Source : | Detroit's recovery plan approved by judge (Pensions & Investments) |
11月7日、連邦破産裁判所は、Detroit市の再建計画を承認した。
争点だった職員年金の制度改革案は、退職者から承認を得たものと同じ(「Topics2014年7月24日 Detroit市:退職者が賛成」参照)。これにより、現存の市職員退職年金制度は、来る12月31日をもって閉鎖年金となり、来年以降の新規採用者にはハイブリッド型プランが提供されることになる。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Earned Sick Leave Becomes Law in Massachusetts (Fisher & Phillips LLP) |
11月4日のMA州民投票で、有給病気休暇法が可決された(「Topics2014年11月6日 中間選挙後の政策動向」参照)。CA州に続く本格的な法定化である(「Topics2014年9月13日 CA州:有給病気休暇法成立」参照)。概要は次の通り。(2022年4月24日追記) ※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
- 施行は2015年7月1日。
- 従業員10人超の企業は、年間最大40時間の有給病気休暇を与えなければならない。
- 従業員10人以下の企業は、年間最大40時間の無給病気休暇を与えなければならない。
- 既に、40時間超の有給休暇を提供している場合には、新たに追加賦与する必要はない。
- 有給/無給病気休暇を利用できるケースは次の通り。
- care for a physical or mental illness, injury or medical condition affecting the employee or the employee’s child, spouse, parent, or parent of a spouse;
- attend routine medical appointments of the employee or the employee’s child, spouse, parent, or parent of a spouse; or
- address the effects of domestic violence on the employee or the employee’s dependent child.
- 従業員は、2015年7月1日または採用日以降、勤務時間30時間毎に最低1時間の病気休暇時間を獲得する。
- 病気休暇時間の累積上限は、暦年ベースで40時間。
- 雇用期間90日未満の期間は、病気休暇時間の利用は不可。
- 利用しなかった病気休暇時間は、40時間を限度に翌年に繰り越すことができる。
- 企業は、利用しなかった有給病気休暇時間を現金給付する義務を負わない。
Source : | Soda Tax Succeeds In Berkeley, Fizzles In San Francisco (Kaiser Health News) |
CA州Berkeley市の市民投票で、Soda Tax が可決された。75%の賛成率であった。Soda Tax の目的は健康管理だが、その税収は一般財源とするようだ。ただし、健康管理プログラムを策定する委員会にも財源は回される。
- 加糖飲料1オンスあたり¢1を課税する。
- 税収は年間$1M以上を見込む。
- 一般財源にあてる。
Soda Tax はPPACAの財源、地方自治体の財源として何度も議論されてきたが、今回、全米で初めて導入が決定した(「Topics2010年2月10日 Soda Taxの行方」参照)。NY市のソーダ規制も、施行直前に司法判断によりストップがかかった(「Topics2013年3月12日 NY市のソーダ規制に無効判決」参照)。
飲料業界、レストラン業界が全面的に反対キャンペーンを張ってきたことで頓挫の連続であった訳だが、今回は圧倒的多数で施行が決まった。
上記sourceで、課税賛成派のDuke大学学長が『タバコ税のようなもの』と評していることが印象的であった。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」
Source : | Feds to require big companies to cover hospitalization (USA TODAY) |
Obama政権は、大企業が提供する医療保険プランの規制強化を検討している。具体的には、入院を保険プランの給付対象にするよう義務付けようとするものである。
医療保険プランの質を確保するために、PPACAでは給付を義務付ける対象として、10分野を規定している。しかし、その義務付けの対象となるのは、Exchangeの個人プラン、小規模グループプランだけで、大企業が提供する医療保険プランでは、給付の数理価値が10分野全体の60%を超えていれば、10分野全ての給付が盛り込まれていなくてもよいことになっている(「Topics2013年8月29日 Bare Bones Health Plans」参照)。
このため、大企業の保険プランの中には、入院給付を含めていないプランが存在する。そこを、連邦政府は規制により給付を義務付けようとしているそうだ。まだ内部検討段階だそうだが、いずれ表面化してくるのだろう。
入院給付が入っていなければ医療保険プランとしては欠陥品だと思うのだが・・・。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Bankrupt San Bernardino repaying millions in arrears to Calpers (Reuters) |
San Bernardino市(SB市)が、CalPERSへの債務返済を密かに開始した、とのことである(「Topics2014年7月12日 SB市:債務支払いを約束か?」参照)。
『密かに』というのが上記sourceの肝で、SB市の再建計画はまだ連邦破産裁判所の承認を得ておらず、その前にSB市が情報公開をせずにCalPERSへの返済を開始したのである。開始したのは7月らしく、返済額は毎月60~70万ドル規模だそうだ。
Stockton市の再建計画と同様、CalPERSの債権は無傷で済んだことになる。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Election 2014 (New York Times) |
共和党の圧勝と言ってよいだろう。上院の過半数を奪取し、過半を制していた下院でも議席数を伸ばした。おまけに知事選も、共和党知事が3人以上増える見込みだ。
問題は、これから後の政策の動向である。※ 参考テーマ「中間選挙(2014年)」、「無保険者対策/州レベル全般」、「最低賃金」、「無保険者対策/CA州」、「人事政策/労働法制」
- Medicaid拡充(New York Times)
拡充に向けて動き出す州はほとんどないとみられている。むしろ、Arkansas州では、一旦拡充したものの、拡充の更新ができずに後退する可能性が高い(New York Times)。
- 最低賃金(New York Times)
次の4州の州民投票で、最低賃金の引き上げを可決した。
- Alaska:$7.75/h ⇒ $9.75/h(2016年)
- Arkansas:$7.25/h ⇒ $8.50/h(2017年)
- Nebraska:$7.25/h ⇒ $9.00/h(2016年)
- South Dakota:$7.25/h ⇒ $8.50/h(2015年)
- CA州:Proposition 45 否決(KPBS)
『医療保険プラン保険料引き上げについて、合理的ではない場合にはCA州保険委員長が拒否権を発動できるようにする』というのが州民投票にかけられた議案だが、これが大差で否決された。保険料上昇を抑制することが主旨であったが、PPACA優等生のCA州でも、州民は保険料が市場で決まる方が好ましいと判断したようである。
- MA州:有給病気休暇の義務化(Fisher & Phillips LLP)
州民投票で、10人以上の従業員を雇用する企業について、2015年7月1日から有給病気休暇を与えることが義務化された。詳細は「Topics2014年11月9日 MA州:有給病気休暇法可決」参照。
Source : | Honeywell Fends Off EEOC Bid to Bar Wellness Penalty (Bloomberg) |
11月3日、連邦地方裁は、EEOCが行ったHoneywell社健康管理プログラムの差し止め請求を却下した(「Topics2014年11月1日 EEOC:健康管理策を訴える」参照)。これにより、同社は予定通り、健康管理プログラムを実施できることになった。
ただし、同判決では、PPACAで推奨されている健康管理プログラムが他の連邦法を犯すことになるかどうかの判断は示されなかった。Honeywell社以外にもEEOCの訴訟対象は2社あるし、今後も同様の訴訟が続く可能性がある。その度に司法の判断を仰がなければならないようでは、この健康管理プログラムの実施はなかなか普及しないだろう。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | The latest research on ACOs (The Incidental Economist) |
ACOに関する調査研究が盛んに行われているが、その評価はまだ定まらないようだ。
上記sourceで紹介されいている2つの調査研究の結果ポイントは次の通り。医療保険プランと医療提供の仕組みをまったく変えた制度だけに、その効果の有無が確認できるまでには10年程度の時間は必要だろう。
- MA州のACO
コスト抑制については顕著な成果は見られないものの、提供される医療サービスの質は明らかに向上している。
- Medicare ACO
他のMedicare加入者との間に明らかな差は見られない。
※ 参考テーマ「ACO」
Source : | Judge approves Stockton bankruptcy plan; worker pensions safe (Los Angeles Times) |
10月30日、連邦破産裁判所がStockton市の再建計画を承認した。注目されていたCalPERSへの債務(未拠出金)が削減されることはなかった(「Topics2014年10月4日 Stockton市:連邦法では職員年金削減可能」参照)。
CalPERSはほっと胸をなでおろしていることだろう。一方、かすかな期待を抱きながら固唾を呑んで見守っていたCA州自治体は、肩を落としているにちがいない。
また、最後までCalPERSの債権削減を主張した金融機関は、無担保債権の1%を確保できたに過ぎなかった(Bloomberg)。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | U.S. agency sues Honeywell over employee wellness testing (Reuters) |
やはり、EEOCは、健康管理策に反旗を翻した(「Topics2013年6月4日(1) 健康増進策の新規則」参照)。Honeywell社の健康管理プログラムの差し止めを訴えたのである。
同社の健康管理プログラムは次のようになっている。この健康管理プログラムが、障がい者差別禁止法(Americans with Disabilities Act)、遺伝子情報差別禁止法(Genetic Information Nondiscrimination Act)に違反するとして、検査の実施とペナルティを差し止める仮処分を求めているのである。
- 従業員及びその配偶者は、血圧、コレステロール値、血糖値、腹囲、ニコチン検査の検査を受けなければならない。
- 受けなかった場合には、一人$4,000のペナルティが課されるとともに、保険プランへの企業拠出が停止される。
EEOCから健康管理プログラムの差し止め請求を受けたのは、これで3件目だそうだが、Honeywell社ほどの大企業は初めてである。
健康管理プログラムの実施は、医療費抑制の観点からPPACAで勧奨されており、企業側からすると『一体どっちなんだよ』と言いたくなるような事態である。ここにもCompetency(行政能力)が問われる問題が発生している(「Topics2014年10月26日 大統領選の政策論点」参照)。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」