Source : | Cities, Bankruptcy Law and Pension Payments (Governing) |
これまで、自治体である市がChapter 9で再建した結果、市職員の年金給付を削減した事例がある。 こうした問題について、ERISAの専門家と、Chapter 9で再建中のCA州Stockton市の弁護士が意見を述べている。ERISAの専門家がいう『自治体は州政府の一部』という理屈があるのであれば、自治体が財政難になって年金拠出ができない事態に陥った場合、州政府がその穴埋めをすることになるのだろうか。もう少し掘り下げた議論を読んでみたいものである。
- ERISAの専門家
- そもそも自治体は州政府の一部である。自治体が独自にChapter 9を申請することを認めていない州政府もある。
- 自治体のChapter 9申請を認めてしまうと、CA州のように、「自治体の再建」と「職員年金の給付減額禁止」(州憲法)という利益相反が生じてしまう。
- 連邦破産法が州法に優先するのかどうかは、最終的に連邦最高裁判所が判断せざるを得なくなるだろう。
- Stockton市の弁護士
- 連邦法と州法が一致しない場合、当然、連邦法が優先する。(連邦破産法の)Chapter 9による自治体の再建の中で、CalPERSに対して何もできないと州法は主張しているが、どこまで効力があるかは疑問だ。
- 破産裁判所の裁判官は、『受給権が付与されているからといって、再建の中で給付に手をつけることはできないとはならない』と判断している。
- CalPERSに余分な資金があるわけではなく、自治体が拠出しなければその分給付が削減されるだけである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | The Growing Budget Cost of Insurance Subsidies in the Affordable Care Act (National Center for Policy Analysis) |
PPACAでは、所得水準によって、保険料に対する補助金が出ることになっている(「Topics2010年3月31日(1) 医療保険改革法に署名」参照)。実際に補助金が出てくるのは、PPACAの本格実施、"Exchange"の稼働が始まる2014年からだ。
その補助金総額に関する推計値が、どんどん膨らんでいっている。これだけ推計値が膨らんでいる理由としては、次の3点が挙げられている。
PPACA法案成立当時(2010年3月) $ 462 B (2012〜2019年) ↓ 成立一年後(2011年3月) $ 515.5 B ↓ 連邦最高裁判決後(2012年6月) $ 574 B Fiscal Cliffが議論されている中、新たな歳出圧力が加わることになる。
- 医療物価の予想以上の伸び
- 賃金上昇率の低迷
- 企業提供保険プランの予想以上の減少
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」
Source : | State Decisions For Creating Health Insurance Exchanges in 2014, as of November 16, 2012 (Kaiser Family Foundation) |
"Exchange"創設を巡る動きが急になっており、州政府の正式決定以前でも方向性を示しているとの報道も増えてきている。
ここで、"Exchange"のタイプ分類を確認しておこう。連邦政府としては、なるべく一番左の"State-based"で設立してもらいたいと思っているはずだ。この分類に合わせて、11月16日時点での正式情報をまとめたのが、上記sourceである。これに、Kaiser Health Newsの情報を加えて、当websiteでお馴染みの表形式にしてまとめておく。 ※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」source:NCSL
Exchange Options for States State-based Exchange
State operates all exchange
activities; however, state may use
federal government services for
the following activities:
- Premium tax credit and cost
sharing reduction- Exemptions
- Risk adjustment program
- Reinsurance program
State Partnership Exchange
State operates activities for:
- Plan Management
- Consumer Assistance
- Both
Federally-Facilitated Exchange
HHS operates; however, state
may elect to perform or can use
federal government services for
the following activities:
- Reinsurance program
- Medicaid and CHIP eligibility:
assessment or determination*
Source : | PBGC Reports Continued Quality Service, but Record $34 Billion Deficit for FY2012 (PBGC) |
PBGCの年次報告書(2012年版)が公表された。
そこで示された債務超過は、過去最高のものとなった。債務超過は、2008年から膨らみ続けている。このように債務超過が膨らんでいる理由としては、
- 資産総額:$ 85 B
- 給付債務総額:$119 B
- 債務超過:$ 34 B
といったものが挙げられている。
- 給付債務計算のための利子率が低下している
- 総合型年金プランへの支援が急増している
要するに、リーマンショックによる大波をもろに被っているのである。徹底的な低金利政策・金融緩和策により金利が低下し、中小企業が立ち行かなくなって総合型年金プランが破綻してしまっているのである。Obama政権は、このように大量出血を続けるPBGCの存在を認め続けるのであろうか。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | Letter to GOP Governors (HHS) |
14日、共和党の州知事達が集まり、Obama大統領に対して、"Exchange"創設に関してもっと検討時間が欲しい、もっと情報が欲しい、というメッセージを送った(New York Times)。共和党出身の州知事達は、と考えているので、自ら"Exchange"を創設すべきかどうか、本当に迷ってしまっているのである。
- 医療保険制度に関しては、連邦政府に任せるのではなく州政府が管轄すべきだ、との原則を持っている一方、
- PPACAで規定された"Exchange"は、全く連邦政府のプログラムである
これに対して、Obama政権は即座に反応した。15日、HHSのSebelius長官は、"Exchange"創設の意思があることを伝える期限を延長すると伝えた。前回の延長策(「Topics2012年11月13日 "Exchange"申請期限延長」参照)は、創設意思表明の期限は11月16日に据え置いたまま、具体的な制度設計に関する申請を12月14日に延ばすというものであったが、今回は意思表明の期限も12月14日に延長すると表明したのである。
同時に、連邦政府が創設する"Exchange"の制度設計に関する申請期限は来年2月15日とすることも明確にした。当websiteでは、11月9日付けのHHS長官レターで、"Partnership Exchange"と明記していたために、複数州により設立する"Exchange"と理解していたが、今回のレターでは、明確に"Exchange in partnership with federal government"と表記し、連邦政府立の"Exchange"に関する申請期日であることを明確にしたのである。
連邦政府としては可能な限り州立"Exchange"を創設してもらいたいため、申請期限の再延長に即座に応じたのだが、この再延長措置により州政府の設立意思がどれだけ進むのか、極めて不透明である。そもそも、州知事はHHSに関してさらに情報が欲しいと伝えているにも拘らず、HHSからの情報提供が不十分であるという状況になっているらしい。これでは、自分で設立します、と自信を持って宣言できるはずがない。実際、Nebraska州知事は、15日、情報不足を理由に『州立"Exchange"を設立することはないだろう』と宣言したのである(New York Times)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Citizens of 39 states petition to secede from the union (Nextgov.com) |
White Houseのwebsiteには、オンラインで請願ができるシステムがある。"We the People"という。
Texas 95,615 Louisiana 32,854 Florida 28,671 Georgia 27,157 Alabama 26,344 Tennessee 26,243 North Carolina 25,631
この請願システムで、大統領選直後から、『我が州を平和的にアメリカ連邦から離脱させててもらいたい』という請願が急増しており、上記sourceによれば、13日夕方時点(アメリカ東部時間)で39の州の州民が提案しているそうだ。
14日夜(日本時間)に確認してみると、25,000以上の署名を集めた離脱請願は、7つある(右表参照)。上記sourceの13日時点では上位3州しかなかったようなので、急速に署名が集まっていることがわかる。
なぜ25,000以上なのかというと、25,000以上の署名が集まった請願には、何らかの回答をWhite Houseが示すことになっているからである。もちろん、まともな議論に発展するとは思われないが、どのような理由をObama政権が示すのか、興味のあるところである。
Obama大統領の1期目がアメリカ社会を分裂させてしまったことが、こうした離脱請願という形になって現われてきたのだろう。
※ 参考テーマ「政治/外交」
Source : | “Private Exchanges” Could Trigger Health-Benefits Revolution (CFO.com) |
ちょっと長いエッセイだが、民間版"Exchange"の実態、将来像が描かれているので、大変に参考になる。
読んでみての感想だが、民間版"Exchange"は、企業が提供する医療保険プランの姿を大きく変えていく可能性があると思う。今のところ、民間版"Exchange"では、単一保険会社がプランを提供している場合と、複数の保険会社がプランを提供している場合があるようだが、やがては複数の保険会社が提供するのが一般的になると思われる。そうなると、本当に保険市場が競争的になるかもしれない。それが可能となるのも、IT技術のおかげである。
- 大企業:リスク低減・コスト抑制の観点から、"self-insured"の形態は少なくなっていくのではないか(「Topics2010年1月21日(2) 2つの企業提供保険プラン」参照)。
- 中堅・中小企業:選択肢が圧倒的に増えることから、民間版"Exchange"と公的"Exchange"の活用・使い分けが進むのではないか。
※ 参考テーマ「Private "Exchange"」
Source : | A Letter to Governors (HHS) |
今月9日、HHSのSebelius長官は、各州知事宛にレターを発出した。"Exchange"設立の申請期限を延長するという内容だ(「Topics2012年5月19日 Exchange申請期日」参照)。州単独の"Exchange"については若干の延長を認め、その後の設立準備に大きな遅れが生じないように配慮している。一方、複数州による共同"Exchange"は、相当ハードルが高く、しかも、実現性も低いと見られているものと思われる(「Topics2012年11月5日 州際保険購入法の効果」参照)。
- State-based "Exchange"
- 申請期日を今年12月14日まで延長する(元々は11月16日)。
- HHSの認可(2014年スタート分)は、2013年1月1日とする(これは法律通り)。
- 保険加入申し込み開始は、2013年10月1日(通常通り)。
- "State Partnership Exchange"(複数州による共同設置)
- 申請期日を2013年2月15日まで延長する(元々は11月16日)。
- 保険加入申し込み開始は、2013年10月1日(通常通り)。
APの集計によると、現時点で州立"Exchange"を創設すべく準備を進めているのが17州+D.C.、創設しないことを決めているのが11州となっている(New York Times)。 まだまだ多くの州が態度を決めかねており、今回の期限延長がどれだけ設立促進効果を持つのかは不明である。
なお、上記のNew York Times紙ほかの記事を見ると、"Partnership Exchange"を連邦政府との共同Exchangeと解しているようだが、間違いだと思う。連邦政府との共同Exchangeは、"Federally-facilitated Exchange(FFE)"と命名されている。
この"FFE"は、連邦政府にとっては荷が重いものとなる。連邦政府もできる限り"FFE"の設立を避けたいはずである。
- 州政府の役割:消費者関連、保険プランの監督
- 連邦政府の役割:加入手続き、補助金の算定
※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」
Source : | Firms tell employees: Avoid after-hours e-mail (Washington Post) |
上記sourceによると、Advisory Boardというコンサルタント会社は、次のような規則を作ったそうだ。わが身を振り返ってみても、自宅に帰ってから会社のe-mailは、晩と早朝に確認し、必要があれば返信している。週末も同様である。これではワーク・ライフ・バランス(WLB)は保てない、と言われても仕方ないかもしれない。
- 時間外にPCやスマホを開かない。
- それができないのなら、e-mailは読んでもよいが返信はしない。
- 週末はinboxを見ない。
そこで、確実に職場の仕事から生活を切り離すために、上記のようなルールを導入しようという動きが広まっている。上記sourceによれば、ある調査では、1/4の企業がこうしたルールを導入済みとのことである。
アメリカの仕事社会では、e-mailが膨大なために、相当な圧力となっているようだ。NHKの実践ビジネス英語(10月号)は、『アメリカでは"lunch hour"という言葉が死語になりつつある』と紹介している。"E-mail"に対応するめにデスクで昼食を摂るので、お昼に外出する、という習慣がなくなりつつあるそうだ。実際、65%の会社員が、デスクで昼食をとるか、昼休みをまったく取っていない、という調査結果もある。
利便性が高く、在宅勤務にとって最強のツールである"e-mail"を自宅で使わないようにする。一見、WLBの障害にもなり兼ねないルールである。仕事の効率性とWLBとの間のバランスを図る試みが、まだまだ続きそうである。
※ 参考テーマ「Flexible Work」
Source : | Retirement Plan Types of Fortune 100 Companies in 2012 (Towers Watson) |
わざわざまとめるまでもないのだが、ちょっと感慨深いデータなので、掲載しておく。上記sourceは、Fortune 100の企業が新規採用者に提供する年金プランのタイプをまとめている。1985年から2011年までの変遷は、次のグラフに集約されている。伝統的な年金プランは、1985年時点で89%もあったのが、2011年は11%しかない。まさに、この27年間で数字がひっくり返ってしまい、アカウントベースの年金プランが主流となった。
TOWERS WATSON
伝統的な年金プランは、"Closed", "Frozen", "Terminated", "Hybrid conversion"と形態を変えてきている。こうしたアメリカ企業のダイナミズムが羨ましい。
TOWERS WATSON
※ 参考テーマ「DB/DCプラン」