5月7日 ストックオプション会計の影響 Source : How New Accounting Rules Are Changing the Way CEOs Get Paid (Knowledge @ Wharton)

上記sourceは、Wharton Schoolの会計学者Carter教授が、ストックオプション(SO)会計で費用計上が義務化されたことによる影響を調査した結果を紹介している。主な事項は次の通り。
  1. 任意でSOの費用計上をした企業を調査したところ、費用計上を機に、SOの割合を減らして、譲渡制限付自社株(RS)の割合を高めている企業が多い。

  2. RSの方が、経営陣の長期のインセンティブを引き出しやすいと考えられている。

  3. SOの費用計上をして、SOを減らしていても、経営陣の報酬全体の額は下がっていない。これは、@従来のSO会計が経営者の報酬を増大していたわけではない、ASOが費用計上となったとしても報酬額は下げられない、のいずれかを示しているものと思われる。

  4. 新SO会計となっても、株価が下がることはなかった。これは、既に注記で示されていたことにより、織り込み済みであったことを示している。

5月5日 証券市場の米中協調 Source : SEC and CSRC Announce Terms of Reference for Enhanced Dialogue (SEC)

2日、アメリカSECと中国CSRCは、金融市場に関する今後の協調関係について、合意に達した。

両者の関心事項として列記されている課題は、次の通り。
  1. 証券市場規制。特に、双方の市場で上場する企業の情報収集。
  2. 海外上場証券に関する情報交換。
  3. SECが提供する教育プログラムの強化。
  4. 企業統治改革。特に、監査委員会、会計監査人の独立性、内部統制、財務報告。
  5. 両国の会計基準とIFRSとのコンバージェンス。
  6. ITの活用。
両国の金融市場をそろえていくことで、つまりはアメリカ市場に可能な限り寄せていくことで、投資交流を一段と拡大させようという意図である。いよいよ日本は置いてけぼりになりそうだ。

証券市場は、最もグローバル化しやすい分野である。まずはカネから始まって、やがてはモノ、そしてヒトのクロスボーダーが活発化する。日本は、1985年に決断したはずなのに、実質はともかく、イメージとして中国に遅れを取りそうな状況になっている。バブルと改革の遅さが、ここまで日本経済の足を引っ張っているのである。

ところで、中国CSRCが、"Investors protection is our top priority" と掲げていることには、少し驚いた。日本の金融庁も、大々的に投資家保護優先を打ち出さないと、世界の金融当局から置いていかれてしまうのではないだろうか。

5月4日 MA皆保険法の提案者 Source : For Romney, A Healthy Boost (Washington Post)

上記sourceで発見したことは、次の2点。
  1. MA皆保険法のアイディアの提供者は、Romney知事の知恵袋であるTimothy R. Murphy 氏と、the Heritage FoundationEdmund Haislmaier氏であった。つまり、発案者は、金融・医療ビジネスの専門家と保守派のシンクタンクであったことになる。

  2. Romney知事は、モルモン教徒である。これは、大統領(候補者)選で一つの大きな試練になるだろう。

5月2日 CAでMA法案が入ったら… Source : Massachusetts-Style Coverage Expansion : What Would it Cost in California? (California HealthCare Foundation)

MA皆保険法案が成立しそうである(「Topics2006年4月27日 MA下院が知事拒否案を否決」参照)が、他州からの注目度も高まっているようだ。上記sourceは、MA法案がもしカリフォルニア州に導入されたとしたらどうなるか、というシミュレーションを行なっている。

結果として、州政府の負担は、$6.8B〜$9.4Bの増加となる。MAではほとんど増えないということになっているのに、どうしてこのような差が生じるのか。上記sourceでは、次のように分析している。
  1. 州民一人当たりの所得は、いずれも全米平均を上回っている(CA$24,420、MA$28,509)。

  2. しかし、CAの無保険者の割合、低所得者の割合が、MAを大きく上回っている。それによって、MA同様の皆保険を導入すると、CA州政府の負担は大きく増加することになる。

  3. CA州の無保険者の割合が高いのは、低所得者層向け公的医療保障の加入者数が少ないことによるわけではない。実際、CAの低所得者の公的保険加入割合は、MA、全米をともに大きく上回っている。

  4. 問題なのは、企業を通じた医療保険加入が少ないことである。その原因の一つは、自営業者の割合が多いこと。もう一つは、低賃金の企業が多いである。

  5. 既存の低所得者層向け医療保障制度に費やしている支出は、MAでは約$1Bと言われている。これは、無保険者一人当たり年間,300〜$1,800に相当する。それが、CAでは、全体で$2Bにも達するのに、無保険者一人当たり年間$300にしかならない。実は、現在のMAと同様の無保険者対策を採るとすると、CA州では、$8.5B〜$11.5Bの支出規模に相当する。

面白いのは、州民に保険加入を強制する場合と、インセンティブを設けて保険加入を任意で促す場合を比較して、加入を強制する方が全体のコストは抑制できる、と結論を示しているところである。これだけMAに較べて負担が増えたとしても、皆保険という政策目的のためであれば、まだまだ安いコストである、と見ているのである。