大学生が就職したいと考える企業25社がリスト・アップされている。今年の特徴は、企業業績がよい企業と、公益を考える職場というのがトレンドらしい。しかし、いずれも、今後のキャリア・アップのために有利、というのが本音だそうだ。
管理人としての気付き事項は、というところか。 25社のリストはここへ。
- 監査法人の人気が高いのには驚き
- 日本企業では、Sonyがリストに入っている
上記sourceによれば、ビッグ3は、UAWに対して、退職者医療に関するVEBAの設立を申し入れているらしい。15日付Wall Street Journalが報じているそうだ。VEBAは、既にGoodyear TireとUSWの間で設立されており、当websiteでも紹介済みである(「Topics2007年3月2日(2) Goodyearのベネフィット見直し」参照)。
仮にVEBA設立が合意に至れば、3社合計で、$55〜65Tの基金拠出が必要となる。
格付会社Fitchは、そのような合意が成立する可能性は低いとしているが、学会の専門家も同様の見方をしている。最後に、お馴染みの株価動向である。 ⇒ GM Ford
Nelson Lichtenstein Professor of labor history The University of California, Santa Barbara 逃げ水のように高騰する医療費によって、そのようなプランは崩壊するだろう。一時しのぎの策でしかない。 Gary Chaison Professor Clark University in Worcester, Mass. ばかげたアイディアだ。 Harley Shaiken Professor in labor studies The University of California, Berkeley 交渉の中で話題にはなるだろうが、UAWは冷たい反応に終始するだろう。退職者医療に関するリスクを、経営者から組合、従業員に移転するだけなのだから。組合は、それよりも、処方薬の自己負担増などの小さな改定を望むだろう。
上記sourceは、経営者報酬を株主総会の議案にした企業のうち、初めて賛成多数(57%)となったBlockbusterの事例を紹介している。もちろん、同社は、この議案に関する投票は、強制力のないものとして位置づけている。
このように、企業では、少しずつ、経営者報酬に関して株主の意見を聴こうという動きが出始めている。
他方、連邦議会にも動きが出てきた。下院で可決された「経営者報酬監視強化法案」(「Topics2007年4月24日 経営者報酬監視強化法案可決」参照)だが、上院ではObama議員が法案(S. 1181)を提出しているのみであった。ところが、15日時点で状況を確認したところ、正式な法案支持者が5名に増えているうえに、上記sourceによれば、Clinton上院議員、Edwards元上院議員も、正式に支持を表明した。
相変わらず、White Houseの拒否権発動の可能性は高いものの、連邦議会における政治の意思表明は実現するかもしれなくなってきた。
ついに、10日、テキサス(TX)州下院が、GAS45(「Topics2005年12月13日 時限爆弾-GAS45」参照)の適用を拒否する法案(HB2365)を、『全会一致』で可決した(「Topics2007年3月15日(1) 時限爆弾に怯えるTX州」参照)。
これに対して、TX州内の自治体は、州都Houstonを含めて、反発しているところが多いようだ。こうした反発に考慮して、法案では、州内自治体は、GAS45の適用を選択肢として認めている。そりゃそうだろう。州政府の意向でGAS45を使った開示ができないために、借り入れコストが高まるようなことになれば、州政府としてもその責任は負いきれないだろうから(「Topics2007年4月4日 州政府の積立不足総額」参照)。
次のステップは、州上院である。上院でも下院と同様の法案が、すでに提出されている。しかし、『全会一致』というのは、よほど当たり前の内容か、さもなければ現実性はないが気持ちとしてそうしたい、という内容が多い。また、もし成立となれば、州知事としては、議会とComptrollerが反対する中で、州債のレーティング、ひいては州財政のことも考慮しなければならないという、苦境に追い込まれてしまう。
上院での動向を注目していきたい。
The Prescription Drug User Fee Act ("PDUFA") の再延長を認める法案が、9日、上院で圧倒的多数(93 vs 1)により可決された。PDUFAとは、新薬の治験や上市後の副作用の監視などに関する費用をまかなうために、FDAが製薬会社から拠出金を徴収する制度である。
同制度は、5年毎に見直されており、現行制度は2007年9月30日で期限切れになる。
可決された法案名は、"Prescription Drug User Fee Amendments of 2007"(S 1082)。提出者は、大御所Kennedy上院議員である。驚くのはその内容が、ほぼFDAの提案通りであったことである(「Topics2006年11月22日(2) FDA改革第一弾」参照)。もちろん、安全基準違反への課徴金強化や、テレビコマーシャルの抑制など、修正は加えられているものの、昨年のFDAに対する業務改善勧告(「Topics2006年10月10日 FDAへの業務改善勧告」参照)を、完全に無視した形になっている。勧告では、「製薬会社からの拠出金(ユーザー・フィー)で新薬の審査を行なうのは利益相反になる可能性があるので止めるべきだ」としていたからだ。
FDAと上院は、完全にタイアップしていることがよくわかった。
もう一つ、この法案にはトピックがあった。処方薬の本格輸入を認めるかどうかだ。
処方薬の輸入については、昨年、「FDAが認めた処方薬について、個人が90日分に限ってカナダから輸入することを認める」と合法化され、税関も、「10月9日以降、カナダからの輸入処方薬を没収しない」ことを宣言した(「Topics2006年10月5日 輸入処方薬合法化成立」参照)。これは、個人が行なったことは例外的に捕まえないが、商業ベースでは認めない、ということである。これでは、本格的に処方薬の輸入が普及することにはならない。
そこで、処方薬の本格輸入を認めるべきだ、との議論が議会で行なわれていた(「Topics2007年3月9日(2) 処方薬本格輸入法案」参照)。この推進グループが、上述のS 1082に、本格輸入を認める条項を加えるよう、修正提案(S 242)を行っていたのである。
これに対して、White House、FDAは、ともに強く反対しており、本格輸入条項付のPDUFA延長法案には拒否権を発動する可能性が高かった。そこで、本格輸入は認めるものの、「HHS長官が安全性を保証し、消費者にとってコストが大幅にさがる場合」という条件付とする修正案(Second-degree Amendment 1010)が提出され、7日、49 vs 40の僅差で可決された。
HHSは、FDAの上位機関であり、間違っても輸入処方薬の安全性を保証するなどということはない。つまり、あり得ない事態を条件としてしまったために、本格輸入は事実上、見送られたのである。さらに、この条件付修正案が可決された後、つまり、こうしたあり得ない条件が付されていることを承知のうえで、本格輸入を認める修正提案(S 242)を、発声により賛成多数で可決したのである。
こうして、処方薬の本格輸入の法制化は、上院では見送られた。ここで、感想を2つ。さて、次のステップは下院である。下院でも、やはり本格輸入を認めようという法案(HR 380)が、既に提出済みである。そして、Pelosi議長は、「PDUFA再延長法案には、処方薬の本格輸入を認める条項を含めるべきである」とのスタンスを取っているそうだ。
- 条件付修正案の投票結果を党派別にみると、次のようになる。
つまり、両党とも賛否分かれているが、どちらかというと、共和党に賛成者が多い。当然のことながら、Kennedy上院議員は賛成票を投じている。民主党内は、リーダー的議員は賛成、その他は反対、という感じであろう。
賛成 反対 民主党 15 28 共和党 33 11 無党派 1 1 合 計 49 40
- 法案の狙いをまったく無力化する条件をつけることで決着をつけておきながら、それでも本格輸入法案を賛成多数で可決したわけである。法案提出者の面子を立てるとともに、選挙民向けのアピール行為である。『自分も本格輸入は賛成したんだけどね、安全性がね』と言いたいわけである。こうした建前論議が行なわれるのが、アメリカ社会らしくて面白い。
ここでも、『Kennedy上院議員 vs Pelosi議長』の対立構図が浮かび上がっているのである(「Topics2007年4月18日 Medicare処方薬価格交渉」参照)。