1月20日 2022年労組加入率再び低下
Source :Union Members Summary (BLS)
1月19日、BLSは2022年の労働組合加入率、組織率を公表した。

2022年の加入率/組織率とも2021年に続いて低下した(「Topics2022年1月21日(4) 2021年労組加入率/組織率」参照)。組合加入者数は増えているのだが、全体の被用者数が大きく伸びたために、加入率は低下してしまった。

また、パートタイマーの加入率も大幅に低下した。
州別の加入率では、11の州が5.0%未満となった。
※ 参考テーマ「労働組合

1月18日 診療先延ばしが最大
Source :Record High in U.S. Put Off Medical Care Due to Cost in 2022 (GALLUP)
2022年中にコスト高を理由に診療を先延ばしにした人、家計の割合が38%に達した。これは、この調査が始まって以来の水準であり、2021年の26%から12pptも上昇した。
所得階層別に見ると、当然のことながら、低所得層ほど先延ばしの割合が高くなる。
年齢別に見ると、若い層ほど先延ばししている。
男女別では、女性の方が先延ばししている。男の方が我慢弱いのか。
背景には、2022年の高インフレがあるそうだ(「Topics2023年1月13日(1) CPI高水準継続」参照)。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「人口/結婚/家庭/生活

1月17日 Pay Transparency Lawsの広がり
Source :Rethinking Equity: Pay Practices in 2023 and Beyond (HR Daily Advisor)
給与の男女格差に対する関心がますます高まりそうだ。

1963年、給与に関する性差別を禁止する"Equal Pay Act"が成立した。当時の男女給与格差は、100:59であった。それがゆっくりと縮小し、現時点では、100:84となっている。

こうした状況は、まだまだ満足のいくものではなく、更なる改善が求められている。こうした動きを背景にして、州レベルで給与開示法(pay transparency laws)の整備が進んでいる(「Topics2022年5月17日 賃金情報開示法制化」参照)。2023年からCalifornia州、Rhode Island州、Washington州が加わった(GovDocs)。これにより、全米被用者のうち、1/5が給与開示法の対象となるそうだ(Harvard Business Review)。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

1月16日 CA州AB257
Source :Sacramento judge blocks California from enacting first-in-the-nation fast-food labor council (Sacramento Bee)
2022年9月5日、CA州でFast Food Accountability and Standards Recovery Act (or FAST Recovery Act)が成立した(AB 257)。この州法のポイントは次の通り。
  1. 2029年1月1日までに、CA州Department of Industrial Relations内部に、Fast Food Council (council) を設立する。

  2. Councilは、ファストフードレストランにおける労働条件を決定する。

  3. 対象になるのは、全米で100店舗以上展開するファストフードレストラン。
賃金水準なども決められることになり、推測では中位数を$22/hに設定するとも言われている。

当然のことながら、経営者は強く反発しており、全米商工会議所はすぐに反対するコメントを発出した(USCC)。さらに、12月5日には、CA州のファストフード業界(Save Local Restaurants)が、2024年に"AB 257"を無効にするかどうかを問う州民投票を実施するよう、請願書を提出した。

これに対して、州政府(Department of Industrial Relations (DIR))は、AB 257の仮執行を求める訴えを起こしていた(Los Angeles Times)。

しかし、2023年1月13日、州裁判所は州政府の訴えを退ける判決を下した。州民投票を実施するかどうかを精査している時点で仮執行を行なうことは、州民投票のプロセスを侵害することになり、現実社会にも混乱をもたらすことになる、というのがその理由だ。

これで、一旦はCouncil設立の動きは止められたことになる。もしもこれが実現すれば、先行するNY州よりも格段に強い規制強化となりそうだ(「Topics2018年9月26日 NY州:ファストフード店規制強化」参照)。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

1月13日(1) CPI高水準継続
Source :Inflation is easing, even if it may not feel that way (NPR)
1月12日、BLSは昨年12月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前年同月比6.5%の上昇と、6ヵ月連続の伸び率低下となった(「Topics2022年12月14日(2) CPI7.1%に低下」参照)。また、前月比では久々に低下し、-0.1%となった。
前月比でマイナスになった主な要因は、ガソリン価格の低下である。
エネルギー全体の価格指数も前年同月比で伸び率は大幅に低下しているが、それでも7.3%の伸びとなっている。
一方、食料品価格の伸び率は、前年同月比10.4%増と4ヵ月連続の微減となったものの、依然として高い水準が続いている。上図でもわかるように、卵の値上がりが激しく、話題になっている。
エネルギー、食料品を除くCPI上昇率は前年同月比5.7%と、若干の低下が続いているが、依然として高水準の上昇率である。
住居費は前年比7.5%増と、上昇率の高まりが止まらない。
12月の実質時給は、前月比0.4%増、前年同月比で1.7%減となった(Real Earnings News Release)。
こうした状況に対して、Federal Reserve Bank of San FranciscoのMary Daly総裁は、次のように述べている。
"That's encouraging, but not enough to declare "mission accomplished". I don't think we should declare victory on inflation, on the labor market, on any of the things that we're seeing, based on one month of data."
FRBの厳しい姿勢は続きそうである(「Topics2022年12月16日 FRB引締め姿勢堅持」参照)。

※ 参考テーマ「労働市場

1月13日(2) 波に乗れないALU
Source :Amazon loses bid to overturn historic union win at Staten Island warehouse (NPR)
1月11日、NLRB支部は、Amazon社の「Amazon Labor Union (ALU)が労組結成投票に不適切な影響力を行使した」との訴えを退けるとともに、ALUとの労使協議を開始するよう求めた。Amazon社は、これに不服を申し立てて、NLRB本部に対して改めて提訴する見込みだ。それがうまくいかなければ、裁判所への提訴…、と今後、延々と争い続けることが予想される。

上記sourceによれば、Amazon社従業員の方も、一致団結して労組結成、支援という流れにはなっていない。 ALUはなかなか波に乗れないようである。

※ 参考テーマ「労働組合

1月11日(1) 企業のスタンス表明の是非
Source :U.S. Adults Split on Companies Taking Political, Social Stances (GALLUP)
近年、政治的・社会的問題について、企業の立ち位置を表明するよう求める声が強まっている(「Topics2018年11月10日 アメリカ社会の強い党派性」参照)。また、積極的に態度表明を行なう企業も出てきている(「Topics2022年4月20日(1) Disney vs 州知事」参照)。

上記sourceは、企業が政治的・社会的問題についてスタンスを明らかにすることについて、世論調査を行なった結果である。ポイントは次の通り。
  1. 明らかにすべきとの意見は48%。すべきでないという意見は52%。ほぼ真っ二つに分かれている。
  2. ただし、若者(18~28歳)、アジア系・ブラック、民主党支持者は、明らかにすべきとの意見が多い。トランプ支持層の白人男性はそれほど積極的ではないように思える。
意見は分かれているが、「企業」という存在が政治的・社会的スタンスを持つというのはどういうことなのか、をよく考えておく必要があると思う。「企業経営者」がスタンスを明確にする、ということであれば、それなりの意味があるだろう。経営者としての魅力、指導力、発信力を発揮する一つのツールと位置付けられるし、株主、従業員、消費者などのステークホルダーからの評価を受けることもありだろう(「Topics2022年7月6日 企業幹部の党派色強まる」参照)。

一方、その企業で働く「従業員」にとってはどうだろう。誇りに思うこともあるだろうし、反発を感じて転職してしまうこともあるだろう。また、価値観が異なることが判明して孤独感を感じたり、エンゲージメントが低下して、生産性が低下することもあるだろう(「Topics2018年10月29日 職場の政治論議」参照)。

広い範囲のステークホルダーに影響をもたらす存在ではあるが、そもそも「企業」には投票権がないのである。

※ 参考テーマ「政治/外交

1月11日(2) 学生ローン返済規定変更案
Source :New Proposed Regulations Would Transform Income-Driven Repayment by Cutting Undergraduate Loan Payments in Half and Preventing Unpaid Interest Accumulation (Department of Education)
1月10日、教育省(Department of Education, DOE)は、学生ローン返済規定の変更案を公表した。これは、昨年8月のバイデン大統領が示した学生ローン救済策の3つの柱のうち、最後の項目にあたるものである(「Topics2022年8月25日 学生ローン返済免除」参照)。

新たな規定の名前は、"Income-Driven Repayment (IDR) Plan"とされ、低所得層の返済月額を大幅に抑制するとともに、返済しなかった場合の付加利子をやめるという内容だ。

主な政策効果は次の通り。 今後の学生の未来は明るい、と言いたいところだが、こうした施策を実施するための予算が手当できていないらしい(NPR)。これでは絵に描いた餅のままである。

※ 参考テーマ「教 育