Source : | GASB PROPOSES MAJOR IMPROVEMENTS FOR REPORTING HEALTH INSURANCE AND OTHER RETIREE BENEFITS (GASB) |
5月28日、GASBが退職者医療保険制度を含む『年金以外の退職後給付債務』(Other Postemployment Benefits, OPEB)に関する純債務額を財務諸表で開示するよう求める草案を公表した。パブリックコメントは8月29日までに提出、9月10〜12日に公開ヒアリングを実施する。
- 基金を通じてOPEBを提供している場合にはOPEB純債務(=OPEB給付債務総額−積立額)、基金を通じていない場合(=一般財源)にはOPEB給付債務総額を開示する。
- 割引率は、次のいずれかを利用する。
- 一定の要件を満たした場合には、OPEB基金の資産の期待収益率
- 20年ものの非課税地方債の利率
- 制度変更に伴う追加債務の即時認識
アメリカの自治体で退職医療給付について積立を行っているケースは稀であり、自治体財政に与えるインパクトは計り知れない。
※ 参考テーマ「自治体退職者医療/GAS 45」
Source : | Hospitals Look to Health Law, Cutting Charity (New York Times) |
アメリカの病院は、これまで低所得の無保険者に対して、料金を安くするなど、慈善活動に近い診療を提供してきた。しかし、ここに来て、こうした低所得者支援プログラムを縮小する方向に舵を切っている。背景は次の通り。やはり、tax creditにより低所得層の保険料負担が低下していることが大きい。それでも、高い免責額かどうか、自信を持てずに保険加入をためらっている低所得者も多いそうだ。そのためにMedicaidの拡充を用意していたのだろうが・・・。まだまだコミュニティ病院の役割は残りそうである。
- PPACAに基づく保険料補助金などにより、低負担でExchange保険加入が可能になった。
- 州によるものの、Medicaidの対象を拡充している。
- 連邦政府からの補助金が減額されている。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | I.R.S. Bars Employers From Dumping Workers Into Health Exchanges (New York Times) |
5月13日、IRSは、企業提供プランに関するFAQを公表した。Q:企業が、従業員向けの保険プランを設定せず、Exchange内外で従業員が負担した保険料を償還した場合はどうなるか?家族4人の従業員に対して企業が負担する保険コストは、せいぜい年間$13,500である(「Topics2014年5月25日 医療費負担の上昇率」参照)。このFAQにより、企業自ら保険プランを設定せず、従業員をExchangeに移してしまって保険料の補助はしようというやり方は、実質上禁じられることになる。
A:こうした制度は"employer payment plans"と呼ばれ、PPACAの適用対象となるグループ保険に分類される。
PPACAでは、グループ保険に対し、主要な診療に対する給付に年間上限を設けることを禁じていることに加え、別枠負担なしに予防診療を給付することを求めている。
グループ保険と個人保険を統合することは認められておらず、"employer payment plans"はPPACAが求める要件を満たさないことになる。
その結果、IRCに基づき、加入資格者一人当たり$100/Dの付加税(excise tax)が課される。
医療保険プラン提供義務を怠ることによるペナルティ$2,000/Yなど問題にならないほど、この付加税は重い意味を持つ。"Pay or Play"は、事実上、"Play"のみになるかもしれない。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」
Source : | Insurers Once on the Fence Plan to Join Health Exchanges in ’15 (New York Times) |
2014年のExchangeを通じた保険加入は800万人にのぼったとされ、これに伴い、2015年の加入者は1,300万人にまで増えると予想されている。こうした状況を踏まえ、これまで様子見を決め込んでいた保険会社が保険市場に参入する動きを見せている。
ただし、大きな保険会社は企業への保険プラン提供を軸としながら、との基本戦略は変えないようだし、小規模保険会社は、マーケットの競争状況をよくみながら、ということのようだ。
市場が倍増するかもしれないというのに、保険会社が一気にExchanges市場に雪崩れ込まないのは、次のような背景があるからだ。保険会社が個人市場にラッシュしないのは頷けるものの、PPACAにより、保険市場全体が競争的になっていることも実感できる。
- 保険料の見込みが固まらない。先行的に公表しているWA州、VA州では、保険料の上昇率は一桁に収まりそうだが、州・地域によって大きな幅がある。また、隔週の保険監督当局の姿勢も明確にはなっていない。
- CO-OPの大幅増加が見込まれている。新たな市場参加者であるCO-OPは、安い保険料を武器に、初年度から一定の市場規模を確保した。その勢いはまだまだ続くとみられている。
- 個人保険市場は、あまり継続性は重視されず、よいプランさえ提供すれば、いつでもシェアを確保できる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般」、「CO-OP」
Source : | COLA CUTS IN STATE/LOCAL PENSIONS (Center for Retirement Research at Boston College) |
当websiteでは、州政府職員年金に対する保護は手厚いものがあり、積立比率が低下しているにも拘わらず、なかなか制度改正が進まないことを紹介してきている。しかし、上記sourceによると、州政府職員年金では、COLA(Cost of Living Adjustment)を抑制する動きが目立つという。厳しい制約の下、州政府年金も給付債務削減に努めているのである。
- 2009年当時、州政府職員年金におけるCOLAのやり方は、主に物価指数連動と固定値によるものが多かった。
- ところが、リーマンショック後の2010〜2013年の間に、17州が何らかの形でCOLAに制限を設けた。
- 中でも年金財政が厳しかったNJ, RI, OK州は、将来のCOLAを事実上廃止してしまった。
- COLAの抑制は、意外に大きな給付削減につながるため、年金財政の建て直しには有効なツールとなっている。
- アメリカでは、年金受給権については契約に基づき保護されるとの考え方が主流である(「Topics2013年6月7日(1) 州政府年金改革の難しさ」参照)。その際、『過去分も将来分も』とする州と『過去分のみ』とする州に二分される。
- ただし、司法の判断では、COLAは契約に基づく権利ではない、とする考え方が主流である。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Health Site Under Fire, Nevada Alters Path (New York Times) |
今まであまり話題になっていなかったが、Nevada州(NV)でも州立Exchangeでトラブルが相次いでいるらしい。そこで、NV州のExchange運営評議会は、5月20日、次のような決定を行った。
- 州立Exchangeを通じて保険加入した州民数は46,000人(5月10日時点)。これは目標であった11.8万人の半分にも満たない。
- 200人が、『州立Exchangeを通じて保険加入手続きを行い、保険料も支払ったのに、給付が受けられない』として集団訴訟を起こしている。
OR州、MD州、MA州に続き、NV州も連邦立を利用することになりそうである。
- 11月15日から始まる2015年の保険加入手続きについては、連邦立Exchangeを利用する。
- 州立Exchangeのwebsite(www.nevadahealthlink.com)は使い続けられるようにはするものの、実際の作業はそこから連邦立のシステムに接続して行う。
- 2016年保険加入手続きに向けて、新たなwebsite、システムの創設を検討する。
※ 参考テーマ「無保険者対策/その他州」、「無保険者対策/州レベル全般」
Source : | Medical Costs Went Up 5 Percent Last Year, and That's Good News (Businessweek) |
4人家族で企業提供医療保険プランに加入している場合、従業員の年間医療費負担は$9,695(2014年)と推計されている。 保険料、窓口負担などで年間100万円程度の負担をしていることになる。
医療費の上昇率は、物価上昇率を上回り続けており、しかも、保険料や免責額の引き上げなどで従業員負担のシェアが高まっていく中、ますます従業員の負担感は高まっていくことだろう。 ※ 参考テーマ「医療保険プラン」
Source : | Love Is in the Air at the Workplace (PLANSPONSOR) |
久々の社内恋愛モノである。上記sourceは、CareerBuilderという会社が行なった社内恋愛に関する調査結果を紹介している。意外に社内恋愛が一般的なのだな、との印象である。しかも、付き合いをオープンにする傾向が強いのではないか。この辺りは、よくあるアメリカ映画のシチュエーションから想像がつく。
- 社内の人とデートしたことはあるか?
- したことがある ⇒ 38%
- 2回以上 ⇒ 16%
- 社内の人とデートした人のうち結婚したのは? ⇒ 31%
- 社内恋愛のきっかけは?
- 会社の外で偶然出会った ⇒ 12%
- 飲み屋で出会った ⇒ 11%
- 一緒に残業していた ⇒ 10%
- お昼を一緒にした ⇒ 10%
- 一目惚れ ⇒ 9%
- 社内で付き合っていることを秘密にするか? ⇒ 39%
- デートをした相手と破局したら退職するか ⇒ 7%
※ 参考テーマ「社内恋愛」
Source : | FSA HRA HSA Comparison Chart 2014 (Marsh Consulting Group) |
上記sourceは、医療貯蓄勘定の概要比較表である(「Topics2004年1月7日(1) 医療貯蓄勘定」参照)。
最大の注目は、HSAsが許容する保険プラン自己負担上限額であろう。Exchange保険プランにおける免責額の増額が想定されているためである(「Topics2014年4月4日 免責額上限撤廃」参照)。
上記sourceによれば、2015年の自己負担上限額(個人プラン)は2014年から$100引き上げられて、$6,450になる。保険会社は、この上限額を頭に置きながら、保険料・免責額の設定をするはずである。
※ 参考テーマ「HSA」
Sources : |
Connecticut Takes a Big Step Towards Retirement Security for Its Residents (Pension Rights Center) State-based retirement plans for the private sector (Pension Rights Center) |
上記sourceによると、CA州に続き、CT州も州立退職貯蓄プラン("a new state-administered retirement savings plan for private-sector workers who do not have an employer-provided pension or retirement savings plan")の具体的な制度設計の検討に入ったとのことである(「Topics2013年5月19日 CA州版国民年金基金:制度設計進まず」参照)。
Pension Rights Centerの集計によれば、その他の州でも同様の制度設計の検討が行われているようだ。そのポイントを簡単にまとめておくと次のようになる。具体的な制度設計については、MA州が最も進んでいるようだが、加入対象者の範囲がかなり限られている。一般的な州立退職貯蓄プランということでは、表の最初のCA州、CT州の検討が進んでいる。新しい年金プランの動きとして注視していきたい。
州 ステージ 制度案概要 プランタイプ 運営機関 加入対象者 加入選択権 従業員拠出金 利回り保証 給付形態 企業の役割 CA 法案成立。審議会で制度設計中 自動加入IRA/統合運用 CalPERS等 退職プランのない民間企業従業員 あり 約3% 一定割合 - 拠出金の天引き CT 法案成立。審議会で2016年4月までに制度設計 自動加入IRA/統合運用 CA同様の信託基金 従業員5人以上で退職プランのない民間企業従業員 あり - 一定割合 原則終身年金/一時金選択可 拠出金の天引き IL 州議会上院可決。下院で審議中 自動加入IRA/統合運用 財務長官・審議会 従業員25人以上で退職プランのない民間企業従業員 あり 原則3% - - 拠出金の天引き MD 州議会上院で審議中 自動加入IRA/統合運用 - 従業員5人以上で退職プランのない民間企業従業員 あり - - - 拠出金の天引き MA 2012年法案成立。IRSで税制適格審査中 税制適格DC 財務長官・審議会 20人以下の非営利団体職員 - 団体・職員ともに拠出可 - - - MS 州議会上院で審議中 - - - - - - - - NE 州議会で審議中 - - - - - - - - OR 州議会が制度検討審議会設立法案を可決 - - - - - - - - WA 州議会で審議中 - - - - - - - - WI 州議会で制度検討審議会設立法案を審議中 - - - - - - - -
※ 参考テーマ「地方政府年金」、「企業年金関連法制」