11月9日 CO州:州運営医療保険骨子
Source :Colorado’s emerging state-directed insurance plan (American Enterprise Institute)
10月初旬、CO州政府は、州運営医療保険プラン(仮訳:"state-directed insurance plan")創設のための骨子案を公表した。これは、今年5月に成立した議会指示に基づくものである(「Topics2019年4月18日 CO州:州立医療保険プラン案」参照)。
  1. 州政府の指示に基づき、民間保険会社が運用する医療保険プラン。純粋な「州立」医療保険プランではない。参加する保険会社がすべての財政リスクを負う一方、保険料設定については裁量権を持つ。

  2. 発足当初は、個人保険市場における任意加入の保険プラン。制度発足後、小規模グループ、さらには大規模グループの加入が可能となるように検討する。
  3. PPACAに基づく保険料補助金(tax credits)の対象とする。

  4. 州内で営業する保険会社には、州運営医療保険プランの提供を義務付ける。

  5. 免責額に到達する前でも初期医療・予防医療を保険給付対象とする。

  6. 医療機関への償還額は、Medicareと同レベルとする。これにより、保険料を10〜18%低下させることができる。
CO州は、かつて単一保険制度の導入を試みて失敗した(「Topics2016年11月11日(3) CO州:単一保険制度否決」参照)。主な要因は、 である。

そこで、現実的な解として、州運営医療保険プランを導入しようとしているのである。それでも、医療機関、医師達からの反発は必至だ。償還額が低下する同プランに強制的に参加させられるケース(例えば、医療機関が少ない郊外地)が想定されているからだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/CO州

11月8日 CA州:運転免許証データ不正アクセス
Source :California DMV ‘data breach’ exposes thousands of drivers’ Social Security information (Los Angeles Times)
11月5日、CA州Department of Motor Vehicles(DMV)は、運転免許証データに対して過去4年間に3,200件の不正アクセスがあったと発表した。不正アクセスの概要は次の通り。
  1. 運転免許証を保有する3,200人分のデータ。

  2. データの内容は、正式なSSNカードを保有しているかどうか、またはSSNカードの発行を受ける資格があるかどうか。

  3. 不正アクセスのあった3,200人のうち、83人は「AB60」に基づく運転許可証(「Topics2013年9月16日 CA州:不法移民に運転免許証」参照)。つまり、この83人は不法移民。
  4. 不正アクセスしたのは、DHSIRS、San Diego郡・Santa Clara郡の司法長官など7つの機関。
DHSが不正にアクセスしていたというのは衝撃だ。不法移民運転許可証が、不法移民摘発に利用されかねないとの懸念が現実化しつつある。

ちなみに、7月25日時点で、不法移民に運転許可証が発行されているのは、13州+D.C.となっている。

National Conference of State Legislatures


※ 参考テーマ「移民/外国人労働者

11月7日 連邦政府昼寝禁止
Source :It's Official: Federal Employees Cannot Sleep in Their Offices (Government Executive)
11月5日、連邦政府General Services Administrationは、連邦政府建物内で連邦職員が睡眠をとることは一部の例外を除いて禁止する、との通知を発出した。民間企業では、昼寝等の仮眠は生産性を高めるとして人気のベネフィットになりつつある(「Topics2007年3月31日 ベネフィットいろいろ」参照)。まあ、やっぱり規律を守るためには仕方ないだろう。連邦職員は周辺の昼寝サービスを提供する店に行くしかない。

※ 参考テーマ「ベネフィット

11月6日 マックCEO解任
Source :McDonald's Fired CEO Is Getting Millions, Putting Spotlight On Pay Gap (NPR)
11月1日、McDonaldのCEOが解任された。理由は、従業員との不適切な関係があったこと。本件は、3つの点で注目される。
  1. 経営者、管理職が従業員と恋愛関係、性的関係を持つことは、法律上禁止されているわけではない。大企業では社内ルールにより禁じられている場合が多いものの、実態として社内恋愛はかなり一般的に行われている(「Topics2018年12月7日 上司との関係」参照)。にもかかわらず、本件はそのルールがCEOに適用され、解任にまで至った。同社ではセクハラ、パワハラが頻発していて、社内環境の整備を謳っていただけに、CEO自らのルール違反は重いと判断されたのだろう。

  2. 前CEOは、解任されたにもかかわらず、$41.8Mもの多額の離職手当が支給された。その他に、ストックオプションの行使により、$23.8M(現時点)を手に入れることができる。さらに、18ヵ月間の医療保険ベネフィットも賦与される(The Guardian)。

  3. アメリカ企業のトップと従業員の間の報酬格差があまりにも大きい。マック直営店の従業員は、地域の最低賃金+$1で働いている。
アメリカ社会の本音と建前が見えてくる事案だ。

※ 参考テーマ「社内恋愛」、「経営者報酬」、「最低賃金

11月5日 州別対応:就労義務規定
Sources : Indiana halts its Medicaid work requirement (ModernHealthcare)
Rural Seasonal Workers Worry About Montana Medicaid's Work Requirements (NPR)
Georgia unveils Medicaid expansion plan with work requirement (ModernHealthcare)
AR/KY州の就労義務規定を巡る連邦控訴裁で、規定導入を認めない判決が出るのではないかとの観測の中、就労義務規定への対応が州毎にバラバラに分かれている(「Topics2019年4月1日 KY/AR 就労義務規定停止処分」参照)。

Source : Kaiser Family Foundation
政治的なスタンスの違いにより、同じ国の中で同じ制度の運用が州毎にバラバラになっても構わない、という発想にはついていけない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/その他州」、「無保険者対策/GA州」、「無保険者対策/州レベル全般

11月2日 睡眠不足が増加
Source :Working Americans Are Getting Less Sleep, Especially Those Who Save Our Lives (NPR)
上記sourceでは、アメリカの労働者の中で睡眠時間が不足している人の割合が高まっていると紹介している。ポイントは次の通り。
  1. 一晩の睡眠時間が7時間未満を睡眠不足と定義する。

  2. 2010年から2018年にかけて、働く成人15万人を対象に調査したところ、睡眠不足の割合が2010年30.9%から2018年35.6%に高まった。

  3. 中でも警察官、医療関係従事者が多く、約半分が睡眠不足となっている。いずれもストレスの高い職業。

  4. 睡眠不足になっている多くの人が、明日やらなければならないことが気になって眠れないという。
  5. 睡眠不足が増えている理由は、主に次の3点。
    1. 生活のリズムが速くなっている。
    2. 技術が向上し、常に情報につながっている。
    3. 長寿化し、慢性病に伴う痛みで眠れない。

  6. 睡眠不足を解消するためには、労働者が生活スタイルを変えるとともに、企業も従業員教育などを通じて睡眠の重要性を理解してもらうよう役割を果たしていく必要がある。

  7. 就寝前に、薄暗い明りの下で瞑想する、PCやスマホの電源を切るなどが、充分な睡眠につながる。
私のお勧めは、オフタイマーをセットして落語を聴くことです。一席終わらないうちに寝てしまいます(落語 音源リスト参照)。

※ 参考テーマ「人口/結婚/家庭/生活」、「人事政策/労働法制

11月1日 MI州:残業代対象者上限額を見直し
Source :Michigan's Governor Plans to Raise the Exempt Salary Threshold (SHRM)
10月24日、Michigan州(MI)知事は、州労働省に対し、残業代対象者の上限額を見直すよう指示した(Press Release)。

連邦レベルでは、既に最終ルールが決定され、来年1月1日から施行される(「Topics2019年9月26日 残業代対象者新ルール施行」参照)。しかし、MI州知事は、 との理由から、見直しを指示した。しかし、具体的な数値は示しておらず、労働省の検討、具体化までには1年近くかかる見込みだ。そのうえ、早速、MI州商工会議所が反対を表明するなど、すんなりとは行かない。

一方、CA州とNY州は、連邦レベルよりも高い上限額を設定しており、引き上げを検討している州もいくつかあるそうだ。全国レベルで活動する企業にとっては面倒な話だ。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制