4月27日 加州医療保険改革ウォッチサイト Source : CalHealthReform.org

当websiteでは、州レベルでの医療保険改革について、MA州とCA州に注目してきた。MA州は具体的な制度設計がつまりつつあり、今年中の施行を目指している(「Topics2007年4月17日 MA皆保険法のウェイバー」参照)。

一方、CA州は、シュワ知事の公約により、改革の機運は高まっているが、なかなか制度設計にまではたどり着けないでいる(「Topics2007年3月1日(3) 三たびSB 840(CA州皆保険法案)」参照)。上記sourceは、そうした加州での改革の動きをウォッチするためのwebsiteで、メーリングリストもある。

これを機会に、当website内に、州レベルでの医療保険改革の動きを見るためのリンク集を新設する。

4月26日 アメリカ企業にもIFRS? Source : SEC in surprise move to global filing benchmark (Financial Times)

SECのJohn White氏(Director, Division of Corporation Finance)が、24日、ステートメントの中で次のように述べたと報じられている(SECのwebsiteにはまだ掲載されていない)。
"The actions announced represent critical steps towards a future regulatory framework in which IFRS may be used on a stand-alone basis by foreign private issuers [in the US] and possibly also by US issuers."
今年後半には、2本のディスカッション・ペーパーを公表する予定という。

FTではサプライズとされているが、実は、既に伏線が引かれていた。今月12日、IOSCOの年次総会で、SEC理事のCampos氏がスピーチを行なった。そのスピーチの中で、Campos氏は、『外国企業ばかりでなく、アメリカ企業にもIFRSを利用する選択肢を用意すべき』との議論が行なわれていることを紹介している。さらに、Campos氏は、『いろいろな困難があることは承知しているものの、会計基準は統一すべきもの』という考え方も示している。

これは驚くべき転換になり得る。

簡単に流れを書けば、
Convergence
  ↓
Mutual Recognition (eliminating reconciliation)
  ↓
Choice of US GAAP or IFRS
  ↓
Integration
ということではないだろうか。孤高のSECですら、こうした展望を見据えているということを、充分に認識しておくべきだろう。

発行体の方から見ても、国際的な企業買収、資本提携、子会社の展開が進んでくれば、企業グループ内での会計処理の統一ということが求められる。実際、どの会計基準でも、在外子会社の会計基準の統一は求められている。こういう流れの中で、日本企業でも、在外子会社、提携先を日本基準で処理するよりも、本社をUS GAAP、IFRSに直す方が適切、という思考は当然ある。

『独自の会計基準は国益』という発想では、世界経済から置いてけぼりをくうことになるのではないだろうか。

4月25日(1) 最低賃金引上げ法案 両院協議成立 Source : Executive Pay Plan Dropped From Wage Bill (Workforce.com)

20日、最低賃金引上げ法案(「Topics2007年2月18日(2) 最低賃金引き上げがほぼ確定」参照)に関する両院協議が成立したそうだ。そのポイントは、次の2点。
  1. 中小企業を対象とした減税措置を講じる。減税規模は、$4.8B。

  2. 後払い報酬への課税強化策(上院案)(「Topics2007年1月31日 最低賃金引上法可決」参照)は盛り込まない。
これらに関連して、気付き事項を2点。
  1. 上記1.の減税規模は、上院案($8.3B)と下院案($1.3B)を足して二で割ったもの。どこでも妥協の産物は、こういうものである。

  2. 経営者報酬への監視・制限強化について、上院民主党はよそよそしい。後払い報酬への課税強化策も最終的には降りてしまったし、Obama上院議員の報酬監視強化法案にも賛同者は出ていない。
    2008年大統領選に向けて、経済界を敵に回したくないとの意向なのかもしれない。

4月25日(2) 年金会計 Phase Two (2) 
Source : Looking Into the FASB's Crystal Ball: What's Ahead for Liability Measurement? (Watson Wyatt - Insider)

Watson Wyatt - Insiderによる、年金会計第2フェーズの論点整理第2弾である(「Topics2007年2月24日(1) 年金会計 Phase Two (1)」参照)。

第2弾は、給付債務の計測についてであり、上記sourceで挙げられている主な論点は、次の通り。
  1. 給付債務認識は、PBOかABOか?

  2. 公正価値を算出するための割引率はどうあるべきか?

  3. 一時金支払いに関する債務認識はどうあるべきか?
ここで、びっくりしたのは、第1点目である。当websiteでも紹介した通り、第1フェーズで、FASBは、年金給付債務はPBOで認識するとの見解を、全会一致であっさりとまとめてしまっている(「Topics2006年7月21日(1) PBOで決定(2)」参照)。

ところが、上記sourceの解説によれば、FASBのこの決定は、あくまでも仮決定(stopgap measure)であり、本格的な検討は、第2フェーズで行なわれる、というのである。管理人もちょっと救われた気分である(「Topics2006年7月6日(2) PBOよりABO」参照)。

4月24日 経営者報酬監視強化法案可決 Source : H.R. 1257 Summary & Status (THOMAS)

20日、上記法案が、下院で可決された(「Topics2007年3月4日 経営者報酬監視強化法案」参照)。269 vs 134の大差である。

一方、上院では、Sen. Obamaが同様の法案(S. 1181)を提出した。しかし、同法案のCosponsorは皆無であり、まさにSen. Obamaのスタンド・プレーとなっている。法案成立までの道程はまだ遠そうである。

4月23日 MA皆保険法改善提案 
Source : Insuring the Uninsured : Five Steps to Improve the Massachusetts Plan (National Center for Policy Analysis)

上記sourceは、『MA皆保険法のポイントは医療保険加入を義務付けていることである』と評価したうえで、5段階にわたる改善策を提案している。
  1. Medicaidの連邦拠出分の支出先を柔軟化する。

  2. Connectorを通じて購入できる医療保険プランの選択肢を広げる。医療保険プランの最低基準は法定すべきであり、Connectorはクリアリングハウス機能に徹するべき。

  3. 企業のプラン提供義務を廃止する。企業への提供義務は、労働コストアップにつながる。

  4. コスト増要因となる保険プランに関する規制を撤廃する。撤廃すべき規制は、主に次の2つ。
    1. 保険会社の保険受け入れ義務。MA法では、どんな個人からでも、申し込みがあった場合に、保険会社は受け容れなければならない義務がある。
    2. 保険料水準について、同一地域では同水準にしなければならない。

  5. ベネフィット提供義務を廃止する。MA法では、不要と思われるようなベネフィットまで保険プランでの提供が義務付けられている。プラン内容は、保険会社に決定させるべき。
改善提案といいながら、『換骨奪胎』提案である。MA皆保険法の特徴を消去し、市場に任せようという提案に他ならない気がする。

このNCPAは、テキサス州ダラスに本拠地を持つ、市場信奉主義を旨とするシンクタンクであり、もともとMA皆保険法とは、思想的に相容れない。MA州民からすれば、『だったら、テキサス州ではそうすれば、無保険者問題はなくなるの』と言いたくなるだろう。

4月21日 金融機関とDB Source : Money managers join in jettisoning DB plans (Pensions & Investments)

Pension & Investmentsの非公式調査によれば、最近、DBプランを凍結または廃止した金融機関は、次の通り。 一方、次の3つの企業は、DBプランを維持することを決めている。 いずれも、人事コンサルタント部門を抱えており、顧客対策上も継続せざるを得ないだろう。問題は、DBプランを止めてしまうことが本当によいのかどうか、だ。

当websiteでも、法制上、会計上の理由から、DBプランを放棄する企業が続出するであろうことを述べてきている(「Topics2006年9月4日 2007年はDB凍結続出?」参照)。しかし、それは決して、DBプランが劣っていると主張したいわけではない。長期的な経営戦略、人事戦略からみて、各企業が選択すべき課題である。上記のような3社が、顧客対策ではなく、経営上の信念を持って継続していることを望むし、長い目でどのような結果となるのか、見極めてみたい。