11月10日 Obamaのプラグマティズム 
Source :Obama Seeks Revision of Health Plan Abortion Limits (New York Times)
以前、『同じリベラル派でも、Pelosi下院議長は理想に走りやすく、Obama大統領は現実的な選択を志向する』という論調を紹介したことがある(「Topics2009年3月26日 Obama vs Pelosi」参照)。

ところが、下院法案では、Pelosi議長は可決するために現実路線を取り、中絶に公費が使われることを厳しく制限する修正案を認めた。これに対し、Obama大統領は不快感を示しているという。週を跨いだ途端に出てきたこのメッセージは、下院民主党にはどのように受け止められているのだろうか。

また、上記sourceによれば、上院と下院の間の意見の相異は、主に次の5点に集約されているという。
  1. 公的プランの設計
  2. 企業の医療保険プラン提供義務
  3. 高額所得者または高額保険プランへの課税
  4. 中絶への公費投入制限
  5. 不法移民の"exchange"利用
さらに、民主党内では、下院法案は医療費抑制の仕掛けが不足しているのではないか、との懸念が広がっているという(New York Times)。その要因として、次の3点が挙げられている。
  1. 医師会の支持を得るために、「包括払い」の導入を限定し、「出来高制」をなるべく残そうとしている。

  2. 高額保険プランへの課税が含まれていない。

  3. Medicare診療報酬を提言する独立委員会の設置が含まれていない。
ちなみに、2.と3.は、上院財政委員会案には盛り込まれている。

こうした懸念に対し、実はWhite Houseのスタッフの間でも、対応が分かれているらしい。懸念に同調する「理念派」と、そうはいっても法案を通さなければならないという「現実派」である。

さて、White Houseの「現実派」スタッフは、Obama大統領の"プラグマティズム"をどうこなしていくのだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「政治/外交

11月9日 Pelosiのプラグマティズム 
Source :For healthcare bill, Pelosi had to leave Left Coast behind (Los Angeles Times)
下院の医療改革法案可決の立役者は、何といってもPelosi下院議長である。その正確な票読みと、採決寸前の現実的な政治決断が、可決の原動力となった。その政治決断とは、「公費を妊娠中絶に使える範囲を厳しく限定した」("Stupak修正条項")というものである。これにより、保守寄りの民主党議員が法案賛成に回り、ぎりぎりの可決を見たのである。つまり、Pelosi議長は、「中絶の権利」を諦めて「公的プラン」の導入を取ったのである。どちらもリベラル派にとっては重要な課題であるにもかかわらず、である。

確かに、この選択により、彼女は"歴史的な投票"の名誉を手に入れた。しかし、同時に大きな課題も抱え込んでしまった。

一つは、「中絶の権利」の扱いである。下院民主党の"pro-choice"のメンバーは、『今回の投票は、医療改革法案そのものの存続がかかっていたから賛成に回っただけであり、上院案との調整や最終法案で同様の条項が残っていれば、反対に回る』と公言している(Washington Post)。実際、"pro-choice"のリーダーであるDiana Louise DeGette下院議員は、40人以上の民主党議員の誓約書を集めているという。下院で否決を行うのに充分な数に達している。

もう一つは、「公的プラン」の創設が、いよいよ上院との調整課題として明確になってきたことである。上院では、Reid上院院内総務が何とか公的プランを盛り込もうと努力しているが、難航している模様だ。なかなか法案が公表されない一方で、民主党と行動を共にしてきた独立派議員、Joseph Lieberman上院議員は、何とあの"Fox News Sunday"で、『どのような形であれ、公的プランを盛り込んだ法案に対して断固反対する』と宣言してしまったのである(New York Times)。民主党は身内だけで60票を確保できないことになる。そして頼りにしていたSnowe上院議員は、公的プランに反対の意思表明をしている。これでは60票の目途が立たないのである。

こうした状況を背景に、Reid院内総務は、「いかなる期限にも縛られない」と早くも逃げを打っている。しかし、Obama大統領と多くの民主党議員は、年内決着を絶対条件と考えている。それは、
  1. 年を越えると下院選挙運動が本格化することに加え、
  2. 今年の夏休みの騒動(「Topics2009年8月13日(1) 国民との対話は失敗か」参照)を二度と繰り返したくない、という思いがある
からだ。

医療改革法案のハードルはまだまだ続くのである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月8日(1) CalPERSのガバナンス 
Source :He earned $53 million opening doors to CalPERS money (Los Angeles Times)
CalPERS discloses more fees paid to Alfred Villalobos (Los Angeles Times)
CalPERSを巡る資金の流れが注目されている。

CalPERSの投資先は、多様な形となっている。その投資先をCalPERSに紹介することで、投資先から多額の報酬(総額$53M以上)を受け取っていたのが、Villalobos氏である。

Villalobos氏は、元CalPERSの理事を務めたうえに、氏が経営する企業に元理事達を招聘し、CalPERSへの紹介ビジネスを活発に行っていた。問題は、こうした紹介ビジネスにより、
@CalPERSの投資先が左右されていたこと、さらに
A投資先から紹介ビジネスに多額の報酬が支払われていたこと
である。

つまり、実質上、投資先を迂回して、CalPERSから紹介ビジネスに資金が流れたいたことになる。CalPERSはそれだけ余計なコストを負った訳である。

CalPERSだけでなく、地方政府の年金基金は、相当根深い問題を抱えているようである。

※ 参考テーマ「地方政府年金

11月8日(2) DB積立猶予策 
Source :DB funding relief bill introduced (JP Morgan Compensation and Benefit Strategies)
DBに積立不足が発生した場合、PPAでは、不足を解消するための積立を厳しく求めている(「Topics2006年8月9日 Pension Protection Act of 2006 概要」参照)。さすがに昨年の金融危機で、緩和策が講じられたが、時限措置となっている(「Topics2008年12月25日 PPA修正法案成立」参照)。

これを延長する措置を盛り込んだ法案が下院に提出された。"Preserve Benefit and Jobs Act of 2009 (HR 3936)"である。

主な措置は、積立不足については、
  1. 2年間認識せず、その利子のみ支払い、その後7年間で償却する("2+7")
  2. 15年間で償却する
のいずれかを選択できるようにする、というものである。

当面の救済措置としては必要だが、その後の償却負担は重くなることも事実である。DBを取り巻く環境はますます厳しくなっていく。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制

11月8日(3) 下院法案可決 
Source :
7日夜、下院法案が可決された。民主党から反対票が39票入り、220 vs 215という、きわどい結果であった。Obama大統領、Pelosi下院議長にとっては薄氷を踏む思いであっただろう。
賛 成反 対
民主党21939
共和党1176
合 計220215
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月7日 下院採決は遅れる模様 
Source :Schedule for Health Vote in House May Slip (New York Times)
昨日、下院で医療改革法案(HR 3962)を土曜日に採決すれば、40年ぶりの出来事、と紹介した(「Topics2009年11月6日(2) 下院法案審議を急ぐ」参照)が、どうも採決は遅れるようだ。日曜日、あるいは翌週初めに先送りされそう、とのことである。

最大の要因は、もちろん、賛成票の読みがまだできていない、ということに尽きる。現在、下院435議席中、民主党258議席、共和党177議席となっている。下院医療改革法案について、共和党は一糸乱れず反対、となっているため、民主党からの反対票を40議席までに抑えなければいけない。その票読みができていないのである。

また、民主党下院議員の中で、懸念材料となっているのは、 といったところが主のようである(New York Times)。

ここで下院を通すことができなければ、完全にモメンタムを失うことになる。Obama大統領にとっては正念場となりそうである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月6日(1) 同性婚論議2敗 
Source :A Setback in Maine for Gay Marriage, but Medical Marijuana Law Expands (New York Times)
5日、Maine州の州民投票の結果が判明した(「Topics2009年10月29日(2) Maine州民選挙」参照)。同性婚を認可するとの同州法の廃止が確定した。接戦との予想よりは大差がついたという印象である。

この結果、体勢表は次のように修正される。
同性婚の法的ステータス
州法州最高裁判決他州認可同性婚承認認可法案審議中異性婚同等権利賦与
MassachusettsA@
Vermont
ConnecticutA@
Iowa
New Hampshire
Maine○→×
Rhode Island
New York
Washington, D.C.
California○→×
New Jersey
Oregon
Wasington
Nevada
Hawaii
Wisconsin
この結果は、同性婚推進派にとっては、@New Englandの住民投票で認められなかった、ACA州に次ぎ住民投票で敗れた、という二つの意味で重い。

そして、もう一つは、New Jersey州知事選挙の結果である。現職のCorzine知事(D)は同性婚を支持しており、州議会で議論中であった同性婚認可法案は、可決、署名により成立する可能性が高かった。それが、共和党の新人候補Christie氏(47歳)に敗れたのである。ほぼ手中にしていた同性婚認可法を逃してしまった可能性が高いのである。

少し話題はそれるが、3日に行われたVA州とNJ州の知事選では、どちらも共和党候補が勝利した(New York Times)。この結果は、州知事選とはいえ、Obama政権にとってはかなりの痛手となりそうである。
  1. いずれの州も、昨年の大統領選ではObama大統領が制した州である。
  2. NJ州は、"Deep-Blue State"と呼ばれており、民主党は強固な地盤を誇ってきたところである。
  3. White Houseは、州知事選に深く関与してきた。
この結果は、連邦議会における医療保険改革論議にも影響を及ぼすかもしれない。

※ 参考テーマ「同性カップル」、「政治/外交」、「無保険者対策/連邦レベル

11月6日(2) 下院法案審議を急ぐ 
Source :House leaders prepare for rare Saturday vote on health-care bill (Washington Post)
下院での医療改革法案(「Topics2009年11月1日 下院案公表」参照)審議を巡る動きが慌ただしくなってきた。上記sourceによれば、下院民主党は、土曜日に医療保険改革法案について採決しようとしている。土曜日に採決することは異例であり、もしそうなれば40年ぶりの出来事になるそうだ。

また、5日の大統領府プレス・ブリーフィングの会見場にObama大統領が登場し、下院の医療保険改革法案について、AARPAMAから支持を得ている、と訴えた(New York Times)。要するに、両団体から支持を得ているのだから、「Medicareは心配ないですよ」とのメッセージを発したいのである(「Topics2009年10月22日 Medicare償還額削減の見直し」参照)。大統領がブリーフィング会場に現れるのもまた異例の出来事という。

これは、明らかに州知事選で二連敗したことによる動揺を最小限に抑え、下院での法案審議をできる限り早く済ましてしまおう、という戦略である(「Topics11月6日(1) 同性婚論議2敗」参照)。

これに対し、共和党は一致団結して反対で臨む模様だし、DCでは、保守派の反対アピールが議会外で行われている(New York Times)。

Obama大統領の理念であった「超党派での合意」はどこに行ってしまったのだろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

11月5日(1) 失業給付延長法案可決 
Source :Senate throws a lifeline to the jobless (CNN)
4日、上院で、失業給付延長法案(H.R. 3548)が可決された(「Topics2009年10月28日(1) 失業給付の延長を議論」参照)。98 vs 0と全会一致である。すぐさま下院に送付されたが、下院のHoyer院内総務は、上院案をそのまま採決する意向のようで、早ければ5日にも可決し、White Houseに送付することになる。大統領府は既に法案を支持しており、即決で署名に至るものと思われる。

また、同法案では、新規住宅取得者に対する$8,000の税額控除適用についても、来年4月30日まで延長(一部拡充)された。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

11月5日(2) COBRA延長法案 
Source :COBRA Expansion Bills Introduced (Infinisource)
失業率のさらなる上昇、または高止まりへの懸念から、連邦議会は失業対策を急いでいる。上記の失業給付延長に続いて、COBRAについても拡充する議論が進んでおり(「Topics2009年10月10日 失業対策」参照)、上記sourceによれば、下院で2本の法案が提出された。

一つは、"Extended COBRA Continuation Protection Act of 2009"(HR 3930) で、
  1. 解雇された場合には通常の加入期間18ヵ月を、6ヵ月伸ばして24ヵ月とする
  2. COBRA保険料への補助を2010年末まで延長する
といった内容となっている。

もう一つは、HR 3966で、こちらは、単純に、COBRA保険料への補助を2010年6月30日まで延長する、との内容になっている。

上記sourceでは、今後3ヵ月以内に法案は両院で可決されるものと見通している。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策」、「無保険者対策/連邦レベル

11月1日 下院案公表 
Source :Affordable Health Care for America Act(H.R. 3962) (The House of Representatives)
29日、下院案が公表された。以下、夏前の法案(H.R. 3200)との違いを踏まえつつ、概要をまとめる(「Topics2009年7月15日 下院3委員会案」参照)。
  1. Insurance Reforms

    1. 保険プラン規制
      1. 健康状態、病歴等で保険料を高く設定することは認めない。
      2. 年齢による保険料格差は2倍までとする。
      3. 年間または生涯保険給付(新規)に上限を設けることは認めない。
      4. 保険プラン規制は、すべての保険プランに適用する。
      5. ただし、現存プランについては、その内容の継続を認める。また、企業が提供する保険プランについては、5年間の適用猶予を認める。
      6. 加入者保護を目的とした諸規制を導入する。

    2. "Health Insurance Exchange"の創設
      1. 保険プランを購入するための新たな全国市場"Health Insurance Exchange"を設ける。
      2. 連邦政府が設ける基準を満たせば、州独自の"Exchange"の開設も認める。

    3. "Exchange"への参加資格
      1. 企業提供プラン、Medicare、Medicaidに加入していなければ、"Exchange"への参加資格を有する。
      2. 2013年より、従業員25人以下の企業の参加を認める。
      3. 2014年より、従業員50人以下の企業の参加を認める。
      4. 2015年より、従業員100人以下の企業の参加を認める。
      5. 2015年以降、さらに従業員規模の大きい企業の参加を認めるかどうかは、"Commissioner"が判断する。

    4. 保険プランの標準メニュー
      1. 医師その他の専門家で構成する"Health Benefits Advisory Commission"を設置し、保険プランのメニューについて、HHS長官を補佐する。
      2. 保険給付割合70〜95%の4段階のメニュー(Basic, Enhanced, Premium, Premium Plus)を用意する。
      3. 低中所得者層の窓口負担分の年間総額を、個人$5,000、家族$10,000以下とする。

    5. 公的保険プランの選択
      1. 公的プランを創設し、"Exchange"に載せられる選択肢の一つとする。
      2. 財源は保険料のみとする。
      3. HHSが公的プランを運営し、公的プランに参加する医療機関との間で償還スケジュールを交渉する。
        ⇔(夏前の法案)一律Medicareの償還スケジュールに従う。
      4. 設立当初に必要な資金を提供されるが、将来の保険料収入で償還する。これにより、民間保険会社とのイコール・フッティングを確保する。

    6. 新たな医療保険プランの選択肢
      1. 州政府が追加の選択肢として、「共済プラン」を設立する場合、設立当初に必要な資金の援助を受けることができる。⇔新規
      2. 州政府同士が相互承認した場合、州境を越えての保険プラン購入を認める。連邦政府からの補助も設ける。⇔新規

    7. 保険会社の独禁法適用除外規定
      • 保険プラン、医療過誤保険プランの競争を促進するため、これまで認めてきた保険会社の独禁法適用除外規定をはずす。

    8. 早期退職者への支援
      • $10Bの基金を創設し、55〜64歳の退職者に医療保険プランを提供する場合、再保険を用意する。

    9. 退職者医療保険プランの縮減の制限(新規)
      • 現役の医療保険プランを縮減する場合でない限り、既に退職している退職者が受給している退職者医療保険プランの縮減を禁止する。

  2. Shared Responsibility

    1. 企業の責務
      1. 自ら医療保険プランを提供するか、拠出金を負担するかの選択義務を負う("Pay-or-Play")。
      2. 医療保険プランを提供していると認定されるためには、フルタイム従業員に関わる保険料のうち、個人の場合は72.5%、家族の場合は65%を企業が負担していなければならない。
      3. 低賃金従業員に購入可能な保険プランがない場合、"Exchange"で補助を受けて保険プランに加入し、企業が拠出金を負担することも認める。
      4. 医療保険プランを提供しない場合の拠出金は、給与の8%とする。

    2. 小規模企業への支援
      1. 年間給与総額$500,000未満の小規模企業については、企業の責務を免除する。
        ⇔(夏前法案)$250,000未満
      2. これにより、86%の企業が免責となる。
      3. 年間給与総額$500,000以上、$750,000以下の企業については、責務を徐々に高めていく。
        ⇔(夏前法案)$400,000以下
      4. 小規模企業が従業員に対して医療保険プランを提供しようとする場合には、支援するための税額控除制度を適用する。

    3. 小規模企業の税額控除
      1. 従業員10人以下で、平均給与が$20,000以下の場合、税額控除を利用できる。
      2. 従業員規模が25人以上になるまで、または平均給与が$40,000になるまで、控除規模を徐々に縮小する。

    4. 個人の責務
      1. 保険加入する義務を負う。加入しない場合には、ペナルティを支払わなければならない。
      2. ペナルティは、@調整所得の2.5%、A"Exchange"の平均保険料の、いずれか低い方の額。
      3. 所得申告免除の個人、家庭(2009年で、65歳未満の場合、個人$9,350、家族$18,700)は免責。

    5. (連邦)政府の責務
      • すべてのアメリカ国民が適正な医療保険プランに加入できるようにする責務を負う。

  3. Making Coverage More Afordable

    1. 中低所得者層への医療保険費用補助
      • 所得に応じて、保険料負担の上限、医療費負担上限、窓口負担上限を設ける。⇔(夏前の法案から規模縮小) FIG1
    2. 補助金の受給資格
      1. これらの補助金は、アメリカ国民と合法的に居住している者で、@企業が医療保険を提供していない、またはA個人の医療保険負担額が家族所得の12%を超えている場合に、受給できる。
      2. 公的医療保証プログラム(Medicare、Medicaid)の加入者には受給資格が無い。

    3. 窓口負担の上限
      • 医療破産を防ぐため、窓口負担の上限を、個人$5,000、家族$10,000とする。

    4. Medicaid、CHIP
      1. Medicaidの加入資格者を、FPL150%以下でMedicare未加入者に拡張する。(新規)
      2. 介護サービス以外は、資産テストを廃止する。
      3. 州政府がFPL150%以上に医療プランを提供している場合には、その継続を要請する。
      4. 2013年、2914年については、受給者増大にかかる費用増分は連邦政府が全額負担する。その後の分は、州政府が9%、連邦政府が91%を分担する。
      5. CHIP加入資格を持つ子供は、2014年に、"Exchange"またはMedicaidに移管する。

  4. Financing

    1. 調整総所得$1M(夫婦合算申告)、$500,000(個人申告)超の部分に5.4%の超過課税を行う。
      ⇔(夏前の法案)調整総所得$350,000M(夫婦合算申告)、$280,000(個人申告)超の部分に1〜5.4%の超過課税

    2. HSA、HRA、FSAの適正支出からOTC薬品への支出をはずす。(新規)

    3. FSAへの拠出額に$2,500の上限を設ける。(新規)

    4. HSAからの非医療支出に対するペナルティを引き上げる(10%→20%)。(新規)

    5. 退職者に処方薬給付を行い、政府の補助金を受け取っていた企業について、処方薬給付の所得控除を否認する。(新規)

    6. アメリカ国内で利用されている医療器具に2.5%のexcise taxを課税する。(新規)

    7. カフェテリアプランを通じて"Exchange"で企業が保険プランを提供する場合、企業の保険料負担分は非課税とする。

  5. Medicare

    1. MwsPAC等の助言をもとに、医療サービスの提供、支払いシステムを改善する。

    2. 再入院を抑制するよう、償還額を見直す。

    3. Part Dのdonut holeをなくす。そのために、donut holeに入った場合に処方薬の50%の割引を行う。
      ⇔(夏前法案よりも早期化)

    4. ジェネリックの利用促進

  6. Medicaid

    1. 失業率の高い州に対する連邦政府補助金を増額する。(新規)

    2. 処方薬のうちブランド品に関する購入割引率を引き上げる。

    3. 非合法居住者に対するMedicaid、CHIPの給付の禁止

  7. その他

    1. 医療過誤訴訟について、新たなシステムを試みようとする州政府に対して支援する。(新規)

    2. "Exchange"が設立されるまで、COBRAの加入を継続可能とする。(新規)

  8. 政策効果等CBO推計

    1. 歳出規模:$894B/10Y ⇔(夏前法案)$1T/10Y

    2. 財政赤字拡大幅:-$104B/10Y ⇔(夏前法案)$239B/10Y

    3. 無保険者割合:17%(2010年)→4%(2019年) ⇔(夏前法案)17%(2010年)→3%(2019年)
やはり、相当に上院財政委員会案を意識した内容となっている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル