4月27日 MA下院が知事拒否案を否決 Source : Mass. House overrides employer health charge veto (Business Insurance)

MA皆保険法案の一部条項につき、Romney州知事は拒否権を発動した(「Topics2006年4月13日 MA皆保険法案成立」参照)が、25日、MA下院は136対20の圧倒的多数で否決した。上院も間もなく否決するものとみられているとのこと。

ますます州知事の単なるパフォーマンスとの見方が強まる。

4月26日 報酬開示に関する経営者の本音 Source : FEI Letter

経営者報酬の開示強化案(「Topics2006年1月22日(2) 経営者報酬の開示強化案:概要 」参照)について、SECがパブリック・コメントを求めていたが、上記sourceは、FEIからのコメントである。全体として、経営者報酬の開示が強化されることに、総論としては賛成との意見表明をしつつ、技術的な問題があるとして、各論について問題点を指摘している。
  1. 経営幹部以外で報酬が高い従業員についても開示するよう求められていることについて、世界中に広がっている何万人もの従業員の報酬をトレースしなければならないことになり、非常に大きなコストと無駄を生じることになる。

  2. ストック・オプションの開示手法に工夫をしなければ、ダブルカウントになる可能性がある。

  3. 報酬の総額を一つの数字で示すことは、わかりやすいように見えるが、退職時の報酬などは、かなり詳細な説明を加えなければ、投資家に誤解を与えることになる。どうしても開示を求めるのであれば、IRCで定義されている報酬額を開示することにすべきである。こちらは既に定着しており、比較可能性も確保できる。
要するに、トップ3の報酬額を開示すること以外は、すべて反対しているのである。

4月25日 総合型へ、そして・・・ Source : Airlines Turn to Mulitemployer Pension Plans (Workforce Management)

航空会社が終結した確定給付型プラン(DB)を、労組が運営する年金プランに移行しているという。最近、Northwestが2つの組合と合意に達したほか、これまでにも、United、Aloha、US AirwaysがDBを移行している。また、Continentalも、会社側がDBを凍結した場合、移行する選択権を得ているという。

こうして航空会社のDBの受け皿となっているのは、International Association of Machinists National Pension Fund である。

1700の企業、69,000人の受給者、75,000人の加入者、$7Bの純資産を抱える、大規模な年金プランである。そして、その特徴は、確定拠出のような、確定給付のような、スケジュールを用意していることである。日本で言えば、国民年金基金に近いようなプランである。このようなスケジュールであれば、企業側の負担も予見可能なものとなるため、コスト・コントロールも容易となる。経営が厳しい航空会社にとっては、渡りに船、ということなのだろう。

また、企業側にとっては、大きなメリットがある。年金資産を自ら運用する必要がないことに加え、給付債務が割引率によって変動することがなく、決まった金額を拠出してしまえば責任を果たしたことになる。

ところで、こうした複数の事業主の拠出により運営されている年金プランを、Multi-Employers Planと総称する。上記ファンドの責任者は、『我々はDBの砦となる』と豪語しているそうだ。個別企業が運営するDBの凍結、終結が進む中、年金改革法案の見通しも立たないため、結果的に、そうしたMulti-Employers Planが生き残っていくことになるのかもしれない。

こうしてみると、日本の厚生年金基金の単独・連合型が大幅に減少していき、総合型だけが残っている状況と似ているように見える。もちろん、そこに至る経緯は全くちがうものの、今のような環境の中でDBが生き残るために、複数事業主による共同運営という選択肢が残された、という所に注目している。

4月24日 年金プラン凍結のコスト Source : Developing an Investment Strategy for Frozen Plans (Mellon)

年金プランの凍結は、それ自体では、企業財務上の負担を軽減することにはならない。むしろ、凍結から終結に向けて、様々な手続きとコストを要するということを、充分理解しておく必要がある。

上記sourceは、そうした具体的なコストと手続きをイメージできるような内容となっている。そのポイントは次の通り。

  1. プラン終結の方法、つまり精算には、2つの方法がある。一つは、加入者に対して、一時金で支払ってしまう方法である。もう一つは、資産、負債を保険会社に売却する、つまり、市場で外客する方法である。

  2. 保険会社としては、買い取るプランが、75年程度継続する可能性があるものとみなし、かなり低率の割引率を用いて、給付債務を計算する。このため、プラン終結のためのコストは、かなり大きなものとなる。たとえ、現時点で積立不足が生じていなくても、給付債務そのものの市場での計算が大きく異なるため、新たな追加費用が必要となる可能性が高い。

  3. プラン終結までには、次のような5段階を経る必要がある。

    1. Market Value of Liabilities (MVL) を計算する。先に述べたように、市場で評価されるMVLは、通常、PBOを大きく上回るとみられる。
    2. プラン終結までの期間と、その間のリスクを評価する。
    3. 資産配分の方針を決定する。
    4. ALMモデルにより、長期のシミュレーションを行ない、積立状況、追加拠出額等を見積もる。
    5. 最終的な終結計画を確立する。
このように、年金プランの凍結から終結に至るには、複雑で、コストもかなり要する。それでもプランを凍結する企業が後を絶たない。アメリカの確定給付プランは、本当に最終局面に入っているのかもしれない。