Donald Norcross, D-N.J.
Mark Pocan, D-Wisc.
Debbie Dingell, D-Mich.
大統領に物申すことができる人が大統領府にいない以上、連邦議会がその役割を果たすしかない。

※ 参考テーマ「労働組合

4月2日(1) 労働需給状況は変わらず
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
4月1日、BLSが、2月末の求人数を発表した。2月末の求人数は756.8万人で、前月比2.5%の減少となった(「Topics2025年3月14日(1) 労働需給ともに強気に転換か」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.5%と低下した。
新規雇用数は539.6万人と微増だった。
失業者数/求人数は、0.9で横ばいであった。
12月の自発的失業(Quits)は319.5万人と微減した。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2025年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2025年
アトランタ連銀による時間給のデータは、2月の前年比で4%台前半で、概ね収束している。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
※ 参考テーマ「労働市場

4月2日(2) 元NLRB委員復職停止判決
Source :Split DC Circuit halts Gwynne Wilcox’s return to NLRB in boost to Trump (HR Dive)
3月28日、D.C.控訴裁判所は、一審の連邦地方裁判決の執行を差し止める判決を下した(「Topics2025年3月7日 元NLRB委員が勝訴」参照)。判決内容は2対1で分かれた。

本件は、連邦最高裁で判断が下されることになりそうだ。

※ 参考テーマ「労働組合」、「司 法

4月1日 PPACAの政策効果
Source :The Rise and Fall (and Rise) of the Affordable Care Act (NBER)
NBERから、PPACAに関連した10年間(2013~2023年)の保険加入者増加の要因分析が公表された(NBER Working Paper)。 各要素の寄与率は次の通り。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般