Source : | American Airlines: Too many pilots will retire if they can take their pensions as a lump sum (Dallas News) |
今月23日、Chapter 11による再建中のAmerican Airlines(A.A.)は、パイロット年金プランの一時金受取制度の廃止案を破産裁判所に提出した。
A.A.の他の4つのプランについては、凍結することが決まっている(「Topics2012年11月3日 GM & A.A.」参照)。今後の制度の在り方について検討中だったのは、今回のパイロット年金プランだけである(「Topics2012年3月9日 A.A.が方針転換」参照)。
A.A.のパイロット年金プランの一時金受取制度については、予てから、パイロットの退職を誘発している、との問題指摘が行われてきた。一時金受取制度を残したままにしておくと、Chapter 11から復活した途端に大量のパイロットが一時金を受け取って退職してしまう可能性が高いのである。それでは、せっかく復活しても飛行機の運航自体ができなくなる、というのである。
このA.A.の提案に対する反対意見は12月12日まで受け付け、同19日に意見陳述が行われる予定である。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | Democrats dig in over reform (Financial Times) |
"Fiscal Cliff"回避策に関する協議がほとんど進んでいないという。苛立ったObama大統領は、国民に向けて、中堅層の減税措置を可決するよう連邦議会議員にメールを送ってほしいと呼びかけている。
上記sourceでは、連邦議会での議論が膠着状態に陥っている背景を紹介している。
民主党の中には、共和党の提案はむしろ民主党の考え方に合致している、との意見もあり、民主党内は一枚岩にはなっていない。タイムリミットが近づいてこないと、なかなか決断には至らないようだ。
- 共和党
- 民主党がMedicare、Social Securityの制度変更を認めるなら、富裕層への増税を認めてもよい。
- 具体的には、これらの制度に、より厳しい所得要件を課すことを提案している。
- Medicareでは、富裕層がより高い保険料を負担する。
- Social Securityでは、富裕層への給付額を削減する。
- 民主党
- 累進性を高める制度変更提案は、持続性確保のために長期的な課題としてはわかるが、当面の制度変更はすべきではない。
- 特に、リベラル派は、『Medicare、Social Securityはユニバーサルな制度として維持すべき』との考え方を崩していない。中低所得層のみを対象とした制度にしてしまうと、国民全体で制度を支えるという形が崩れてしまう。
※ 参考テーマ「公的年金改革」、「Medicare」
Source : | Minnesota Facing Bigger Bill For State's Health Insurance Exchange (Kaiser Health News) Health insurance exchanges emerge as red vs. blue (American Medical News) |
意思表明の期限が延長されたため、なかなか各州のExchange姿が定まらない。
一方、既に"State-based"のExchange創設の意思を固めた州でも、新たな課題が発生しているようである。"Exchange"の理念は理解されつつあるものの、第一世代と呼ばれる州においてすら、具体的な制度設計においては課題が山積しているようである(「Topics2012年7月31日 "Exchange"第一世代」参照)。
- Minnesota
創設を検討している際は、2015年の年間コストは$30〜40Mと見ていたが、現時点での推計では、2015年に$54M、2016年に$64Mが必要とされている。これらの費用を賄うための新たな財源を見つけ出さなければならない。
- Maryland
Exchangeを通じて販売された保険プランについては、医療機関への償還額をMedicaid並みにしてはどうか、との議論が行われている。保険プランの保険料を抑制するためと思われるが、それが現実になると、医療機関・医師がExchangeを通じた医療の提供に参加してくれなくなるのではないか、との懸念がある。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Bankrupt San Bernardino seeks renegotiation of Calpers debt (Reuters) |
Chapter 9による再建中のSan Bernardino市(SB市)は、19日、暫定予算案を公表した。その中で、CalPERSへの拠出金について再交渉したい、との意向を示した。
SB市は、資金繰りが苦しいことから、CalPERSへの拠出を停止しており、その分の負債が$6M以上になっている(「Topics2012年10月31日 CalPERSの提訴続く」参照)。SB市の一般会計の債務超過が$45.8Mであることから、相当の割合を占めている。
CalPERSは、拠出停止は一切まかりならん、と主張しているが、SB市は、長期の分割払いを求めていきたい意向である。期間と額にもよるが、CalPERSにとっては財政上マイナス要因となる。そればかりか、同様の理由で他の自治体が分割払い要請をしてくると、屋台骨を揺るがしかねない。
いよいよ、年金拠出(=給付)の神聖性(州憲法)とChapter 9による財政再建(連邦破産法)の優位性が争われることになりそうだ(「Topics2012年11月20日 自治体破産の意味:CA州」参照)。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Administration Releases New Health Law Rules For Insurers, Employers (Kaiser Health News) |
Obama大統領の再選を待っていたかのように、20日、PPACAに関する細則案が公表された。本体は膨大な文書なのでとても読み切れない。上記sourceで示されたポイントは次の通り。喫煙に対する懲罰的な規定が印象的である。
- 保険プランに盛り込むべき給付内容
- 保険給付対象は、救急医療、入院、処方薬など10分野とする。
- ただし、各分野で何を給付対象とするかという細目については、州政府の裁量に委ねる。
- 保険料に関する諸規制
- 保険料を変更可能とする要素:年齢、喫煙、地域
- 喫煙者には50%以上の賦課を可能とするが、禁煙しようとしている者は免除できる。
- 老若の格差は、3倍以内とする(「Topics2012年9月27日 高齢者保険料が上昇:ME州」参照)。
- 21歳未満、63歳超では年齢差を認めない。
- 保険料を変更不可とする要素:病歴、性別
- 健康増進・管理プログラムへのインセンティブ
- 企業が医療保険プランを提供している場合、一定の健康管理目標(体重、コレステロール、血圧等)を設け、20〜30%の幅で保険料の軽減、または割増を認める。
- 禁煙プログラムが成功した場合には、最大50%の軽減を認める。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | State-run health care exchange nixed (AP) |
19日、Oklahoma州知事が、 と表明した。
- Stete-based, State PartnershipのExchangeは創設しない
- Medicaidの加入対象者の拡大(FPL 100%→133%)は行わない
これにより、OK州では連邦政府によるFederally-Facilitated Exchangeが設立されることになる。それは、State Decisions For Creating Health Insurance Exchanges in 2014, as of November 16, 2012 (Kaiser Family Foundation)のインタラクティブ・マップでも確認できた。
州別のExchange設立に関する最新情報は右表の通り。動向が明確になっていないのは6州となった。
ところで、OK州の病院会、商工会議所は、ともにState-basedのExchange、Medicaidの加入対象者拡大を支持していた。病院会は当然としても、商工会議所が賛成しているというのは、少し意外だ。州政府の負担が増えてくれば、増税の口実となりかねないからだ。それとも、賃金水準が低いために、無保険者割合が高く(65歳未満で20%、全米13位)、無保険者対策が喫緊の課題になっているということなのだろうか。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Immigrants to Pay Tuition at Rate Set for Residents (New York Times) |
MA州のPatrick知事が、若年層の不法移民政策を打ち出した。不法移民であっても、州立教育機関において州民授業料を適用するというものである。州立大学では、州民授業料か州外授業料かで大きな違いがある。
不法移民子弟に州内授業料を提供することを法定 州 名 法定年 備 考 Texas 2001 California 2001-2 Utah 2001-2 New York 2001-2 Washington 2003 Oklahoma 2003 2008年に廃止 Illinois 2003 Kansas 2004 New Mexico 2005 Nebraska 2006 Wisconsin 2009 Maryland 2011 2012/11州民投票で承認 Connecticut 2011 Massachusetts 2012 国外退去猶予者に限定
高等教育委員会の決定により不法移民子弟に州内授業料を提供することが可能 州 名 法定年 備 考 Rhode Island 2011
不法移民子弟に州内授業料を提供することを法定で禁止 州 名 法定年 備 考 Arizona 2006 Colorado 2006 Georgia 2008 South Carolina 2008 Indiana 2011 Alabama 2011
Source:"In-State Tuition and Unauthorized Immigrant Students"(NCSL)今回の不法移民政策の特徴は、Obama政権の不法移民対策とシンクロしていることである。不法移民でも州民授業料を適用する対象は、Obama政権が「国外退去措置を2年間猶予する」とした若年不法移民と同じにするのである(「Topics2012年6月17日 若い不法移民を保護」参照)。つまり、Obama政権が2年間国外退去を猶予することを認めた若者が州立大学で勉強する場合には、州内授業料を認めようというのである。これは、CA州が国外退去猶予者に運転免許を賦与することにした理屈と同じである(「Topics2012年10月3日 CA州:退去猶予者に運転免許証」参照)。
- 州民授業料:$ 13,230
- 州外授業料:$ 26,645
実は、MA州では、Romney知事時代、不法移民に州内授業料を適用する法案に対して拒否権を発動した経緯がある。そのRomney氏が大統領選で敗れた直後に、この新たな政策を打ち出したのである。
今回のMA州の措置により、各州の州内授業料適用状況は右表のようになる。
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」