2月10日(1) 労働需給は堅調
Source :Payroll employment rises by 143,000 in January; unemployment rate edges down to 4.0% (BLS)
2月7日、雇用統計が公表された(BLS)。1月の雇用増は14.3万人となり、雇用増加の勢いが少しずつ和らいでいる(「Topics2025年1月13日 求人の強さを確認」参照)。
雇用者数は170.7M人となった(Table B-1. Employees on nonfarm payrolls by industry sector and selected industry detail)。業種別増加数は次の通り。相変わらずサービス業での需要が高い。
失業率は4.0%に低下した(Table A-1. Employment status of the civilian population by sex and age)。
労働市場参加率は今月も62.6%と若干上昇した。
25~54歳の労働市場参加率は83.5%とわずかに上昇(BLS)。
労働市場に参加していない人の中で仕事を得たいと考えている人数は、わずかに減少。
長期失業者(27週以上)の失業者全体に占める割合は、21.1%と低下を続けている。
労働市場の需給は依然として締まっている感じである。

※ 参考テーマ「労働市場

2月10日(2) EEOC事務局長代行指名
Sources : EEOC names Andrew Rogers acting general counsel (HR Dive)
Firing of EEOC commissioners may test 90-year-old SCOTUS ruling on presidential powers (HR Dive)
2月4日、トランプ大統領は、EEOCのActing General Counselとして、Andrew Rogers氏を指名した(Press Release)。
【2025年2月10日時点】
役 職氏 名政 党指名者任 期
Acting Chair
2025.1.20~
Andrea R. LucasRPresident Trump2020.9.22~2025.7.1
Commissioner(Charlotte A. Burrows)(D)(President Obama)(①2014.9.12~2019.7.1
②~2023.7.1
③~2028.7.1)
Commissioner(Jocelyn Samuels)(D)(President Trump)(①2020.10.14~2021.7.1
②2021.7.14~2026.7.1)
CommissionerKalpana KotagalDPresident Biden2023.8.9~2027.7.1
Commissioner -
Acting General CounselAndrew RogersPresident Trump
一方、トランプ大統領から解任された元EEOC委員達は、訴訟の検討を進めている(「Topics2025年1月29日 NLRB/EEOC委員解任」参照)。この訴訟が行なわれれば、連邦政府独立機関の委員の地位を保護するとの1935年の連邦最高裁判決(Humphrey’s Executor v. United States)の是非が問われることになる。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

2月5日 求人意欲はどちらへ向かうのか
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
2月4日、BLSが、12月末の求人数を発表した。12月末の求人数は760.0万人で、前月比6.8%の減少となった(「Topics2025年1月8日(1) 求人意欲は強いまま」参照)。
労働力人口に占める求人数の割合は4.5%に低下した。
新規雇用数は546.2万人と増加した。
失業者数/求人数は、0.9で横ばいであった。
12月の自発的失業(Quits)は319.7万人と微増であった。全体的な減少傾向は継続している。長期的にみても、パンデミック以前のレベルを下回ってきている。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2024年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2024年
アトランタ連銀による時間給のデータは、12月の前年比で4%台前半で、概ね収束している状況が続いている。

Federal Reserve Bank of Atlanta's Wage Growth Tracker
自発的失業は減っているものの、企業の求人意欲はこれからどちらを向いていくのか。

※ 参考テーマ「労働市場

2月4日(1) PFLとB penalty
Source :2025 Federal Poverty Level Announced: Impact on ACA Affordability (Foreward)
1月17日、2025年のFPL(Federal Poverty Level)が公表された。単身者の引き上げ率は3.9%。
2024年:$15060 ⇒ 2025年:$15650
このFPL引き上げは、PPACAの企業ペナルティ(B penalty)と深く関連している(「Topics2024年9月11日 2025年ACA企業ペナルティ」参照)。保険料の所得に占める割合が一定数(2025年は9.02%)を上回ると、企業はBペナルティを支払わなければならない。その所得としてカウントできるものとして、3つのカテゴリーが認められている(「Topics2021年9月10日 企業ペナルティの現状」参照)。
  1. 従業員の給与(Employees' W-2 wages)

  2. 従業員の時給(Employees' rate of pay):「時給×130時間」または「月給」

  3. 個人のFederal Poverty Level(FPL):2021年は$12,880/12(=$1,073/M)
上記1.や2.は変動するため、予めBペナルティを回避するためには、3.のFPLが多用されることになる。

ところが、保険料、Bペナルティは前年に決定されるが、FPLは、今回のように年が明けてからの公表となる。そこで、次のような措置が認められている。
  1. 保険プランが2025年1月から始まる場合:2024年のFPL($15060)を利用して算定する。2025年については、月額保険料が$113.20(=$15060*9.02%/12M)を上回らなければ、Bペナルティは課されない。

  2. 保険プランが2025年2月から6月までの間に始まる場合:2024年のFPL($15060)、2025年のFPL($15650)いずれを利用しても構わない。実務的には2025年のFPLの方が高いので、こちらを利用した方がBペナルティを回避しやすい。

  3. 保険プランが2025年7月から12月までの間に始まる場合:2025年のFPL($15650)を利用して算定する。2025年については、月額保険料が$117.64(=$15650*9.02%/12M)を上回らなければ、Bペナルティは課されない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン

2月4日(2) ECI伸び率3.8%
Source :Employment Cost Index Summary (BLS)
1月31日、昨年12月のEmployment Cost Index(ECI)が公表された。
  1. 雇用市場全体の雇用コストは前年同期比3.8%増と、若干の伸び率低下となった(「Topics2024年11月1日(1) ECI伸び率3.9%」参照)。
  2. 民間セクターの賃金の伸び率は、低下基調を続けている。
  3. 足許の3ヵ月前との比較では、公的部門、民間ともに低下基調が続いている。
    労働市場の落ち着きを反映している。

    ※ 参考テーマ「労働市場

2月4日(3) 労組組織率は上昇せず
Source :Union Members Summary (BLS)
1月28日、BLSは2024年の労働組合加入率/組織率を公表した。長期逓減は変わらない。
一方、2024年8月時点での労組支持率は70%にまで回復している。
自分は労組に加入しないけど、労組は頑張ってね、ということなのだろうか。

※ 参考テーマ「労働組合

2月4日(4) Public option加入者増加
Source :Hospitals cry foul as public option enrollment rises (Modern Healthcare)
公的医療保険である"Public health insurance option"(public option)は、WA州、CO州で導入されている(「Topics2022年2月23日(3) WA州Public Option一年目」「Topics2022年6月29日(2) CO州:公的プラン1月始動」参照)。この2州では、2025年のpublic optionへの加入者が急増しているという。

その最大の要因は、保険加入者の負担を軽減するために、診療報酬にキャップを設けていることにある。 併せて、Exchangeにおける保険料補助金の減額が予定されていることもあるのだろう(「Topics2024年7月29日 Exchange補助金のインパクト」参照)。

上記sourceによれば、NV州が近く採用する予定と伝えられている。保険料負担が増えていく中で、public optionという選択肢は徐々に広がっていくのかもしれない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/WA州」、「無保険者対策/CO州」、「無保険者対策/その他州」、「無保険者対策/州レベル全般

2月3日(1) EEOC性自認案件調査中止
Source :EEOC tells its workers to halt LGBTQ+ discrimination claim processing (HR Dive)
EEOC職員は、性志向、性自認に関連する差別案件の調査を、一時停止するよう指示された。この指示は、トランプ大統領令に基づく動きだと思われる(「Topics2025年1月21日(2) 大統領令で性自認を否定」参照)。

※ 参考テーマ「LGBTQ」、「人事政策/労働法制

2月3日(2) Medicaid大混乱
Sources : White House response adds to confusion on federal funding freeze (NPR)
Trump’s Funding ‘Pause’ Throws States, Health Industry Into Chaos
1月27日、トランプ政権は、各連邦機関に対して、補助金の支出を一旦止めて、それらの支出がトランプ大統領令に沿っているかどうかを確認するよう命じた。翌28日の午前中、各州の保健当局は、Medicaid連邦政府の負担に関するオンライン窓口から締め出された状態であることを確認した。これにより、各州はパニックに陥り、トランプ政権の補助金支出停止を差し止めるよう裁判所に訴え、裁判所はこれを認めて仮差し止めの措置を下した。

こうした混乱を踏まえ、トランプ政権は、公的年金、Medicareに加え、Medicaid、SNAPは対象外であるとの文書(FACT SHEETS)を公表した。

現時点で、Medicaidは連邦財政に大きく依存しており、連邦政府の補助金は命綱でさえある。政権内の意思疎通がしっかりできていなかったことが、こうした混乱をもたらした要因であろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般