3月29日 PPACA廃止に再挑戦?
Source :Trump reopens Obamacare repeal debate, and Democrats are thrilled (Los Angeles Times)
トランプ大統領は、2017年にPPACA廃止法案が成立せず、その後は大統領令による部分修正で想いをぶつけてきたが、ここに来て、再び全面廃止に向かって動こうとしていると報じられている(「Topics2017年9月27日 再挑戦を断念」参照)。

そのように思わせる事象がこのところ連続している。 これには、表立って反発は示していないものの、共和党議員達は、困惑している。昨年の中間選挙で共和党から民主党へ議席が移った選挙区では、その要因がPPACAであったことが分かっている。アメリカ国民はPPACAの改善こそ望んでおり、全面廃止を望んでいるのは一部に過ぎないと分析されている。

こうした状況にほくそ笑んでいるのが民主党だ。トランプ大統領がPPACAに突っ込めば突っ込むほど、民主党に有利に働く。しかも、民主党は現実的な戦略にシフトしつつある(「Topics2019年3月27日 民主党 現実路線へ」参照)。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル」、「医療保険プラン」、「大統領選(2020年)

3月28日 州立Exchnage加入者数維持
Source :State-based exchange enrollment holds steady, HealthCare.gov drops (Modern Healthcare)
3月25日、CMSは、2019年の全米Exchange加入者数を公表した。全米での加入者数は1,140万人、2018年に較べて約30万人、2.6%減となった。既に公表済みの連邦立Exchange(39州)(HelathCare.gov)が前年比3.8%減となった一方、州立Exchange(12州)は約1%増となった(「Topics2019年1月7日 HealthCare加入者減少 」参照)。

連邦立と州立の間で増減が逆になった要因は、次のように指摘されている。
  1. 州立ではExchange加入に対する支援活動・予算を維持したのに対し、連邦立では大幅削減した。

  2. 州立ではExchange加入申込期間をほぼ維持したのに対し、連邦立では、90日間から45日間に半減した。

こうした流れを受けて、New Jersey州知事は、先週、2021年までに州立Exchangeに移行したいとの意向を表明した。任期中の公約と位置付けたわけだ。

他の政策課題と異なり、Exchangeに関しては、民主党が州立、つまり州知事・政府の権限を強化する方向、共和党が連邦立、つまり連邦政府の権限を強化する方向に動こうとしている。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル全般」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/その他州

3月27日 民主党 現実路線へ
Source :House Democrats to Unveil Plan to Expand Health Coverage (New York Times)
"Medicare for All"法案がリベラル派の支持を広げる中、連邦議会下院民主党幹部は、現実的な路線に重点を置く方針を打ち出した(「Topics2019年3月20日 リベラルのリトマス試験紙」参照)。理想論を追うよりも、先ずは先の中間選挙で打ち出した公約を実現していこうという主張だ。

具体的には、次の4つの柱を軸にして法案の審議を進めていく。
  1. Exchangeの保険プラン加入者に対する補助金の要件を緩和する。家計の所得要件を緩和するとともに、企業提供プランの選択肢がある場合でも補助金の対象とする。

  2. Exchnage加入促進のための広報活動を拡大する。そのための財源も確保する。

  3. 短期保険プランをExchnage適格保険に含めると定義し、保険給付の最低要件を課す。

  4. 簡易保険プランをExchange非適格とし、連邦拠出資金を加入者補助金として利用することを禁止する。これにより、既往症による保険加入拒否を認めない(「Topics2018年10月30日 トランプ政権のExchange改定案」参照)。
民主党幹部は、これらの内容を別々の法案にばらして、一つずつ審議していく考えである。そうすれば、共和党からの賛成票も得られる見込みだからだ。

トランプ大統領の共和党連邦議員に対する締め付けがだんだん及ばなくなっていることに加えて、故マケイン上院議員を大統領が批判したことに対する反感が共和党内でも広がっているようだ(NPR)。

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