Source : | Health Savings Accounts and Health Reimbursement Arrangements: Assets, Account Balances, and Rollovers, 2006-2011 (EBRI) |
HSAの残高総額、口座数とも2011年には大きく伸びたそうだ。また、口座ごとの平均残高も再び増加に転じた(「Topics2011年1月12日 HSAは増えたけれど」参照)。 保険料、自己負担の急増を反映した形となっている。
※ 参考テーマ「HSA」
Source : | Same-sex marriage bill passes Maryland House of Delegates (Washington Post) |
17日夜、Maryland州(MD)議会下院は、同性婚認可法案(HB 438)を可決した。上院の方は、昨年、同様の法案を可決した経緯がある(「Topics2011年2月24日(2) MD州上院で同性婚法案可決」参照)。また、MD州知事も、署名する意思があることを明言している。このため、MD州が8番目の同性婚認可州となる可能性が高い。もちろん、反対派は今年11月の州民投票にかけられるよう活動を活発化していくことになる。
州 同性婚の法的ステータス 州 法 州最高裁判決 他州認可同性婚承認 認可法案審議中 異性婚同等権利賦与 Massachusetts A @ Vermont ○ Connecticut A @ Iowa ○ New Hampshire ○ Washington, D.C. ○ ○ New York ○ ○ Washington ○ California ○→×(→○)* ○ Rhode Island ○ ⇒ ○ Illinois ○ ○ Maryland ○ ○ New Jersey ○ ○ Oregon ○ Nevada ○ Hawaii ○ Wisconsin ○ Delaware ○ Maine ○→× △
* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○
※ 参考テーマ「同性カップル」
Source : | Congress Acts to Extend Payroll Tax Cut and Jobless Aid (New York Times) |
与野党の協議がまとまり、公的年金保険料負担の引き下げ等の懸案事項に決着がついた。17日、連邦議会上下両院はそれぞれ関連法案(HR 3630)を可決した。大統領も時を移さず署名することになる。
今回の措置の概要は次の通り(Los Angeles Times, Washington Post, New York Times)。もちろん、保険料引き下げと"Doc Fix"については、2013年以降どうするのか、という問題は残されている。ただ、その前の11月に大統領選挙、連邦議会選挙が予定されており、それらの解決は、選挙後の課題となる。
- 公的年金保険料引き下げ
- 本人負担分の2%引き下げを年内一杯延長
- 必要となる財源($93B)は、新たな増税、歳出削減を伴わず、すべて連邦政府一般財源の負担とする。従って、この分がまるまる財政赤字に乗ることになる。
- 失業保険特別給付
- 99週間の特別給付を年内一杯延長
- 雇用情勢の悪い州では、年末に73週間に短縮する。
- 雇用情勢の改善した州では、年末に63週間に短縮する。
- 必要となる財源($30B)は、電波の利用周波数帯の競売($15B)と、新規採用の連邦政府職員の退職プランへの政府拠出を削減すること($15B)により捻出する。具体的には、現職職員の拠出率0.8%を新規採用職員については3.1%に引き上げる(Pension & Investment)。
- "Doc Fix"
- 年内一杯継続する。
- 必要となる財源($20B)は、医療保険改革法に盛り込まれていた予防・公衆医療支出の削減、患者の不払いに伴う債務を抱える病院への償還額の削減等により賄う。
- 財政影響(CBO推計)
- 2012年:$101Bの財政赤字拡大
- 2012〜2016年:$119.5Bの財政赤字拡大
- 2012〜2022年:$89Bの財政赤字拡大
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」、「解雇事情/失業対策」
Source : | NJ Assembly Passes Gay Marriage Bill (New York Times) |
New Jersey(NY)の州議会は、13日に上院、17日に下院で、同性婚認可法案を可決した。投票結果はそれぞれ次の通り。NJ州議会は、上下両院とも民主党が過半を握っており、当然の結果ではある。しかし、NJ州知事は共和党であり、拒否権発動を既に明言している。従って、同法案は成立には至らないものと思われる。(2月17日に、州知事が拒否権発動)
上 院 賛成 反対 民主党 22 2 共和党 2 14 合 計 24 16
下 院 賛成 反対 民主党 42 4 共和党 0 29 合 計 42 33 ※ 参考テーマ「同性カップル」
州 同性婚の法的ステータス 州 法 州最高裁判決 他州認可同性婚承認 認可法案審議中 異性婚同等権利賦与 Massachusetts A @ Vermont ○ Connecticut A @ Iowa ○ New Hampshire ○ Washington, D.C. ○ ○ New York ○ ○ Washington ○ California ○→×(→○)* ○ Rhode Island ○ ⇒ ○ Illinois ○ ○ Maryland ○ ○ New Jersey ○ ○ Oregon ○ Nevada ○ Hawaii ○ Wisconsin ○ Delaware ○ Maine ○→× △
* CA州最高裁判決○ → Proposition 8× → 連邦地方裁判所○ → 連邦第9控訴裁判所小法廷○
Source : | Even Critics of Safety Net Increasingly Depend on It (New York Times) |
上記sourceは、ちょっと長いが、アメリカの普通の人達がどのように考えているのかを垣間見ることができるので、じっくりお読みになることをお勧めする。
アメリカ社会における社会保障制度の役割がどんどん大きくなっている。次のNew York Times紙の資料をご覧いただければそれを実感できる。これほどまでに社会保障の存在感が高くなっていると、社会保障制度の持続可能性に懸念を持たざるを得ない。いくつか例を挙げると、
Multimedia (New York Times)
○Where Americans Most Depend on Government Benefits
○More Americans Relying on Government BenefitsRomney候補は、『社会保障を提供する社会か、機会を提供する社会か』の選択をしなければならない、と述べているそうだが、公的年金、高齢者医療に関する給付を削減するのは、大変難しい。既にそれらがあることを前提に人生設計がなされているからだ。
- アメリカ人の所得のうち、社会保障制度からの給付の割合は、1969年の8%から2009年には17.6%まで上昇している。
- Medicareの負担と給付のバランスは大きく崩れている。
- 所得分布の下位5分の1の家計が受け取る社会保障給付の割合は、1979年の54%から2007年の36%に下落している。
もちろん、子孫に負担を残してはいけない、という思いはあるものの、目の前にいる高齢者の給付を切ることは、政治家には難しい。
※ 参考テーマ「社会保障全般」
Source : | Next Steps for ACOs (Health Policy Briefs) |
今月1日の"Topics"で、Accountable Care Organizations" (ACO)が当websiteに初登場した(「Topics2012年2月1日 保険会社絶滅の予想」参照)。と思っていたところ、このACOに関する基礎的な情報が掲載されたコラムが公表された(上記source)。
そこで、上記sourceにそって、少し丁寧にACOのポイントをまとめておくこととする。確かに、ACOsを運営するためには、保険会社は必須ではないかもしれない。しかし、そのノウハウを有効に利用することも重要な気がする。いずれにしても、常にシステムに改良を加えようとする試みには敬意を表したい。
- これまでの変遷
ほとんどの医療保険プランは、出来高払い方式("fee-for-service")を基本としている。この方式では、診療コストが高騰するとの批判があり、これまでにもいくつかの挑戦が試みられてきた。
1970年代 診療機関と保険会社の連携強化の動き 保険加入者達が、受診機関を極めて限定されていることを嫌い、普及しなかった。 1980〜90年代 HMOs (Health maintenance organizations) 診療内容とコストをコントロールしようとしたが、やはり加入者達がHMOの過干渉を嫌い、人気を失っていった。 2007年〜 ACOs (Accountable Care Organizations) 独立した診療機関同士がバーチャルな連携を強化することで、連続的な診療を提供する試み。2007年にその構想が公表された。 - 医療の質の確保
一定の医療の質を確保し、不必要な医療資源の費消を防ぐため、一定の基準を満たした診療機関に対しては金銭的な報奨を提供する。
これまで、少なくとも8つの民間保険プランが、医療機関との"shared risk"取り決めにより、ACOs協定を結んでいる。一定のコスト基準を下回った場合、医療機関は報奨金を受け取ることができる。逆に、コスト基準を上回った場合には、ペナルティが課せられる。
また、少なくとも27の民間保険プランが、医療機関との"shared savings"取り決めにより、ACOs協定を結んでいる。この場合、報奨金を受け取る方の取り決めはあるが、ペナルティは課せられない。
さらに、いくつかの民間のACO取り決めでは、"partial capitation"を採用している。この仕組みの中では、加入者数による報酬と、診療による報酬が組み合されている。
- 連邦政府の取り組み
2005〜2010年の間、Medicareにおいて、10の医療団体が参加する実験的プロジェクトが実施された。さらに、この実験を実践に結びつけるため、医療保険改革法では、MedicareがACOsを契約することを認めている。呼称は"Medicare Shared Savings Program"。また、CMSは、"Pioneer ACO model"という実証実験を2011年5月に開始している。
- Medicare ACOs とは
典型的なMedicareでは、医療の質と意思決定は保険会社が監督する。一方、Medicare ACOs の場合には、意思決定は診療機関が行うが、報酬インセンティブを通じて自ら診療を律することが求められる。同時に、Medicare ACOs は、医療の質も(事後的に)監視する。Medicare ACOs が既存の保険プランと異なるのは、主に次の3点である。
- 診療報酬:出来高払い+加入者一人あたり医療費の予測値を下回った場合の報奨金
- 医療の質の監視:医療機関は、33項目にわたる質の基準をクリアしないと報奨金を受け取れない。
- ACO加入者は、診療機関を自由に選択できる。特定の診療機関に行くよう強制されることはない。
- ACOs が抱える課題
これまでの実証実験から得られる課題は次の通り。
- 報奨金が少ない。これは、現在の医療保険プランでも無駄な診療・検査等は厳しくはねられていることによる。
- 医療の質の基準が適切かどうか。
- 独立した医療機関の判断が医療費の増加につながっていないか。
- 独禁法に違反しないか。
- 診療報酬はどのような体系が望ましいか。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | The 2013 Budget (OMB) |
『具体策に乏しい』とは、あくまでも、当websiteの関心事項について、である。以下、言及されている主な政策課題についてまとめておく。最後の、企業年金プラン提供義務化は、ちょっと驚きである。こういう形で年金加入の義務化を図る考え方は、フランスでは採られているものの、アメリカではあまり見かけない。かなり社会主義的な匂いのする提案である。
- 雇用の創造
- 年金保険料の引き下げと失業保険の特別給付の年内延長
- 教職員の雇用維持のための学校、自治体への支援
- 雇用・賃金を増やした中小企業に新たな税額控除を認める
- 教 育
コミュニティ・カレッジの企業との連携強化を支援
- Medicare, Medicaidの改革
無駄の削減、効率化の推進、ジェネリックの利用促進、効率的な診療への誘導等。
- 公的年金の持続可能性強化
- COLAの適用
- 企業年金プランの提供義務化
- 従業員を、口座振り込み型のIRAへ自動的に加入させる。
- 従業員は加入しない選択が可能。
- 小規模企業は免除
※ 参考テーマ「一般教書演説」
Source : | Labor Dept. Issues New Rules for Guest Workers (New York Tiems) |
10日、DOLは、ゲストワーカーに関する新たな規制を公表した。ゲストワーカーとは、季節性のある労働について短期間で海外から労働者を雇用する仕組みで、小規模企業、漁業・水産加工業、テーマ・パーク、ホテル業、造園業などで使用されている。Visaは、H-2Bとなる。
主な規制強化策は次の通り。施行は、4月23日となっている。労働省は、不当な外国人雇用を制限し、アメリカ人の雇用を促進させる策、として主張しているが、雇い主側からすると、手続きが長期化し、アメリカ人の採用活動に関する判定が曖昧になりかねないとして、強く反発している。事実上、ゲストワーカーを呼び寄せることは難しくなりそうである。
- 雇い主関係
- 全国レベルの電子登録システムを創設し、ゲストワーカーを求める職について登録することを義務付ける。
- アメリカ人の採用活動期間を3週間に延長し、その後でなければゲストワーカーと雇用関係を結ぶことはできない。
- これまでは事業主が採用活動を行ったと主張するだけでよかったが、今後は、州政府の労働担当局に正式に活動内容を示さなければならない。
- 契約期間が半分過ぎたところで、ゲストワーカーの母国からアメリカまでの移動費用を支払わなければならない。
- 雇用期間終了後、帰国費用とビザ取得費用を支払わなければならない。
- 雇用開始時に、契約期間の4分の3にあたる報酬を支払わなければならない。
- ゲストワーカー関係
不満がある場合には、雇い主に知られずに労働組合に相談することができる。
- 仲介業者関係
仲介料をゲストワーカーに課すことを禁じる。
ただし、農業関係だけは適用しない、としており、そこはある程度現実的な解となっているのかもしれない。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」
Source : | Insurers, Employers Fear Impact if Only Individual Mandate Is Killed (AIS) |
仮に、連邦最高裁が、医療保険改革法の重要な柱である『個人加入義務』が憲法違反と判断した場合、最高裁が『個人加入義務』だけを執行停止にするのか、医療保険改革法全体を執行停止にするのか、大きな分かれ目となる。
常識的には、医療保険改革法全体は既に執行されている部分もあり、全体を停止することは現実的ではないと思う。だからだろう、上記sourceでは、『個人加入義務』だけが外された場合、保険会社や企業は困ったことになる、という意見を紹介している。
まず、保険会社の場合、などがそのまま残ってしまうと、保険料の高騰につながりかねないと懸念している。いずれも、加入義務に伴い保険加入者が増えることを前提とした規制で、加入者増がないままコスト増だけが実現してしまう可能性があるからだ。
- Exchangeに提供する保険給付の最低ライン
- 既往症に伴う加入拒否の禁止
- 地域の保険料水準の適用
一方、企業、特に中小企業の場合、『個人加入義務』だけが外され、保険プラン提供義務とそれに対する罰則(従業員50人以上の場合)だけが残ってしまうと、保険料負担が重くなり過ぎ、保険プラン提供は事実上できなくなり、ペナルティのみ支払うことになるという。
このように、連邦最高裁の判決は、いろいろなところに影響をもたらす可能性を秘めており、全国民が注目せざるを得ないのである。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Sources : | Federal officials reject California's plan to charge Medi-Cal co-payments (Sacramento Bee) Judge Blocks 10% Medicaid Cut for Physicians in California (Medscape Medical News) |
CA州政府は、低所得層を対象とした医療保険プランの見直しを進めようとしている。ところが、そうした動きを認めないとする決定が行われた。 これらの見直し措置は、CA州政府の財政赤字削減策の一環なのであり、総体として財政赤字削減の必要性は誰もが認めている。ところが、こうやって、個別の分野、事象に降りていくと、反対が強くなり、その分野だけの理屈で要否が判断されてしまう。まさに『総論賛成、各論反対』の典型である。
現在の欧州債務危機を抱える国々、そしてわが国も、こうした現実に悩まされ続けている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/CA州」