Source : | Oregon Becomes Fourth State to Pass Paid Sick Leave Law (Littler Mendelson P.C.) |
6月12日、Oregon州(OR州)議会は有給病気休暇法(SB 454)を可決した。州知事は署名すると見込まれていることから、CT, CA, MAに次いで、4番目の有給病気休暇法制定州となる(「Topics2014年9月1日 CA州:有給病気休暇を法定」、「Topics2014年9月13日 CA州:有給病気休暇法成立」、「Topics2014年11月9日 MA州:有給病気休暇法可決」参照)。
制度概要は次の通り。有給病気休暇は、州レベルで着実に広がっている。
- 法施行日は2016年1月1日。
- 従業員10人以上の企業は、年間に最大40時間の有給病気休暇を与えなければならない。Portland市の場合は従業員6人以上の企業に適用。
- 対象となる従業員は、就業形態に拘わらず、フルタイム、パートタイム両方が含まれる。ただし、個人契約者等は含まれない。
- 従業員10人未満(Portland市は6人未満)の企業は、年間最大40時間の無給病気休暇を与えなければならない。
- 既に雇用されている者については、2016年1月1日以降、勤務時間30時間ごとに1時間ずつ有給病気休暇を賦与する。
- 施行日以降採用されたものについては、採用時点から同じペースで有給病気休暇を賦与する。ただし、採用後91日目までは利用できない。
- 退職時に累積した有給病気休暇を金銭で払い戻す義務はないが、180日以内に再雇用された場合には再び有効となる。
- 同じ企業の別事業所に異動となった場合には、そのまま権利を移転できる。
- 従業員は、賦与された有給病気休暇を1時間単位で利用できる。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | How Four Words In Huge Health Law Divide The Supreme Court (Kaiser Health News) |
連邦立Exchangeにおける保険料補助金(tax credits)の合法性について、連邦最高裁は今月中に判決を示すものとみられている。
本件に臨む最高裁判事達のポジションは、以前紹介したものとは変わっていない(「Topics2015年3月6日 連邦最高裁判事の色分け」参照)。ただし、微妙な周辺情報が漏れ伝わっているそうだ。Current Justices of the US Supreme Court (as of June 18, 2015)
Name Born Appt. by First day 連邦立Exchangeにおける
保険料補助金の適法性John G. Roberts
(Chief Justice)January 27, 1955 George W. Bush September 29, 2005 △ Antonin Scalia March 11, 1936 Ronald Reagan September 26, 1986 × Anthony Kennedy July 23, 1936 Ronald Reagan February 18, 1988 △ Clarence Thomas June 23, 1948 George H. W. Bush October 23, 1991 × Ruth Bader Ginsburg March 15, 1933 Bill Clinton August 10, 1993 ○ Stephen Breyer August 15, 1938 Bill Clinton August 3, 1994 ○ Samuel Alito April 1, 1950 George W. Bush January 31, 2006 × Sonia Sotomayor June 25, 1954 Barack Obama August 8, 2009 ○ Elena Kagan April 28, 1960 Barack Obama August 7, 2010 ○ 一応、保守派も判決後の混乱を心配しながら判断しているようだ。
- Samuel Alito判事:どのような判決にしろ、制度変更のための時間的な余裕を確保するため、判決内容の執行を2016年まで延期してはどうか。
- Anthony Kennedy判事:違法との判決を下した場合、重大な憲法違反状態が生じる。
- John G. Roberts長官:2012年の保険加入義務判決に続き、Obama政権を助けるような判決を下すことになれば、最高裁判事保守派から総スカンを食らう可能性がある(「Topics2012年6月30日 医療保険改革法に合憲判決」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「司法」
Source : | 3 states get feds' OK for health insurance marketplaces (AP) |
Arkansas(AR州), Delaware(DE州), Pennsylvania(PA州)は、2016年よりExchangeへの州政府の関与を強める制度変更案を提出していたが、6月15日、HHSより仮承認が下りた。制度変更を巡る各州の状況は次の通り。いずれも、連邦最高裁で、『州立Exchange以外で連邦から支給されいている保険料補助金は違法』との判決が下された場合に備え、州立色を強めておいて保険料補助金停止に伴う混乱を極力回避しようという意図がある(「Topics2015年5月28日 PPACAの4 words」参照)。
Arkansas(AR州) Delaware(DE州) Pennsylvania(PA州) 現在のExchnage State-federal partnership State-federal partnership Federal-facilitated 仮承認事項 小規模企業プラン:2016年〜
個人プラン:2017年〜小規模企業/個人プラン:2016年〜 小規模企業/個人プラン:2016年〜 制度変更のための条件 連邦最高裁で原告が勝訴した場合
州議会の承認が必要完全なState-basedに移行するか
どうかは議会の決断が必要・財源のために州議会の承認が必要
・連邦政府に依存する機能についても未定州知事 共和党 民主党 民主党 州議会上院 共和党 民主党 共和党 州議会下院 共和党 民主党 共和党
ただし、PA州にとっては、などから、ハードルが高いことは明白である。今回の仮承認がありながらも保険料補助金廃止の場合に対応できない可能性が高い。
- 現状、完全な連邦立Exchangeであること
- 財源確保に州議会の承認が必要であること
- 州知事と州議会がねじれていること
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/AR州」、「無保険者対策/PA州」、「無保険者対策/その他州」
Source : | Obamacare Health Insurance COOPs Are Unraveling (National Center for Policy Analysis) |
今年初め、IA州で運営されていたCO-OPが破綻したことを紹介した(「Topics2015年1月16日 IA州:CO-OP破綻」参照)。しかし、ことはIA州だけにとどまらず、全米のCO-OPsの存続が危ぶまれている。その最大の要因は、財政状況である。
こうした状況に陥ってしまった背景には、次のような事情があるとされている。
- Maine州のCO-OPを除いて、いずれも大幅な債務超過に陥っている。
- HHSは、2014年9〜12月の4ヵ月間に、6州のCO-OPsに対して、緊急財政支援のために総額$355Mを貸し出している。
- 管理コストの診療報酬に対する割合は、通常の民間保険プランでは、15:85より小さくするよう求められている。これから較べれば、CO-OPsの管理コストは異常なほどに割高になっている。
CO-OPsは、現在の財政状況のうえに、借金の返済圧力もどんどん増してくる。連邦政府からの借入金(操業開始のための資金$75M)は5年以内に、財政支援のための借入金$2Bは15年以内に返済しなければならない。
- 連邦政府から受け取った借入金は、広告やマーケティングには利用できない。勢い、保険料を安く抑えることで加入者増を図ってきた。
- その結果、所得が低く、健康状態が良くない加入者が集まってしまった。
- 2016年には、保険料を大幅に引き上げなければ採算が合わない。⇒ そうなると、保険加入者数も減少するだろう。
しかも、Paul Krugman教授からは、『民間保険会社に対する競争力はほとんどない』とまで言われてしまっている。
市場の活性化にも役立たない、税金は無駄遣いしている、では本当に存続は危うい。CO-OPsが破綻すれば、民間保険会社の保険プランで加入者を引き取ることになり、さらに保険料アップの要因となる。
※ 参考テーマ「CO-OP」、「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | The Number of Salaried Workers Guaranteed Overtime Pay Has Plummeted Since 1979 (Economic Policy Institute) |
アメリカ企業では、次の両方が満たされた場合、残業代(時間外手当)が支給される。報酬額上限はかなり低く抑えられており、残業代が支給される労働者数は、年々減少を続けている。
- 報酬が$455/W(または$23660/Y)未満。
- 職務内容が、"executive, administrative, or professional"に該当しない。
こうした傾向が生み出される要因の一つは、残業代対象者を規定している"Fair Labor Standard Act"にある。同法で残業代対象者となる報酬額の上限は名目額で規定されており、物価スライドは適用されない。一般的な物価上昇、賃金上昇が考慮されないために、上限額は実質的には年々低下し、その対象者が減っていくことになる。Figure ANote: The nominal threshold was set at $250 per week from 1975 until 2004 when it was increased to $455 per week.
Source: EPI analysis of Current Population Survey Outgoing Rotation Group microdata
上図の2004年に一度大きく増加しているのは、法改正により、ことになったためだ。
- 上限額が$250/Wから$455/W(現行)に引き上げられた
- 『名ばかり管理職』を是正するため、職務内容を職務名から実質的な職責により判断する
既に、Obama大統領は、昨年3月、最低賃金引き上げとともに、残業代対象の報酬額上限を大幅引き上げるよう提案している。2016年大統領選キャンペーンを開始したClinton氏も、所得格差是正を訴え、リベラル色を強く打ち出しており、おそらく報酬額上限引き上げも訴えることになるだろう。
一方、働く現場の方からは、残業代云々よりもフレックスを確保して欲しいという要望が強い。連邦議会民主党はこうした提案に強い拒否反応を示している(「Topics2014年6月24日 残業代よりもフレックスを」参照)。この辺りに、実際の中間層と呼ばれている働き手の感覚と、リベラル色を強くしている民主党の意識とのギャップが存在しているように思える。
話は変わるが、6月13日、Roosevelt Island(NY)で行われたClinton氏のキャンペーン・キックオフ・スピーチで、"America cann't succeed unless you succeed"という決め台詞はよかったのではないか。むしろ、Clinton氏にとっての課題は、政策実現のための財源をどう捻出するか、企業が嫌う規制をどのように実現するか、ということである。国政に素人だったObama大統領と較べれば、全てを知った上でのリベラル色の打ち出しであり、それだけに国民の懐疑心も強くなる可能性があると思う。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「大統領選(2016年)」
Source : | The Uncomfortable Questions You Should Be Asking about Pay Equity (Knowledge@Wharton) |
アメリカ企業社会で、2つの点で報酬の不公平感が高まっているという。1.では、意外なことに、男女間で公平性が保たれていないとの認識が強いそうだ。アメリカ企業では、報酬を巡って『ネゴ』があり、総じて男性はネゴが強く、女性はネゴに弱い。しかも、女性がネゴをするとしっぺ返しがあることが多いとされている。
- 給与の公平性
- 経営幹部と一般従業員の間のギャップ
アメリカ企業では女性の幹部がたくさん排出され、いわゆるグラスシーリングはなくなりつつあるのかと思っていたが、やはり根深く残っているようだ。
2.については、経営層にも問題意識が広がり、自らの報酬の引き上げを抑え、従業員の給与を引き上げていこうという経営方針を出した企業もあるそうだ。
報酬の不公平感は常につきまとう問題だと思う。金銭面だけでなく、昇進や部署の割り当てなどでも不公平感はあるだろう。しかし、それを仕方ないと放置するのではなく、可能な限り不公平感をなくす努力をしなければならないところに難しさがある。放置すれば間違いなく内部の士気は下がり、他の企業との競争に劣越し、必要な人材を確保できなくなるからだ。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」
Source : | Obama administration stops work on immigrant program (Washington Post) |
第5控訴裁判所小法廷が不法移民保護大統領令の執行差止請求を認めて以降、連邦政府の大統領令関連の行政事務活動は完全に停止してしまったそうだ(「Topics2015年5月29日 大統領令差止請求再認」参照)。上述からもわかる通り、行政執行ができなければ財源も入ってこないのである。
- 行政事務のためのオフィスビルを賃貸し、内装も完全に済んでいる。
- しかし、経費として270万ドルが必要となる。これらは申請者が負担する手数料を財源とする予定だったため、手当できていない。
- 同様に、従業員も約1,000人が必要となるはずだったが、現在は、約30人を訓練しているだけである。
Obama大統領は重要公約の一つであった移民政策を何とか推進しようとして大統領令を発したのだが、ほとんど前進できないままでいる。一方、既に政治の世界では、今の状況を巡って2016年大統領選に向けた論争が始まっている。民主党クリントン氏が大統領令を強く支持している一方、共和党の候補者達は必ず廃止すると宣言している。
不法移民達の人生が政治動向に左右されてしまっている。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「大統領選(2016年)」
Source : | Oregon House approves state retirement savings plan (The Oregonian/OregonLive) |
Oregon州(OR州)の州議会下院は、6月10日、退職貯蓄プラン法案(House Bill 2960)を可決した。ゆっくりではあるが、着実に制度制定に向けて段取りが進められている(「Topics2014年5月21日 黎明期の州立退職貯蓄プラン」参照)。
- 企業年金プランが提供されていない企業の従業員は、自動的に加入できる。
- 従業員は加入しないことを選択できる。
- 勘定の管理は、州政府と契約した金融機関で行う。
- 諮問委員会は、制度設計を行うとともに、従業員の拠出額を予め設定しておくこともできる。
- プランの形式は、IRAのようなものとなる。
一方、反対論者からは、といった理由が示されているようだ。前者は新しい論点かもしれない。
- 企業年金を規定する連邦法(ERISA)との間で齟齬が生じる
- 企業側に負担がかかる
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「DB/DCプラン」
Source : | Fewer Young People Say I Do -- to Any Relationship (GALLUP) |
この10年間、若者のシングルが増えている。アメリカ社会の場合、晩婚化が進むことが少子化に直結するというわけではないと思うが、シングルの状態では養子縁組も難しいだろう。やはり人口の高齢化にはドライブがかかってくるものと思われる。
- 30歳未満の結婚割合は8年前の半分。シングルの若者の割合が急増している。
- 30代でも結婚割合は大きく低下している。ただし、30歳未満と異なるのは、パートナーとの居住割合が増えていることである。
- ちょっと興味深いのが、共和党支持の30歳未満でシングルの割合がダントツに高まっていることである。家族観を大事にする保守支持層にあっても、結婚が遠のいているという事実は、アメリカ社会の変容を表している可能性がある。
※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」