Source : | State Pension Funding Reaches 75%, Wilshire Says in Study (Bloomberg) |
州政府年金の積立比率が改善しているそうだ。上記sourceによれば、次の通り。上記sourceで紹介されているコメントでは、『株式市場が好調だったから』とされているが、長期金利がじわじわと上がってきて、認識すべき債務が少し小さくなったことも大きい。金利が正常化してくると、年金財政も健全化してくる。州政府財政も一息つけるようになるかもしれない。
- 2007年:95% ← 最近10年で最高
- 2008年:81%
- 2009年:64% ← 最近10年で最低
- 2012年:72%
- 2013年:75%
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Boeing to freeze pension fund for non-union employees, executives in 2016 (Pensions & Investments) |
Boeing社が、非組合員、管理職のDBプランを2016年1月から凍結し、DCプランへ移行することを決定した。これにより、おそらく全従業員がDCプランへ移行することとなる(「Topics2014年1月7日 Boeing:新型機種はWA州で」参照)。
Boeing社のように、熟練工が必要と思われる企業でも全面DCプランになってしまうのは、隔世の感がある。
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」
Sources : |
Health Law’s Small Co-ops Have Had a Mixed Success So Far (New York Times) Co-Ops Report Early Enrollment Successes And Expansion Plans (Kaiser Health News) |
PPACAにより新たに創出された保険組織"Co-ops"について、いろいろな評価が出ている。
まず、Exchangesにおけるここまでの主な加入状況は、次の通り。Co-opsへの加入が好調な州に共通しているのは、保険プランの各カテゴリー別(bronze, silver, gold, platinum)で、保険料が最も安くなっていることだそうだ。つまり、価格競争力を発揮できたCo-opsが成果を挙げているということになる。
- Co-opsへの加入者数
- 現時点で約30万人(Exchange全体の加入者数は約400万人)
- Co-opsが参入している23州で、Co-ops加入者数の割合は15〜20%
- Co-opsへの州別加入状況
- 好調な州:ME, KY, NY, NM, MT
- 不調な州:CT, MI, IL,
このことが、州全体の保険料を抑制することにつながっており、Co-opsが参入している州の保険料は、参入していない州よりも8.5%安くなっているという推計もある。
こうした現状から、Co-opsの課題も浮かび上がってくる。Co-opsの成功はPPACAの成功につながる。
- 今後も保険料を抑制し続けられるかどうか。
- Exchangeにおける個人・小規模グループ保険だけでなく、企業向け保険プランにどれだけ進出できるか。
※ 参考テーマ「CO-OP」
Source : | Health insurance marketplaces signing up few uninsured Americans, surveys say (Washington Post) |
保険プラン加入状況に関する世論調査結果(McKinsey & Co.)が公表された。つまり、無保険者による保険加入は進んでいないのではないか、との示唆が伺われる。
- 2月までにExchangeを通じて保険加入した者のうち、過去1年間無保険だった者は27%。
- 無保険だった者のうち、実際に保険料の支払いを開始したのは1/2超。(⇔保険プランを変更しただけの人では9割が支払い開始。)
- 無保険者で保険加入を考えていない人達の最大の理由は、『保険料を支払う余裕がない』というものであった。
- 調査対象者にMedicaid対象者(低所得者)は含まれていない。
一方、連邦政府・州政府の情報収集状況はどうなっているか。これでは、3月末に加入申請を締め切ったところでどれだけ無保険者が加入したのか、減少したのかわからないことになる。PPACAは無保険者を減らすことが最大の政策目的であったはずである。その目的が達成できたかどうかが確認できないことになる。結果は、ずっと後のセンサスで判明することになるのだろうか。
- 連邦立Exchangeで、紙ベースでの申請の場合、無保険者であった場合にはチェックする項目がある。
一方、webから加入申請した場合、該当する項目はなく、無保険者であったかどうかはわからない。
- 州立Exchangeでは、New York州だけが確認をしている。保険加入した50万人のうち、約70%が無保険者であったと申告している。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | Obama Extends Renewal Period for Noncompliant Insurance Policies (New York Times) |
昨年、PPACA執行に関する最大の躓きの一つとなった『不適格医療保険プラン』の取り扱いについて、5日、Obama政権は、1年間の延長に上乗せして、さらに2年間の延長を認めることを発表した(「Topics2013年11月15日 Obama大統領の弥縫策」参照)。
これにより、給付内容が基準に達していない不適格保険プランへの加入が、2016年10月一杯まで有効となる。
昨年11月の1年間延長措置について、そのまま認めた州は少なくとも27州あり、不適格プラン契約は50万本、加入者数は約150万人と言われている(Los Angeles Times)。
アメリカの全人口からみれば大した数字ではないように思えるが、今月一杯で締め切られるExchangeへの加入者数目標(HHS)が700万人であったことを考えると、その影響は無視できない規模であろう(「Topics2014年1月15日 Exchange:3ヵ月間の加入実績」参照)。
Obama政権は、今回の措置を『円滑な本格施行のため』としているが、中間選挙対策、特に民主党候補者達への支援策であることは明白である。
確かに、最近のUrban Instituteの調査によれば、特に、民間保険の加入者、健康的な人の間でPPACAは不人気となっている(Businessweek)。しかし、今回の措置については、3つの問題があると考える。
なお、その他の通達事項としては、来年の保険契約のための"open enrollment period"を、11月15日〜2015年2月28日までとすることが示された(Los Angeles Times)。
- 若者・健康な者のExchange加入が抑制される。それに伴い、Exchangeの保険料を引き上げざるを得なくなる。この問題は、どの報道機関も論じており、1年間の延長措置を認めなかった州政府もそのような理由からであろう。従って、本当にさらに2年間も延長する州政府がどれだけ出てくるのか、本当に民主党候補者たちへの応援になるのかどうか、疑問が生じる。
- 延長期間が2年間とはどういう意味を持つのか。円滑な移行だけが目的であれば、元々の1年間の措置で充分な筈である。それをさらに延長するということは、中間選挙直前に、再びキャンセル・レターが出回ることを回避するためであろう。しかし、2年間の再延長となると、今度は2016年大統領選・議会選挙直前(2016年10月)にキャンセル・レターが出回ることになる。民主党政権は、その時点で延長措置を停止することができるのだろうか。
- 最後に、Obama政権のガバナンスへの疑問である。Obama政権1期目の最大の功績と位置づけてきたPPACAについて、本格施行段階になって、次々と、しかも『五月雨式』に施行延期を連発している。これでは本当に法治国家なのか、と疑いたくなる。同性婚や最低賃金など他の政策分野の議論でも、立法ではなく大統領令による制度変更を行っていることからも、現政権と連邦議会の関係は異常に思える。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | The President's Budget for Fiscal Year 2015 (White House) |
3月4日、Obama大統領が予算教書演説を行った。中間選挙にあたる年の予算教書は、事実上、選挙戦開始の号砲となる。マスコミからは『理想的だが実現性に乏しい』との酷評を受けている。
当websiteとしての関心事項は次の通り。ところで、選挙戦開始のための広報媒体には、痛みを伴う政策は掲載されない。その典型的な例が3つあった。
- 低所得者対策(New York Times, Center on Budget and Policy Priorities)
- 子供のいない世帯のEITCを倍にする。併せて対象年齢も拡大する。その財源($60B/10Y)は、富裕層の所得税増税により賄う。
- 最低賃金を$10.10/hに引き上げる。
- 移民制度改革を実現する。
- 医療サービス提供拠点の拡充、プライマリーケア医師の育成
- 失業給付の延長
- MyRAの創設
- PPACAの執行
上記Aは、移民制度改革を推進するといいながら、不法移民への社会保障給付を厳しく切る話になるので、反発は必至だ。
- 不法移民のMedicare受給禁止徹底(New York Times)
既に法制上は、1997年に、不法移民はMedicareを受給できないことを明確にしていたが、実務上は徹底していなかった。今回はこれを徹底する。
- 年金優遇税制の縮小(Pensions & Investments)
- 個人所得が$183,000)、夫婦所得が$225,000以上の場合、年金プラン等への非課税拠出の上限を28%とする。
- これにより、$1B/Yの税収増を図る。
- PBGC保険料の引き上げ
$20Bの保険料収入増を図る。手法は明確にされていない。
※ 参考テーマ「一般教書演説」、「解雇事情/失業対策」、「労働市場」、「移民/外国人労働者」、「Medicare」、「企業年金関連法制」、「PBGC」
Source : | U.S. Labor Market Has Recovered Slowly and Only Partially Since the End of the Recession (CBO) |
CBOが労働市場の回復が遅れている要因を分析している。
労働市場参加率を押し下げる最大の要因は高齢化だそうだ。しかし、これだけのスピードで労働市場から退出していく人が増えるのは、高齢化だけではなく、就職を諦めた人達、適切な教育を受けられずに需給のミスマッチで押し出された人達も多いのだろう。
- 2013年末の長期失業率が、最低時の2007年末に較べ、いまだに2%ほど高くなっている。 その要因分析は次の通り。
Percentage Points About 1 Cyclical weakness in demand for goods and services About 1 Structural factors—specifically: About ½ Stigma and erosion of skills from long-term unemployment About ½ Decrease in efficiency of matching workers and jobs, at least partly from mismatches in skills and locations - 同じ時期、労働市場参加率は3%程度下落している。その要因分析は次の通り。
Percentage Points About 1 ½ Long-term trends (primarily aging of the population) About 1 Cyclical weakness in job prospects and wages About ½ Discouraged workers who have dropped out of the labor force permanently - 今後10年間にわたり、失業率、労働市場参加率ともに、ゆっくりと低下していくと推測している。
2007年末 2017年末 2024年末 失 業 率 4.8% 5.8% 5.5% 労働市場参加率 66.0% - 60.8%
アメリカ社会はこれだけ働かない人達が増えることを許容できるのだろうか。社会保障は支えられるのだろうか。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Aon Hewitt Research: Employers Will Continue Sponsoring Health Benefits for Employees and Retirees, but Deliver Those Benefits in New Ways (AON) |
企業の医療保険プラン提供戦略について、AONが調査結果をまとめ、公表した。1230社、従業員1,000万人以上が調査対象企業に含まれている。主な調査結果は次の通り。AONの宣伝的要素がぷんぷん臭うが、"Exchange"の活用がキーワードとなることは間違いなさそうだ(「Topics2012年10月2日 民間版"Exchange"を使え」参照)。
- 現役社員向け
Now
3-5 Years
Manage risk via "House Money/House Rules" approach
40%
36%
Move to a private health exchange
5%
33%
Exit health care completely
1%
5%
Maintain traditional trend mitigation approaches
52%
21%
- 95%の企業が現役社員に対する医療保険プランの提供を継続する、としている。
- ただし、今から3〜5年の間に、その提供の仕方を変えていこうとしている。
- 現在は、従業員により役割を担ってもらう方向に動いている。いくつかの選択肢を設けて従業員に選択してもらう、健康管理のインセンティブを設けてコストを低下させる、など。
- 今後3〜5年の間は、民間版"exchange"への移行を目指している企業が多くみられる。
- パートタイマーを公立"Exchange"に振り向けることもできるが、そうしようとする企業は少なく(38%)、2/3の企業はフルタイマーと同レベルの給付を継続しようと考えている。
- 退職者向け(65歳未満)
・調査対象の424社(退職者数380万人)のうち、20%の企業は、今後3〜5年の間に、全ての退職者を個人保険市場/Exchnageに移行させようと考えている。
- 退職者向け(65歳以上)
・多くの企業が、個人向けMedicare医療保険プランへの移行、特に民間版"Exchange"への移行を真剣に検討している(「Topics2013年11月25日 Exchangeの進化」参照)。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「Medicare」
Source : | Could Medicaid Expansion Debate Turn Into An Immigration Issue? (Kaiser Health News) |
州知事、州議会両院とも共和党が握っているFL州で、Medicaid拡充策について真っ二つに議論が分かれている。そのポイントは次の通り。州知事・州議会上院共和党は、既に実績のあるAR/IA州方式を目指しているのである(「Topics2013年10月4日 AR州Medicaid拡充策を承認」参照)。ところが、下院共和党は、連邦政府がいつまで負担するのかわからない、との不信感から、制度の全面拡充に反対している。
州知事・州議会上院共和党 州議会下院共和党 拡充策 低所得層が民間保険を購入する際に
保険料補助金を提供する同 左 財 源 連邦政府:$66B/10Y
州政府:$5B/10Y州政府:$5B/10Yのみ 拡充対象者 76万人 ?
これに業を煮やした上院共和党は、今後の州議会で、Medicaidを拡充しないのは、連邦政府からの巨額の送金をみすみす逃すばかりでなく、低所得の州民と(合法)移民との間の不公平を生み出してしまう、との論点を加えて強力に推進しようとしている。 上記sourceによれば、世の中であまり注目されていないが、PPACAでは、低所得の移民には、次のような要件の下、民間保険購入に補助金が提供されることになっている。このように、移民は特例で低所得層でも補助を受けながら、民間保険を購入することができる。
- 移民が認められてから5年以内(移民は認められてから5年間はMedicaidに加入できない)(「Topics2013年2月19日 Emergency Medicaid」参照)
- 勤務先から医療保険プランの提供を受けていない。
- 所得水準に関する要件は、一般のPPACAと同様。
一方、一般州民のMedicaid加入資格は厳しく限定されている。このままいけば、同じ低所得でも、従来からの住民は医療保険購入への補助が受けられず、新参者の移民は補助を受けられる、という構図になってしまうという訳だ。
Center on Budget and Policy Priorities
Mecicaid拡充議論に、『移民』というセンシティブな新しい論点を加えることが吉と出るか凶と出るかはわからない。しかも、それが共和党内部での論争になっていることも混乱を招きそうである。
※ 参考テーマ「無保険者対策/FL州」、「無保険者対策/州レベル全般」、「移民/外国人労働者」
Source : | Reflecting on Health Reform - Narrow Networks: Boon or Bane? (The Commonwealth Fund) |
Exchangeに参加している保険会社等は、プラン保険料を抑制するために保険給付のための医療機関ネットワークを絞り込んでいる。このことが医療機関へのアクセスを制限することになるとの批判が相次ぎ、連邦政府も医療機関ネットワークを拡大するよう要請を開始している(「Topics2014年2月10日 ネットワーク拡大要請」参照)。
しかし、上記sourceは、ネットワーク絞込みのどこがいけないのか、医療コスト抑制のためには当然ではないか、との論陣を張っている。まさに、連邦政府のネットワーク拡大要請など要らぬお世話だ、という主張だ。
- Exchangeにおいて、各カテゴリー毎(4段階)に、保険プランの内容比較が容易になった。このことにより、保険会社は保険料に関して圧力を感じるようになる。
- かつては給付を抑制する、または健康な者だけを加入させるということにより保険料競争を行なったが、PPACAのもとでは、各カテゴリー毎に給付内容の最低水準が示され、既往症に拘わらず保険会社には応諾義務が課された。従って、保険会社は加入者が利用する医療のコストを抑制するしかなくなった。
- 質を確保しながらコストを抑制するためには、実績のある医療機関(医師)との間で抑制した診療報酬で契約することになる。
- 医療機関は、ある程度安い診療報酬でも、ボリュームを確保できれば経営は成り立つ。また、医療機関側も絞り込まれたネットワークに入るためには診療報酬を抑制せざるを得ない。
- 他の先進諸国は公定価格により保険料を抑制しているが、アメリカではそれはタブーになっている。そうであれば、加入者のアクセスが抑制されるのも仕方ない。
ただし、本当にこうしたメカニズムが働くのであれば、PPACAの成立を待つまでもなく、保険会社と医療機関の間でそうした内容の保険プランを作り上げることができたのではないだろうか。むしろ、保険会社が医療機関の質を計量化できない、医療機関側の経営統合ということから、医療機関側の価格交渉力が増してきたことが保険料を吊り上げてきたのではないか。もしそうであれば、絞り込まれたネットワークの中で医療機関の交渉力はますます強くなっていくのではないだろうか。
ネットワークの絞込みの是非を判断するには、そうした構造分析が前提になると考える。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「医療保険プラン」