5月20日 不法移民Medicaid支出削減案
Source :Proposed Medicaid Federal Match Penalty for States that Cover Undocumented Immigrants with Their Own Funds: State-by-State Estimates (KFF)
上記sourceは、現在、連邦議会下院で議論されている歳出フレーム案で検討されているMsedicaid修正案の影響を分析している。 修正案のポイントは次の通り。
  1. 各州政府独自に不法移民にMedicaidを提供している場合、罰則的に連邦政府支出を削減する。

  2. その手法の一つとして、PPACAで加入枠を拡充している部分について、連邦政府の支出割合を90%から80%に引き下げる。
現在、7つの州+D.C.が成人不法移民と未成年不法移民に、7つの州が未成年不法移民にMedicaidを提供している(Which States Would Be Affected by a House Proposal to Cut Federal Medicaid Funding for States That Cover Undocumented Immigrants? by KFF)。

各州に与える影響は次の通り。
  1. 各州の支出増加額(10年間)
  2. 各州の支出増加率(10年間)
  3. 190万人以上が新たな無保険者になる。
トランプ政権、議会共和党の政策ターゲットが不法移民にあることが明らかになってきた。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「移民/外国人労働者

5月19日 MN州:不法移民Medicaid後退
Source :These Democratic governors are trying to curb health care for unauthorized immigrants (NPR)
Minnesota州(MN)知事は、歳出枠組み提案の中で、Medicaidの対象から成人の不法移民を外すことを提案した。CA州に続く州知事からの提案である(「Topics2025年5月15日(3) CA州:不法移民Medicaid後退」参照)。同州知事は民主党だが、同議会上院は民主党が34 v 33で多数派、下院は67 v 67で全くの同数となっている。歳出案を通すためには共和党の協力が不可欠となっていることが背景になっている。

不法移民包囲網は、州レベルでもじわじわと狭まっているようだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MN州」、「移民/外国人労働者

5月16日(1) Medicaidに大なた
Source :House GOP bill would make deep cuts to Medicaid (Modern Healthcare)
連邦議会上院で、連邦政府歳出法案が審議されている。現在、共和党が描いているのは、$700Bの医療関連支出の削減と、減税措置の延長である。

その医療関連支出の主な削減策として検討されているのが、Medicaid関連である。

  1. Medicaidの就労義務規定導入

  2. Medicaid拡充策で対象となり加入した者には、自己負担を求める。

  3. Medicaid施行医療機関への州課税の制限

  4. PBMの価格透明性の強化

  5. Exchange加入資格の確認頻度を高める。

  6. Exchange加入申請期間の延長を制限する。

  7. Medicare診療報酬を削減する。

  8. CA州などで導入されている不法移民のMedicaid加入を止めさせる。
CBOの試算では、共和党案が成立すれば、今後10年間で$715Bの連邦支出が削減され、860万人が医療保険を失う。これに加えて、Exchange保険料補助金の拡大策が延長されなければ、さらに510万人が医療保険を失う。合わせれば、1,370万人が無保険者になる(Kaiser Family Foundation)。

この歳出法案におけるMedicaidの扱いについて、Kaiser Family Foundationが情報提供サイトを設けている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/CA州」、「医薬品」、「Medicare

5月16日(2) 2026年COLA予測が低下
Source :2026 Social Security COLA Projection Inches Up a Notch(NAPA)
5月3日、Senior Citizens Leagueは、2026年のCOLA予測(4月期)を公表した(2026 COLA Prediction Update April)。若干の上昇となった。

CPI-Wの伸びの鈍化を受けて、若干低下した(「Topics2022年10月17日 年金COLA計算法」参照)。

※ 参考テーマ「公的年金改革

5月16日(3) 小売値上げは今月から
Source :Walmart says higher prices from tariffs coming as soon as this month (NPR)
5月15日、WalmartのCEOは、『中国などからの輸入品への関税が引き上げられたことから、早ければ今月から売り値を引き上げざるを得ない』と述べた。いよいよトランプ関税の影響が小売り段階で出始める。

※ 参考テーマ「労働市場

5月16日(4) 最恵国価格再び
Sources : Trump signs an order to reduce drug prices, but it's unclear how it would work (NPR)
DELIVERING MOST-FAVORED-NATION PRESCRIPTION DRUG
PRICING TO AMERICAN PATIENTS (Executive Orders)

Fact Sheet: President Donald J. Trump Announces Actions to Put American Patients First by Lowering Drug Prices and Stopping Foreign Free-riding on American Pharmaceutical Innovation (Fact Sheet)
5月12日、トランプ大統領は、薬価を引き下げるための大統領令に署名した。
  1. 製薬会社に対して、アメリカ国内での販売価格を他の先進国と同水準の価格まで引き下げるよう命じる("most favored nation" pricing, 最恵国価格)。

  2. 製薬会社が自主的に値下げしない場合には、連邦政府が調査したうえで、Medicareなどでの薬価を強制的に引き下げる。

  3. 30日以内に、連邦政府から製薬会社に対して目標価格を提示する。
『最恵国価格』のアイディアは、第1期トランプ政権末期にも打ち出したが、その成果は生まれなかった(「Topics2020年9月15日 Medicare処方薬大統領令」参照)。

※ 参考テーマ「医薬品

5月16日(5) Medicare処方薬価格交渉第3弾
Source :CMS Releases Draft Guidance for the Third Cycle of Medicare Drug Price Negotiation Program to Lower Drug Prices for American Patients (CMS)
5月12日、CMSは、Medicare処方薬価格交渉第3弾のガイドライン案を公表した(「Topics2025年1月20日 Medicare処方薬価格交渉第2弾」参照)。45日間のパブリックコメント募集を行なう。
  1. Medicare処方薬の中で高値となっている薬の選択について、透明性を高める。

  2. 価格交渉が新薬創出にもたらす影響を最小限にとどめる。

  3. Part Bに含まれる処方薬も対象にする(これは初めて)。

  4. 既に交渉済みの処方薬についても再交渉の対象とする。

  5. 交渉対象薬は、最大15品目。

  6. 2026年に交渉を終え、2028年1月から新価格とする。
※ 参考テーマ「Medicare」、「医薬品

5月15日(1) CPI上昇率僅かに低下
Source :Consumer Price Index Summary (BLS)
5月13日、BLSは4月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した。前年同月比2.3%の上昇と、3ヵ月連続の低下となった(「Topics2025年4月11日(1) インフレは緩和だが」参照)。コアの伸び率は2.8%で横ばい。
足許については前月比でプラスの0.2%に戻った。
食料品価格は2.8%と若干低下した。中でも高値が続いている卵が12.7%の低下となったことが強調されている。それでも、前年同月比では79%上昇しており、異常な高値が続いている。高値の原因は鳥インフルエンザの流行である。このため、アメリカの卵、卵製品の輸入は急増しており、2025年第1四半期は前年同期比で77.5%の増加であった。主な輸入元は、韓国、トルコ、ブラジルなど、とのこと(NPR)。
エネルギー価格はマイナス幅拡大が続いている。
住居費は前年同月比4.0%増と横ばいで、高止まりが続きそうな気配である。
サービス業の価格上昇率は3.6%と低下したものの、こちらも高止まりが続きそうである。
3月の実質時給は、前月比0.0%増、前年同月比で1.4%増となった(Real Earnings News Release)。
インフレは鎮静化しているものの、これからトランプ関税はこれからだが、既に4月の家具価格に影響が出ており、前月比で1.5%上昇したそうだ(NPR)。

※ 参考テーマ「労働市場

5月15日(2) NIOSHで3割復職
Source :Under pressure, HHS reinstates hundreds of occupational health workers (NPR)
HHSの執行機関であるNational Institute for Occupational Safety and Health(NIOSH)では、HHSの1万人人員削減で900人を解雇したが、そのうち328人を復職させた(「Topics2025年4月12日 Poverty Guidelinesが危うい」参照)。復職させたといっても、元々の人員規模は1,000人程度であったことから考えれば、到底従来通りの仕事ができているとは思えない。

炭鉱労働者からの訴訟と連邦議会議員からの圧力が功を奏したとされている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

5月15日(3) CA州:不法移民Medicaid後退
Source :Newsom calls for walking back free healthcare for eligible undocumented immigrants (Los Angeles Times)
5月14日、CA州知事は、2025-26修正予算案を公表した。この中で、不法移民の無償医療保険加入を後退させる案を示した(「Topics2021年7月29日 CA州:不法移民Medicaid加入資格緩和」参照)。

ポイントは次の通り。
  1. Medi-Calに加入している不法移民には、月$100の保険料負担を求める。

  2. 来年1月1日より、成人の新たな加入申請は受け付けない。

  3. 今回の提案の背景は次の通り。
    1. 州財政の赤字が拡大している。

    2. 不法移民加入に関わるコストが想定以上にかさんだ。

    3. トランプ関税により、州の収入が減少する惧れがある。

    4. 不法移民の子供への無償医療保険提供は、州民の強い支持を得ている一方、成人、特に中高年層への提供はそれほど強い支持を得ていない。

    5. その他の課題も指摘されている(「Topics2024年11月13日(2) CA州:不法移民Medicaid加入の功罪」参照)。
ここまでCA州が主導してきただけに、今後の各州への影響は大きい(「Topics2024年1月4日(2) 不法移民にMedicaid提供」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「移民/外国人労働者

5月12日(1) REAL ID法施行
Source :What to do if you don't have a REAL ID yet, and which documents still work (NPR)
5月7日、REAL ID法の施行が開始された。同法成立から約20年を経ての施行である。これにより、州発行の運転免許証や州IDカードだけでは空港のセキュリティを通れなくなる。 などが有効らしい。一応、2年間の猶予期間があり、その間は様々な代替策が認められるかもしれないが、いずれも個別ケース別となるようだ。

一国の中で移動するのに高度なIDが求められるという状況は、あまり理解できない。

というよりも、本件は、安全保障策というよりも、不法移民対策として理解しておくべきだろう。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「移民/外国人労働者

5月12日(2) DE&Iの行方
Source :The Littler Annual Employer Survey 2025 (Littler)
5月7日、上記sourceが公表された。当websiteとしての関心事項は次の通り。
  1. トランプ政権下最初の1年で大きく変化すると思われる労働関連法制は、①DE&I、②移民政策、③LGBTQ+となっている。
  2. ところが、企業の方は自社のDE&Iの方針、プログラムを変更しようとする動きは限られている。
  3. 移民政策の変更で影響を受けるとみている企業は1/4を占める。
  4. NLRBの政策変更に伴い影響を受ける分野としては、就業規則、独立契約者などが挙げられている。
人事部門はトランプ政権に翻弄されそうである。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「移民/外国人労働者」、「労働組合