Source : | Obamacare’s Success Has Small Business Dropping Coverage (Bloomberg) |
10月29日にWellPoint社(保険会社)が公表したところによると、中小企業を対象とした同社の小規模グループ保険加入者は、今年に入って30万人程度減少し、160万人となっている。この傾向は2015年にも続くと見ている。
Exchangeが創設され、苦労して保険プランを提供しなくても、選択肢が豊富で補助金までついてくるかもしれないプランが提供されているのであれば、中小企業としては保険プラン提供を止める選択肢が魅力的だろう。2015年から連邦立でもSHOPが開設されれば、その傾向はますます強まるだろう(「Topics2014年10月29日 SHOP:5州で先行受付」参照)。
大企業は自前のプラン、中小企業はExchange, SHOPという色分けがだんだんはっきりとしてきたようだ。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | California pension data highlights troubling trends (Sacramento Bee) |
CA州自治体職員年金プランの財政について、監査結果が公表された。同時に、CA州政府年金に関する詳細情報が新たなwebsiteにて公表された。そのポイントは次の通り。積立不足額は、11年前の2003年には$6.33Bしかなかった。この11年間に31倍にも膨らみ、年間の拠出金の7.5倍にもなっている。これで持続可能性を確保できるていると言えるのだろうか。
- 年金基金への拠出金(2013年)
- 自治体:$17.52B
- 職 員:$ 9.07B
- 積立不足:$198.16B(2013年)
CA州自治体職員年金プランとは、ほかならぬCalPERSのことである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Obamacare’s Small Business Health Exchanges Get a Test Run (Businessweek) |
10月28日、HHSは、5州のSHOPで、正式な加入受付開始(11月15日〜)に先んじて一部手続きを始めたことを公表した。
連邦立Exchangeでは、2015年から14州がSHOPの提供を開始する予定になっている(「Topics2014年6月14日 SHOP:スタートは斑模様」参照)。その14州のうち、次の5州で、一部手続きが開始されたということである。勘定の設定、申し込み事項の記入などはできるが、プラン保険料の比較等はまだできない。
- Delaware
- Illinois
- Missouri
- New Jersey
- Ohio
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | What's a 'Living Wage' in Wisconsin? (Businessweek) |
Wisconsin州(WI)の労働者が、最低賃金の引き上げを求めて州裁判所に訴えを起こした。それはそれでいいとして、上記sourceで興味を持ったのは、WI州の最低賃金法の仕組みである。一般的に、最低賃金と"Living Wage"の概念は異なる (「Topics2002年5月22日 Living Wage Law」参照)。こんなユニークな州法は、早く修正してしまった方がよいのではないか。実際には、連邦法最低賃金の水準($7.25/h)が適用されているだけなのだから。
- 1913年州法で、最低賃金を設けることを規定するとともに、その水準は"Living Wage"でなければならないと規定している。
- 州民は、最低賃金が"Living Wage"に達していないと確信する場合は、州労働省に訴えることができる。
- 訴えを受けて、同省は、最低賃金審議会を設けて審議する。
- 同審議会が最低賃金の引き上げを引き上げる勧告を行った場合には、州議会が審議する。
※ 参考テーマ「最低賃金」
Source : | Combating a Flood of Early 401(k) Withdrawals (New York Times) |
10月23日、IRSは、2015年の401(k)プランの拠出限度額を引き上げると発表した。50歳未満:$18,000($500の引き上げ)拠出限度額の引き上げが行われてよかったね、というのが上記sourceの主旨ではなく、せっかく枠は広がっているのに中途引き出しが広まっている、というのがポイントになっている。2010年、確定拠出型プランに拠出している家計のうち、ペナルティを支払って引き出したのは9.3%に達する。その引き出し額も、拠出額が$294Bに対して$60Bにものぼる。
50歳以上:$24,000($1,000の引き上げ)
中途引き出しが広がっている理由として、上記sourceは次の3点を紹介している。上記sourceは、最後の3点目について、Wells Fargoのwebsiteで中途引き出しのデメリットを試算できるサイトがあり、これを利用することを勧めている。
- 目の前にある債務を清算することができる。例えば、キャリアの途中で大学に行って学費ローンを背負ってしまった場合、個人勘定の残高でローンを返済することができる。
- 離職した場合、前職の企業は個人勘定の残高が少額の場合、勘定の廃止を求めることができる。これが現金引き出しにつながっている側面がある。
- 拠出者自身が税制優遇措置のメリットを理解していない場合がある。
さらに、こんなに退職所得勘定から目的外引き出しが必要なのであれば、企業側は緊急支出用の特別貯蓄勘定を設けてやった方がいいのではないか、と提案している。それは余りにもパタナリスティックな手法だが、そうでもしなければ退職所得勘定はどんどん細っていくばかりで、実際、企業側でもそうしたアイディアを検討していると言う。
自主・自立の国アメリカの国民でも、だんだん他人頼みになりつつあるのかもしれない。そう言えば、オバマケアもそれに近い考え方である。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Source : | 中間選挙が示唆する米国の論点 (みずほ総合研究所) |
11月の中間選挙については、いつになくニュースが少なく、盛り上がりを欠いている。上記sourceは、『政策の論点は既に浮上しているが、中間選挙では消化されず、2016年の大統領選に向けて論戦が持ち越される』との見解を示している。
浮上している論点とは次の3点で、当websiteで取り上げた課題にも触れている。最後の3点目については、同じ著者による『格差からモビリティーへ』(金融財政ビジネス 2104年10月16日号)で詳しく解説されている。そのポイントは次の通り。
- Security(安全)⇒ 雇用面でのsecurity確保も含まれる。
- Competency(行政能力)⇒ 昨年のExchange加入手続きでシステム障害を頻発したHealthCare.govが事例として紹介されている。
- Mobility(所得階層の上方移動)⇒ 大量の長期失業者、労働市場からの退出者増加、労働市場のダイナミズムの低下(「Topics2014年8月3日(2) 労働市場のダイナミズム低下」参照)などが関連してくる。
アメリカ社会の政策課題に関する論議は長期戦になりそうだ。
- アメリカの世論は、「結果の平等」を目指す格差の是正よりも、「機会の平等」を目指して成長力を高めつつモビリティーを確保することを好む。
- 民主党、共和党の有力者達が、党派を超えた共通政策課題としてモビリティーの確保を認識し始めている。
- 具体的な政策は、養育する子供を対象とした扶養税額控除、低所得勤労者を対象とした給付付き税額控除(EITC)の拡大などが検討されている。
※ 参考テーマ「中間選挙(2014年)」、「大統領選(2016年)」