Source : | With Medical Debts Rising, Doctors Are More Aggressive About Payments (Kaiser Health News) |
上記sourceで紹介されている調査によると、2008年から2012年の間に、医療機関が抱える不良債権が14%増加している。
その原因が、と指摘されている。
- 景気の後退
- 高免責額制
高免責額プランは、ここ数年、HSAとのセットで急速な広がりを見せている(「Topics2014年2月17日 HRA & HSA」参照)。加えて、Exchangeで提供されるプランの自己負担上限額が事実上廃止され、当初の想定を大きく上回る高免責額が設定されているプランが圧倒的に多い(「Topics2014年1月23日 給付率レベル別の『超』高免責額プラン」、「Topics2014年4月4日 免責額上限撤廃」参照)。
前日紹介した通り、2015年の保険料が引き上げられるのであれば、その上げ幅を少しでも和らげるために、免責額をさらに引き上げる動きも出てくるだろう。
保険免責の間は自己負担で賄わなければならず、医療機関の診療費回収は、ますます重要となってくる。上記sourceでは、医療機関側の回収手段として、などを講じているという。クレジットカードによる支払いができる人は、低所得層では限られているのではないだろうか。今後は、『保険料が払えない』から『免責額が負担できない』に課題が移っていくのではないだろうか。
- 債権回収機関(サービサー)に回してしまう
- 診療が開始される前に支払いを求める
- さらに、その際、クレジットカードによる支払いを求める
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Aetna: Late Obamacare changes account for half of 2015 premium increases (Washington Post) |
大手保険会社の第1四半期の決算発表が続いている。そうした中、大手保険会社の一つであるAetnaの経営者がPPACAの下での今後の経営戦略を語っている。当websiteの関心事項は次の通り。やはり、保険料の引き上げは避けられないようである。また、Co-opsとの競合は厳しいものがあるようだ。
- Exchangeに保険プランを提供しているのは17州。2015年もその程度になろう。
- Exchange内外を含め、個人保険市場の収入は、Aetna全体の5%しかなく、大きな割合にはなっていない。
- 2015年の保険料引き上げ幅は、極めて低いものから2桁まで、様々なものとなろう。
- そうした中、保険料引き上げ要因の半分は、Obama政権による政策変更(例えば、不適格プランの存続許可)によるものである。
- 2014年中に、Co-opsとの競合を理由に撤退した地域がある。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「CO-OP」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Health Overhaul May Spell End to Employer Coverage, Author Predicts (New York Times) |
上記sourceは、University of PennsylvaniaのEzekiel J. Emanuel教授の著作 "Reinventing American Health Care: How the Affordable Care Act Will Improve our Terribly Complex, Blatantly Unjust, Outrageously Expensive, Grossly Inefficient, Error Prone System." の内容を紹介している。
著者は、今はシカゴ市長となっているRahm Emanuelの兄であり、共にObama大統領のもとでPPACAの成立に尽力した人物である。
そのEmanuel教授の主張は次のようなものである。Obama大統領、民主党ともに、企業提供プランが大きく減少するようなことは意図していないはずである。さて、どのような姿が生まれるのか。2018年以降が勝負である。
- PPACAのもとで、医療保険プランを提供する企業の割合は、現在の60%弱から2025年までに20%以下に低下する。
- その最大の要因は、"Cadillac tax"である(「Topics2012年10月30日 Cadillac Taxのインパクト」参照)。
- PPACAは、企業に対し保険プラン提供義務を課しており、フルタイムワーカーに提供しない場合にはペナルティが課される。
- しかし、ペナルティはフルタイムワーカー一人当たり$2,000であり、多くの大企業は、これを大きく上回る医療保険コストを負担している。
- 企業が保険プランの提供を止めてペナルティを払ったとしても、賃金を引き上げ、従業員をexchangeに送り込んでも、充分おつりがくる。
ところで、上記sourceを読んでいて、初めて知ったことが2点あった。ただし、2点目はEchangeが有効に稼働していれば、ということになる。
- 企業が保険プランを提供するようになったのは、第2次世界大戦中であった。当時、賃上げ幅が規制されていたため、多くの企業が賃上げに代えて手厚い補助を付けた保険プランを提供するようになった。
- 学者の間では、リベラル派であれ保守派であれ、企業提供保険プランが減少することは好ましいと考えている。それは、コスト抑制につながる、加入者の選択肢が多様になる、と考えているからである。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Taking a New Route (Human Resource Executive Online) |
California州法により、San Francisco市の特定地域の事業所は、通勤ベネフィットの提供を義務付けられることとなった(Commuter Benefits Program)。概要は次の通り。上記sourceによると、SF市にある企業の多くは、既にこのような通勤ベネフィットを提供しており、改めて法律改正に対応する必要のあるところは少ないようである。また、全米の主要都市でも、こうした取り組みが増えているそうだ。通勤のための交通渋滞、排気ガスを減少させるための取り組みは進みつつあるというのが現状認識になっているようだが、唯一、逆方向を向いているのが連邦政府で、上記sourceでも批判している(「Topics2013年12月21日 通勤は自家用車優先」参照)。
- 対象企業:Bay Area Air Quality Management District に指定されている9郡にある、フルタイム従業員50人以上の企業。
- 施行時期:2014年9月30日
- 通勤ベネフィット提供対象者:週20時間以上の勤務時間のある従業員
- 企業が提供すべき通勤ベネフィットの選択肢
- 通勤交通費またはvanpool費用を、連邦所得税が既定する範囲内で非課税にする。
- 通勤交通費またはvanpool費用に対し、月額$75を上限に補助金を提供する。
- 通勤のための交通手段(バス、シャトル、vanpoolなど)を提供する。
- 他の手段と同様の安価な通勤ベネフィット、または車の排気量を減らすことのできる代替手段を提供する。
でも、D.C.やNYを見ていると、地下鉄やバスでの通勤が普及しているような感じはしないけどな・・・・・・。
※ 参考テーマ「ベネフィット」
Sources : |
Bankrupt City Fighting to Open a Crack in California’s Pension Agency (New York Times) Pensions still cloud Stockton bankruptcy exit (Calpensions) |
財政破綻したCA州の3市が、再び年金問題でCalPERSと争うことになるかもしれない。Moody'sは、この2月、年金債務を見直さない限り、3市とも再び財政破綻に陥る可能性が高い、としている。強面のCalPERSと体力が消耗してしまった自治体の対立は長く続きそうである。
- San Bernardino市(SB市)
財政上の制約からCalPERSへの拠出を一時停止していた。この間に未払いとなっている拠出金が$17Mにのぼる(「Topics2013年11月21日 SB市の未拠出金」参照)。この3月に就任した新市長は、『Chapter 9から抜け出すための再建計画では、この$17Mの負債を大きく削減する必要がある』としている。また、破産裁判所の判事も、『Vallejo市のように再び破綻の危機に見舞われるような再建計画は認めない』と公言している。
- Stockton市
再建計画に関する債権者との協議は、債務総額の95%まで合意が得られた(「Topics2013年11月9日 Stockton市:市民投票で増税承認」参照)。残る5%の債権者は、『年金債務に手をつけない計画は不公平であり、年金債務に手を着けなければStockton市は再び財政破綻に陥る』との考えを崩していない。
- Vallejo市
年金拠出の負担が重く、歳出入ギャップが拡大している(「Topics2014年3月15日 Vallejo市:再び破綻の危機」参照)。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Obama administration prepares to take over Oregon’s broken health insurance exchange (Washington Post) |
Oregon州(OR)は州立Exchangeを創設しながら、システムの決定的な欠陥によりオンラインで加入できた州民は一人もいなかった(「Topics2014年2月5日 州立Exchangeの明暗」参照)。こうした悲惨な状態を受け、連邦政府とOR州は、25日にも、Exchangeを州立から連邦立に移行することで合意する見込みだ。
連邦政府は、OR州と同様に重大な欠陥が生じているMD州、MA州についても、連邦立への移行を検討しているそうだ。
仕方ないとは思うが、もし仮にこの3州が連邦立に移行してしまえば、PPACAが本来想定していた州立Exchangeを運営する州は、たったの15(14州+D.C.)となってしまう。なんとも寂しい結末である。 ※ 参考テーマ「無保険者対策/OR州」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Obamacare Triggers Jump in U.S. Consumers’ Health-Care Spending (Bloomberg) |
2月の家計の医療支出が急増したそうだ。医療費急増の主因は、Medicaidへの加入増のようだ。昨年後半あたりから、今年になればMedicaidに加入できるようになると見越して、診療・治療を待っていた低所得者層も多かったようである。
- 2月の消費支出は年率で$20.4B増となったが、そのうち約$13BはPPACA本格実施に伴う医療支出の増分とみられている。
- また、家計支出のうち医療支出が占める割合は17.1%となり、昨年12月の16.9%から上昇した。
- 2月の個人所得は年率で$47.7B増となったが、そのうち約$11.4BはMedicaidに基づく所得移転であった。
- 1月のMedicaidに基づく所得移転は$19.3Bで、特別失業給付の廃止に伴う所得移転$16.7Bを上回った。
おそらく、今年の前半はMedicaid拡充に加え、高免責額に伴う自己負担分が大きな増加要因になるのではないかと思う。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | New Resource on State Marketplace Design and Policies (CBPP) |
PPACAに基づき設立された"Exchange"には、次の通り、3種類がある(「Topics2012年5月19日 Exchange申請期日」参照)。上記sourceでは、そのうち最初のSBMについて、どのような特徴があるのかを分析している。ポイントは次の通り。
- State-based Marketplace (SBM)
- State Partnership Marketplace (SPM)
- Federally-facilitated Marketplace (FFM)
SBMの多くはブルーステーツである。熱心に取り組んだ州では、Exchangeのwebsiteも作り込まれているようである。
- 11州で、SBMを運営するための独立行政機関を設置している。行政機関の運営委員会は、専門家や重要なステークホールダーで構成されている。ただし、多くの州で、保険会社ははずしている。
- SBMに提供される保険プランの標準化を図り、保険料や医療機関ネットワークの比較が容易にできるように工夫している。
- オンライン加入申請のためのアカウントを設置する前に、医療保険プランをweb上で閲覧できるようにしている(「Topics2013年10月11日 州立Exchangeは健闘」参照)。
- SBMの多くで、保険料、免責額、医療機関などにより、保険プランを検索できるようにしている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | The Fiscal Health of State Pension Plans: Funding Gap Continues to Grow (The PEW) |
上記sourceによると、2012年の州政府職員年金の積立不足は$915Bとなり、2008年以降、拡大が続いている。 積立不足拡大の最大の要因は、2008年のリーマンショック時に発生した資産評価額の落ち込みに関する遅延認識とのことである。州政府職員年金は、評価額の落ち込みを5年間で認識するので、その効果は2013年まで続くものとみられている。
そうなると、2013年の積立不足はどうだったのか。先日紹介したレポートでは、金利の上昇に伴う債務認識額の減少が効いて積立比率は上昇している(「Topics2014年3月10日 州政府年金財政改善」参照)。額と率の違いがあるので一概に比較はできないが、そろそろ州政府職員年金の財政状況は改善方向に向かいつつあるのではないか。
※ 参考テーマ「地方政府年金」