Source : | Trump order aims to open 401(k)s to private equity, cryptocurrency (HR Dive) |
8月7日、トランプ大統領は、401(k)プランの投資対象に"alternative assets(私募債、暗号資産、不動産など)"を加えることができるよう関係省庁に指示する大統領令に署名した。具体的には次の通り。従来、401(k)プランの投資先選定に当たっては、投資資産の運営費用とパフォーマンスを一般的な市場リターンと比較しながら見直すことになっていた。バイデン政権下でDOLは、受託者に対して暗号資産を投資先に加えることに『最大限の注意』を払うよう、警告していた(Compliance Assistance Release No. 2022-01)。
- 労働省(DOL)は、関連する受託者責任ガイドラインを見直す。
- SECは、関連する規則やガイドラインを改正する。
これに対して、トランプ政権は、1月23日にデジタル資産技術を強力に促す大統領令を発した。
5月28日には、DOLが、上記バイデン政権下でのガイドラインを破棄した(EBCA News Release)。この時、DOLは、暗号資産を投資先に含めるかどうかについて中立的な立場に戻しただけだ、と説明していた。
さらに、7月18日、連邦議会とトランプ大統領は、GENIUS Actを成立させ、"stablecoins"の法的枠組みを創設した。
こうして着々と暗号資産の投資資産組み入れの下地作りが進められてきた。もちろん、実際に401(k)プランの投資対象とするかどうかは、今後の規則作りを踏まえて、経営者を含む受託者が決めていくことになる。
※ 参考テーマ「企業年金関連法制」、「DB/DCプラン」、「受託者責任」
Source : | UNEMPLOYMENT INSURANCE WEEKLY CLAIMS (DOL News Release) |
8月7日、労働省は、8月2日の週の新規失業保険申請件数を公表した(「Topics2025年7月1日(3) 継続失業保険申請件数が急増」参照)。雇用増加数を上回って申請件数が増加しているとともに、継続件数の上昇傾向が続いている(「Topics2025年8月3日(1) 雇用増3ヵ月大幅減」参照)。
- 週末が8月2日の週の新規失業保険申請件数:22.6万人
Federal Reserve Bank of St. Louis- 週末が7月26日の週の継続失業保険申請件数:3.8万人増加して197.4万人
Federal Reserve Bank of St. Louis
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Trump wants a new U.S. census to exclude people here illegally. It'd be unprecedented (NPR) |
8月7日、トランプ大統領は、『新センサス』に向けて作業するよう指示を出したと、SNSで公表した。上記sourceによれば、『新センサス』に関する詳細情報は公表されていない。また、2024年大統領選の情報活用がセンサスとどう関係するのかもわかっていない。そして、そもそも憲法上、センサスに関する指揮権は大統領にはなく、連邦議会に託されている。連邦議会が商務長官に指示を出すことになっている。だからこそ、連邦議会に2030年センサスに向けた法案が続々と提出されているのである(「Topics2025年7月16日(3) センサス論争再び」参照)。
- センサス担当省である商務省(Census Bureau)に指示した。
- 不法移民を除外した『新センサス』作成に向けて、直ちに作業を始めよ。
- その際、2024年大統領選に関する情報と結果を活用せよ。
一方、Census Bureauは、2030年センサスに向けて、着々と作業を進めている。2026 Census Testの主なスケジュールと実施地域は次の通り。
- 7月23日、実行計画第1版を公表した(2030 Census Operational Plan)。
- 2026年に実施するテスト調査(2026 Census Test)に向けて、今秋から臨時雇いを募集する。
何だか、南部、南西部に偏っているような気がする。これもトランプ大統領に対する忖度なのだろうか。![]()
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交」、「移民/外国人労働者」
Source : | How much and why ACA Marketplace premiums are going up in 2026 (KFF) |
公表されているEXchange申請保険料(2026年)を、KFFが分析して、その結果を公表した(「Topics2025年7月19日 2026年Exchange保険料急騰」参照)。Exchangeにとって2026年は厳しい年になりそうだ。
- 全保険料の中位数は、2025年に較べて18%上昇している。この伸び率は、昨年(7%)を大きく上回る。また、平均では、約20%の伸び率となる。
- 保険料の上昇要因として、次の事項が挙げられる。
- 医療費の上昇
- インフレに伴う労務費、管理費の上昇(「Topics2025年7月16日(1) CPI上昇鮮明」参照)
- 高額処方薬の価格上昇
- 関税引き上げ
- 拡張保険料補助金の廃止(「Topics2025年5月7日 保険料補助金:迫る刻限」参照)
- Exchange加入規制(「Topics2025年6月24日 Exchange加入規制強化」参照)
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Sources : |
Former BLS commissioner says it’s not possible to rig jobs numbers (Here & Now) Trump Fired America’s Economic Data Collector. History Shows the Perils. (New York Times) |
8月1日、トランプ大統領は、本当にErika McEntarfer BLS局長を解任してしまった(「Topics2025年8月3日(1) 雇用増3ヵ月大幅減」参照)。理由は、雇用統計が『不正に操作された』("RIGGED")からだ、となっている(Truth Details)。
これについて、第1期トランプ政権で2年、その後のバイデン政権で2年、BLS局長を務めたWilliam Beach氏は、『局長が不正に操作することは不可能だ』と述べている。また、Yellen元財務長官は、『先進国ではあり得ない』と述べている。Is it possible to rig the numbers?
“It's not possible and it's not possible by design. When I was commissioner, two years under Trump, two years under Biden, I was locked out of the process, as every commissioner prior to me was, of the preparation of these numbers, and the reason is quite clear: If I wasn't locked out, if there was even the hint that the commissioner could get in there and say, 'Well, you know, this number needs to be rounded up or rounded down' or something, that would mean political interference and the numbers would have less credibility in financial markets and in policymaking markets.” (Here & Now)
The firing was not what is expected from the most advanced economy in the world.“This is the kind of thing you would only expect to see in a banana republic,”アメリカの経済統計の信頼が揺らげば、世界経済にとって大きなマイナス効果となる。ドルへの信認も失われるだろう。
(New York Times)
ところで、Yellen元財務長官の発現の中に、"a banana republic"とある。これは管理人にとっては初見であった(アパレルブランドは知っているが)。その意味は、In political science, the term banana republic describes a politically and economically unstable country with an economy dependent upon the export of natural resource.そんな呼び方もあるんだ。
(Wikipedia)
※ 参考テーマ「労働市場」、「政治/外交」
Source : | EEOC Acting Chair Lucas confirmed to second term (HR Dive) |
7月31日、連邦議会上院は、EEOCのActing ChairであるAndrea Lucas氏の再任を承認した(Roll Call 464)。 現在のEEOC構成は次の通りとなる(「Topics2025年5月9日(2) EEOC委員指名」参照)。【2025年7月31日時点】相変わらず、機能不全が続いている。
役 職 氏 名 政 党 指名者 任 期 Acting Chair
2025.1.20~Andrea R. Lucas R President Trump ①2020.9.22~2025.7.1
②~2030.7.1Commissioner (Charlotte A. Burrows)(D) (President Obama) (①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
③~2028.7.1)Commissioner (Jocelyn Samuels)(D) (President Trump) (①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1)Commissioner Kalpana Kotagal D President Biden 2023.8.9~2027.7.1 Commissioner (Brittany Panuccio) R President Trump ~2029.7.1(PN141-33) Acting General Counsel Andrew Rogers R President Trump
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Trump calls for firing of senior Labor official after job market weakens in July (NPR) |
8月1日、7月の雇用統計が公表された(BLS)。7月の雇用増は7.3万人となり、予測を大幅に下回った(「Topics2025年7月4日(1) 労働市場は堅調さ見せる」参照)。5~6月も大幅に下方修正され、2ヵ月間合計でたった3.3万人の増加となった。
この結果を受けて、トランプ大統領は、と吠えている。最悪のリアクションだ。
- 政治的な操作だ
- 労働統計局長は首だ
雇用者数は170.3M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。連邦政府職員数の減少は7月だけで12,000人、2025年初めから合計84,000人となった。また、製造業工場では11,000人の減少となった。失業率は4.2%に上昇(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。労働市場参加率は今月も62.2%に低下した。2025年4月以降、低下が続いている。25~54歳の労働市場参加率は83.4%に低下した(BLS)。労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は上昇が続いている。労働市場の需給が緩和し、就職が厳しくなると見始めているのだろう。長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、24.9%と急増が続いている。連邦政府の大量リストラと、トランプ関税が発動された4月以降の雇用増が厳しい状況になっていることが明白である。当websiteの労働市場の見方は、5月頃から陰を見出していたが、図らずも当たった模様だ(「Topics2025年5月3日(1) 労働市場に若干の陰」参照)。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | 2,300 DACA recipients in California to lose health insurance (San Francisco Chronicle) |
6月25日、CMSは、PPACAの規則変更を公表した(Federal Register)。そこでは、"DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)"対象者の法的地位を見直し、不法に滞在している者と定義し、Exchangeに加入できないとした(「Topics2025年7月30日(2) 不法移民に自主出国を勧告」参照)。We are finalizing modifications to the definition of “lawfully present” currently articulated at §?155.20 and used for the purpose of determining whether a consumer is eligible to enroll in a QHP through an Exchange or a Basic Health Program (BHP) in States that elect to operate a BHP.[16]DACA対象者は全米で52.5万人いると見られている。
The BHP regulations at 42 CFR 600.5 cross-reference the definition of lawfully present at 45 CFR 155.20. This change reflects the best view of the statutory requirements of the ACA by once again excluding “Deferred Action for Childhood Arrivals” (DACA) recipients from the definition of “lawfully present” that is used to determine eligibility to enroll in a QHP through an Exchange, for PTC, APTC, and CSRs, and for a BHP in States that elect to operate a BHP. We are finalizing this policy to be applicable upon the effective date of this final rule and beyond.
これを受けて、7月31日、CA州は、8月31日を期限に、州内のDACA対象者約2,300人をExchange保険プランから除外すると公表した(Covered California News Release)。州政府としては、Medi-Cal、企業提供保険プラン、民間保険への加入を支援するとしている。
しかし、今回の連邦政府の決定を受けて、やがてはMedicaid対象者からも外される可能性が高い(「Topics2025年5月15日(3) CA州:不法移民Medicaid後退」参照)。また、法的地位が不法滞在となれば、企業がDACAを雇うこと自体がリーガルリスクを負うことになる。
CA州ですら、不法移民は住みづらくなっている(「Topics2024年10月24日(4) CA州:E-Verify不人気」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/CA州」、「移民/外国人労働者」
Source : | Employment Cost Index Summary (BLS) |
7月31日、6月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
- 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比3.6%増と、3月から伸び率は横ばい(「Topics2025年5月2日(2) ECI伸び率3.6%」参照)。
- 民間セクターの賃金の伸び率もほぼ横ばい。
- 足許の3ヵ月前との比較では、公的部門で低下が続いている一方、、民間部門は反転しているかもしれない。
労働市場の需給緩和傾向を反映しているようだ(「Topics2025年7月30日(1) 労働需給は緩和方向」参照)。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Texas Republicans release a redistricting plan that could achieve Trump's aims (NPR) |
連邦議会下院では、Texas州について38議席が割り当てられている(Wikipedia)。内訳は、共和党25、民主党12、欠員1となっている。
そうした環境下で、TX州議会共和党は、新たな選挙区割りの提案を行なった(HB 4)。専門家の分析によれば、提案された新たな選挙区割りのもとでは、共和党が30議席を獲得する可能性があるという。区割りの見直しだけで5議席も増やすというのだ。
ただでさえ、TX州は共和党に有利な選挙区割りになっているのに、さらに強化しようとする試みである(「Topics2022年12月22日(2) ゲリマンダリング効果測定」参照)。連邦最高裁が介入しないというスタンスを明確にしている以上、選挙区割りを巡る党派間抗争は激化するばかりであろう(「Topics2023年6月28日 連邦最高裁は州選挙制度に介入せず」参照)。
※ 参考テーマ「政治/外交」、「中間選挙(2026年)」
Source : | Fact Sheet: President Donald J. Trump Announces Actions to Get Americans the Best Prices in the World for Prescription Drugs (The White House) |
7月31日、トランプ大統領は、国内の主要製薬会社に対してレターを発信した。国内の処方薬価格を下げろ、と直接訴えた。4月の大統領令に基づくものである(「Topics2025年4月17日 薬価格抑制策再び」参照)。ポイントは次の通り。えげつない内容だが、医療費、処方薬価格は上昇の一途を辿っている。国民受けはいいのだろう。
- すべてのMedicaid加入者に、最恵国(MFN)価格で処方薬を提供しろ(「Topics2025年5月16日(4) 最恵国価格再び」参照)。
- アメリカ国内よりも安い価格で他の先進国で新薬を提供するな。
- 中間者(PBMのことか)を排し、MFN価格で患者に直接処方薬を届けろ。
- 国際的な薬価を引き上げて収益を増やし、それを国内に投資することで、国内価格を引き下げろ。
- こうした手段を講じないのであれば、あらゆる手段を尽くしてアメリカ国民を守る。
※ 参考テーマ「医薬品」