12月31日 MA州ペナルティ引き上げを提案 
Source :Mass. ups penalties for lack of health cover (Business Insurance)
二日連続のMA州ネタである。MA州政府が、2009年の無保険者へのペナルティを引き上げる提案を行った。主なポイントは次の通り。
  1. FPL300%超の場合には、月額$89、年間$1,068となる。2008年については、年間$912であったことから、約17%のアップとなる(「Topics2008年4月18日 MA州皆保険のペナルティ」参照)。

  2. 一方、FPL300%以下のペナルティは据え置く。

  3. FPL150%未満でペナルティの対象とならない層は、1.9%と見込まれている。
昨日紹介したように、無保険者が2.6%しかないことを合わせると、実際にペナルティが課される州民は、わずか0.7%しかないことになる(「Topics2008年12月30日 MA州無保険者激減」参照)。やはり、皆保険法の主旨が徹底している様がわかる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

12月30日 MA州無保険者激減 
Source :Health Insurance Coverage in Massachusetts (Division of Health Care Finance and Policy, MA)
上記sourceによれば、MA州の無保険者は、2008年6月調査時点で、わずか2.6%に激減したという。以下、気付きの点をいくつか。
  1. 2008年の無保険者割合は、わずか2.6%。同調査の2007年は、5%ちょっと。この1年間でほぼ半減したことになる。当websiteで推計した際には、4%台と見ていたので、大幅に改善していたことになる(「Topics2008年6月5日 MA州無保険者半減」参照)。

  2. 無保険者のプロファイルを見ると、おおまかにいって、
    1. 現役世代
    2. 低所得者
    3. ヒスパニック
    といったところが目立つ。

  3. 保険加入者の中で、企業が提供する保険プランに加入している割合が68%に達している。やはり、無保険者対策では企業提供プランが重要となる。また、皆保険法に対する企業の理解が広まっていることも支えとなっているに違いない(「Topics2008年11月9日 MA州皆保険法 企業は評価」参照)。

  4. 皆保険法を支持するとの割合が75%に達しており、その高さに驚く。また、保険加入義務があることを認識している層が83%もあることを考え合わせると、加入義務を支持している層が相当多数を占めているものと思われる。
こうやってみてくると、Obama新大統領のアプローチは、現実的との評価を得られるかもしれない(「Topics2007年5月30日(1) Obama上院議員の皆保険提案」参照)。

12月27日 レイオフ回避策
Source :More Companies Are Cutting Labor Costs Without Layoffs (New York Times)
アメリカは失業の大波に飲み込まれているが、それでもレイオフをせずに労働コストを抑制し、雇用を維持しようという経営努力を続けている企業もあるようだ。
週4日勤務Nevada casinos
無給長期休暇Dell, Honda
一時休暇Seattle Times
年末休業Cisco
賃金引下げMotorola
年金拠出削減-
短時間勤務-
ここで注意したいのは、企業側、経営者側が「競争力の維持」、「人材流出の回避」という、極めて経営的な判断から、こうした施策を講じている、という点である。前回の不況期であるITバブル崩壊時には、すぱすぱレイオフをやって、景気好転後に人材を確保できなくなったという苦い経験が生きているようだ。

こうした経営上の判断から経営者側から提案し、従業員も協力するという形が取れれば、企業の競争力、従業員の忠誠心は景気循環を超えて高まっていくことだろう。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

12月26日(1) 離職後のお世話
Source :Severance Includes Outplacement, Financial Planning (PLANSPONSOR)
上記sourceでは、離職した従業員に対して、どのようなサービスを提供しているかをアンケート調査で調べた結果である。

その中でアメリカ企業の特徴としては、転職支援と医療ベネフィットを提供している企業の割合が高いことである。どちらも80%台に達しており、離職した従業員が最も必要とするサービスを提供している姿が浮かび上がってくる。

もちろん、レイオフなどされない方がいいに決まっているが、レイオフされた後にもこうしたサービスが提供されれば、傷も浅くなることだろう。

※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策

12月26日(2) ERISA後の法制
Source :Chronological Summary of Major Post-ERISA Benefit Legislation (Hewitt)
上記sourceは、1974年にERISAが制定されてから後に定められた、ベネフィット関係の法律の一覧と概要である。ご参考まで。

※ 参考テーマ「社会保障全般

12月25日 PPA修正法案成立
Source :President Bush Signs Pension Relief Bill (US News & World Report)
23日、PPA修正法案(HR 7327)に、Bush大統領が署名した(「Topics2008年12月17日(2) PPA修正法案可決」参照)。それもひっそりと。

さすがにこの経済情勢では、政府も黙認せざるを得なくなったということだろう(「Topics2008年12月9日(2) PPA改正に冷淡」参照)。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制

12月22日 追い込まれたUAW
Source :UAW's Sacrifices Look to Some Like Surrender (Washington Post)
Big 3 に対する緊急融資に関連して、上記sourceは、次の2点でUAWの窮状を伝えている。
  1. 報酬水準を海外メーカー並みに引き下げる

    ⇒海外メーカーの工場は労働組合が組織されておらず、その水準まで報酬を下げることになれば、UAWの存在意義はなくなる。

  2. VEBAへの拠出の半分以上を株式で拠出する

    ⇒VEBAの存続に関するリスクを高める。
いずれも、当websiteのコメントに相通じる(「Topics2008年12月20日 Big 3 への緊急融資」参照)。

こうした厳しい状況に追い込まれたUAWは、融資条件がunfairだと反発している。また、下院民主党でも反発が高まっており、Obama新大統領は、これらの厳しい条件を取り除くべき、との論調が高まっているそうだ。

しかし、一方の上院では、民主党の重鎮が救済法案に冷淡であったことを考えると、Obama新大統領が条件を変更するのはかなり難しいのではないかとの感想を持つ(「Topics2008年12月15日 Big 3 救済法案不成立」参照)。

Obama新大統領は、就任当初から、厳しい判断を迫られることになりそうだ。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」、「VEBA/Legacy Cost