Source : | Public-Sector Jobs Vanish, Hitting Blacks Hard (New York Times) |
リーマンショック後、公的セクター、特に連邦政府、州政府、公共サービス機関における雇用は、減少の一途を辿っている。などがその理由だが、こうした雇用抑制策が黒人の雇用、賃金に影響をもたらしているそうだ。
- 税収減、年金財政悪化に対応する歳出削減、雇用抑制
- 公的部門労組の権限抑制
アメリカでは、1960年代の公民権運動の高まりから、公的部門が積極的に黒人を雇用してきており、現在、大まかに言って、黒人の5人に1人が公的部門に就職している。その大口就職先が絞られているために、黒人層の雇用が打撃を受けているということらしい。
ただでさえ、黒人層は所得、富が低いとされており、公的部門への就職は中間層への玄関口の一つと言われてきた。しかし、そこが絞られてしまうということになると、階層の固定化が一層進んでしまうことになる。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Which States Make Life Easier or Harder for Illegal Immigrants (New York Times) |
不法移民についてはいろいろなトピックスがある。上記sourceでは、次の4点について、州毎の対応をまとめ、地図上に表している。4つともクリアしている州は、WA, CA, NM, IL, CT, MD州と D.C.であった。ただし、D.C.には州立大学がないので、第2項目は該当しない。こうしてみると、不法移民にとって居心地の良い州はかなり限定されているし、本当はこれにヒスパニックの人口割合、スペイン語の公用語化などの要素を考えないといけない。
- 不法移民に運転免許証を提供しているか(「Topics2015年2月7日 CA州不法移民免許証発行」参照)
- 州立大学で州民授業料を適用しているか(「Topics2012年8月25日 不法移民子弟に割引授業料」参照)
- 警察官に不法移民かどうかの職務質問権限を与えているか(「Topics2012年6月26日 AZ州移民法を一部支持:連邦最高裁」参照)
- 不法移民保護大統領令に賛成しているか(「Topics2015年5月29日 大統領令差止請求再認」参照)
そう考えていくと、やはりCA州は最初に目指すべき土地かもしれない。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Federal Panel Lets Injunction Against Obama’s Immigration Actions Stand (New York Times) |
TX州+25州が求めている不法移民保護大統領令の執行差し止め請求について、5月26日、第5控訴裁判所小法廷は、連邦地方裁判所の判決を支持し、差止請求を改めて認める判決を下した(「Topics2015年2月17日 大統領令差止請求認める」参照)。
White Houseは、『驚きではない』としつつ、次の司法手段についてはコメントを回避した。司法省は第5控訴裁判所大法廷の開廷を求めることもできるが、保守的な傾向の強い大法廷をすっ飛ばして、連邦最高裁に執行命令を求めると見られている。
しかし、大統領の行政執行権限に関して冷淡になっている連邦最高裁で好ましい結果が得られるかどうかわからない(「Topics2014年12月8日 最高裁も反転攻勢か」参照)。
一方で、14州+D.C.は、大統領令の執行を求める意見書を第5控訴裁判所に提出している。ここでもアメリカ社会が二分されている。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Four Words That Imperil Health Care Law Were All a Mistake, Writers Now Say (New York Times) |
PPACAに規定されている保険料補助金(tax credits)を連邦立Exchangeで給付することができるかどうか、連邦最高裁の判決が翌月に迫っている。今回の訴訟に至った切っ掛けは、『PPACAで規定されているtax creditsは、Exchange "established by the state"で給付される』と書かれていたことにある。原告側はこの4語を盾に、法律に規定された通りの運用を行うべきであり、連邦立Exchangeでtax creditsを給付することは違法である、と主張している。
では、立法過程でこの4語はどのように議論されたのか、というテーマで上記sourceは取材をしている。
まず、連邦議会議員は、全員異口同音に、『州立と連邦立の間で区別することは一切議論していなかった』と述べている。これだけ大きな問題を議論せずに通すことはないはずなので、そもそも論点として議員達に上がっていなかった、ということだろう。
では、どのような経緯でこの4語が挿入されたのか。検証結果は次のようなものとなっている。思い返せば、法案審議の最中は、保険未加入に伴うペナルティ、Medicaid拡充策、中絶の扱いなど、他にもたくさんの論点があり、精査が充分できなかったという側面もあるだろう。
- 連邦議会上院では、財務委員会と健康委員会でそれぞれ法案を作成していた。
- 健康委員会版は、明確に連邦立、州立ともにtax creditsを給付できるとしていた。一方、財務委員会版では明確になっていなかった。
- Reid院内総務(当時)の下で、両法案を統合する際、Reid院内総務は、
- tax creditsに関する文言は財務委員会版から
- 連邦立Exchangeの設立・運営に関する文言は健康委員会版から
取り入れた(「Topics2009年11月21日 Reid法案」参照)。
- その際、健康委員会版の重要な次のフレーズを採用しなかった。
"a state with a federal exchange “shall be deemed to be a participating state,” and that its residents could receive federal subsidies to help pay premiums."- そのまま上院法案は、上院で審議、12月24日に上院可決(「Topics2009年12月24日 上院法案可決」参照)。
- 既に下院は2009年11月に独自の法案を可決していた(「Topics2009年11月8日(3) 下院法案可決」参照)。通常であれば、ここで上下両院協議会を開催するところだが、諸般の事情により、通常の両院協議会を発足させず、ごく少人数の幹部による協議に委ねた(「Topics2010年1月6日(1) 両院協議は異例の形式に」、「Topics2010年1月7日 両院協議開始」参照)。
- さらに、MA州上院特別選挙において民主党が議席を失うという衝撃の事態が発生した。これにより、民主党は上院での60議席を保てず、上院法案の大幅見直しはできなくなった(「Topics2010年1月16日 上院特別選挙 in MA」、「Topics2010年1月21日(1) MA州のメッセージ」参照)。
- そのため、下院での議論が充分に行えないまま、採決、大統領署名となってしまった。
上記sourceによれば、土台となった財務委員会版、健康委員会版、Reid版の実際の書き手達も、意図したものではなかった、またはノーコメントとしているそうだ。
つまり、『問題となっている4語は立法府の意思ではなかった』ということが上記sourceのメッセージとなっているのである。記事全体で、『連邦立Exchangeにおけるtax creditsは議員が誰も意図していなかったのだから合法にしてよね』と主張しているのである。
しかし、上記sourceの最後にある、Scalia最高裁判事のコメントは強烈なカウンターとなっている。『重要なことは、議会の意思ではなく、議会が立法した内容である』として、連邦立Exchangeにおけるtax creditsは違法との立場を崩していない。また、先に当websiteでも紹介したように、明文化されたことに忠実であるべきとの考え方が連邦最高裁では強くなっている(「Topics2015年1月29日 退職者医療プランの受給権を否定」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Pensions and Politics Fuel Crisis in Illinois (New York Times) |
州政府年金改革プランに違憲判決を突きつけられたIL州政府は、完全に手詰まり状態に陥っている(「Topics2015年5月12日 IL州年金改革に違憲判決」参照)。
このような絶望的な状況で残されているのは、大幅な歳出削減と増税である。しかし、州政府の歳出削減は、州民の生活を直撃しかねない。そうなってくると、大幅増税という道しかないのではないかと思える。逆に言えば、州政府にはラストリゾートである増税という手段があるからこそ、破綻は認められないということなのかもしれない。
- 財政赤字は許されない。予算編成の期限も近づいている。
- 「破綻⇒債務整理⇒再建」といういわゆる破たん処理は州政府には認められていない(「Topics2011年1月29日 州政府破産法制」参照)
- 持続可能性が困難な州政府年金、Chicago市年金、Chicago教員年金の存続策を見出さなければならない。
いずれにしても、同様の状況は、PA州、NJ州、KY州などでも起きかねず、IL州の今後の選択を全米が固唾を呑んで見守っている。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | What Drives Cashouts? (NAPA Net) |
上記sourceでは、DCプランから引き出す理由・タイミングとして、主に2点を指摘している。こうなってくると、法律や政策意図はともかくとして、一般の人にとってのプラン加入目的は、退職後所得を確保するというよりも、貯金ということで認識されていると言わざるを得ない。
- 離職時点
40%以上の勤労者が、会社を離れる時点でDCプランから現金を引き出している。これは、残高が$5,000以上なければ離職前の勤務先に勘定を残しておくことが認められない場合が多いことにもよる。また、所得の低い者、蓄えの少ない者にとっては、DCプランからの引き出しにより手許に現金を確保できることは魅力的である。
- 住宅購入
まとまったお金が必要となる住宅の購入時にも、47%が引き出しを利用している(右図参照)。
※ 参考テーマ「DB/DC」
Source : | Washington State OKs Retirement Marketplace (Plansponsor.com) |
5月18日、Washington州(WA州)で、Small Business Retirement Marketplace創設法が成立した。骨子は次の通り。先のIL州の場合と同様、今回の法律は創設のための制度設計を行うための法律であり、具体的な議論はこれからだ(「Topics2015年1月7日 IL州:自動加入年金プラン法案成立」参照)。
- 従業員100人未満の企業に、税制優遇退職勘定への参加を認める。
- 選択肢として用意されるのは、SIMPLE IRA(事業主による拠出) または IRA(天引きによる従業員拠出)。
- 担当責任者は民間部門と協力して、創設に向けて制度設計を行う。
CA州、IL州、WA州と、それぞれ制度設計の方向性は少しずつ異なるものの、小規模企業に退職者所得プランを提供しようとする動きが始まったようだ(「Topics2013年5月19日 CA州版国民年金基金:制度設計進まず」参照)。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「地方政府年金」
Source : | Los Angeles Lifts Its Minimum Wage to $15 Per Hour (New York Times) |
5月19日、Los Angeles City (LA市)市議会は、14 v 1の圧倒的多数で、最低賃金を現在の$9/hから$15/hに引き上げることを決定した。引き上げのスケジュールは次の通り。従業員25人未満の企業は、1年遅れで引き上げる。
2016年7月 $10.50/h 2017年1月 $12.00/h 2018年1月 $13.25/h 2019年1月 $14.25/h 2020年1月 $15.00/h 2022年〜 過去20年のCPI上昇率で引き上げ
これで西海岸の2つの都市が、$15/hを目指して最低賃金を引き上げていくことになる(「Topics2014年6月5日 Seattle市:最低賃金$15決定」参照)。連邦レベルの最低賃金の倍を超えるレベルが実現する。
※ 参考テーマ「最低賃金」