1月31日 FASB新ルールのインパクト Source : Towers Perrin Analysis of Expected Changes in Pension Accounting Finds Dramatic Impact Likely on Companies' Financial Statements (Towers Perrin)

FASBが検討を開始した年金会計に関する新ルール(「Topics2005年11月11日 年金会計の見直し」参照)について、大企業に与えるインパクトを分析したものである。

Fortune 100社のうち、2004年末時点で78社がDBプランを保有しており、仮にその時点でFASBが検討している新ルールが適用されたとすると、78社が認識すべき債務は、その時点の$62Bから、さらに$331B増加すると見られている。また、その結果、株価は9.3%低下する。

まさに、当websiteで紹介したFinancial Timesの記事(「Topics2005年11月21日(1) 会計基準が株価を押し下げる」参照)が予測した通りの結果となる。アメリカの企業年金制度は耐えられるのだろうか。また、公的年金改革に与える影響も計り知れない。

1月27日 州政府職員年金の積立比率 Source : 2004 Comparative Study of Major Public Emp;loyee Retirement Systems (Wisconsin Legislative Council)

以前にも同様のレポートを紹介(「Topics2005年9月29日(2) 州政府職員年金も危機的状況」参照)したが、今回は、Wisconsin Legislative CouncilというWisconsin州議会の調査会が公表した調査結果である。

これによれば、積立比率が100%を超えているプランは、たったの9つである。2000年の調査では、33プランであったので、この5年間に相当状況が悪化したことがわかる。

他方、60%にも満たないプランが、5つ(Connecticut、Illinois、Louisiana、Oklahoma、West Virginia)も出てきている。

1月26日 経営者報酬開示強化 何が変わるのか Source : SEC's Spotlight on Executive Pay: Will It Make a Difference? (Knowledge@Wharton)

アメリカ労働市場に関する研究調査で有名なペンシルバニア大学Wharton Schoolが、先に公表されたSECの役員報酬開示強化案(「Topics2006年1月22日(2) 経営者報酬の開示強化案:概要」参照)について論評している。もちろん見通しの部分もかなりあるが、そうだな、と頷けるところも多い。以下、ポイントをまとめておく。
  1. 開示強化により経営者の報酬が抑制されるかというと、必ずしもそうではないと見ている専門家が多い。極端な多額の報酬を得ているのは極端な例である。しかし、ほとんどの意見が一致しているのが、開示の強化により、報酬制度が改善されるだろうという点である。開示するということになれば、それなりの神経を使うようになるだろうからである。

  2. パブリック・コメントで、否定的な意見が多数寄せられるということにはならないだろう。単なる開示強化だからだ。しかし、報酬というのは様々な要素を検討した上で決まってくるものなので、開示強化が即報酬額に大きな影響を与えることはないとみられる。社外の人がメンバーとなる報酬委員会が、(経営者に関する)需要と供給に基づいて決定しているのである。

  3. 1990年代を通じて、経営者の報酬は、劇的に増加した。特に、S&P 500社については際立っている。S&P 500社のCEO報酬の中位数は、1993年の$1.98Mから、2003年には$6.58Mにまで高まっている。また、CEO報酬の増加率は、2003年15%、2004年30%という調査結果もある。

  4. 別の調査研究によれば、1993年から2003年の間の経営者報酬の増加要因分析をしてみると、企業規模の拡大、株価上昇などの要因で説明できるレベルの倍に達しているという。経営者報酬の純利益に対する割合は、1993年の5%から2003年には10%に達しているそうだ。

  5. 現行の開示制度のもとで、ストック・オプション、年金、その他福利厚生について知ることはきわめて困難である。特に、近年は、ストック・オプションの占める割合は高まっている。90年代にはおよそ20%程度であったものが、2000年以降は50%に達している。現行開示制度では、ストック・オプションの賦与数は開示されているが、その価値を知ることは難しい。

  6. 多額の経営者報酬に対する批判は強いが、過大であるとの判断基準を確立するのは容易ではない。実は、多くの経営者の報酬は、過大ではないとみられる。S&P 1500(上場企業)のCEOの報酬額を調べると、約$2.5M程度である。その経営者の多くは、一日12時間、年間350日働いており、弁護士、コンサルタント、トレーダーの多くは、それ以上の報酬を得ている。

  7. 近年、企業経営が複雑になり、経済活動がグローバル化し、技術革新が急速にすすむなかで、有能でリスクを取れるCEOへの需要は、これまでにないほど高まっている。

  8. さらに、経営者報酬と株主利益との連動が強化されつつある。多くのリスクを抱える経営者としては、そのようなリスクを穴埋めするだけの多額の報酬を要望したくなることになる。

  9. S&P 500社のCEO報酬の中位数は、2003年に$6.58Mであったが、前年までのストック・オプション累積額は$30Mに達している。ところが、自社株価が1%低下すると、ストック・オプション累積額は$430,000低下する。20%低下すれば、$8.6M低下する。経営者の報酬は、これだけ大きなリスクにさらされているのである。

  10. また、経営者の流動化、つまり複数の企業を渡り歩くことが多くなったことも、リスクの増加要因である。どの企業も平均を若干上回る報酬を提供しようとしているだけなのだが、それが全体の報酬額を押し上げることになる。

  11. 取締役の意識が低いとの批判もある。取締役は、自らの資金を支出するわけではないし、多くの場合、CEOが取締役を招聘し、取締役会の議長を務めている。取締役は事実上、CEOに従属している場合が多い。従って、取締役は経営者報酬の引き上げに寛容になりがちである。取締役自身の報酬も自ら決定しており、上昇傾向は強い。

  12. CEOと報酬委員会メンバーの社会的関係を調査した研究によると、CEOと報酬委員の個人的関係が強いと、CEOの報酬は相当高額になるとの結論が出ている。その傾向は、当該企業の業績の良し悪しとは直接関係なく見られる。つまり、CEOは、自らの報酬を、個人的な関係により守っているといえるのである。理想を言えば、SECは、経営者と取締役の間の社会的関係についても開示を求めるべきなのだが、今回の強化案には盛り込まれていない。

1月25日 Fordのレイオフ対策 Source : Ford Tuition Assistance May Cushion New Round of Job Cuts (Workforce)

23日、Fordが、再建計画を発表した(Press Release)。その計画の中では、2012年までに北米の14工場を閉鎖し、25,000〜30,000人の従業員削減を実施するとしている。

これはかなり大胆な計画であり、労組UAWとの交渉も大変な作業となることが予想される。

上記sourceによれば、アメリカの自動車メーカーには、"Job Bank"という制度がある。Fordの場合、正式なプログラム名称は、"Guaranteed Employee Numbers Program"といい、レイオフした従業員に対し、賃金・福利厚生の全額を補償するプログラムである。

そんなばかな、という感じである。これでは、レイオフしても、コスト削減にはほとんどつながらないのではないだろうか。ある推計によれば、レイオフ従業員一人当たりのコストは、約$130,000(年間)であり、GMに5,300人、DaimlerChryslerに2,300人、Delphiに4,000人の対象者がいるものとみられている。Fordについては、数千人とみられるが、上記のようなリストラが実行されれば、このプログラムの対象者は一気に増加する。

逆に経営側から見れば、多少の人件費は削れるものの、レイオフした従業員がそのままプログラム対象者になるのであれば、本当の意味での固定費削減にはつながらない。何の生産活動にも従事していない者に、毎年13万ドル払い続けなければならないからである。

そこで、Fordは、23日のリストラ計画発表前に、job bank対象者に教育費補助を提供するとの発表を行っている。具体的には、2004、2005年にレイオフされた従業員がフルタイムの就職をするまでの間、年間$15,000を上限に教育費補助金を提供するとともに、通常の時間給報酬の半分と、医療ベネフィット満額を提供する、というものである。

このような教育費補助の狙いは4つあると考える。
  1. 現行のjob bankプログラムでは賃金の全額を補償しており、時間給報酬を半額にすることができれば、13万ドルの人件費を抑制することが可能となる。
  2. 医療ベネフィットを確保することで、レイオフへの批判、不満を和らげる。
  3. レイオフ対象者が高等教育を受けることで、転職を促進する。
  4. レイオフした従業員を、何も働かない、働けないという状態から、前向きの姿勢に持っていく。
コスト抑制という観点からは、第3点目が最も効果が期待できる。レイオフされた従業員が転職すれば、job bankの対象者ではなくなり、真の意味での人件費抑制になるからである。同じ金を払うなら、転職に役立つ、または転職を促す動機付けをしたうえで渡そうということである。

ビッグ・スリーとUAWの労働協約は、2007年に改訂期を迎える。現状でのビッグ・スリーの経営状況を見れば、レイオフ対策は、重要な交渉課題となる。そのためにも、今回のFord提案は役立ちそうであり、他の自動車メーカーも追随してくるものと見られている。

1月24日(2) 相次ぐDBプラン凍結 Source : Two More Companies Join DB Plan Freezing List (PLANSPONSOR)

IBM(「Topics2006年1月10日(2) IBM DBに訣別宣言」参照)に続き、新たに2社が、DBプランを凍結すると公表したそうだ。その2社とは、Russell Corp.Sprint Nextel Corp.である。 前者は、運動服メーカーで、全社的なリストラの一環で、DBプランを凍結するそうである。また、後者は、Sprint社とNextel社の合併に伴う措置である。S社にはDBプランがあり、N社にはなかったので、経営統合に伴い、DBプランを凍結するという。

IBMのように、積極的なDBプラン廃止とは少し趣が異なるが、DCプランへの移行を選択したという意味で、一つのパターンだと思われる。

参考までに、上記sourceには、最近DBプランを凍結した企業に関する記事にリンクが張ってあるので、ご参照ください。

1月24日(1) UAL 2月に復活 Source : United's Exit from Chapter 11 on Track for Early February (UAL Press Release)

3年の年月を経て、UALがChapter 11から復活する。プレス・リリースによれば、破産裁判所から再建計画の承認がおり、債権者会議も、すべての反対提案を取り下げたとのことである。昨年10月の債権者会議の抵抗(「Topics2005年10月24日 PBGCも納得か?」参照)も、形ばかりということだったようだ。

1月23日(2) ISSは利益相反? Source : A Proxy Adviser's Two Sides (Washington Post)

上記sourceによると、当websiteでも紹介したことのあるIISの活動について、利益相反になっているとの批判が、各界から上がっている、という(「Topics2002年3月11日(2) Pension Fundの投資行動」参照)。

問題は、IISが企業に内部統制評価向上のためのノウハウをコンサルティング業務として提供している、という点である。上記sourceでも触れられているが、これは、Enron事件でつぶれた監査法人と同じ構図という印象を持つ。

このような批判に対して、IIS側は、企業へのサービス業務は、全体の15%に過ぎない、と反論しているようだが、そのようなビジネスをやっていること自体を問題視されているようである。その批判の先頭に立っているのが、州政府職員の年金基金というところが、また興味のあるところである。

上記sourceは、少し長いが、IISの生い立ちやビジネス・スタイル、世界の資本市場に対する影響力などが詳しく記されているので、一読されることをお勧めする。

1月23日(1) 外国企業は対象外か? Source : SEC set to exempt foreign groups from pay data rules (Financial Times)

昨日紹介した経営幹部報酬の開示強化案について、「アメリカ市場に上場している外国企業については適用しない」との考え方がSEC内にあるようだ。

上記sourceによれば、母国で同様の開示が求められている場合にはアメリカでも開示する、ということが考えられているようだ。ここで母国で同様の開示が求められているとされている国は、イギリス、フランス、オーストラリア、香港で、ドイツ、日本では開示が求められていない、とされている。

上記sourceがFinancial Timesであり、SO法遵守に関わるコストにも触れていることなどから、欧州側の希望的観測という面もかなりあるかもしれない。実際、Organization for International Investment (OFII)がこの方針を歓迎している、との文面があるところからも、そのような意向は見受けられる。

経営者の報酬がどういう水準にあるべきか、というのは、その企業が活動する社会における常識というものが規範となる部分が大きいと思う。また、日本、ドイツが開示を求めていない、という点から推測すると、日本やドイツでは、経営者による自己抑制が働いており、法外な報酬を受け取る経営者はほとんどいない、ということかもしれない。もしそうなのであれば、抑制の効いた秩序を保っている外国企業が、法外な報酬を受け取っている一部のアメリカ企業経営者のせいで、不要な開示を求められる、という図式になるのかもしれない。

日本企業など開示を求められたら、「たったこれだけしかもらってないの」という驚きがあるとともに、競争力がないからこれだけしか支払われていないのではないか、との解釈をされてしまうかもしれない。また、人材の流出という問題にも拍車をかけることになろう。

SECの意見募集の段階で、この問題に関する設問があれば、投資家サイドから、同様の情報開示を求めるべきとの意見は出てくるだろうし、グローバルな資本の動きを前提とすれば、アメリカ市場で資金調達したいのであれば、外国企業であろうとアメリカ・ルールが適用されるべき、という意見も筋であろう。

本件については、今後、紆余曲折は避けられないだろうと思われる。

1月22日(2) 経営者報酬の開示強化案:概要

昨日掲載したSEC Press Relaeseの概要をまとめておくこととする。

  1. 経営幹部の報酬

    開示対象を、CEO、CFO、その他3人の経営幹部(報酬の高い順から)とする。
    ※プレス・リリースでは見つけられないのだが、法律事務所の要約、New York Timesによると、上の5人以上に報酬を得た社員がいれば、最大3人分まで、その役職と報酬総額(氏名は不要)を開示することが求められているようだ。

    新しい開示制度「報酬に関する議論と分析」では、経営幹部の報酬制度に関する目的と施行状況、特に、報酬政策と決定プロセスに焦点を当てて、開示を求める。

    開示項目は、主に次の3つに分類される。

    1. 報酬の概要(3年分)

      1. 報酬総額に関する項目を設ける。

      2. 株式そのもの、ストック・オプションを含む株式による報酬について価額を開示する。その際、FAS123(R)に基づき、賦与時の公正価値で計測する。

      3. 「その他の全報酬」には、当該年度に増加した数理上の年金額と、税制非適格の延払い報酬の増加分を含める。

      4. 開示すべき福利厚生額を($50,000から)$10,000に引き下げるとともに、福利厚生の定義も明らかにする。

      5. 業績連動報酬とその他すべての株式による報酬についても開示する。

    2. 株式による報酬

      1. 事業年度末時点での株式報酬累積額

      2. ストック・オプションの執行額と受給権の確立額

    3. 年金ほか退職後所得

      1. 開示対象となる経営幹部の年金受給額見積もり

      2. 税制非適格のDCプランその他延払い報酬プランについて、年度末の残高、経営幹部の個人拠出、企業拠出、運用益、引出額等を開示する。

      3. 退職時、M&Aなどに伴う経営陣の交代時において支払う予定の報酬等

  2. 関連事業者との取引、取締役の独立性、その他内部統制関係

    関連事業者との取引について認める基準、プロセスについて開示を求める。そのほか、関連事業者の範囲を少し拡大するとともに、開示が必要となる金額を、$60,000から$120,000に引き上げる。

    取締役または取締役候補者について、独立しているかどうかを開示する。また、監査委員会、指名委員会、報酬委員会のうち、独立していないと判断された委員について開示する。

    内部統制に関連して、取締役会、指名委員会、監査委員会に関する開示を求める。また、報酬委員会についても同様の開示を求めるとともに、経営幹部の報酬を決定する際のプロセスに関する記述も求める。

  3. 経営幹部の自社証券保有状況

  4. Form 8-K

    開示対象となる経営幹部に関する雇用契約内容についても開示する。

  5. 平易な英語による開示
管理人の気付き事項についてもまとめておく。

  1. 1992年以来の改正ということになるが、その後、ITバブル、株式市場の長期間の上昇という時代背景から、株式を利用した報酬が大きな割合を占めるようになった。当時とは報酬制度の内容、構成が大きく異なっていることから、こうした開示の見直し提案が行なわれたのは、当然と思われる。

  2. 共和党のCox議長が、この開示の推進役となっていることに注目したい。SEC議長が交代したことで、市場規制が緩和されるのではないかとの見方もあったが、まったくそのような気配は見られない。アメリカの経済界にとっては、やや誤算かもしれない。

  3. その代わりといっては何だが、Atkins委員(共和党)が、そのスピーチにおいて、いくつかの懸念を表明している。その代表的なものが、報酬内容の開示により、経営戦略が競争相手に知れてしまうこと、としている。また、短期的視野に基づく経営がさらに多くなるのではないかとの懸念も表明されている。さらに、New York Timesによれば、共和党のAtkins、Glassman両委員が、不確定要素の高いストック・オプションを公正価値で評価することに懸念を表明している。(※下線部は1/23に追加)

  4. 経営者の立場からみると、報酬の全容が公表されてしまうことになり、個人情報公開に伴う弊害がないかどうかが懸念材料となる。また、上場企業の経営幹部の報酬が開示されてしまうため、却って経営幹部の報酬引き上げ合戦が始まらないか。

  5. これまでの開示ルールでは、年金関係やゴールデン・パラシュート、サイニング・ボーナスといったところが開示を免れてきたわけだが、今回の開示強化案では、ほとんどこれらの抜け穴はふさがれてしまうだろう。

  6. 定義次第だが、より金銭から離れた報酬の提供が増えてくる可能性もある。会社所有ジェット機の利用権、住宅購入向けのローンなども、今回の開示強化でどのように扱われるのか、注目しておく必要がある。

  7. 当websiteでも紹介してきたように、なんといってもアメリカ企業の経営幹部の報酬は巨額である(「Topics2002年6月7日 企業トップの離職手当て」「Topics2005年4月7日 巨額の離職手当パッケージ」参照)。日本企業とは下手をすると2桁異なる可能性もあるのだが、それでも制度がアメリカで変わると、アメリカでもやっているんだから、という理由だけで、日本にも制度を導入すべきとの議論が沸き起こる可能性がある。本当に必要な開示制度なのかどうか、十分な議論が必要であろう。

1月22日(1) 経営者報酬の開示強化案

17日、SECから、経営者報酬の開示に関する強化案が提示された。関連資料を掲載しておく。
SEC Press Release
Speech by SEC Chairman Cox
Speech by SEC Commissioner Atkins
Executive Compensation: A Guide for Investors by SEC (現行制度)
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Summary by a law firm
New York Times
今後、強化案の具体策がSECから提示され、60日間のパブリック・コメント募集の後、再度審議、具体策の決定、施行という順になると思われる。

プレス・リリースの内容については、別途まとめ、当websiteに掲載する。

1月21日 年金改革法案の落とし穴 Source : New legislation weakening pension protections (Wall Street Journal)

両院協議会での議論が止まってしまっている年金改革法案(「Topics2005年12月20日(1) 下院が年金改革法案を可決」参照)であるが、上記sourceによれば、議会関係者は3月までには合意に達して、大統領のもとに送付したいとの意向を持っているようである。

年金改革法案の狙いは、年金資産の積立を強化し、給付保証を高めることにある。しかし、上記sourceによれば、現在の法案には、条項を逆手に取ることで、加入者・受給者の負担増(=給付減)につながりかねない項目が含まれているとのことである。そのような懸念のある項目は、主に次の3点である。(「Topics2005年7月29日 NESTEG Act of 2005の概要」参照)
  1. 積立比率の低い年金プランは凍結を強制される。
    ⇒ わざと拠出をせずに積立比率を下げていけば、プランが自動的に凍結され、将来分の給付を合法的に回避することができる。
  2. 割引率の変更により、一時金で受け取る場合、受取額が大きく減少する可能性がある。

  3. 積立超過の場合には、超過分を他の退職後所得プランに転用することを容易にする。