Source : | APA, NCPA Cheer First-Of-Its-Kind State Law Banning PBMs from Owning Pharmacies (NCPA) |
4月16日、Arkansas州(AR)知事が、州法案(HB 1150)に署名し、同法案は成立した。同法案の主旨は、Pharmacy Benefit Management(PBM)が薬局を保有することを禁じる、というものである。同様の法案が成立したのは、このAR州が初めてだが、議論している州は広がっている(NASHP)。上記sourceでは、IN、NY、TX、VT各州の州議会で議論されていることが紹介されている。
加えて、39の州の司法長官達は、連邦議会議員達に対して、PBMsが薬局を保有、運営することを禁じる連邦法を可決するよう、連名で要請状を送付した。
州レベルでのPBMsに対する圧力は高まっている。
※ 参考テーマ「医薬品」、「無保険者対策/AR州」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Trump signs executive action to lower drug prices (NPR) |
4月15日、トランプ大統領は、処方薬価格を引き下げるための大統領令に署名した。三つ子の魂百まで、という印象である(「Topics2020年7月27日 医薬品価格抑制大統領令」参照)。ポイントは次の通り。※ 参考テーマ「医薬品」、「Medicare」、「処方薬輸入」
- Medicare処方薬価格交渉プログラムを改善する。
価格交渉第1弾の価格引き下げは2026年1月(「Topics2024年8月16日(2) Medicare薬価妥結」参照)、第2弾は2027年1月(「Topics2025年1月20日 Medicare処方薬価格交渉第2弾」参照)と、その効果の発現までに時間がかかることになっている。大統領の成果としては、もっと早く効果を見せつけたいということだろう。また、交渉プロセス自体を短縮できれば、価格交渉対象薬を早く広げていくことができる。
- 低所得者、無保険者に低価格でインシュリンを賦与する。
- 州に対してジェネリックなどの低価格処方薬の輸入を認可するFDAの仕組みを創設する。
唯一Florida州(FL)がFDAから認可を得ているが、施行までには至っていない(「Topics2024年1月8日 FL州処方薬輸入申請承認」参照)。Colorado州(CO)の申請は審査中のままとなっている(CBS News)。
- 錠剤と生物製薬の間のアンバランスを是正する。
処方薬の見直しは、錠剤の場合はFDA認可から7年、生物製薬(主に注射液)は11年となっており、製薬会社は生物製薬の処方薬に傾きがちである。Medicare支出が増加しない形でこのアンバランスを修正するよう、HHS長官に対して命じている。
Source : | Trump’s immigration enforcement against employers has been gradual. That may soon change. (HR Dive) |
トランプ政権下、U.S. Immigration and Customs Enforcement(ICE)による不法移民捜査の対象は、小規模企業にとどまっている。レストラン、建設業、旅行会社、配送業、軽工業などの経営者は、落ち着かない日々を過ごしている。
しかしながら、トランプ大統領は、就任日に、ICEを含むDepartment of Homeland Security(DHS)の人員を大幅に増やすよう、大統領令(Sec. 21. Hiring More Agents and Officers.)を発出している。こうした人員増が実現すれば、やがて大企業を含む企業全体に対する捜査、監察が行なわれるようになるとみられている。
また、ICE以外にも、不法移民の捜査を行なう可能性がある。こうした状況を踏まえ、上記sourceは、全ての企業が対策を講じておく必要があると警告している。
- Fraud Detection and National Security Directorate(U.S. Citizenship and Immigration Services)
- U.S. Customs and Border Patrol
全米の企業がE-Verifyに登録しなければならなくなる日が来るかもしれない(「Topics2024年10月24日(4) CA州:E-Verify不人気」参照)。
- Form I-9(Employment Eligibility Verification)の内容を精査し、捜査の準備を整える。
不正がみつかれば、一件毎に罰金が課される。不法移民と知っていて雇用していればさらに重い罰金となり、組織的に不法移民を雇用していたとなれば、禁固刑の可能性も出てくる。
- 法令順守していることを証明するため、E-Verifyに登録する(「Topics2024年11月28日 TX州:不法移民強制退去を支援」参照)。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Americans Believe They Will Need $1.26 Million to Retire Comfortably According to Northwestern Mutual 2025 Planning & Progress Study (Northwestern Mutual) |
4月14日、Northwestern Mutualが退職所得の状況を調査した結果を公表した(News Release)。ポイントは次の通り。$1.26Mとは、現在の換算レート($1=\143)でみると、1億8,000万円超である。こんなに貯蓄のある人は少ないだろう。
- 退職後を気持ちよく過ごすために必要な貯蓄額は$1.26Mと、2024年調査分($1.46M)よりも低下した。これはインフレの落ち着いたことが影響しているとみられる(「Topics2025年4月11日(1) インフレは緩和だが」参照)。
U.S. adults 18+
2025
2024
2023
2022
2021
Expected amount needed to retire comfortably
$1.26M
$1.46M
$1.27M
$1.25M
$1.05M
- 調査対象者の過半は、長生きした結果、貯蓄を使い果たしてしまうと考えている。
In your opinion, what is the likelihood that
you could outlive your savings?All
Gen Z
Millennials
Gen X
Boomers+
Net Likely
51 %
51 %
57 %
56 %
40 %
Very likely
21 %
18 %
24 %
24 %
17 %
Somewhat likely
30 %
33 %
33 %
32 %
23 %
Net Unlikely
40 %
34 %
34 %
36 %
53 %
Very unlikely
16 %
12 %
14 %
16 %
22 %
Somewhat unlikely
24 %
22 %
20 %
20 %
31 %
Don't know
9 %
15 %
9 %
8 %
7 %
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | Fired EEOC Commissioner Samuels files lawsuit against Trump (HR Dive) |
トランプ政権発足当初に解雇された元EEOC委員(Jocelyn Samuels)が、解雇は無効だとの訴訟をD.C.連邦地裁起こした(「Topics2025年1月29日 NLRB/EEOC委員解任」参照)。構図は、元NLRB委員の訴訟と同じである(「Topics2025年4月2日(2) 元NLRB委員復職停止判決」参照)。
トランプ政権は、元NLRB委員による訴訟を、連邦最高裁に緊急上告する計画である。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「労働組合」
Source : | Trump HHS Eliminates Office That Sets Poverty Levels Tied to Benefits for at Least 80 Million People (KFF Health News) |
トランプ政権下で、HHSは、1万人の職員削減を進めている。その一環で、Assistant Secretary for Planning and Evaluation (ASPE)という組織の人員は、約140人から現在では40人規模まで縮小された。そのうち、Division of Data and Technical Analysis(DDTA)という部局は、全員が自宅待機を命じられ、6月1日に正式に解雇されることになっている。
このDDTAは、Poverty Guidelinesの作成、検証を担ってきた部局であり、その全員が解雇となれば、その知識、技術が失われることになる。PGは、Medicaidの対象者の認定、Exchangeの保険料補助金などを決定するための大事な政府指標である。
今のところ、HHS幹部は、としている。AHRQも職員数を275人から約80人に縮減されている。
- PGの作成、検証は継続する
- ASPEとAgency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)を統合する
これだけ圧縮された組織で従来の業務の質を確保できるのなら結構なことではあるが、国民に不信感を抱かれるようになったら大事である。、
※ 参考テーマ「無保険者対策/レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Consumer Price Index Summary (BLS) |
4月10日、BLSは3月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した。前年同月比2.4%の上昇と、2ヵ月連続の低下となった(「Topics2025年3月14日(2) CPIは落ち着きへ」参照)。コアの伸び率も2.8%に低下した。足許については前月比で-0.1%と、久々の前月比マイナスとなった。食料品価格は3.0%と上昇が続いている。エネルギー価格はマイナス幅が広がった住居費は少しずつ低下してきて前年同月比4.0%増となった。だいぶ落ち着いてきた。サービス業の価格上昇率は3.7%と低下が続いている。3月の実質時給は、前月比0.3%増、前年同月比で1.4%増となった(Real Earnings News Release)。インフレは鎮静化しているものの、これからトランプ関税の影響が出てくる。4月からほぼ全ての輸入品に10%の追加関税が課される。特に、中国からの輸入品は145%と超高関税が課されることになる(NPR)。おそらく、中低所得者が被る打撃は大きなものとなろう。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Trump administration changes course on in-person requirements for Social Security (NPR) |
上記sourceによると、White HouseのLiz Huston副報道官は、NPRに対し、4月16日以降もSSAの電話による本人確認を継続すると述べた(「Topics2025年4月10日 年金申請難民」参照)。SSAのHPではまだ確認できていない(SSA Press Release)。
新しい技術を開発し、"my Social Security"で異常な動きがあればそれを特定し、特定された勘定の持ち主は、事務所に出向いて本人確認を行なうことになった、というのが方針変更の理由とのこと。
まだこの界隈では取りざたされていないので、少し注視しておく必要がある。
※ 参考テーマ「公的年金改革」
Source : | Congress passes budget, teeing up huge healthcare cuts (Modern Healthcare) |
4月10日、連邦議会下院は、2025年度予算案に関する決議案(H.Con.Res.14)を可決した。投票内容は216 v 214で、2人の共和党議員が反対に回った(Roll Call 100)。同決議案について、上院は既に4月5日に可決(Roll Call 191)していたので、この決議案は成立した。
決議案は歳出決定のための第一段階で、これから個別歳出に関する精査が進んでいく。今回の予算は、減税の継続と歳出削減が大きな目標になっており、その最大のターゲットになっているのがMedicaidである。共和党が検討している案では、最大$880Bの歳出削減が盛り込まれている。
さすがにMedicaidの大幅削減には、共和党でも疑念を持っている議員はいるようだが、一方でもっと削減すべきという強硬保守派もいるとのこと。これから連邦議会での議論がヒートアップしていく。
※ 参考テーマ「無保険者対策/レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | The House has passed the Trump-backed SAVE Act. Here are 8 things to know (NPR) |
4月10日、連邦議会下院で、"Safeguard American Voter Eligibility Act(SAVE Act)(HR 22)"が可決された(「Topics2025年3月27日(1) 選挙人登録制度変更案」参照)。投票内容は220 v 208で、4人の民主党議員が賛成に回った(Roll Call 102)。今後上院で議論されることになるが、上記sourceによれば、上院での可決は超党派の賛成票が必要とのことだ。
上記sourceでは、同法案について理解しておくべきこととしていくつか列挙しているが、当方の関心事項は次の通り。※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交」、「移民/外国人労働者」
- 投票権のあるアメリカ国民であることを証明できない人たちが結構存在する。投票権を持つと思われる年代で、10人に一人、およそ21.3M人が、国民であることを証明する書類を持っていない。
- 既婚女性で姓を変更した人は更なる証明書が必要となる。約69M人の女性が、結婚により姓を変更しているので、結婚証明書など更なる書類が必要になる可能性がある。
- 選挙登録を郵送した場合、本人確認のために、事務所に出頭して証明書を提示することを求めている。2022年、多くの国民は州の運転免許証交付機関を通じて登録している。郵送、FAX、電子メールでの登録が9%、オンライン登録が14%であったという。
- 同法案だけでは、選挙人登録の執行実務の詳細が不明のままになっている。
- 州政府は、連邦政府の移民に関する情報を、これまでよりも多くを入手することができるようになる。
- 州レベルの選挙人登録について、国民であることを確認するための州政府独自の制度を導入しようとし始めている。
Source : | U.S. says it is now monitoring immigrants' social media for antisemitism (NPR) |
4月9日、U.S. Citizenship and Immigration Services(USCIS)は、「Department of Homeland Security(DHS)が外国人のソーシャルメディア上の活動を監視する」と発表した。(News Release)。 外国人がソーシャルメディア上で反ユダヤ主義的活動(antisemitic activities)をしたり、ユダヤ人に対して身体的嫌がらせをした場合、当該外国人に対する福祉給付を打ち切る根拠にするためだという。反ユダヤ主義の過激なテロリストから米国を守る、という名目だ。将来の永住権獲得や教育機関での研究活動にも影響を及ぼす。これも、1月29日に発出された大統領令に基づくものである。
反ユダヤ主義(antisemitism)は、米国務省で定義している。それにしても、ソーシャルメディアを監視するだけでなく、その内容の善悪を判断するということであり、思想の自由まで侵されそうな公権力の行使に見える。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Worker bargaining power has fallen since Q4 2024, ZipRecruiter says (HR Dive) |
労働市場の需給が緩んできて、労働者のバーゲニングパワーに陰りが見える、というのが、上記sourceの要点だ。ZipRecruiterが転職者(6カ月以内)を対象に行なっている四半期調査の結果を見ると、2024年第4四半期から2025年第1四半期にかけて、転職者の条件がよくなる部分が縮小していることがわかる。求人統計、転職者給与統計とも整合的である(「Topics2025年4月2日(1) 労働需給状況は変わらず」参照)。2024年4Q
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2025年1Q
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※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Maryland Legislature Delays Paid Family and Medical Leave Insurance Program (Miles & Stockbridge P.C.) |
4月7日、MD州議会は、Family and Medical Leave Insurance (FMLI)の施行時期を遅らせる法案を可決、成立させた(「Topics2025年2月20日(1) MD州FMLI施行延期提案」参照)。
具体的には次の通り。トランプ政権の動きも影響しているそうだ。
- 企業の保険料拠出開始は、2025年7月1日(予定)。⇒【州労働省提案】2027年1月1日⇒【立法】2027年1月1日
- 有給取得開始は2026年7または8月(予定)。⇒【州労働省提案】2028年1月1日⇒【立法】最短で6か月、最長でも18ヵ月延期する。早くとも2027年1月1日、遅くとも2028年1月3日までの間で開始日を設定する。
※ 参考テーマ「FMLA」