3月31日 CA州ファストフード最賃引上げ
Source :California fast-food workers will get $20 minimum wage, starting Monday (NPR)
4月1日から、California州(CA)でユニークな最低賃金制度が施行される。 CA州の一般的な最低賃金は、2024年1月1日から$16/hとなっている(「Topics2023年8月18日(1) CA州最低賃金引上げへ」参照)。対象となる従業員は約50万人で、ほぼ25%の賃金引き上げとなる。

この政策は、主にSEIUが主導したものである。

過去に最低賃金を大きく引き上げた例としてSeattle市の例があり、これを研究している学者によれば、次のような効果が見込まれる(「Topics20145月13日 Seattle市:最低賃金$15へ年」「Topics2023年6月5日 Seattle市:最低賃金$15決定」参照)。 これらの措置に対応するため、従業員側でも別の勤務先と掛け持ちする場合もあるそうだ。

CA州では、2024年6月1日から、医療関係従事者の最低賃金を段階的に引き上げることを決めている(「Topics2023年10月18日(2) CA州医療最賃引上げ」参照)。これもSEIUが主導した結果である。

最低賃金引き上げの手法として、職種別の引き上げという社会実験が進められている。

※ 参考テーマ「最低賃金」、「人事政策/労働法制

3月29日(1) 短期保険プラン規制強化決定
Source :Short-Term, Limited-Duration Insurance and Independent, Noncoordinated Excepted Benefits Coverage (CMS)
3月28日、HHS、労働省(DOL)、財務省(DOT)は、短期医療保険プランの規制強化策を正式に決定した。内容は、2023年7月の案と同様である(「Topics2023年7月12日(2) 短期保険プラン規制強化案」参照)。施行日は2024年9月1日。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル

3月29日(2) Exchange加入期限を延長
Source :HHS Takes Additional Actions to Help People Stay Covered During Medicaid and CHIP Renewals (CMS)
3月28日、HSSは、Medicaid加入資格喪失者のExchange加入期限を、従来の今年7月31日から、11月30日まで延期すると発表した。

Medicaid加入資格確認は、各州において5月末までに終えることになっている。しかしながら、3月26日時点で、未だに1/3強が資格確認を終えていない(「Topics2024年2月3日(2) Medicaid資格更新手続き過半」参照)。

("Medicaid Enrollment and Unwinding Tracker" by KFF)
5月末までにすべての資格確認が終了しない怖れがあること、資格更新ができない人が一定割合出てくること、などを考えれば、セーフティネットとしてのEXvchange加入の道筋を残しておくことは妥当だろう。もちろん、今年11月の大統領選を強く意識していることは間違いない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル

3月28日(1) WI州:アマゾンドライバーは従業員
Source :Wisconsin Supreme Court dismisses Amazon challenge to ruling that drivers are employees (WPR)
Wisconsin州(WI)最高裁判所は、『アマゾン子会社であるAmazon Logisticsで配送を行なっているドライバーは、独立契約者ではなく、従業員である』との判決を下した。

同社では、"Amazon Flex"というアプリを通じて、ドライバーが選択的に配送を行なっているので、彼らはギグワーカーであると主張してきた。しかし、WI州最高裁は、 などの実態から、従業員であるとの判断を示した。

これにより、同社は、WI州内のドライバーの失業保険料を負担せざるを得なくなる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

3月28日(2) FL州とDisney合意
Source :DeSantis tourism board, Disney reach settlement to end legal feud (Washington Post)
3月27日、Florida州観光委員会("The Central Florida Tourism Oversight District")とDisney社は、Disney社の権限を縮小したうえで、今後、"Reedy Creek Improvement District"を協同して開発していくことで合意した。両者とも訴訟を取り下げる。政治学者によれば、州知事の政治的勝利とのことだ。 ことの発端は、性自認に関する教育問題を巡る州知事とDisney社CEOの間の確執であったが、こちらも既に整理がついているようだ(「Topics2023年4月20日(1) Disney vs 州知事」参照)。

※ 参考テーマ「LGBTQ

3月26日 2025年ACA企業ペナルティ
Source :Employer Mandate Penalties Fall for 2025 (HUB)
2025年のACA企業ペナルティが発表された(IRS)。全体像は次のようになる(「Topics2023年3月14日(2) 2024年ACA企業ペナルティ」「Topics2023年9月1日(1) 2024年ACA企業ペナルティ(2)」参照)。
 A penaltyB penalty
概 要 従業員50人以上の企業で保険プランを提供していない場合、フルタイム従業員がExchangeで保険料補助金を受け取ると、その人数分のペナルティ(ただし最初の30人分は免除)が課される。 保険プランを提供していても、従業員の保険料負担が所得の一定割合以上になっている場合または企業が保険プラン費用の60%未満しか負担していない場合、Exchangeで保険料補助金を受け取ったフルタイム従業員の人数分のペナルティが課される。
2014年(初年)フルタイム従業員一人当たり$2,000/Y所得の9.50%以上
フルタイム従業員一人当たり$3,000/Y
2021年フルタイム従業員一人当たり$2,700/Y所得の9.83%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,060/Y
2022年フルタイム従業員一人当たり$2,750/Y所得の9.61%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,120/Y
2023年フルタイム従業員一人当たり$2,880/Y所得の9.12%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,320/Y
2024年フルタイム従業員一人当たり$2,970/Y所得の8.39%以上
フルタイム従業員一人当たり$4,460/Y
2025年フルタイム従業員一人当たり$2,900/Y所得の - %以上
フルタイム従業員一人当たり$4,350/Y
上表のB penaltyの「所得の一定割合」については、"affordability threshold"と呼ばれ、毎年変動する。これは、保険料の伸びと所得の伸びを比較考量して決定するためである。
2025年のペナルティは、A、Bともに低下した。これは、HHSの2025年企業提供保険プラン保険料の推計が低下したことによるものである。ここはしっかりと見守っていく必要がある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

3月21日(1) 政策金利据え置き5回目
Source :Federal Reserve holds interest rates steady, projects three rate cuts later this year (NPR)
3月20日、FRBは政策金利の据え置き(5.25~5.5%)を決定した(「Topics2024年2月1日(1) 政策金利据え置き」参照)。インフレ率が持続的に2%に向かうとの確信が得られるまでは、政策金利を引き下げることはないと、全員一致で決めた(FOMC Statement)。

失業率が4%を下回り続けている(「Topics2024年3月9日 雇用増落ち着きか」参照)、CPI伸び率が足許上昇している(「Topics2023年3月13日 CPI足許上昇」参照)など、相変わらずの経済の強さを踏まえてのことだが、一方で、影も濃くなりつつある。上記sourceによると、 こうして見ると、今回は据え置きでも引き下げでもあり得た状況と言える。

2024年末の政策金利の見通しは、昨年12月時点と変わっていないが、その先は高い数値となっている。今後、相当引き締め気味に運営しないと物価を2%に抑えられないと見ているのだろう。
※ 参考テーマ「労働市場

3月21日(2) 企業プランでも重い負担
Source :40% of US workers with employer-sponsored insurance say they delay healthcare over cost (HR Dive)
企業が提供する医療保険プランに加入していても、医療費負担が重くて診療を遅らせているケースが多いというリポートだ(「Topics2023年1月18日 診療先延ばしが最大」参照)。 もちろん、医療費そのものが高額であるという場合もあるだろうが、最も障害となり得るのが高額な免責額である(「Topics2023年10月19日(2) 2023年企業保険プラン概要」「Topics2023年12月1日 家族プランは中小無理」参照)。

大企業で従業員負担シフトが止まりつつある一方、中小企業ではシフトが続いている(「Topics2021年12月15日 従業員負担シフト止まる」参照)。こうしたところから、大企業と中小企業の保険プランに格差が出てきているのだろう。

※ 参考テーマ「医療保険プラン