4月10日 ID州:就労義務規定付きMedicaid拡充
Source :Idaho governor signs bill expanding Medicaid coverage (Modern Healthcare)
4月9日、Idaho(ID)州知事は、Medicaid加入資格所得上限をFPLの138%まで緩和する州法案に署名した。ただし、この法案には、就労義務規定の承認を連邦政府に求める内容が含まれている。併せて、州立Exchangeを拡充する内容も含まれている。

ちなみに、ID州は、州知事、州議会上下両院とも共和党が押さえている。

これで、Medicaid拡充州は35州となった。

Center on Budget and Policy Priorities


※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/その他州

4月5日 DB一時金に青信号
Source :Lump-sum Pension Payments: Who Are the Winners and Losers? (Knowledge@Wharton)
オバマ政権時代(2015年)、当時の財務省は、『DBプランからの一時金払いを禁止することを検討している。退職者に一時金で支払うことは当面見送るよう要請する』との立場を表明していた。退職後所得を一時金で受け取ると、結局は退職者が損をする場合が多い、との理由からだった。

ところが、今年3月6日、財務省は、一時金払いを禁止することはもう検討しない、との通知(IRS Notice 2019-18 on March 6)を公表した(AARP)。これにより、民間企業は、退職者が選択する場合に一時金で支払うことが確実にできるようになった。

この発表に対する専門家のコメントのうち、重要なポイントを整理しておく。
  1. DBプランを提供している企業は、一時金で払うことにより、年金債務を確実に減らすことができる。

  2. DBプランの資産を専門家が運用する方が、一時金で受け取った資金を個人で運用するよりも成果が大きい。個人で運用するのは難しさを伴う。

  3. 一方で、住宅ローン、教育ローンなどの債務を一時金でなくすことができれば、退職後の生活が楽になる場合もある。

  4. また、DBプランの積立不足がある場合には、一時金で受け取る方が確実に資金を回収できる。

  5. PBGCの財政状況が厳しい中では、DBプランで長期間年金を受け取ることに不安が高まる。一時金で受け取る方が確実だ。

  6. 自治体が提供する年金プランも積立不足が一般的となっているが、自治体は別の財源により充当することが可能であり、一時金で支払うことを選択肢として用意するところはまずないと見られる。
DBプランの財政状況と個人の財政状況をよく見極めて、一時金で受け取るのか年金で受け取るのかを判断する必要がある。これも自己責任の範囲だろう。

※ 参考テーマ「DB/DCプラン」、「企業年金関連法制」、「PBGC/Chapter 11

4月4日 大統領 再挑戦延期
Source :Trump Backs Off Obamacare Replacement After Top GOP Leader Nixes The Idea (NPR)
4月1日、McConnell共和党院内総務は、トランプ大統領に対し、「上院共和党は、下院民主党との間で医療保険の抜本改革を議論する考えはない」と明確に伝えた。もしトランプ大統領の言うようなPPACA廃止を議論するのであれば、共和党内も分裂しかねないし、何より2020年の選挙で共和党が劣勢に立たされることが見えているからだ(「Topics2019年3月29日 PPACA廃止に再挑戦?」参照)。

これを受けて、4月2日、トランプ大統領は報道陣に対して、「PPACA撤廃と新たな医療保険制度に関する議論は、2020年の選挙後に検討する」と、後退を宣言せざるを得なくなった。現状の政治情勢では当然だろうが、トランプ大統領のコア支持者に訴えかける戦術は、2020年大統領選が近づいてくると再び復活してくるかもしれない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「大統領選(2020年)

4月2日 AHPs規制緩和差し止め
Source :Judge strikes down association health plan rule as ACA runaround (Modern Healthcare)
3月28日、連邦地方裁は、トランプ政権が打ち出したAHPs規制緩和策はPPACA迂回策であり、ERISAで定められた労働省権限を逸脱しているとして、規制緩和の差し止め判決を下した(「Topics2018年6月20日 AHPs規制緩和」参照)。

医療保険組合制度(Association Health Plans, AHPs)を巡っては、トランプ政権が規制緩和をして普及させようとしているのに対し、州レベルでは対応が分かれている(「Topics2018年10月2日 AHPs:州政府対応分かれる」参照)。

トランプ政権はこの司法判断で政策推進を止めるはずもなく、控訴するものとみられている。しかも、労働長官によれば、既に約30ものAHPsが設立され、2020年1月の運営開始を待っているという。上記sourceで紹介されているLas Vegas Metro Chamber of Commerce AHPは、既に500の企業、100の自営業者が参加しているという。

既成事実をもって司法を突破してしまうという試みはあまり感心できるものではないが、ニーズが高いことも事実である。

※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル全般

4月1日 KY/AR 就労義務規定停止処分
Source :Federal Judge Again Blocks States' Work Requirements For Medicaid (NPR)
3月27日、連邦地方裁は、KY州、AR州のMedicaid就労義務規定を停止するよう判決を下した。 KY州については、2回目の敗訴である(「Topics2018年7月3日 KY州:就労義務規定敗訴 」参照)。KY州知事は、就労義務規定が認められなければ、Medicaid拡充策も廃止すると息巻いている。

本件は、地方裁レベルで決着するはずもなく、CMS長官は、今後も就労義務規定を認めていく方針に変わりはないと宣言している。

現時点での就労義務規定が認可された州は8州、うち3州が運用を開始している。また、申請中が7州となっている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/AR州」、「無保険者対策/KY州