6月20日 AFL-CIO女性会長就任
Source :Organizing and adding members are top goals for the newly elected AFL-CIO president (NPR)
6月12日、全米最大の労組団体AFL-CIOの会長に、Elizabeth Shule氏が就任した。初の女性トップである。

任期は4年間。その間の最重要課題が、労組加入者の増加である。彼女は、今後10年間で100万人の増加を目標とすることを表明した。現在、1,250万人の加入者がいるとされいてるので、8%増が目標となる。

労組活動に対する信任が回復していることに加え、バイデン政権が労組結成を後押ししている(「Topics2022年5月2日 労組を巡る環境の変化」参照)。労組全体の加入率、組織率の低下に歯止めがかけられるかどうかが注目点だ(「Topics2022年1月21日(4) 2021年労組加入率/組織率」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合

6月18日(1) 有給傷病休暇の現状
Source :Paid Family and Medical Leave in the United States (CRS)
上記sourceは、今の有給傷病休暇の現状をまとめた資料で、大変参考になる。当websiteとしての関心事項は次の通り。
  1. 企業が提供する有給傷病休暇を利用できる働き手は、全体の23%を占める。
  2. 州法で定められた有給傷病休暇は、今年5月時点で、11州+D.C.で法定されている(「Topics2022年5月16日 DE州:FMLA法案成立」参照)。うち7州+D.C.は既に施行している。
  3. OECD内で比較すると、アメリカの母親/父親ともゼロ。
※ 参考テーマ「FMLA

6月18日(2) 医療関連債務
Source :Sick and struggling to pay, 100 million people in the U.S. live with medical debt (NPR)
PPACAが成立してから12年が経つが、アメリカ人にとって医療関連債務は、依然として重い負担となっている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

6月17日(1) MA州:ギグワーカー州民投票回避
Source :Massachusetts Court Throws Out Gig Worker Ballot Measure (New York Times)
Uber/Lyftなどギグワーカーを利用する企業は、CA州に続いてギグワーカーを契約者と位置付ける法案を、MA州民投票にかけようとしていた(「Topics2020年11月5日 CA州:Prop.22可決」参照)。しかし、6月14日、MA州最高裁は、州民投票案の内容がMA州憲法を侵しているとして、州民投票にかけることを禁じた。

これにより、CA州Prep.22のように、その後の混乱を招くことは回避された。逆に言えば、MA州では、ギグワーカーを従業員と位置付けることが確定したことになる。

※ 参考テーマ「雇用政策/労働法制

6月17日(2) 総人件費の実態
Source :Employer Costs for Employee Compensation Summary (BLS)
6月16日、2022年3月時点の時間当たり総人件費の推計が公表された。ポイントは次の通り。
  1. 時間当たり総人件費の平均は、$40.90/hとなった。そのうち、賃金は$28.16/h、ベネフィットは$12.74/h。平均値で見ると、州政府・地方政府の値が高い。
  2. 水準別でみると、格差が大きいことがよくわかる。
  3. これを、実質化した数値でこれまでの推移をみると。ほとんど変化がないことが判る。格差が固定化されていると言ってもよい。
  4. 業種別格差も大きい。
  5. ベネフィットの内訳をみると、有給休暇、医療保険、退職後所得プラン、社会保険料のウェイトが高いことが判る。特に、州政府・地方政府では、医療保険、退職後所得プランが充実している。
  6. 民間企業における総人件費の推移は次の通り。
※ 参考テーマ「労働市場」、「ベネフィット

6月17日(3) 企業ペナルティ通知
Source :Preparing for ACA Employer Mandate Enforcement (HUB)
上記sourceによると、PPACAに定められた企業ペナルティの執行が近づいているという(「Topics2021年9月10日 企業ペナルティの現状」参照)。ペナルティ支払い義務のある企業に対しては、IRSから通知(IRS Letter 226J)が送付されてくる。

IRSの通知が来た場合はもちろんのこと、来ていなくても対応を怠らないように、と上記sourceは注意喚起している。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

6月16日 RISE & SHINE法案 委員会可決
Source :Retirement-Focused RISE & SHINE Act Clears Senate HELP Committee (PLANSPONSOR)
6月14日、連邦議会上院Health, Education, Labor and Pensions Committee (HELP)は、上院版SECURE 2.0法案(The Retirement Improvement and Savings Enhancement to Supplement Healthy Investments for the Nest Egg (RISE & SHINE) Act, S.4353)を可決した(「Topics2022年6月10日(2) 上院版SECURE 2.0法案」参照)。

上院では、Committee of Financeでも、類似法案(Emergency Savings Act of 2022, S.4310)が審議されている。今後は、両法案の調整が図られて一本化した法案が作成され、本会議で審議。その後、下院案との調整が行なわれることになる(「Topics2022年4月1日 SECURE 2.0下院可決」参照)。

※ 参考テーマ「企業年金関連法制

6月15日 最低賃金$15超え
Source :Minimum Wage (XpertHR)
上記sourceは、今年7月1日時点での各州、都市の最低賃金水準を紹介している。

気付きを3点。
  1. 州ではないが、Washington, D.C.の最低賃金は$16.10/hにまで上昇している。これは、2020年までに$15.0/hへ引き上げることを法定した後は、物価スライドが適用されているからだ(「Topics2016年6月10日 D.C.も$15/hへ」参照)。今後も物価スライド適用により、最低賃金が引き上げられる州が出てくるだろう(「Topics2022年2月28日(1) CA州最低賃金の課題」「Topics2022年5月15日 CA州:最低賃金引き上げへ」「Topics2022年6月12日 CPIさらに上昇」参照)。

  2. Seattle、Los Angeles、San Francisco、San Joseと、西海岸の主要都市で$15/hを既に上回っている。

  3. 我がふるさとMD州Montgomery countyでも、大企業については$15.65/hとなっている。あの頃にくらべて企業が増え、求人が増えているのだろう。
※ 参考テーマ「最低賃金

6月12日 CPIさらに上昇
Source :Inflation soars to an over 40-year high. These are the ways Americans are coping (NPR)
6月10日、BLSは今年5月の消費者物価指数(CPI-U)を公表した(News Release)。前月比1.0%、前年同月比8.6%の上昇となった。前年同月比では1981年12月以来の高水準である(「Topics2022年5月12日 CPI上昇率高止まり」参照)
幅広い品目で上昇がみられるが、なかでもガソリンの高騰はすごい。
エネルギー価格は34.6%(前年同月比)と、最近では最大の上昇となっている。
食料品の価格も、10.1%と一本調子の急上昇が続いている。
住居費も上昇率が高まり続けている。居住者を募集しているアパートメントの家賃の中位数が、初めて月額$2,000を上回ったそうだ(NPR)。
こうした物価上昇のため、実質時給は低下傾向にある(Real Earnings News Release)。5月は前月比-0.6%、前年比で-3.0%となった。
※ 参考テーマ「労働市場