Source : | Interest Rates and Jobs—the Fed Watches Unemployment (Businessweek) |
今月12日、FOMCは、かなり長い期間にわたって現在の超低金利政策を継続する、との決意表明を公表した。その超低金利政策継続の条件は次の3点。上記sourceでは、1点目の失業率が6.5%を下回るのはいつのことなのか、という問題提起をしている。そのポイントは次の通り。
- 失業率が6.5%以上にあること
- 1〜2年先のインフレ率が2.5%を超えると見込まれないこと
- 長期のインフレ予想が落ち着いていること
上のグラフを見てもわかる通り、職探しを諦めた人、不本意ながらパートタイマーとして就職している人の層("実感−公式")が7%前後でずっと固まっているのである。もし今よりも陽射しが強くなってこの固まりが解け始めた時、本当に失業率が下がるかどうか、という指摘である。
- Brookingsの試算によると、過去2年間の平均雇用者増加数15.5万人のペースが続くとすれば、失業率が6.5%を下回るのは2018年になる。
- Bloombergによるエコノミスト75人へのアンケート調査では、2014年2Qに失業率は7.3%まで下がるとされており、6.5%にまで下がるのは2018年よりは早いと見られている。
- しかし、問題は、労働力の増加率、労働市場への参入スピードである。CBOは、今後10年間で、過去10年間と同様、毎年0.8%と想定しているが、現実には、その半分のペースでしかない。
- その最大の理由は、労働市場から離脱する人が増えていることである。その結果として、失業率が着実に低下してきているのである。
- 経済が好転して雇用が活発になることで失業率が下がるよりも、労働市場から離脱による失業率低下の方が、スピードは速い。
- 実際、職探しを諦めた人、不本意ながらパートタイマーとして就職している人を含めると、(実感)失業率は14.4%(11月)と依然として高い水準にある。
- 景気が上向いて労働市場への再参入が増えてくれば、失業率は高まりはしないまでもなかなか低下することはないだろう。
やはり、アメリカも超低金利政策は長期化するのであろうか。
※ 参考テーマ「労働市場」
Source : | Bankruptcy as tool to save pensions? (ORANGE COUNTY REGISTER) |
Chapter 9で再建中のStockton市が、各方面から非難を浴びている。
まず、上記sourceでは、債権者の一つである保険会社(Assured Guaranty)の主張が紹介されている。一方、CalPERSの主張は次の通り(Calpensions)。
- Stockton市は、他の財源や歳出削減余地があるのに、市職員の給与や年金を守るために、投資家などの金融マーケットに負担を押し付けて財源を捻出しようとしている。
- 相変わらず、遊興施設への補助金を維持しているし、職員に対するベネフィットも増やそうとしている。
- CalPERSへの拠出金の削減交渉も本気でやっていない。
- Stockton市は、Chapter 9を『最後の手段』ではなく、『選択肢の一つ』として利用している。
そして、上記sourceの論説は、
- Stockton市は、Chapter 9申請直前に、未消化の有給休暇・病気休暇の代替として職員に総額$2Mを支払った。
- 同市は、内輪の利益を優先している。
と、CA州議会も無責任であると批判しているのである。
- 債権者たる保険会社の主張はその通り。
- CA州議会民主党も、年金給付の削減は行わず、専ら増税ばかりを考えている。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | San Bernardino wins partial victory in bankruptcy court (San Bernardino County Sun) |
21日、連邦破産裁判所は、CalPERSが求めていた提訴を棄却する仮決定を下した(「Topics2012年10月28日 CalPERS逆提訴」参照)。裁判官は、ことを理由として述べている。
- San Bernardino市がCalPERSに対して負っている債務は支払われるべきと考えるが、
- 今すぐに支払いを求められれば、自治体としての機能が失われてしまう
CalPERSは、当該債権は他の一般債権よりも優先されるべきとの姿勢は崩していないし、州の裁判所に提訴する権限も留保している、と認識している(CalPERS Press Release)。論争の本番はこれからである。
※ 参考テーマ「地方政府年金」
Source : | Medical officer warns employers against exchange-only health benefits model (Employee Benefit News) |
何かと話題のExchangeだが、上記sourceでは、本当にコスト削減につながるのか、医師の立場から警告を発している。主な主張のポイントは次の通り。とっても医者らしいコメントであるが、傾聴に値する部分もある。Exchangeに移行して従業員の健康管理を本人に任せ切りにすることは、裏返せば、企業が健康管理に関心を持たなくなることでもある。健康を損なった従業員は代替すればいいということであれば、こうした人事上の割り切りもありかもしれない。しかし、『人財』と言われるように、人材を重要な経営資源だと考えているのであれば、もっと違ったアプローチが必要だろう。
- Exchxangeに移行することは、従業員に保険プランを選択させ、保険会社がより激しく競争することで医療費を削減しようという意図があるが、現実の医療保険市場ではそのような単純な論理は通用しない。
- 様々なモデル計算を行なった結果、政府から保険料補助の出るExchangeに移行すると、従業員一人当たりの医療費は、年間$17,268となり、現状の伝統的な医療保険プランの場合よりも$9,000以上増加してしまう。
- こうしたコストアップの要因として、次の2点が挙げられる。
- 保険会社に対する価格交渉力が低下する。
- 会社ぐるみでの健康増進プログラム、生産性向上努力が失われる。
- コスト削減のみに目を奪われると、本来の健康に関する手当てが疎かになってしまう。
※ 参考テーマ「医療保険プラン」、「人事政策/労働法制」
Source : | Judge approves American Airlines pilot contract, pension freeze (Pensions & Investments) |
19日、NY破産裁判所は、American Airlines(A.A.)のパイロット年金プランについて、を認める判決を下した(「Topics2012年11月30日 A.A.:一時金受取廃止を提案」参照)。パイロットOBが提出していた一時金受取制度の維持請求は棄却された。
- 一時金受取制度の廃止
- 同プランの凍結
上記sourceによれば、PBGC、他の無担保債権者、パイロット組合も合意しており、ほぼ円満に年金プランが凍結されることとなった。代わりに、パイロット組合は、企業拠出が14%のDCプラン導入を求めている。今後の再建計画の協議の中で話し合われることになるのだろう。
※ 参考テーマ「PBGC/Chapter 11」
Source : | To Prevent Massacres Like Newtown's, Expand Medicaid (Businessweek) |
CT州で起きた銃乱射事件には、心を痛めるほかない。上記sourceでは、こうした銃乱射事件を防止するためには、銃規制を強化するよりもMedicaidを拡充する方が有効だ、と主張している。主張のポイントは次の通り。低所得層の無保険者対策は、様々な社会現象と絡んでいながら、そのコストをどのように負担するのか、まだ解決策は出てきていない。
- 犯人の精神状態はわからない。メンタルヘルスと関連があるかどうかは不明。
- 一般論として、公的なメンタルヘルスサービスは、Medicaidを通じたものが多い。
- よほど所得が低くない限り、メンタルヘルスを公的な医療で受けることはできない。
- Nevada州知事は、共和党でオバマケアに反対しているが、メンタルヘルスを理由にMedicaid拡充を決心した(「Topics2012年12月21日 Exchanges & Medicaidウォッチャー」参照)。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」
Source : | State Health Insurance Marketplaces (CMS) Health Reform's Medicaid Expansion (Center on Budget and Policy Priorities) |
Medicaid拡充に関する各州の情報を集めているサイトを発見した。財政政策の中でも低所得者対策に力を入れている、Center on Budget and Policy Priorities (CBPP)である。Medicaid拡充策は、まさに、CBPPにうってつけのテーマである。今後は、ここのサイトとCMSのExchangeのサイトを時々チェックしながら、情報を更新していくこととしたい。
とりあえず、現時点で、拡充策を決定している州について、Exchangeの創設形態と合わせて一覧表にしておく。 上記sourceを見てもわかる通り、現時点では、拡充する方向、拡充しない方向すら判明しているところは少なく、大半は検討中という状況である。
それでも、上の表から読み取れるのは、ということである。つまり、PPACAの主旨を積極的に捉え、実行に移そうとしている州、ということになる。
- Medicaid拡充策を採ると決めた州は、いずれも"State-based" Exchangeを創設することを決めた州である
それらの州の中で、特異なのがNevada州である。Nevada州は、州議会上下院とも民主党が押さえているものの、州知事は共和党である。共和党知事でありながら、"State-based" Exchangeの創設、Medicaidの拡充を決めているのである。現状のNevada州のMedicaid加入資格を見ると、となっている。Working Parentsの上限は全米中位数(63%)より高いものの、Jobless Parentsの上限は全米中位数(37%)を大きく下回っている(「Topics2012年12月12日(2) Medicaid部分拡充はダメ」参照)。また、無保険者割合(65歳未満)は25%と、全米平均(18%)を大きく上回っている。
- Working Parents ⇒ FPL 87%
- Jobless Parents ⇒ FPL 25%
- Childless Adults ⇒ FPL 0%
要するに、Nevada州は低所得層の無保険者割合が高いのである。実際の数字(Kaiser Family Foundation)を見ると、19〜64歳の成人で所得がFPL139%未満の無保険者はなんと53%(全米平均42%)にも達している。この水準は、全米で2番目に高い(1番はTexas州)のである。
こうした状況を改善するため、Nevada州知事は、共和党ではあるものの、PPACAを利用して、低所得層をはじめとする無保険者を減らそうと決断したものと思われる。
※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル」、「無保険者対策/連邦レベル」