Source : | Bad News for Obamacare: More Insurance Sends More Patients to Pricey ERs (Businessweek) |
OR州のMedicaid拡充策に関する追跡調査の続報である(「Topics2013年5月4日 Medicaid拡充は効果薄」参照)。
今回新たに公表された結果は、救急診療(ERs)の利用に関するものである。
以前のレポートでは、慢性疾患に関する改善はあまり見られないことが報告されている。これでは、Medicaidを拡充すれば医療費全体を抑制することができる、というPPACAの大前提が揺らぐことになる。もっとも、慢性疾患への影響などはかなり長期にわたって検証する必要がある。
- OR州で新たにMedicaid拡充の対象となった者は、ERsの利用を40%増加させた。
- 新Medicaid加入者にとって、ERs利用に伴う負担が軽くなったので、その利用を増やすのは自然である。
- 同時に、新Medicaid加入者は、プライマリー・ケア診療に通う頻度も高くしている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/OR州」
Source : | Detroit emergency manager opts to delay pension freeze (Reuters) |
昨年12月の破産裁判所の判決に基いてDetroit市が講じる年金プラン凍結措置の内容が、1月6日に明らかになった(「Topics2013年12月5日 Detroit市:Chapter 9再建開始」参照)。その内容は次の通り。上記措置は、昨年12月30日に発令され、今年1月6日になって公表された。
- 新規採用者、再雇用者には、年金加入資格を賦与しない。
- 現役加入者の年金受給額を増やさない(=市の拠出を停止する)。
- 本人拠出を停止する。
- 上記措置の対象となる現役加入者について、1月1日付でDCプランを導入する。
- 受給者(=退職者)への給付について、COLAを停止する。
ところが、年金基金側からの猛反発を受け、公表のわずか数時間後にこれら凍結措置の"一時凍結"が発表された。年金基金としては、現在、第6控訴裁判所で係争中であり、とんでもない措置であるとの主張を繰り返してきたようだ。
市の財政再建担当局は、年金基金との間で積立不足の処理に関する合意が得られなければ、プラン凍結を実施すると主張している。
いよいよ、同市の財政健全化計画の中で年金プランに関する制度改正の議論が開始された。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Supreme Court halts same-sex marriages in Utah pending appeal (Washington Post) |
UT州の同性婚証明書発行に関する続報である(「Topics2013年12月27日 同性婚:連邦裁判所の介入」参照)。
UT州政府は、同性婚証明書発行の仮差し止めを請求していたが、連邦地方裁に続き、第10控訴裁判所もこれを棄却していた。しかし、1月6日、連邦最高裁がUT州政府の請求を認め、控訴審が結審するまで同性婚証明書発行を仮差し止めすることを決定した。
これにより、昨年12月20日から続いた同性婚証明書の発行はひとまず止められることになるが、既に数百件単位の証明書が発行された模様だ。
今後は、第10控訴審の判決を待つこととなるが、いずれにしても本件が連邦最高裁まで争われることは間違いない。その際、今回の仮差し止めの判断がどのように影響するのか、注目されるところである。
ところで、同性婚に関する州別の扱いについて、Washington Post紙がinteractive mapを提供している。この地図によると、上述の連邦最高裁の仮差し止めまでに、Utah州は約1,000通の同性婚証明書を発行したそうだ。かなりの規模にのぼっている。UT州政府は、その扱いについてどうするかは、判決が出てから検討するとしてペンディングにしている。かつてのCA州と同様、同性婚証明書を取得した同性カップルにとって、しばらくは不安定な状況が続きそうだ。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Boeing machinists agree to 777X contract on narrow vote (Washington Post) |
Boeing社と労働組合(International Association of Machinists and Aerospace Workers, "IAM")は、1月3日、労働協約について合意に達した。これにより、今後生産が予定されている同社の新型機種は、WA州Puget Sound地域内にある主力工場(Everett)で生産されることとなった。
IAMは、昨年10月に、同社から提示された労働協約案を圧倒的多数で否決していた。その際、同社が提示していた条件は、というものであった。
- 年金プランをDC型に移行する
- 新協約締結時に$10,000のボーナスを支給する
今回の協約案で同社が上積みした条件は、といったものだけである。今回、妥結に至った理由は、こうした労働条件の改善が評価されたのではなく、Boeing社がWA州外に新機種生産拠点を移転させることを検討していたことが大きい(「Topics2013年12月4日 Boeing工場争奪戦」参照)。WA州政府も水面下で相当動いた模様で、新機種生産がWA州内にとどまることになったため、約2万人の雇用と$20Bの経済活動が確保された、と手放しで喜んでいる。
- 2020年に$5,000のボーナスを支給する
- 歯科診療に対する保険給付を改善する
- 賃金構造を微修正する
そうした背景があったことは、IAMの投票結果からも読み取れる。労組員の投票結果は、51 v 49 と、文字通りの僅差であったのだ。労働組合員の間では、条件変更に得心がいっていないメンバーが多いのだ。それでも、地元から仕事がなくなることへの懸念から、渋々賛成票を投じた、ということであろう。
なお、日本では、『日本での生産も可能性があったが、アメリカ国内での生産を継続することになった』という主旨の報道が行なわれていたが、これはニュースの本質を間違えている。アメリカ国内外の問題ではなく、WA州内か他州なのか、という問題であったのだ。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | 1.3 Million People Lost Unemployment Benefits. It Could Get Ugly (Bloomberg Businessweek) |
今日6日、連邦議会が再開される。当面の議論の焦点は、連邦政府の失業給付延長プログラムである(「Topics2013年12月30日 失業給付延長打ち切り」参照)。
上記sourceでは、失業給付削減を先行して行っているNorth Carolina州(NC州)で何が起きたかを紹介している。このようにして見ると、先に紹介した失業給付延長打ち切りの影響は、『2. 失業率が低下する』となって先ずは表れてくるようだ(「Topics2013年12月30日 失業給付延長打ち切り」参照)。しかも、大量の労働市場退出者を伴って。
- NC州では、2013年7月1日以降、失業給付額の上限値を$535/Wから$350/Wに引き下げるとともに、給付期間も通常の26週から12〜20週に短縮した。
- 理由は、NC州の失業給付基金が枯渇し、連邦政府からの借入金も$2.5Bに達しているためだ。
- この措置のため、NC州の被用者は、連邦政府の失業給付延長プログラムの受給資格がなくなり、一気に給付期間の短縮が進んだ。
- その結果、昨年7月〜11月の間に、NC州の失業率は8.8%から7.4%に低下した。同時期、連邦レベルでの失業率の低下は0.6%ポイントにとどまった。
- NC州の雇用者数は、前年比6,082人増となったが、失業者数は101,901人の減少となった。つまり、差し引き95,009人が就職せずに労働市場から退出した、ということである。
- また、昨年10月のNC州労働市場参加率は、37年振りの低水準となった。
最後に余談だが、NC州のニックネームは、"Tar Heel"だそうだ。全く知りませんでした。
※ 参考テーマ「解雇事情/失業対策」、「労働市場」
Source : | Six Things That May Move Public Perception Of Obamacare (Kaiser Health News) |
今年本格稼動となったPPACAは、秋の中間選挙を控え、引き続き話題の中心になりそうだ。
上記sourceでは、そのPPACAが成功し、国民から支持を得られるようになるためにクリアすべき課題を6点挙げている。以下、その6点と、当websiteのコメントである。こうしてみると、中間選挙までにPPACAに対する評価を高めるためには、相当の頑張りが必要になりそうだ。
- どれだけの人数がExchangeを通じて保険加入するか?さらには、健康な人がどれだけ加入するか?
これはかなり怪しい。そもそもペナルティが安いことに加え、企業の保険提供義務を一年先送りしたこと、給付内容が不適格として従来加入していた保険をキャンセルされた人達もペナルティの対象にならないこと、などを考えると、加入人数、特に健康な人の加入人数は、想定をかなり下回るものと予想される。
- 保険加入者が必要なときに必要な診療を受けられるか?
これもかなり怪しい。Exchangeで提供される保険プランでは、保険料を抑制するために、医療機関のネットワークをかなり絞ったとされている。行き慣れた医療機関がネットワークに入っていないとか、特定の医療機関、診療科に集中して順番待ちが長くなるとかいった現象は、かなりの頻度で起こるとみられる。これに対して、国民がどれだけ我慢するかが鍵だ。
- コストがどうなるか。特に、2015年の保険料が抑制されたものになるかどうか?
これは、上記1.次第である。保険加入者数、健康な人の加入者数が充分に想定どおりであれば、2015年に大きく保険料を引き上げる必要はないだろう。しかし、想定どおりでなければ、大幅引き上げもあり得る。
- 勤務先を通じた保険加入がどうなるか?
企業の保険提供義務を一年先送りしたことにより、意思決定は今年中に行なわれることになる。特に、企業が低賃金の従業員、パートタイマーの加入資格をどのように扱うのか、がポイントとなろう。
- 加入者が保険加入してよかったと評価するか?
予防診療、保険料補助金などは評価の対象となろうが、最大の課題は高免責額である。これを新たな加入者がどのように評価するかがポイントとなろう。
- Medicaidを拡充する州が増えるか?
連邦政府と各州政府との間で柔軟な交渉が行なわれているため、若干の州で拡大することは見込まれる。ただし、連邦政府の財政健全化の中で、Medicaid拡充に伴う連邦政府負担が確実に行なわれるとの見通しが立つことが大前提である。ちなみに、失業給付については、連邦政府の負担による延長策は打ち切られたままになっている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | 13 states raising pay for minimum-wage workers (USA TODAY) |
年を越えて、13州で最低賃金が引き上げられ、1月1日時点で連邦政府が定める最低賃金($7.25/h)を上回る州が、21州+D.C.となった。 さらに、今年中に9州で最低賃金が引き上げられると見込まれている。その結果、2014年末には、連邦政府最低賃金を上回る州が過半を超えることとなりそうだ。
最低賃金引き上げにドライブがかかっているのは、失業率が低下し、就業者は増えているものの、賃金の低い職種(流通、レストラン)が主流となっていることがあるようだ。最低賃金を引き上げていかないと、景気回復の実感が得られないという焦燥感が突き動かしている。
同じ焦燥感は、連邦議会民主党、Obama大統領も共有しているが、連邦議会での最低賃金引き上げの動きは実現に向かって動いていない。
※ 参考テーマ「最低賃金」Consolidated State Minimum Wage Update Table (Effective Date: 01/01/2014)
Minimum Wage Laws in the States - January 1, 2014 (DOL)
Greater than Federal MW
Equals Federal MW of $7.25
Less than Federal MW
No MW Required
AK - $7.75
DE
AR - $6.25
AL
AZ - $7.90
HI
GA - $5.15
LA
CA - $8.00
IA
MN - $6.15
MS
CO - $8.00
ID
WY - $5.15
SC
CT - $8.70
IN
TN
DC - $8.25
KS
FL - $7.93
KY
4 States
IL - $8.25
MD
5 States
MA - $8.00
NC
ME - $7.50
ND
MI - $7.40
NE
MO - $7.50
NH
MT - $7.90
OK
NJ - $8.25
PA
NM - $7.50
SD
NV - $8.25
TX
NY - $8.00
UT
OH - $7.95
VA
OR - $9.10
WV
RI - $8.00
WI
VT - $8.73
WA - $9.32
21 States + DC 20 states
- The state minimum wage rate requirements, or lack thereof, are controlled by legislative activities within the individual states.
- Federal minimum wage law supersedes state minimum wage laws where the federal minimum wage is greater than the state minimum wage. In those states where the state minimum wage is greater than the federal minimum wage, the state minimum wage prevails.
- There are 4 states than have a minimum wage set lower than the federal minimum wage. There are 21 states (plus DC) with minimum wage rates set higher than the federal minimum wage. There are 20 states that have a minimum wage requirement that is the same as the federal minimum wage requirement. The remaining 5 states do not have an established minimum wage requirement.
- The State of Washington has the highest minimum wage at $9.32/hour. The states of Georgia and Wyoming have the lowest minimum wage ($5.15) of the 45 states that have a minimum wage requirement.
- Note: There are 10 states (AZ, CO, FL, MO, MT, NV, OH, OR, VT, and WA) that have minimum wages that are linked to a consumer price index. As a result of this linkage, the minimum wages in these states are normally increased each year, generally around January 1st. The exception is Nevada which adjusts in the month of July each year. Effective January 1, 2014, 9 of the 10 states increased their respective minimum wages. The exception was Nevada.
Source : | Benefits Strategy & Benchmarking Survey 2013 (Gallagher Benefit Services) |
上記sourceは、企業のベネフィット戦略に関するアンケート調査結果である。その中で、PPACAに対する準備状況についてピックアップする。いくら提供義務が一年先延ばしされたからといっても、この準備状況不足はひどいのではないだろうか(「Topics2013年7月3日 企業ペナルティ:一年先延ばし」参照)。それとも、実務的には今年10月の保険加入手続き開始までに間に合えばいいということなのだろうか。
- PPACAへの対応について、書面に落としているのは13%のみ。
- PPACAの本格施行に伴うコストへの影響を既に試算しているのは26.8%。
- 補助金を受け取ってExchangeで保険加入したほうが有利な従業員が何人いるかを調べたのは19.1%。
- 高免責額を設定した保険プランを導入しているのは15.9%。2014年に導入しようと考えているのは22.5%。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」
Source : | Lack aid? Many counties have only pricey plans (USA TODAY) |
PPACAでは、『低所得層が保険加入できるようにする』というのが最大の優先課題として扱われてきた。その意味では当然なのだが、保険料補助金(tax credits)を受けられない所得層にとっては厳しい内容となっている。こうした中間層もExchangeに入ってきてこそ、Exchangeも成り立つ。果たして今年3月までにどのような層がどれだけExchangeに入ってくるのだろうか。
- 連邦立Exchangeで、保険料補助金を受けられない40代夫婦にとって"bronze"プランが選択肢として提供されていない郡が半数を超えている。
- 同じく連邦立Exchangeで、保険料補助金を受けられない50代夫婦にとって、4つのランクの中で安い保険料のプランが提供されていない郡が1/3を超えている。
- 保険料補助金を受けられず、保険料負担が所得の8%を超えるのは、440万人に達する。彼らは、この保険料負担以外に、高免責額を負担しなければならない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Health-insurance sign-ups on U.S. exchange top 1.1 million in initial enrollment period (Washington Post) |
CMSより、今年1月1日から加入状態となるExchange加入者数が公表されたらしい(今の時点でCMSの公式サイトではプレスリリースを発見できていない)。ポイントは次の通り。ようやく連邦立も軌道に乗り出したようだが、まだまだwebsiteのトラブルは続いているようだし、もともと連邦政府が目標に置いていた330万人加入には遠く及ばない。
- 12月24日深夜までにExchangeを通じて保険加入した人数は、200万人近く。
- うち、約110万人が連邦立Exchange、約85万人が州立Exchangeを通じた加入。
- 連邦立Exchangeの加入者は、12月だけで97万5,000人に達した(「Topics2013年12月13日 Exchange加入者数速報」参照)。
- 12月23日、24日の二日間だけで、20万人以上が連邦立Exchangeに加入した。締切日の再々延長は功を奏したようである(「Topics2013年12月26日 締切日の再々延長」参照)。
次なる節目は、今年3月31日である。この日までに保険加入していなければ、保険加入義務違反でペナルティが課される。連邦政府が掲げる目標は、700万人である。
ところで、保険会社にとって気になるのは、Exchange保険加入者のプロフィールである。若い世代がどれだけ加入してくるかがポイントだが、この点は連邦政府から公表されていないそうだ。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」