9月10日 Wage Theft 
Source :More Workers Are Claiming ‘Wage Theft’ (New York Times)
文字通り訳せば『賃金泥棒』となるが、意味するところは『賃金不払い』である。

Wikipediaを参照すると、その形態は、時間外手当の不払い、最低賃金違反等々、様々なものがあるようだ。

驚くのはその広がりで、経営者団体等は否定するものの、連邦政府労働省の担当部局は、 との見解を示している。

また、労組による賃上げ要求の最大ターゲットとなっているMcDonald's, Walmartで、集団訴訟が集中していることも指摘されている。

ここは企業側が法令順守を徹底する必要があるだろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「最低賃金

9月9日 Medicaid拡充:次はどこ? 
Source :23 states still haven’t expanded Medicaid. Which could be next? (Washington Post)
PA州のMedicaid拡充が決まり、2015年の保険加入申し込み開始(11月)に向けて、次はどこの州が拡充するのかに関心が集まっている(「Topics2014年8月29日 PA州:Medicaid拡充策決定」参照)。上記sourceでは、次の5州が候補として挙げられている。 ざっと見ると、11月に間に合いそうな州は上記の半分くらいか。Medicaidについては、2制度分立が当分続きそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

9月8日 5州でSHOP先行受付 
Source :Five States To Get Early Access To Small Business Health Insurance Marketplace (Kaiser Health News)
連邦立EXchangeでは、ようやく2015年からOnlin SHOPが本格実施される。昨年は、加入受付webでトラブルが相次いだため、中小企業(フルタイム従業員50人未満)を対象としたOnline SHOPの運営を1年先送りした。

9月3日、CMSは、11月15日からの保険加入申し込み開始に先行して、次の5州の連邦立Exchangeで先行受付を開始することとした。開始日は10月下旬で、web利用者からのフィードバックを期待しているとのことである。 SHOPでは、特にフルタイム従業員25人未満の小規模企業は、保険料補助金(tax credit)を最大50%受け取ることができる。小規模企業にとってのメリットは大きい。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般

9月7日 MA州:初年度は目標クリア 
Source :Annual Report on the Performance of the Massachusetts Health Care System (Published September 2014) (The Center for Health Information and Analysis (CHIA))
2012年8月、MA州は医療費抑制法を可決・成立させ、全米で初めて医療費抑制の法的枠組みを始動させた(「Topics2012年8月4日 MA州:医療費抑制法案」参照)。

2013年はその法的枠組みのもとでの取り組みの初年度にあたる。上記sourceは、その成果を検証した結果をまとめたものである。ポイントは次の図に集約されている。
目標をクリアし、順調な滑り出しなのかと思いきや、一般的な見方は、『2013年は一時的な現象で、伸び率は再び高まってくる』というものだそうだ(Kaiser Health News)。2014年になると、PPACAの規定遵守に伴う保険料アップが実際に起こっており、目標達成は難しいのではないかとみられている。

MA州の法制は、PDCAサイクルを回すことであり、目標が達成できない年が続けば更なる抑制策を検討しなければならなくなる。アメリカ医療におけるパイオニアの動きが注目される。

※ 参考テーマ「無保険者対策/MA州

9月6日 医療費支出予測 
Source :Health Care Spending Forecast To Increase Modestly In Next Decade (Kaiser Health News)
9月3日、CMSより、現状及び今後10年間の医療費支出予測が公表された。ポイントは次の通り。
  1. 2013年の医療費支出の伸び率は、3.6%(実績)

  2. 2014年の伸び率は5.6%と上昇を予測。

  3. 2015〜2023年の平均伸び率は、6%程度。

  4. GDP伸び率を上回るため、GDPに占める医療の割合は、2012年の17%から2023年には19%以上に上昇。
  5. 足許、Medicare診療報酬の2%カット、高免責額プランの普及により、伸び率は若干抑制された結果となっている。

  6. 無保険者数の推計は、2012年4,500万人、2023年2,300万人と、およそ半減する。

  7. Medicareの伸び率は、2012年4.8%、2013年3.3%。その後ベビーブーマーの高齢化により、2020年には7.9%にまで上昇。

  8. Medicaidの伸び率は、2012年3.3%、2013年6.7%。PPACAに基づくMedicaid対象者の拡充を受けて、2014年の伸び率は13%、その後は6.7%と予想。

  9. 民間保険プランの保険料の伸び率は、2014年6.8%。2016〜2023年は年平均5.4%。
今後の高齢化のことを考えれば、医療費の伸びをGDPの伸びの範囲に抑えることが必要になってくるだろう。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」、「Medicare」、「無保険者対策/州レベル全般

9月5日 CA州:中間層の回復に遅れ 
Source :Slow wage growth threatens California economic recovery, report finds (Los Angeles Times)
CA州で高給職に光明が見えてきたと紹介したが、その他の職種での賃金は低迷している。特に、中間層の賃金が抑えられており、これが労働市場の回復の弱さを物語っている。
4/5位数の賃金は1979年当時よりも17%上昇しているのに、中位数は−3.9%、1/5位数は−12.2%も低下している。

労働市場の本格的回復にはまだ時間がかかりそうだ。

※ 参考テーマ「労働市場

9月4日 有給休暇を使わない 
Source :No Vacation Nation: 40% of American Workers Won’t Use Paid Time Off (U.S. Chamber of Commerce)
アメリカ人は、なかなか心から有給休暇を楽しむ気にはなれないらしい。
  1. 有給休暇を使わずに繰り越すか、失効させている ⇒ 4割

  2. 休暇から戻った時に仕事が山積みになっていることが心配 ⇒ 40%

  3. 他の人ではできない仕事がある ⇒ 35%

  4. 自分の仕事を誰か他の人でもできるとは思われたくない ⇒ 21%

大不況が労働者にもたらした雇用不安は、今も影を落としている。それにしても、上記の4.はいただけない。

そういえば、"Six Days, Seven Nights"でも、女性主人公は休暇中のリゾート地で出張命令を受けていたっけ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

9月3日 カジノ:究極の企業誘致 
Source :With the Horseshoe casino, Baltimore adds to the urban gambling jackpot (Washington Post)
MD州では、2016年に2箇所カジノが新オープンするそうだ。一つはボルティモア、もう一つはD.C.の南だ。
MD州では、2008年に初めて合法カジノが設立され、上の2つを含めると、2016年までに6つのカジノが設立されることになる。

私がMD州ベセスダに住んでいたのは、2001〜2003年なので、まったく様子はわからない。

最近、カジノを開設している地域は、ピッツバーグ、フィラデルフィア、クリーブランドと、他の産業が去っていった土地が多いそうだ。上記sourceは、
"cities that other industries abandoned decades ago"
と表現している。この表現、何度か訪れたボルティモアにも当てはまる。ちょっと寂しい、過去の産業都市である。

そのように、他産業が去っていた地域が、税収と雇用を求めて誘致しているのがカジノという訳である。そうした目で見ると、東京にカジノを開設することはどう映るんだろう。

※ 参考テーマ「労働市場

9月2日 高齢者の教育ローン負担 
Source :Student Debt Threatens the Safety Net for Elderly Americans (Businessweek)
教育ローンの負担の重さは若者の問題だと思い込んでいたが、アメリカでは高齢者の負担の重さも問題になっているそうだ。 連邦政府から提供されたローンについて残高があると、公的年金(social security)から天引きされるという厳しい措置もある。

アメリカの場合、高齢者でも教育ローンを抱えているという背景には、次のような事情がある。 いずれにしても、その歳になるまでローンが残っているということは、大学教育は受けたものの、卒業できなかった、高い給与の職に就けなかった、などの理由から、低所得層にとどまっている人が大半であろう。そうした人達にとって、ただでさえ低水準の公的年金給付からさらに天引きされるのでは、生活は相当厳しいものとならざるを得ない。

教育ローン問題は、全世代の問題であることを認識させられた記事である。

※ 参考テーマ「教 育

9月1日 CA州:有給病気休暇を法定 
Source :California Legislature passes paid sick leave bill (Sacramento Bee)
8月30日、CA州議会は、有給病気休暇法(The Healthy Workplaces, Healthy Families Act of 2014, AB 1522)を可決した。CA州知事は歓迎のステートメントを公表しており、法案成立は間違いない。対象となるのは、州内労働者の約40%程度、700万人が対象となる見込みである。

経済界は、既に企業は有給病気休暇を提供しており、新たな義務化は不要であると主張し、反対していた。一方、大きな労働組合は、審議過程で対象者が限定されたこと、取得可能日数が縮減されたことから、最後は支持をしていなかった。

それでも、州知事からの強い働きかけがあって、州議会で可決した。

アメリカ連邦法では、病気休暇は無給で取得できることが保証されている(FMLA)。Wikipediaによると、これまでに自治体独自に有給病気休暇を法定しているのは、次の4つである。 CT州が州として最初であったが、対象者が限定されているため、対象者は20〜30万人程度と見られている。そこからすれば、今回のCA州の法定は、全米初の本格的な導入と言ってよいだろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制