11月28日 TX州:不法移民強制退去を支援
Source :Trump wants to deport millions of people. Texas leaders are ready to help (KERA)
トランプ次期大統領は、不法移民を国外に退去させると宣言している(「Topics2024年11月11日(1) FRB 1/4ppt引き下げ」参照)。上記sourceによると、Texas州政府は、次期大統領の不法移民国外退去政策を支援すると表明している。具体的に、広大な土地を不法移民の収容所として提供する準備を進めている。何やら第2次世界大戦時の日系アメリカ人の収容所を想起させるが、越境移民をバスで他州に送りつけるようなことをする州なので、本気で準備しているのかもしれない(「Topics2022年8月6日(2) 越境移民をバス移送」「Topics2024年8月22日 越境移民:NY市にも」参照)。

しかしながら、そうして集めた不法移民達を、どこに移送するのか。メキシコとは関税を引き上げることで関係は悪化するだろうし、中南米諸国と良好な外交関係を保っているとは思えない。"Tariff man"を自称しているので、これも、関税をかけるぞ、と脅して引き取らせるのだろうか(日経「トランプ流「強制送還」揺れるメキシコ 外貨獲得に影」)。

さらには、どうやって不法移民を見つけ出すのか。TX州でE-Verifyの利用が義務付けられているのは、州政府関係機関とその契約関係を持っている企業のみである(2025 E-Verify Requirements by State)。

民間企業では、人手不足の中で、不法移民が不可欠な雇用対象となっていると見られており、不法移民の強制退去が始まれば、ビジネスに大きな影響が出かねない(「Topics2024年10月24日(4) CA州:E-Verify不人気」参照)。

こうやって、次期大統領が主張する政策を実務に落としていくと、その実現性に疑問を持たざるを得ない。

※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

11月26日 次期トランプ政権主要ポスト
Source :Here's who Trump has picked as Cabinet members and key advisers (NPR)
これまでトランプ次期大統領によって主要ポストに指名された面々である。

※ 参考テーマ「大統領選(2024年)

11月25日(1) 保険料引き上げ必至
Source :Healthcare costs are going to increase by double digits - again, per WTW (HR Dive)
保険会社を対象にした医療費の伸びに関するアンケートで、2025年のアメリカの医療費は前年比10.4%の伸び率となった("2025 Global Medical Trends Survey" by WTW)。2024年の9.3%よりもさらに高まる見込みである。
2025年の保険料については、引き上げは不可避である(「Topics2024年7月17日 2025年医療費推計」「Topics2024年8月16日(3) 企業保険プランも急騰」参照)。

※ 参考テーマ「医療保険プラン

11月25日(2) 大学授業料無料化の流れ
Source :University of Texas, MIT and others announce free tuition for some undergraduates (NPR)
有名大学が授業料の無料化拡大を相次いで公表しているそうだ。一定所得以下の家計所得の場合に無料化するのだが、その所得上限額を引き下げている。例として、MITは無料化の年間家計所得上限を、$140,000から$200,000に引き上げる。これにより、アメリカ社会の家計の80%が無料化の対象になるという。

このように大学が無料化を拡大する背景には、次のようなことが考えられる。
  1. 私立大学の授業料が高い。州立などの公立大学の授業料が平均$11,011なのに対して、私立大学の平均は$43,505である。

  2. 結果として、学生ローン債務を抱える人は4,280万人、学生ローン債務残高は$1.75T(2024年Q1)に達している(Student Loan Debt Statistics)。

  3. 2023年から、学生ローンの返済が再開された(「Topics2023年9月27日(2) 学生ローン返済再開」参照)。
  4. アメリカ人の大学に対する関心が低下している。
    1. 2024年の新入生が減少した模様(「Topics2024年10月24日(2) 大学新入生減少か」参照)
    2. アメリカの成人で、四大卒が重要と考えている割合は4人に1人しかいない。
    3. 借金をしてでも四大卒の資格を取得する価値があると考えている割合は、22%しかない。
大学の危機感は相当のものとみられる。

※ 参考テーマ「教 育

11月21日 CA州最賃引上げ案否決
Source :Proposition 32 was just rejected. In blue California, why did the minimum-wage boost fail? (Los Angeles Times)
CA州最低賃金の$18/hへの引き上げ案(Proposition 32)が、州民投票で否決された(「Topics2024年11月11日(2) 州最低賃金引き上げ」参照)。賛成49.2% vs 反対50.8%の僅差であった。

上記sourceでは、反対が上回った要因を探っている。
  1. 大都市を抱えるcountyでは賛成が上回っていたが、比較的所得の低い地域、countyでは反対が上回った。

  2. 最低賃金が上がれば、そのコスト増分が価格に転嫁され、物価が上昇する。州民、特に中低所得層の間では、これ以上の物価高を忌避したいとの気持ちが強かった。

  3. CA州では、既に今年4月から、ファストフードチェーン店では最低賃金が$20/hに引き上げられ、そこでの価格も引き上げられている。CA州民の上記感覚には根拠がある(「Topics2024年3月31日 CA州ファストフード最賃引上げ」「Topics2024年5月9日 CA州FF最賃引上げ1ヵ月」参照)。

  4. ファストフードチェーン店では、値上げの結果として売上高が前年割れし、労働時間を削減した。

  5. レストラン経営者の間では、今回の提案も含め、上げ幅が大きすぎ、しかも引き上げペースが速すぎる、との認識が広がっている。
CA州という民主党、リベラル派が強い州でも、急速な最賃引き上げに歯止めがかかった形となった。

※ 参考テーマ「最低賃金」、「大統領選(2024年)