1月31日 FRB政策金利据え置き
Source :The Federal Reserve holds interest rates steady as inflation remains stubborn (NPR)
1月29日のFOMCで、FRBは政策金利を据え置いた(「Topics2024年12月19日 FRB3回連続引き下げ」参照)。CPI伸び率の3ヵ月上昇(「Topics2025年1月16日 CPI前年比3ヵ月連続上昇」参照)、求人意欲の高さ(「Topics2025年1月13日 求人の強さを確認」参照)を反映したものである。
政策金利の引き下げに関しては、FRBの慎重な姿勢が続くことになるだろう。

※ 参考テーマ「労働市場

1月29日 NLRB/EEOC委員解任
Sources : Trump fires EEOC and labor board officials, setting up legal fight (NPR)
Trump shoves EEOC Democrats aside (HR Dive)
1月28日、トランプ大統領は、NLRB/EEOCの民主党系委員等を解任した(「Topics2025年1月23日(1) NLRB/EEOCトップ指名」参照)。いずれも任期終了前で、さすがに前例はない。

NLRBは、委員数が2名となり、何を審議しても定足数に達しないことになる。また、事務局長も不在で、実務的な委員会準備も滞るであろう。解任されたWilcox氏は、訴訟を起こすと宣言している。
【2025年1月29日時点】()内は、トランプ大統領により解任。
役 職氏 名政 党指名者任 期
Chairman
2025.1.20~
Marvin E. KaplanRPresident Trump①2017.8.10~2020.8.27
②~2025.8.27
Member(Gwynne Wilcox)(D)(President Biden)(①2021.8.5~2023.8.27
②~2028.8.27)
MemberDavid ProutyDPresident Biden2021.8.28~2026.8.27
Member -
Member -
General Counsel(Jennifer Abruzzo)(D)(President Biden)(2021.7.22~2025.7.21)
一方、EEOCは委員が二人となることに加え、委員長も代行でしかない。こちらの解任された二人も訴訟を検討している。
【2025年1月29日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Acting Chair
2025.1.20~
Andrea R. LucasRPresident Trump2020.9.22~2025.7.1
Commissioner(Charlotte A. Burrows)(D)(President Obama)(①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
③~2028.7.1)
Commissioner(Jocelyn Samuels)(D)(President Trump)(①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1)
CommissionerKalpana KotagalDPresident Biden2023.8.9~2027.7.1
Commissioner -
General Counsel(Karla Gilbride)(D)(President Biden)(2023.10.17~2027.10.17)
どちらの委員会も、欠員補充がいつになるのか、そもそも補充されるのか、まったく目途はたっていない。労働組合活動、職場における差別判断が大きな打撃を受けることは間違いない。

※ 参考テーマ「労働組合」、「人事政策/労働法制

1月24日 性自認否定の影響
Source :Trump Administration Order on Sex and Gender Identity Will Impact Benefits Compliance (Practical Law)
上記sourceは、1月20日に発出された性自認を否定する大統領令のおさらいである(「Topics2025年1月21日(2) 大統領令で性自認を否定」参照)。その中で、具体的な影響例として、医療保険プランにおける性に基づく差別の禁止に関する事項が挙げられている。
Health plan insurers were prohibited from providing or administering health insurance coverage to (among other things):
  • Deny, cancel, restrict, or refuse to issue/renew health insurance on the basis of sex (or other prohibited criteria).
  • Deny or limit coverage of a claim on the basis of sex.
  • Impose additional cost-sharing or other coverage restrictions on the basis of sex.
  • Have benefit designs or marketing practices that discriminate on the basis of sex.
この"sex"というところに、"性自認(gender identity)"の要素は含まれず、生物学的な二分法に基づく"性"と限定されることになる。結構大きな影響が出そうである。

※ 参考テーマ「LGBTQ」、「医療保険プラン

1月23日(1) NLRB/EEOCトップ指名
Source :Trump names heads of NLRB, EEOC (HR Dive)
1月20日、トランプ大統領は、NLRBの議長としてMarvin E. Kaplan氏、EEOCの議長代行としてAndrea R. Lucas氏を指名した(The White House)。

NLRBは、議長のみ共和党指名であるものの、空席が2つあり、やがて保守系で満たされることになるのだろう(「Topics2024年12月16日(2) NLRB委員長任期延長否決」参照)。
【2025年1月22日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Chairman
2025.1.20~
Marvin E. KaplanRPresident Trump①2017.8.10~2020.8.27
②~2025.8.27
MemberGwynne WilcoxDPresident Biden①2021.8.5~2023.8.27
②~2028.8.27
MemberDavid ProutyDPresident Biden2021.8.28~2026.8.27
Member -
Member -
General CounselJennifer AbruzzoDPresident Biden2021.7.22~2025.7.21
一方、EEOCの方は、空席が一人となっているので、保守派を指名できるものの、多数派になるには時間がかかりそうだ(「Topics2022年11月20日 EEOC保守派委員退任」参照)。
【2025年1月22日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Acting Chair
2025.1.20~
Andrea R. LucasRPresident Trump2020.9.22~2025.7.1
CommissionerCharlotte A. BurrowsDPresident Obama①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
③~2028.7.1
CommissionerJocelyn SamuelsDPresident Trump①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1(PN271)
CommissionerKalpana KotagalDPresident Biden2023.8.9~2027.7.1
Commissioner -
General CounselKarla GilbrideDPresident Biden2023.10.17~2027.10.17
※ 参考テーマ「労働組合」、「人事政策/労働法制

1月23日(2) HHSに情報発信禁止令
Source :Trump freezes HHS communications: report (Modern Healthcare)
一体何が起きているのだろう。1月21日、『HHSは外部に対する情報発信を禁じるとの命令を受けた』とワシントンポスト紙が報じた。HHS参加の全機関が対象で、禁止期限も示されていないし、例外についても言及がないそうだ。

試しに、HHSCMSのHPを覗いてみると、確かに今週に入って何も更新されないままとなっている。HHS長官に指名されているRobert F. Kennedy Jr.が何か絡んでいるに違いない。

感染症の急拡大など、緊急事態が発生したらどうするつもりなのだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「大統領選(2024年)

1月23日(3) Exchange加入者大幅増
Source :ACA enrollment breaks records again in 2025 (Healthcare Dive)
2025年のExchange加入者は、過去最高の2,420万人(前年2,130万人)、前年比13.4%増となった(「Topics2024年1月25日(2) Exchage加入過去最高更新(2)」参照)。上記sourceによれば、Florida(前年比12.4%増)、Texas(同13.8%増)、Georgia(同16.4%増)など、共和党が制している州での伸びが大きいそうだ。

トランプ政権ならびに連邦議会共和党は、大幅減税のための財源を確保するため、医療関係の支出を大きく削減したいとの意向を持っている。最大のターゲットは、Exchange加入者に対する補助金である。しかし、レッドステイツでも人気のあるExchangeに大きく切り込むことができるだろうか(「Topics2024年11月7日 大統領選と医療保険」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

1月21日(1) 連邦職員は原則出勤
Source :Return to In-Person Work (The White House)
トランプ大統領は、就任初日から活発な活動を開始している。その中で、当websiteの関心事項としては、連邦職員の在宅勤務を原則廃止するというものである。ちなみに、この文書はメモランダムと記されている。
  1. 連邦政府各組織の長は、連邦政府職員が決められた職場に出勤して働くよう、可能な限りの対策を講じる。

  2. ただし、組織長が在宅勤務の必要性を認める場合は認める。
2.の例外をどこまで裁量で認めるかで、大きく性質が変わってくるが、初日に打ち出してくるということは、在宅勤務の例外は狭い範囲しか認められないのだろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

1月21日(2) 大統領令で性自認を否定
Source :DEFENDING WOMEN FROM GENDER IDEOLOGY EXTREMISM AND RESTORING BIOLOGICAL TRUTH TO THE FEDERAL GOVERNMENT (The White House)
こちらは、大統領令(Executive Order)である。ポイントは次の通り。
  1. 女性の権利を守るため、性に関する定義、用法を明確にする。

  2. 女性(women)とは、生物学的な女性(biologically female)のこと。生物学的な女性とは、卵子を生み出す性のこと。

  3. 男性(men)とは、生物学的な男性(biologically male)のこと。生物的な男性とは、精子を生み出す性のこと。

  4. 性(sex)は性自認(gender identity)とは異なる。

  5. HHS長官は、この大統領令から30日以内に、性に関する定義、用法を明確にするガイドラインを作成し、公表する。

  6. これに基づき、連邦政府が発行する身分証明書に変更を加える。例えば、パスポートやビザなどが含まれる。

  7. 司法長官は、職場や公共施設において(男女二分法による)性別の空間(例えば、トイレや更衣室など)を確保する権利を認めるためのガイドラインを提供する。

  8. 大統領府は、30日以内に必要な法律改正案を大統領に報告する。

  9. 各省で、この大統領令と矛盾するような文書、ガイドラインを速やかに破棄する。例として、"The White House Toolkit on Transgender Equality"、EEOCの"Enforcement Guidance on Harassment in the Workplace” (April 29, 2024)"が挙げられている。
要するに、トランスジェンダーの女性(生物的には男性)のトイレ問題、スポーツ参加問題は、これで一切封じることができる、という訳だ。

※ 参考テーマ「LGBTQ