4月20日 備えができていない Source : U.S. Health Care System Unprepared for Millions of Baby Boomers Who Are About To Become Eligible for Medicare (Kaisernetwork)

Institute of Medicineが、"Retooling for an Aging America: Building the Health Care Workforce"というレポートを公表した。これからBaby Boomersが高齢者の仲間入りをしていく中で、高齢者医療の専門医が不足する、との警告を発している。ポイントは次の通り。
  1. 現 状
    1. Baby Boomers(1946〜1964年生まれ)は7800万人いる。最初の世代が3年後(2011年)に65歳に到達し、2030年にはすべてのBaby Boomersが65歳となる。これは、2005年の65歳以上人口の倍近くとなる。

    2. 現在、高齢者医療の専門医は7,128人いるが、これは高齢者2,500人に1人の割合となる。

    3. ところが、2030年までには約36,000人の高齢者医療専門医が必要となる。

  2. 問題点
    1. 収入格差がある。一般の内科医の平均年収が$175,000なのに対して、高齢者医療専門医は$163,000しかない(2005年)。他の分野の医者であればもっと高額の報酬を得ている。

    2. 診療報酬が低い。

    3. 慢性疾患の管理よりも、短期の対処療法に焦点があたりがち。

    4. 予防診療が(Medicareの)対象になっていない。

    5. 直接ケアをする補助要員の転職率が高い。

    6. 家族の知識が不足している。

  3. 政策提言
    1. 高齢者医療専門医を増やす。

    2. 一般の医師、看護士にも高齢者医療の訓練を行う。

    3. 高齢者医療の診療報酬を高める。

    4. 直接ケアをする補助要員への支援策を検討する。

    5. 高齢者ケアを行う学生への優遇ローンを提供する。

こうした動きを受けて、政治の方でも動きがあるようだ。Baucus上院議員が、「高齢者医療専門医を増やしたい」と運動しているほか、AARPが、Boxer上院議員Collins上院議員が提出している法案(S 2708)の成立を支援している。

4月18日 MA州皆保険のペナルティ Source : Individual Mandate Penalties for Tax Year 2008 (Department of Revenue)

MA州の皆保険法が、いよいよ本格的な施行となる。2008年から、保険加入していない場合のペナルティが大幅に引き上げられるためである(「Topics2006年4月10日 Massachusetts州の皆保険法案」参照)。

上記sourceによれば、保険非加入に対するペナルティの基本的な考え方は次の通りである。
  1. 18歳以上の成人が購入可能な保険に加入していない場合、ペナルティの対象となる。

  2. 月ベースで加入/非加入を判断し、ペナルティを課す。

  3. ペナルティの水準は、年収に応じて、Connectorで定めた保険料の50%を超えないこととする。

  4. 子供の有無に拘らず、夫婦の場合には、「個人のペナルティ」×「夫婦の非加入者の数」とする(つまり、子供はカウントしない)。
具体的な数値は、上記sourceを参照いただきたい。

これまでもMA皆保険法の無保険者対策効果について疑問があるとの意見が出ている。しかし、当websiteでは、このペナルティが充分州民に認識される2009年からの動向で有効性を判断すべき、との立場を取っている(「Topics2007年11月27日 MAが試金石?」参照)。これから1年間の州民の動向が注目されるところである。

4月16日 CalPERSの開放 Source : Governor: Open CalPERS doors (sacbee)

久々にシュワ知事が動き出した。CA州議会下院で、CalPERSを通じて州民にIRA設定を認めようとの法案(AB 2940)が審議されている。

ポイントは次の通り。
  1. 退職プランを持っていない企業とその従業員について、CalPERSに個人勘定(IRAs)を設定することを認める。

  2. ポータビリティを確保する。

  3. IRSから認可が下りれば、運営コストは勘定の所有者により負担されることとなり、州税は使われない。

  4. 給与からの天引きを認める。
退職プランを持っていない企業にCalPERSの「ひさし」を貸そう、という訳である。

シュワ知事は、この法案をサポートするとの表明を行っている。医療保険改革で挫折した同知事にとって、失地挽回のチャンスである(「Topics2008年1月29日 加州皆保険法案否決」参照)。

このような動きに対して、当のCalPERSは、様子見の態勢である。過去、シュワ知事との確執(「Topics2005年4月12日 加州知事の挫折」参照)があっただけに、警戒感を持っているようだ。

一方、労働組合のSEIUは、この制度がCalPERSの体力を削ぐことがないことを前提に、賛成の立場を表明している。

州政府職員の年金基金が「ひさし」を貸すという試みは、いくつかの州で検討されているらしいが、CA州が先頭を切って具体化の議論を開始したようだ。また、しばらくはシュワ知事の登場回数が増えそうだ。