4月10日 Health Refrom Office
Source :Obama Makes Health Reform Office Official (Washington Post)
訪欧を終え、Obama大統領が活動を再開した。8日、White Houseに"Health Refrom Office (HRO)"を新設し、医療改革に取り組む決意を改めて表明した。

HROのヘッドには、予てから名前のあがっていたNancy-Ann DeParle氏が就任した。これでObama政権医療改革チームの片方のエンジンが整備されたことになる。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

4月9日 PBGCの悪夢
Source :GM Bankruptcy Would Expose $13.5 Billion Pension Liability (Workforce Management)
GMに対するWhite Houseの態度が厳しさを増す中、PBGCにとって最悪のシナリオが現実のものになろうとしている(「Topics2009年3月31日 宿題やり直し」参照)。

直近のGM情報では、GMが抱える年金給付債務は$98.1B。一方の年金資産は$84.5Bで、積立不足$13.5B、積立比率86.1%となっている。2月17日に提出した再建計画に掲載されていた状況より悪化した(「Topics2009年2月18日(1) GM再建計画」参照)。

こうなると、PBGCによる年金プランの引き受けが可能性を増してくるわけで、PBGCにとって過去最大規模の財政負担増となるかもしれない。なお、これまでの最大は、2005年のUnited Airlinesである(「Topics2006年6月30日 PBGCに負わせた負担」参照)。

ところで、上記sourceによると、GMの年金プラン資産の中でGM株は$1Mにも満たないそうである。GM株が大きな割合を占めているのも問題だが、これほど小さいのも不自然である。かつて持っていた自社株が大幅に値下がりしたのか、それともこうなることを見越して売り抜けてきたのか。後者であれば、インサイダー取引のようにも思える。

※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11

4月8日 同性婚は東海岸へ
Source :Vermont Legislature Legalizes Same-Sex Marriage (New York Times)
Vermont Legislature Legalizes Same-Sex Marriage (Washington Post)
Same-Sex Marriage Legalized in Iowa and Pending in Vermon (McDermott Newsletters)
同性婚を認める動きが、東海岸諸州で活発になっている。上記sourcesに掲載されている情報を州別にまとめてみると、次のようになる。
州  名 概   要
Massachusetts ・州最高裁判決⇒同性婚立法(「Topics2004年6月30日 同性婚を巡る州レベルのせめぎあい」参照)
New York ・他州で認められた同性婚を承認する(「Topics2008年9月5日 同性婚特需」参照)。
Connecticut ・州最高裁判決(「Topics2008年10月15日(2) CT州でも同性婚」参照)
Iowa 4月3日、州最高裁が、全会一致で『同性婚を禁じている州法は州憲法が保証する権利の平等を侵している』と判決。
・4月24日から同性婚を認可。
・異性婚に限定している州憲法を修正するためには、二期連続で州上下両院の可決を経たうえで、州民投票で承認を得なければならない。従って、州憲法の修正は、早くて2012年まで待たなければならない。
Vermont ・2000年に、全米で初めて、同性カップルに異性婚と同様の権利を認める法的地位("civil unions")を賦与する法律を施行。
・同性婚を州法で認める法案を、先週、下院は95-52、上院は26-4で可決。
・これに対し、4月6日、Jim Douglas州知事が拒否権を発動。
7日、州知事拒否権を州議会で否決。下院は100-49と、拒否権否決のために必要な3分の2を辛うじて1票上回った。
・同州では、州民投票にかける必要はない。
・州最高裁の判決を受けずに州議会で同性婚を合法化したのは全米初。
Washington, D.C. 4月7日、D.C. Councilが他州で認可された同性婚を認めると決定。
New Hampshire ・同性婚認可法案を下院で可決。上院での審議待ち。
Maine ・現在、州議会で同性婚認可法案を審議中。
New Jersey ・現行では同性カップルに"civil unions"を賦与している。
・昨年12月、州諮問委員会から、結婚に関する法律は性に中立にするようにとの勧告が出された。
・現在、州議会で法案を審議中。
・Jon S. Corzine州知事は、署名するとの意思を表明している。
CA州では、Propositon 8が可決され、同性婚認可の動きが止まっている(「Topics2009年3月8日 Proposition 8 有効」参照)。西海岸で動きが止まっている間に、東海岸では、どんどん認可の方向に動いている。同性カップルは東へ移動、定住という動きが強まりそうである。

※ 参考テーマ「同姓カップル

4月7日 地方政府年金の危機
Source :$1T Hit to Pensions Could Cost Taxpayers, Workers (New York Times)
Hidden Pension Fiasco May Foment Another $1 Trillion Bailout (Bloomberg)
地方政府の職員を対象とした年金プランは、昨年末時点で、給付債務$2.9Tに対して、資産が$2Tと、積立不足が30%もある状況と推測されている。上記sourcesは、どこの州でどんなことが起きているのか、たくさんの事例を紹介しているが、大元となった情報源は、Center for Retirement Research @Boston Collegeらしい。

地方政府は、年金プランに加えて、OPEBの給付債務の計上という問題を抱えている。まさにレガシーコストのかたまりとなっており、GMの苦境となんら変わらない状況にある。

民間企業ではChapter 11が利用され、地方政府ではChapter 9が活用される(「Topics2009年4月2日(1) Chapter 9」参照)、といった事態が頻発するかもしれない。

※ 参考テーマ「地方政府年金」、「GAS 45」、「PBGC/Chapter 11

4月6日 上院議員OB達も参戦 
Source :Bipartisan Policy Center Founder Bob Dole Introduces Governor Sebelius at Confirmation Hearing to be next HHS Secretary (Bipartisan Policy Center)
かつて上院で活躍していたOB議員達が、医療改革の提言を準備しているという。公表は今年5月が予定されている。

上院議員OB達とはこの4人で、昨年、Bipartisan Policy Centerというシンクタンクを設立している。その名の通り、両党2名ずつが代表を務めており、あのDaschle上院議員も参加している。

医療改革の分野で、Obama大統領ならびに上院リーダー達の動きが鈍くなっている中で、かつて国民から高い支持と尊敬を得ていたOB達の動きがどのような効果をもたらすのか、注目しておく必要がありそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者問題/連邦レベル

4月5日 HHS長官承認遅れる 
Source :Fast Vote Is Unlikely on Health Dept. Pick (New York Times)
2日、上院Finance Committeeで、HHS長官候補のSebelius氏の公聴会が開かれた。ポイントは次の通り。
  1. すべての国民が保険に加入すべきである。しかし、義務付けるかどうかについては明言を避けた。

  2. 公的プランの創設を支持する。これは、民間保険プランを圧迫するものではなく、無保険者対策としては効果的である。

  3. 納税不足問題は問題とならなかった(「Topics2009年4月1日 Sebelius長官候補も」参照)。

  4. また、保守系団体が問題視している中絶問題に関するスタンスについても、問いただされることはなかった。
このように、特に問題があったわけではなさそうなのだが、なぜか、両党上院議員から、大量の質問が出され、書面で回答するよう求められた。それらの回答書をさらに吟味するという。従って、上院での信任投票は今月末まで先送りされそうだとのことである。Baucus委員長は、早期承認を求めていたが、断念したようだ。

共和党議員から審議先延ばし作戦が出てくるのはわかるが、民主党議員もこれに乗っている。このあたりはどういう政治力学が働いているのかわからないが、Obama大統領にとって、HHS長官がなかなか決まらないということは指導力を問われかねず、頭の痛い問題である。

※ 参考テーマ「無保険者問題/連邦レベル

4月3日 SNSで求職
Source :Job seekers turning to online social networks (Los Angeles Times)
失業者の求職活動も、時代の変化を反映して変わってきているらしい。従来から、メールやウェブによるレジュメの提出はあったが、今はSNSによるものが結構あるらしい。

上記sourceで紹介されているSNSは、次の通り。 特に、最初のLinkedInでは、自分の専門や職歴を公開し、求職中としておくと、ヘッドハンターや企業のHR担当者がコンタクトを取ってくるそうだ。立派な専門性や職歴を持っていれば、ということなのだろうが、随分と手軽に求職活動が行なえるものである。

ただし、こうした便利なツールでも、中高年齢者と若者にとっては役に立たない可能性がある。若者は専門性や職歴が少ないため、求人側の検索にヒットしない。

ただし、若者には、大学同窓会ネットという強力なツールがあるそうだ(BusinessWeek)。企業側も、採用のためのコスト削減や信頼できる人材の採用のために、大学同窓会ネットを積極的に活用しているという。

一方の中高年齢者は、そもそもそうしたSNSを利用していない。大学同窓会ネットも、若い人のような利用方法はあまりあるまい。

かくいう私も、こんなレガシー・サイトを作成しているくらいだから、SNSなどは利用したことがない。そうであれば、SNSを介したヘッドハンターなど、接触してくるはずもない。だんだん労働市場の端っこに追いやられつつあるのだということを実感した記事であった。

※ 参考テーマ「人事政策/労働法制

4月2日(1) Chapter 9
Source :Employment Contracts Are Now Viewed as Rewritable (New York Times)
アメリカは契約社会である。確かにそう言われてきたが、このところの経済危機の中、必ずしもそうではない部分が目立つようになってきた。AIG幹部の報酬返還、UAW/VEBAへのGM株拠出、GM債務の圧縮など、契約通りに履行すればよい、というわけにはいかない事態が多発している。

そうした中、地方自治体における労働協約、給与規定の見直しが注目されているという。

アメリカ破産法では、民間企業の場合、Chapter 11に基づく再建の中で、債務の整理が行なわれる。

これが、地方自治体の破産に関しては、Chapter 9 に基づいて再建が進められる。しかも、Chapter 9の方が、労働協約、ベネフィットに関する規約の見直しは簡単に行なえるそうだ。

上記sourceでは、2つの自治体の破綻処理が紹介されている。 特に、Vallejo Cityのケースは、全米からの注目を集めている。自治体職員の報酬やベネフィットは、多くの場合、法律や州憲法で保証されている。従って、連邦破産法が優先されるということになれば、こうした見直しを行なう自治体が相次ぐものと考えられる。地方公務員は安泰、というわけにはいかなくなるのである。

※ 参考テーマ「地方政府年金」、「PBGC/Chapter 11

4月2日(2) The EconomistのObama評
Source :"Learning the hard way" "Coming down to earth" (The Economist)
上記sourceは、いずれも"The Economist"の最新号の記事である。当websiteは、政治批評は余り得意ではないので、多くを記すつもりはないが、当websiteで扱ってきたObama像がよく表現されているのではないかと思い、掲載してみた(「Topics2009年3月26日 Obama vs Pelosi」参照)。

特に、二番目の記事の小見出しで、"The pragmatic liberal"という表現が出てくる。ここで描写されているObama大統領の立ち位置は、納得できるものである。私流に解釈すると、 ということではないだろうか。

"What to Change"と"Change to What"を明確にしてこなかった弊害が出てきているのではないかと思う。

4月1日 Sebelius長官候補も
Source :Sebelius admits errors, pays $7,000 in back taxes (Washington Post)
HHS長官候補のSebelius氏について、納税不足が発覚した。自ら雇った会計士によるレビューでわかったようで、上院関係者には既に伝えてあるという。Washington Post紙が速報で報じたが、その額は3年間で$7,000というもので、その明細も公表されており、大きな争点にはならないとの見通しである。

しかし、それにしても、よくもまあ、これだけぼろぼろと納税不足が出てくるものである。しかも、Sebelius夫妻は、州知事と裁判官という、社会的ステータスの抜群に高いはずのカップルである。その夫婦ですら、こうした納税問題が発生するのは、どこかおかしいのではないだろうか。納税に厳しいといわれてきたアメリカ社会の規範は、大きく変わっているのかもしれない。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル