Source : | New York State Retiree Health Costs Rise 29% to $72 Billion (Bloomberg) |
NY州政府が抱える退職者医療保険の給付債務は、$72.2Bと、前年比29%増となったそうだ。これはNY州政府の債務も$15B上回っているとのこと。NY州は退職者医療給付のための基金は積んでおらず、毎年必要な支出を賄う必要がある。
州政府は、この支出を何とか抑えようと、労組との協約で、政府負担割合の引き下げを実現したが、その引き下げ幅はわずかであり、5年で$764Mにしかならない。まさに焼け石に水である。
また、州政府に市、その他自治体を加えた、NY州の公的部門が抱える退職者医療給付債務は$240Bにのぼり、2年前の$205Bから20%近い増加となっている(「Topics2010年10月15日 NY州の退職者医療給付債務」参照)。NY州の財政全体にとって重石がどんどん増している。
※ 参考テーマ「GAS 45」
Source : | HHS Sets Deadline For State Health Exchange Proposals (Kaiser Health News) |
16日、HHSから2つの重要課題に関する発表があった(HHS News Release)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
- 州政府単独で"Exchange"を創設する、または複数州による共同Exchange("Partnarship Exchange")を創設する場合、その設立申請書を今年の11月16日までに申請すること。
(→ Draft Blueprint for Approval of Affordable State-based and State Partnership Insurance Exchanges)⇒以前、当websiteで紹介した際は、Multi-State Plan ("MSP")としていたが、正式に、"Partnarship Exchange"と命名されたようである(「Topics2012年5月4日 MSPの姿とは」参照)。申請期日が11月16日ということは、大統領選、議会選が終了してから10日しかない。選挙結果を見てからというのでは到底間に合わない(「Topics2012年2月6日 Exchange:厳しいタイムライン」参照)。6月の連邦最高裁の判決が出れば、各州とも実務的には検討を本格化させることになるのだろう。- 州政府が"Exchange"を創設しない場合、連邦政府が代わって"Exchange"を運営することになっている。その"Federally-facilitated Exchange(FFE)"の制度概要を公表した。
(→ General Guidance on Federally-facilitated Exchanges)⇒これについては、ようやく出てきた、というところである。これが出てきて初めて、各州政府は、単独の"Exchange"、"Partnarship Exchange"、"Federally-facilitated Exchange"の比較考量が可能となるからである。
Source : | Same-sex partner benefits bill is up for consideration (Government Executive) |
16日、連邦議会上院のHomeland Security and Governmental Affairs Committeeは、連邦政府職員の同性パートナーに対して異性婚配偶者と同様のベネフィットを提供する法案(S.1910)を承認した。
同委員会のpress releaseによれば、上記sourceでは、この法案の問題点を一つ挙げている。それは、ベネフィットの提供対象は、同性パートナーに限られており、異性パートナーには提供されない、という点である。
- これは、同性婚を認めることを意図するものではなく、同一労働同一ベネフィットの観点に立って公平化を図る法案である。
- 民間企業でも同性パートナーに異性婚配偶者と同様のベネフィットを提供しているところが増えており、S&P 500の60%の企業が同性パートナーにベネフィットを提供している。
この点について、委員会所属議員達は、と説明している。しかし、それでは、この法案の主旨の1.に反する。同一労働同一ベネフィットの観点を崩していることになる。パートナーが同性か異性かで支給されるかどうかが異なることになり、職員本人の働き方とは関係ないところで決まってくる。性差別とも捉えられるかもしれない。
- 異性パートナーにまで対象を拡げると、コストがかかり過ぎる。
- 異性パートナーは、正式に結婚することが可能で、結婚すれば同様のベネフィットを受け取ることができる。
また、上記の2.についても、民間企業の実態とは異なっている。以前当websiteで紹介した記事(「Topics2011年11月7日 Domestic Partnerのベネフィット」参照)によれば、民間企業では、パートナーにベネフィットを提供している企業の割合は4割に満たないが、提供している場合には性別は問わない企業が7割を占めている。
所属議員達は否定しているが、どうもObama大統領の同性婚支持声明に便乗しているだけではないだろうか。また、DOMAに基づくベネフィット支給との関係はどう整理するのだろうか。多分に選挙目当ての立法活動に見えてくる。そもそも、これほど重要な法案採決について、口頭だけで賛否を問うたところが怪しい。
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Pensions face new accounting rules (Bloomberg News) |
州政府、地方自治体の年金プランに関する開示ルールが変更されようとしている。GAS 25, 27に関する変更で、ポイントは既に紹介済み(「Topics2011年7月14日 GASB:新開示ルール案」参照)。予定では、来月のGASBで決定し、適用は2013年6月15日以降の開始年度から、ということになる見込みである(GASB)。
この新開示ルールが地方政府の年金プランにもたらす影響について、Center for Retirement Research (Boston College) が試算を公表している。
端的にその結果を示しているのが下の図であろう。 ほぼ8割の積立比率とされていたものが、ほぼ半分しか積んでいないことになってしまうのである。加えて、積立不足額を自治体のバランスシートに計上するということになれば、借り入れや地方債の発行コストにも影響を及ぼす。ただでさえ厳しい財政事情に拍車をかけることになることは間違いない(「Topics2012年5月8日 自治体の雇用悪化」参照)。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Jerry Brown releases revised budget to close $16-billion gap (Los Angeles Times) |
14日、CA州のBrown州知事は、$91B規模の予算案を提出した。CA州政府の財政赤字は、リーマンショックの影響をもろに受けた2009年に$42Bと最大を記録し、その後縮小を続けてきていて、来年度は$9.2Bにまで抑制される予想であった(今年1月時点)。ところが、税収が見込みを大きく下回り、加えて、低所得者層を対象とした医療保険制度の改正に、連邦政府、裁判所から待ったをかけられた(「Topics2012年2月11日 CA州政府にダブルパンチ」参照)ことにより、歳出削減が予定通り進んでいないことから、財政赤字見込みが拡大した(Los Angeles Times)。
上記sourceで挙げられている歳出削減追加策は次の通り。このうち、州政府職員の労働条件の変更、報酬の見直し、さらには職員数の削減については、12もある労働組合と交渉しなければならない。いずれの労働協定も2013年7月まで有効となっており、もしこれらを実現しようとすれば、協定期間中に再交渉を開始しなければならない(Los Angeles Times)。かなり高いハードルが待ち受けているのである。
- Medi-Cal関連支出のさらなる削減
- 障害者ケア従事者への報酬削減
- 州政府職員の労働時間の短縮、報酬引き下げ
- 司法制度の合理化
- 公共事業の凍結
- 小売税の課税強化
※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」、「労働組合」
Source : | Massachusetts Lawmakers Unveil Ambitious Plan To Cut Health Care Costs (Kaiser Health News) |
MA州では、皆保険制度が導入されたものの、医療費の抑制がままならないという課題を抱えていた。医療費抑制を目指して、州議会では、具体的な法案の審議に入ろうとしている。州議会下院では、"Health Care Quality Improvement and Cost Reduction Act of 2012" (H.4070)が準備され、上院でも別の法案が提出される見込みのようである。
上記sourceでは、今回の下院法案を"spaghetti approach"と評している。曰く、"it’s really taking the spaghetti approach to cost control; let’s throw a bunch of things against the wall and see what sticks. They’re doing a bunch of different things all of which might work.""Spaghetti approach"をネットで検索してみると、次のようなフレーズも出てきた。"We call this the “Spaghetti approach” where you throw spaghetti against the wall in hopes of something sticking. The more spaghetti you throw at the wall, the more spaghetti will stick to that wall."つまり、医療費抑制のための決定打はこれだ、と決め打ちせず、少しでも効果のありそうなことはみんなやってみよう、ということらしい。
法案のポイントは、上記sourceの最後に、12項目まとめられているので参照いただきたい。確かに、いろんなアプローチ、大きな話から結構細かいと思われる施策まで並んでいる。その中で、"global payment system"という用語が出てくる。これは、WBUR(ボストン拠点のNPR放送局)の記事("Cutting Health Care Costs Through A Global Payment System")によると、ACOに対する報酬支払方法を指しているようだ(「Topics2012年2月15日 ACOは普及するか?」参照)。
(5月16日追記)スパゲッティを壁に投げつけるなんて、西洋人はなんて野蛮なことをするのだろう、と思っていたら、勘違いだったようだ。"Throw spaghetti against the wall"で検索してみたら、次のようなwebsiteが出てきた。 やはり調べてみるものである。勉強になった。※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州」
Source : | Half of college grads working full time, with less pay, deep debt (Los Angeles Times) |
上記sourceは、最近の大卒の就職の厳しさを伝えている。いづこの先進国も若者の就職、生活が厳しくなっている。
- 約半数しかフルタイムの職に就いていない。
- 約12%が、不本意な就職もしくは失業状態にある。
- 2009年以降の卒業生の年収(中位数)は$27,000と、その前の卒業生よりも年収が$3,000低下している。
- 就職できているとしても、ほとんどの学生が、今の職は今後のキャリアパスには役立たないと考えている。
- 多くの学生がローンを抱えており、就職後も返済が進んでいない。そのため、住居・車の購入が遅れたり、結婚が遅れたりしている。
- 1/3が親の家で生活したり、家賃を補助してもらっている。
- 1/4が食費や医療保険を両親に頼っている。
※ 参考テーマ「教育」、「労働市場」
Source : | IRS Announces 2013 HSA/HDHP Limits (McKenna Long & Aldridge LLP) |
IRSから、2013年のHSA関連の数字が公表された。カッコ内は2012年の数値である。HSAへの拠出限度額も増額されているが、負担の上限額も引き上げられている。
2013 Limits
Self-Only Coverage
Family Coverage
Annual HSA Contribution Limitation
$3,250 ($3,100)
$6,450 ($6,250)
Annual HDHP Limit on Deductibles
$1,250 ($1,200)
$2,500 ($2,400)
Annual HDHP Limit on Out-of-Pocket Expenses
$6,250 ($6,050)
$12,500 ($12,100)
※ 参考テーマ「HSA」
Source : | Obama Says Same-Sex Marriage Should Be Legal (New York Times) |
遂に、Obama大統領が、同性婚を支持すると言明した(The White House Blog)。9日に行われたABCニュースによるインタビューに答えたもので、9日夜、10日朝にその模様が放映される予定とのことである。当websiteで5月9日から紹介してきた流れで、とうとう支持表明に至った模様である。
すぐさま共和党Romney氏は、反対声明を出している(Los Angeles Times)。MA州は同性婚認可の先駆けだが、Romney氏は、前MA州知事でありながら、一貫して同性婚に反対し続けているというのである。
とうとう同性婚は、今年の大統領選の争点の一つに位置づけられたようだ。
なお、Washington Postに、Obama大統領の同性婚に関する発言の変遷をまとめたものがあった。
※ 参考テーマ「同性カップル」、「大統領選(2012年)」