5月17日 学生ローン残高の実態 
Source :Student Debt (Urban Institute)
アメリカの学生ローン残高は$1Tにも達しているとも言われている(「Topics2014年4月13日 学生ローン返済方法」参照)。

その残高の大きさに注目が集まっているが、上記sourceは、もう少し詳細に実態をみていくべきだと主張している。
  1. 学生ローン残高の実態を知るためには、総額で見るよりも、一人当たりの残高を見た方が有益である。

  2. 2012年時点での一人当たりの学生ローン残高を見ると、大学院生のローン残高が特別に高いことがわかる。
  3. 大学生の学生ローン残高をみると、確かに高額な残高を抱える学生の割合は増えてきているが、$5万ドル以上のローンを抱える学生は10%である。また、私学の大学では学生ローンを抱えた学生が一般的である。

  4. 一方、大学院生の場合には、学生ローンに依存しないという層は、大学生と同様の割合でいるものの、$5万ドル以上のローンを抱える学生が約4割を占めている。
  5. また、一人当たり残高の推移を見ると、90年代以降急速に高まってきたものの、2010-11年にピークを打っている。この傾向が続けば、残高総額の伸びも徐々に低下してくるものと思われる。
そうは言っても、大きなローン残高を抱えて社会に出て行く者が多いことには変わりない。

※ 参考テーマ「教育

5月16日 Chicago vs Moody's 
Source :Moody's, citing pension crisis, downgrades Chicago's debt to junk status (Reuters)
5月12日、Moody'sは、Cicago Cityの格付けをBaa2から2段階引き下げ、Ba1(「投機的」)+ネガティブ見通しとした。IL州政府の年金改革が州憲法に違反しているとの判決が出たため、Chicago Cityの年金改革プランにも悪影響が及ぶとの判断が働いた(「Topics2015年5月12日 IL州年金改革に違憲判決」参照)。

これに対して、Emanuel市長は、 などと反論しているが、後の祭りである。

市の財政に対する見方は益々厳しくなる。上記sourceによれば、財源確保のため、固定資産税の引き上げ、カジノの解禁、などが検討されることになるとされている。Chicago Cityの厳しい財政状況は深刻化している。

※ 参考テーマ「地方政府年金

5月15日 SB市:退職者医療に大なた 
Source :San Bernardino to slash retiree health care in bankruptcy plan (Reuters)
財政破綻したSan Bernardino市(SB市)は、提出期限である5月31日に向けて再建計画を策定中である。

先に、SB市は、CalPERSへの債務全額を返済することとし、年金水準を維持することを固めている(「Topics2014年11月7日(2) SB市:CalPERSへ返済開始」参照)。

ということは、退職者の分野では医療保険プランへの支出を大幅に削減せざるを得ない。上記sourceによれば、市の退職者は次の二択を迫られることになるそうだ。 年金は守られても医療は守られない。再建のためにはどこかで負担を求めざるを得ない。蛇足だが、日本人なら医療を選択すると思うけどな。

※ 参考テーマ「自治体退職者医療/GAS 45」、「地方政府年金

5月12日 IL州年金改革に違憲判決 
Source :Illinois Supreme Court Rejects Lawmakers’ Pension Overhaul (New York Times)
5月8日、IL州最高裁は、7人の判事が全員一致で『2013年12月に法制化されたIL州政府年金改革は違憲である』との判決を下した(「Topics2013年12月3日 IL州:年金改革議論が大詰め」参照)。受給権が賦与された過去分のみならず、将来にわたっての期待権も保護される、との考え方だ。

IL州政府年金は、財政状況が全米で最も悪いプランであり、州政府の財政赤字もなかなか縮小しない。そうした中、ようやく州議会で成立した改革法だが、この判決を受けて振り出しに戻すしかなくなってしまった。

州議会共和党は、『最早州憲法を改正するしかない』と腹をくくり始めているようだ。実際、IL州は、知事こそ共和党であるものの、州議会は上下両院とも民主党が握っているし、司法長官も民主党出身である。このような政治状況では、州憲法の改正も容易ではなかろう。

州政府の財政赤字と州政府職員の年金プランとどちらが大事なのか。

※ 参考テーマ「地方政府年金