6月29日 皆保険前夜のMA州 Source : In Massachusetts, test for a pioneering health plan (The Christian Science Monitor)

いよいよ、MA皆保険制度が本格的に始動する。7月1日時点で、MA州民は、一定の基準を満たした医療保険プランに加入していることを義務付けられる(「Topics2006年4月10日 Massachusetts州の皆保険法案」参照)。

上記sourceでは、MA皆保険制度の意味するところを分析している。そのポイントは次の通り。
  1. MA皆保険制度は、2つの教訓を与えてくれた。
    1. 本格的な医療保険制度改革は、実現可能である。
    2. 大変革は必ずしもすぐに成果を得られる訳ではない。実際、真の意味での皆保険は後退した(「Topics2007年4月17日 MA皆保険法のウェイバー」参照)。

  2. 医療保険改革の課題は、皆保険とコスト抑制のバランスである。MAの場合、給付内容の基準を定めると同時に、保険会社間の競争も重視している。3段階の給付内容を定めているのも、無保険者の加入を促すものである(「Topics2007年3月6日 MA州Connector保険料固まる」参照)。

  3. 個人の保険加入義務は、全米初の試みとなるが、他州の関心は高まっている。

  4. 大統領選候補者達の提案に対する判断基準を提供した。Obama上院議員の皆保険提案(「Topics2007年5月30日(1) Obama上院議員の皆保険提案」参照)に、皆保険に必要な加入義務が含まれていないことが批判の対象となっている。一年前なら、そうした批判はなかったとみられている。

一方、MA州民は、どのように受け止めているのだろうか。タイミングよく、州民を対象とした意識調査の結果が公表されている。
  1. 皆保険制度の導入に賛成 ⇒ 67%(昨年9月は61%)
  2. 保険プランへの加入義務に賛成 ⇒ 57%(昨年9月は52%)
この結果を見る限り、皆保険制度への認知度、支持度は高まってきており、義務化への理解も進んでいるようだ。

州民による本当の評価は、来年春の納税申告時期に明らかになるだろう。

6月28日 純正IFRSの意味

SECは、外国企業がアメリカ国内で上場する場合の条件として、純正IFRS(しかも英語版)の使用を条件とする提案を行った(「Topics2007年6月24日 外国企業のIFRS」参照)。

実は、純正IFRSの適用を求めている国は、おそらくない。そうした状況で、純正IFRSによる財務報告をアメリカ市場で認めるといっても、各国版IFRSから純正IFRSへの修正が必要となる。

では、どうしてSECは純正IFRSを求めたのだろうか。次の3点くらいが理由として思いつく。
  1. Herz FASB議長Tweedie IASB議長の厚い友情説

    Herz議長は、かつてIASBのボードメンバーであり、二人は、苦労の多かったIFRS創成期のいわば戦友同士である。折角IASBが苦労して会計基準を整備していっても、特にEU諸国が政治プロセスで修正を入れてしまうケースがある。ここは、Tweedie議長の後押しをするためにも、アメリカは純正IFRSを支持しますよ、という応援メッセージを送りたい、というもの。
    ただし、この説の弱いところは、Cox SEC委員長が二人の厚い友情に感動しなければ成立しないことである。

  2. 発展途上国排除説

    仮にいろいろな条件をつけて、EU版IFRSを認めたとしよう。そうすると、ロシア版だって、中国版だって、ブラジル版だって、いいじゃないかと、各国が言ってくるに違いない。世界では、自称他称100ヵ国以上が、IFRS採用国だと主張しているのである。そんなところまでいちいち確認を取っていくなど、気の遠くなる作業である。従って、有無を言わせぬよう、純正IFRSだけを認めるというもの。

  3. 世界制覇説

    FASBとIASBは、コンバージェンスを巡り、共同作業を進めている。今回、外国企業のIFRSを認めようというのは、このコンバージェンスが相当程度進むことを前提にしている。今後、年金会計を含め、様々なIFRS改正作業が待ち受けているわけだが、ここでSECが純正IFRSのみを認めると宣言することにより、SECは、FASBの改正方向のみならず、FASBとの共同作業を通じて、IASBにも影響力を行使できるようになる。すなわち、世界の会計基準になろうとしているIFRSを、FASB-IASBを通じて掌握しようとしているのではないだろうか。もしかしたら、この一手で、オセロの盤面がすべて星条旗に塗り代わるかもしれないのである。
一応、管理人としての妄想を披露してみたわけだが、現実的な対応として、『2. 発展途上国排除説』は有力だと思う。そして、アメリカのようなヘゲモニー大好き国としては、『3. 世界制覇説』もしっかり見据えているのではないだろうか。

6月27日(1) 州レベルの医療保険改革提案 
Source : State-Based Health Reform : A Comparison of Health Insurance Exchange and the Federal Employees Health Benefits Program (Heritage Foundation)

Heritage Foundationといえば、CATOと並ぶ共和党寄りのシンクタンクである。そして、MA皆保険法の原案作成者の一人も、Heritage財団研究者であった(「Topics2006年5月4日 MA皆保険法の提案者」参照)。そうした意味で、同財団の医療関係の意見発信は注目される。

上記sourceは、Heritage財団が提案する州レベルでの医療保険改革提案(Health Insurance Exchange "HIE"の創設)を、連邦政府職員を対象としたFederal Employees Health Benefits Program (FEHBP)やMA皆保険法(「Topics2006年4月10日 Massachusetts州の皆保険法案」参照)と比較しながら説明している。

ポイントを整理すると、次のようになる。

項 目FEHBPHIEMA "Connector"
基本的性格連邦政府職員・退職者およびその家族を対象とした医療保険プランを提供州レベルで個人・家族に医療保険プランを提供個人、小規模企業従業員への医療保険プランを提供
FEHBPとHIEの共通点 
多様な選択肢多様な選択肢が用意されている。最低給付水準の設定はない。全体のプラン数でいえば、fee-for-service 14, HMO 209, CD 61。ただし、居住地域により、その選択肢は限定される。例えば、MD州のかつての私の住所であれば、選択肢として29プランが用意されている。様々な運営主体が提供する保険プランを選択肢として用意する。最低給付水準は設定されている。保険会社6社が42のプランを用意している(「Topics2007年3月6日 MA州Connector保険料固まる」参照)。
雇用主の確定拠出"Fair Share" formula
@プラン全体の加重平均保険料の72%、A加入者が選択したプランの保険料の75%、の小さい方が上限。通常はAが適用される。
定額の拠出またはカフェテリア・プランの設定。州内ではポータブル。Fair Share Contribution。従業員一人当たり$295程度。州内ではポータブル。
プラン管理OPMが、加入手続き、保険料徴収事務を執行する。OPMと同様。-
コスト抑制コスト抑制に成功している。2007年の保険料上昇率は、実に1.8%でしかない。同様の抑制効果を持つ。平均的な無保険者が、$175/Mでプランを購入できる。
FEHBPとHIEの相違点 
プラン購入OPMが代理人となってプラン購入を行なう。保険料率、給付内容も交渉次第である。HIEは斡旋のみであり、プラン購入主体は個人。市場メカニズムに任せる。プラン購入主体は個人。
保険プランの監督OPMが基礎的な給付内容、事務手続きの基準を定め、監督する。また、健康状態による加入拒否を認めない、『加入保証』を義務付けている。HIEは、州政府の機関という位置付けではない。医療保険所管省と連帯責任を負うことはない。従って、保険プランの基準を定めることもしない。給付の最低基準を定め、保険会社の参入を許可制にしている。


以上のようなところから、HIEの長所として、次の諸点を挙げている。
  1. コスト抑制効果がある。
  2. 確定拠出型で優れており、ポータビリティも確保される。
  3. 規制が緩やか。従って、管理コストも抑制できる。管理コストは、保険料収入の1%にも満たない。
  4. 連邦所得税における優遇税制を活用できる。
これに対して、管理人のコメントを2点。
  1. FEHBPを確定拠出型と呼ぶのは、ちょっと強引過ぎ。本当のDCプランもたくさんあるが、出来高払いプランもたくさんある。出来高払いプランの場合は、保険料の一定割合を連邦が負担しているに過ぎない。

  2. MA"Connector"については、同僚が制度設計に参加しているためか、純正HIEではないせいか、ちょっと批判しているように見える。HIEは共和党寄りの提案であり、個人が主体、市場メカニズム重視なのだから、民主党が優勢の州議会で純正HIEが承認されるわけはない。管理人としては、むしろ、MA州で応用編を実現したことを評価したい。

6月27日(2) 若者は左旋回 Source : New Poll Finds That Young Americans Are Leaning Left (New York Times)

世論調査で、若者(17〜29歳)は、左旋回を強めていることが明らかとなった。当websiteとしての関心事項は、次の2点。
  1. 同性婚を認めるべきとの回答が44%(ちなみに、全世代では28%)。2004年選挙での出口調査結果41%を上回っている。

  2. 政府が運営する皆保険制度導入に賛成が62%(全世代では47%)。
次の社会を担う世代の半分近くが同性婚を認めるべきとしていることに、正直、驚いている。Edwards夫人の発言(「Topics2007年6月25日 Edwards夫人の爆弾発言」参照)も、アメリカ社会の中では自然な流れなのだろうか。

6月26日 加州有力法案一本化 Source : PERATA AND NUNEZ MERGE HEALTH CARE REFORM BILLS (Press Release)

21日、CA州の医療保険改革法案のうち、上院案(SB 48)と下院案(AB 8)を一本化することで協議が成立した(「Topics2007年6月11日 加州議会が先制」参照)。両法案とも、上院、下院のリーダーが提案者であるだけに、強力な法案となることは間違いない。今後のシュワ知事との協議は、この新しい法案(AB 8)を軸に行なわれることになろう。

CA州議会の民主党は、シュワ知事との協議を前に、攻勢を強めている。議会では、両院で民主党が多数を占めていることに加え、シュワ知事は、2期目に医療保険改革、皆保険を目指しており、議会民主党がまとめてきた案に拒否権を発動するのは難しいだろう、と読んでいるようだ。

もちろん、政治的な妥協ができなければ、拒否権発動となり、議会も徒労を重ねたことになる。そこはこれからの折衝次第なのだろうが、できる限り民主党の考え方を盛り込んで、シュワ知事との交渉に臨みたいとのことであろう。

一本化の主なポイントは次の通り。
  1. 保険加入保証
    1. 深刻な健康状態にない州民には、保険加入を保証する(=保険会社は加入を拒否できない)。
    2. 深刻な健康状態の州民には保険プールを作る。

  2. 州民の保険加入義務
    義務付けはしない。(←下院案)

  3. 低所得者の保険料抑制
    Managed Risk Medical Insurance Board (MRMIB)により、FPL300%以下の従業員については、税制優遇措置後の保険料負担が家計所得の5%を超えないよう、措置する。(←上院案)

  4. 保険プールの創設と企業拠出の執行年
    2010年(←両院案の中間)。なお、両院案とも、企業拠出はpayrollの7.5%で一致していた(「Topics2007年5月21日 雇用主に7.5%拠出を要請-加州議会」参照)。

  5. 保険料補助金
    医療保険プランを提供している企業の従業員について、FLP300%以下の家庭を対象とする。(←下院案)

  6. 小規模企業の免責
    小規模企業の免責規定なし。(←上院案)

  7. Section 125の義務化
    すべての企業に、Section 125 Planの提供を義務化する。(←下院案)

  8. 個人保険の給付内容
    個人・グループ保険プランについて、保険会社が提供する給付内容は、少なくとも3パターンを用意する。MRMIBが監督する。(←下院案)

  9. コスト抑制策
    予防診療、慢性期の標準診療と診療報酬などについて、MRMIBが指揮、監督を行なう。(←上院案)
    健康増進、業績評価に基づく診療報酬、標準診療の開発等を行なう。(←下院案)

  10. 法の施行監視
    法律の施行状況を監視する。(←上院案)

  11. 保険プールの名称
    The California Cooperative Health Insurance Purchasing Program (Cal-CHIPP)(←下院案)

このような州民主党の動きに対して、小規模企業のグループは、反発を強めており、州共和党も同調している。

報道では、シュワ知事が提案していた「個人の保険プラン加入義務」がはずされたことが大きい、とされている(Los Angeles Times)。しかし、管理人は、「小規模企業の免責」がなくなったことが大きいと考えている。

実際、シュワ知事は、従業員10人未満の企業は免責とすることを提案していた(「Topics2007年1月9日 シュワ知事の提案」参照)。MA州のように、無保険者の割合が小さい州では個人の加入義務は、ラスト・ワンマイルの効果があるだろう。しかし、無保険者の割合が高いCA州では、おそらく、雇用関係を通じた保険の提供の方が、皆保険に近づくためには現実的な方策である(「Topics2006年5月2日 CAでMA法案が入ったら…」参照)。と同時に、痛みも大きい。

また、Perata州上院議員が、法案名を"AB 8(下院案)"に譲ったのも、この点を考慮したからと推察する。

小規模企業を盾に取る州共和党から、いかに譲歩を引き出すか。民主党案の歳出抑制、負担増を如何に抑制するのか。シュワ知事の政治手腕が問われる夏である。

6月25日 Edwards夫人の爆弾発言 Source : Edwards's Wife Says She Backs Gay Marriage (Washington Post)

Edwards元上院議員の夫人と娘が、『同性婚を支持する』との公式発言を行なったとのことである。Edwards氏は、南部のNC州の出身であり、同性カップルへの市民権までは容認しているが、結婚を認めるところまではいっていない。

実際、2004年の同性婚禁止のための憲法改正案に対して、EdwardsはKerryとともに投票せず、態度を明確にしていない(「Topics2004年7月15日(1) 上院は否決」参照)。

アメリカ国民の意識レベル(「Topics2004年3月27日 同性婚反対者は3分の2」参照)からみると、この夫人の発言は、Edwards元上院議員の足を引っ張る暴言ということになる。しかし、左旋回を試みているEdwards陣営(「Topics2007年6月20日(3) 民主党候補者の左旋回」参照)とすれば、夫人の発言をEdwards氏が全面否定しないことにより、リベラル派の左翼をひきつけることができるかもしれない。そうした夫婦間の連携プレイであったとすれば、面白い。

6月24日 外国企業のIFRS 
Source : SEC Proposes to Eliminate US GAAP Reconciliation for IFRS Financial Statements (CLEARY GOTTLIEB STEEN & HAMILTON LLP)

20日に開催されたSEC会合(公開)で、外国企業のIFRSによる財務報告について、SECから提案が行われた。予定通りである。

提案文書はまだ公開されていないが、会合で強調されたポイントは、次の通り。
  1. 認められるIFRSは、IASBが決定している純正IFRSのみである。この点は、コメントが多く寄せられる可能性が高い。多くの国は、ローカルバージョンを採用しており、EU加盟国企業もEU版IFRSを義務付けられている。純正IFRSが差異調整表なしとなったとしても、ローカルバージョンから純正バージョンへの修正は必要となる。

  2. 英語版IFRSに則った財務報告と監査報告にする必要がある。

  3. 今回は、外国企業への適用のみであり、アメリカ企業への適用については、晩夏に提案を行う(「Topics2007年6月13日 SECは本気」参照)。

  4. 適用開始日は、まだ特定できないが、2008年の財務報告には間に合う可能性がある。
パブリックコメントの募集は、SEC提案公表から75日間となっている。

6月23日 年金会計 Phase Two (3) Source : Looking Into the FASB's Crystal Ball: What's Ahead for Balance Sheet Consolidation? (Watson Wyatt - Insider)

Watson Wyatt - Insiderによる、年金会計第2フェーズの論点整理第3弾である。
  1. Topics2007年2月24日(1) 年金会計 Phase Two (1)
  2. Topics2007年4月25日(2) 年金会計 Phase Two (2)
今回は、B/Sの両建て(オンバランス化)についてである。

議論の中心は、完全なオフバランス(注記方式)でも完全なオンバランスでも、実態を忠実に記すことは難しく、年金資産の運用方針などを反映させる必要があるのではないか、とのことである。特に、年金プランは単独の独立した機関なのか、という問いかけがある。この点について、アメリカ企業と日本企業では、おそらく正反対の答をするのではないだろうか。

日本の大企業では、年金プラン(=年金資産)は従業員のもの、という観念が強く、従業員の受給権を確保するために外部拠出している、という意識がある。従って、完全なオンバランスには抵抗があろう。企業が認識すべき債務は、給付債務と資産の差額だけ、ということになろう。

一方、アメリカ企業では、受給権こそ法律で明確になっているものの、資産まで切り出して渡しているわけではない、という意識が強かろう。年金プランの資産といえども、企業のファイナンスの一部、という考え方が強く、従って、オンバランス、引用方針は大事な財務情報、ということになるのではないか。

こうした、いわば文化の違いを、会計処理ではどのように乗り越えるのだろうか。

6月22日(1) 同性カップルのベネフィット 
Source : Same-Gender Marriage, Civil Unions, and Domestic Partnerships: Recent Developments and the Impact on Employee Benefit Plans (Thompson Interactive)

先日、MA州の同性婚に関する法律について紹介した(「Topics2007年6月17日 MA州は同性婚の支え」参照)。ただし、アメリカ全体でみると、MA州は、かなりのマイノリティに属していることがわかる。

The National Conference of State Legislaturesこの表を見ていただきたい(オリジナル)。DOMA(「Topics2004年8月25日 DOMAの合憲性」参照)の法律規定を持っている州は、51州中41州。また、27州は、州憲法でDOMAを規定している。両方を合わせると、45州が何らかの同性婚禁止規定を設けている。

他方、同性婚の禁止規定のない州は、わずかに6州のみ。

また、同性婚、未婚カップルへの権利賦与についても、州ごとにレベルが異なる。
Masschusetts同性婚カップルに結婚証明書を発給している。
Connecticut
Vermont
New Jersey
同性カップルに市民権を与え、州レベルですべての配偶者の権利を認めている。
California未婚カップルに、州レベルでほぼすべての配偶者の権利を認めている。
Hawaii
Maine
District of Columbia
未婚カップルに、州レベルで一部の配偶者の権利を認めている。
こうしてみると、確かに、同性婚が正当な結婚として正式に認められているのは、MA州のみであることがよくわかる。

それどころか、同性カップル、未婚カップルへの風当たりは、全米で徐々に厳しくなっているとの報道(USA TODAY)もある。これによれば、Michigan州、Kentucky州、Nebraska州では、州政府職員が同性カップルまたは未婚カップルの場合、相手方へのベネフィットは提供しないとの裁判所の判決が、最近示されている。

もちろん、そのような判決にもかかわらず、ミシガン大学のように、同性カップルの相手方にもベネフィットを提供しようというところもあるにはある(Detroit Free Press)。

このように、州ごとに扱いが異なるとなると、困るのは民間企業である。結局は、各州の法規定や裁判所の動向を見ながら、柔軟に対応せざるを得ない。

今のところ、パフォーマンス的には劣勢に見える共和党だが、2004年大統領選の時のように、この問題を価値観論争としてキャンペーンを張れないのだろうか(「Topics2004年2月25日 同性婚に対する現実的な対応」参照)。国民の関心は結構高いと思うのだが・・・(「Topics2004年3月27日 同性婚反対者は3分の2」参照)。

6月22日(2) CA州医療保険改革案比較 
Source : Framework Assessment of Major Health Reform Proposals in California (California HealthCare Foundation)

California HealthCare Foundationが、大統領案、上院案、下院案、SB840の4つの案について、長所短所を比較した資料を作成した。ご参考まで。

6月21日 VEBA アナリストの見方 Source : Health care fix may be tough sell (Detroit Free Press)

Big3とUAWの交渉で、VEBA設立を巡る議論(「Topics2007年6月12日(1) Big3は本気?」参照)が行なわれるようだが、その見通しにはかなり厳しいものがあるようだ。

以下は、上記sourceで示されている、Morgan Stanleyのアナリスト、Jonathan Steinmetz氏の見方である。
  1. VEBAが設立できたとしても、退職者医療全体の給付債務($112B)の一部を引き受けるのみとなろう。

  2. 今回の交渉では、VEBAを設立するにとどめ、2010年か2011年に規模を拡大する足がかりとするのではないか。

  3. 現状のままではもたないとは思うが、かといって、Goodyear方式がそのまま成立するとは思えない。

  4. UAWにとっては、Big3が倒産、または経営危機に陥った際に、退職者医療給付を失うというコストを軽減できる。

  5. 一方で、UAWは、給付面でかなり大きな譲歩を余儀なくされるだろう。例えば、給付額の物価スライドの停止など。また、給付削減幅は、15〜20%程度なら合意に達する可能性もあるだろう。

  6. UAW組合員は、そうした譲歩を認める用意は、まだできていないと思う。
やはり、給付削減の話が交渉のテーブルに乗ってくるようだ(「Topics2007年6月1日 Big3の暑い夏」参照)。

最後に、株価動向である。 ⇒ GM  Ford