12月10日(1) Starbucksで労組結成
Source :Starbucks workers form their 1st union in the U.S. in a big win for labor (NPR)
遂に全米で初めて、Starbucksの労働組合が結成されることとなった(「Topics2021年9月9日(2) Starbucks労組結成の動き」参照)。とは言っても、労組結成の是非を問う投票は、店舗ごとに行われており、今回は3店舗で実施、1店舗での賛成多数が確定しただけだ。
  1. 第1店舗:19 vs 8で労組結成容認。SEIUの友好労組である"Workers United"に加盟する。

  2. 第2店舗:8 vs 12で労組結成否決。

  3. 第3店舗:15 vs 9だったが、うち7票について疑義が訴えられた。どうも投票権のない店員が投票してしまったらしい。
上記sourceによると、同じBuffalo地域でさらに3店舗、AZ州で1店舗で、労組結成に向けた動きが続けられている。Starbucksの懐柔策は不発だったようだ(「Topics2020年12月17日 Starbucksの最低賃金」参照)。

※ 参考テーマ「労働組合

12月10日(2) 労働市場退出の主役
Source :How Has COVID-19 Affected Older Workers’ Labor Force Participation? (Center for Retirement Research)
労働市場からの退出が話題になっている。上記sourceは、どのような人達の退出が増えているかを分析している。

ポイントは次の2点。
  1. 55歳以上の中高年層の退出割合は、パンデミック前後で大きく変化した。
  2. その中でも、①70歳以上、②アジア系、③高卒以下、④テレワークができない、ということろが、パンデミック後の退出を大きく増やしている。
※ 参考テーマ「労働市場

12月10日(3) NV州:未接種職員に上乗せ保険料
Source :Nevada To Charge Unvaccinated State Workers An Insurance Surcharge (Insurance News Net)
12月2日、Nevada州職員厚生組合は、コロナワクチンを接種していない州職員の医療保険料を$55/M引き上げることを決定した。2022年7月から施行する。

NV州職員のうち、約5,000人がワクチン未接種と見られている。

おそらく州職員に未接種を理由に保険料を付加するのは、NV州が初めてとみられている(「Topics2021年8月27日(1) FDA正式承認の効果」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活」、「医療保険プラン

12月10日(4) NYC:民間企業に接種義務付け
Source :As NYC sets broad vaccine mandate for workers, federal vaccine rules remain blocked (NPR)
12月6日、New York市長は、民間企業の従業員全員にワクチン接種を義務付けるとの命令を発した(Press Relaese)。民間企業全てに義務付けるのは、全米で初めてだ。

施行は12月27日。ただし、現市長の任期は今月末まで。来年1月1日には新市長が就任する。新市長は、義務付け施策を精査するとともに、他の施策も検討するとしている。

おそらくは現市長の最後のパフォーマンスということだろう。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

12月10日(5) 大統領令執行差止判決
Source :Judge Suspends Federal Contractor Vaccine Mandate Nationwide (Government Executive)
12月7日、GA州連邦地方裁判所は、連邦政府契約企業へのワクチン接種義務化を命じた大統領令の執行差し止めを命じた。先の3州での仮差し止めに続くものである(「Topics2021年12月3日(1) 3州で契約企業接種義務化仮差止」参照)。

ただし、今回の差し止め命令については、原告に6州、さらに州知事、州政府機関、建設業団体が入っており、その影響は全米に広くわたる。もう3州だけの話ではなくなっている。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

12月10日(6) 覚悟の接種拒否なのか
Source :Pro-Trump counties now have far higher COVID death rates. Misinformation is to blame (NPR)
上記sourceは、昨年の大統領選の投票結果と、COVID-19のワクチン接種、死亡率を、countyレベルで分析した結果を紹介している。
  1. トランプ大統領が圧勝したcountyでは、ワクチン接種率が低く、死亡率が高い。
  2. ワクチン未接種の人のうち、民主党支持者の割合はどんどん低下している一方、共和党支持者はほぼ6割(59%)を占める状況となっている。
  3. 間違った情報を真実だと信じている割合は、共和党支持者の間では94%に及ぶ。最も信じられているデマは『連邦政府がコロナ関連死者数を誇張している』というものである。
アメリカ社会は本当に分断されている。分断されて生き方が違うだけならよいが、死亡率まで異なってくると大きな問題となる。それとも、プロテスタントとしての本能が蘇り、死を覚悟してもワクチンを打たないのか。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活」、「政治/外交

12月9日 労働市場の逼迫続く(2)
Source :Job Openings and Labor Turnover Summary (BLS)
12月8日、BLSが、10月末の求人数を発表した。10月末の求人数は1,103万人となり、再び増加に転じた(「Topics2021年11月13日 労働市場の逼迫続く」参照)。

BLS
また、新規雇用数は、646万人と減少傾向が続いている。

BLS
10月の失業者数/求人数は2ヵ月連続の0.7となった。

BLS
10月の自発的失業(Quits)は416万人(P)で、9月の436万人から減少した。とはいえ、長期で見ると、高水準が続いている。
Quits level, Total nonfarm - 2019~2021年

Quits level, Total nonfarm - 2007~2021年
※ 参考テーマ「労働市場

12月5日 感染拡大が雇用に冷水
Source :Hiring slowed sharply in November, even before omicron, with 210,000 jobs added (NPR)
12月3日、労働統計が公表された(BLS)。11月の雇用増は21.0万人となり、10月の54.6万人から急落した(「Topics2021年11月7日(2) 労働市場参加率低迷」参照)。

各産業とも低調だが、特にサービス産業の減速が目立つ。
失業率は4.2%と、引き続き順調に低下し続けている。
それでも、パンデミック発生以前に較べて、依然として390万の雇用が回復していない。
長期失業者(27週以上)の割合は32.1%と、わずかながら上昇した。
労働市場参加率も61.8%とわずかに上昇したが、横ばい状態が続いている。
労働市場に参加していない人の中で、仕事を得たいと考えている人数も減少してしまった。
コロナ感染の急拡大が労働市場参加率の上昇を妨げている。12月3日時点の一日の感染者数は15.8万人にも達している。

Johns Hopkins University & Medicine
※ 参考テーマ「労働市場

12月3日(1) 3州で契約企業接種義務化仮差止
Source :Federal Judge Temporarily Blocks Contractor Vaccine Mandate in Three States (Government Executive)
11月30日、Kentucky州の連邦地方裁判所は、Kentucky, Ohio, Tennessee州について、連邦政府契約企業に対するワクチン接種義務を求める大統領令の一時差し止めを命じた(「Topics2021年9月11日 民間企業接種義務化大統領案」「Topics2021年11月6日(1) 企業接種期限は1月4日」参照)。 地方裁判事が下した判決のうしろにある考え方のポイントがわかるので、まとめておきたい。
  1. この事案は、ワクチンの有効性を争うものではない。有効性はある。

  2. 政府が一定の条件の下で市民にワクチン接種を求めることができるかどうかを争うものでもない。接種を求めることはできる。

  3. 連邦議会から賦与された調達権限を利用して、大統領が契約企業に対するワクチン接種義務を課すことができるかどうか。これはできないというのが大方の回答であろう。
OHSAルールと併せ、民間企業へのワクチン接種義務化は止まってしまいそうである(「Topics2021年11月19日 OSHAルールは第6控訴裁判所へ」参照)。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

12月3日(2) ワクチン接種動向(11月)
Source :KFF COVID-19 Vaccine Monitor: November 2021 (KFF)
毎月、ワクチン接種動向を調査しているKFFが、11月調査結果を公表した(「Topics2021年10月30日(2) ワクチン接種動向(10月)」参照)
  1. 11月の接種割合は前月よりも1%ポイント上昇。
  2. 民主党支持者に限れば91%の接種割合になる。一方、共和党支持者では59%のみ。
  3. ブースター接種済みの割合は倍以上となった。
  4. ブースター接種でも、民主党支持者、共和党支持者の姿勢は若干異なる。
  5. 契約企業に対する大統領令、OSHAルールの公表があっても、職場でのワクチン接種義務化は大きな進展を見せていない。
  6. 職場でのワクチン接種義務化に対しては、忌避感が根強い。
※ 参考テーマ「人事政策/労働法制」、「人口/結婚/家庭/生活

12月1日 いよいよ最賃$15/h
Source :2022 State Minimum Wage Increases Map (HR Daily Advisor)
毎年恒例の、来年の州別最低賃金引き上げの状況である(「Topics2020年12月13日 州最低賃金の動向」参照)。 年末から来年中に、最低賃金の引き上げが予定されている州は20を超える。
そして、年末にはNY州の一部、来年初にはCA州(小規模企業を除く)で、いよいよ$15/hが実現する(「Topics2016年4月7日(2) NY州も最低賃金$15」「Topics2016年4月7日(1) CA州:最低賃金$15」参照)。連邦政府最低賃金の倍以上の水準となる。

※ 参考テーマ「最低賃金