5月31日 Vacationが取れない 
Source :One-in-Four Workers Can't Afford to Take a Vacation, CareerBuilder Survey Finds (CareerBuilder.com)
上記sourceは、全米のフルタイム・サラリーマン/サラリーウーマン5,600人から回答を得たアンケート調査結果である。アメリカ社会といえども、vacationを取り辛くなりつつあるようだ。
24% 2011年中にvacationを取れない。2010年は21%であった。

12% Vacationは取れるけど、まだ計画がたっていない。

30% Vacationに行くが、仕事を持っていったり会社との連絡をとる。昨年は25%であった。

36% 昨年より夏休みをとりやすい環境になった。

26% 7〜10日間の休みをとる。2週間以上が11%、3〜5日間が24%。

24% 家族が休暇をとっても自分は働かなければならない。

12% Vacationをとることに罪悪感を持つ。

16% 2010年に時間が確保できずにvacationを諦めた。
休んだ方がいいことはわかっているけど、なかなか現実はそうはいかない、という人達が増えているようだ。さて、あなたの夏休みは?

※ 参考テーマ「ベネフィット

5月30日 ナショナル・センターの苛立ち 
Source :Frustrated with Democrats, some large unions cut back on donations (The Washington Post)
民主党、特に連邦議会民主党に対する労働組合の不満が、形になって現れてきた。

右図の通り、連邦議会下院議員に対する労組からの献金は、2009年の同時期に較べて半減している。その分、労組は、自治体労組の交渉権を縮小しようとしている州議会に照準を合わせて、献金を増強している。

連邦レベルでの政策では、当websiteで紹介している通り、労組が推奨してきた政策はほとんど実現できていない。そんなところに金をつぎ込むよりも、目の前で交渉権利が脅かされていることに対する抵抗を強めようというわけだ。

これが一般組合員の支持を得られるかどうかも考えておく必要がある。労組がすべて公務員ならこういう方針でもいいだろうが、民間企業労組の組合員は白けてしまうのではないだろうか。

ナショナル・センター自身も大きな岐路に立たされているのかもしれない。

※ 参考テーマ「労働組合

5月29日 MLRの特例申請 
Source :Medical Loss Ratio (CMS)
連邦医療保険改革法で定められたMLR(Medical Loss Ratio, 償還割合規制)(個人保険プラン:80%)について、各州から特例申請が相次いでおり、一部は既にHHSも認めつつある。現時点では12の州と1つの地域が申請を提出した。次はその概要一覧である。
州・地域申請内容HHS決定
2011年2012年2013年2011年2012年2013年
Maine 65%65%65%65%65%65%
New Hampshire 70%70%70%72%75%80%
Nevada 72%--75%--
Kentucky 65%70%75%(審査中)
Florida 保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
保険会社65%
HMO 70%
(審査中)
Georgia 65%70%75%(審査中)
North Dakota 65%70%75%(審査中)
Iowa 60%70%75%(審査中)
Louisiana 70%75%-(審査中)
Guam 65%65%65%(審査中)
Kansas 70%73%76%(審査中)
Delaware 65%70%75%(審査中)
Indiana 65%68.75%72.5%(審査中)
2014年:76.25% 2015年:80%(審査中)
ME州が65%を認められている理由は、同州で個人保険プランを提供しているMEGAが、個人保険市場の1/3以上を占め、しかも低保険料のプランを提供しているため、MLRを適用されると市場から退出せざるを得なくなる、ということである。2013年については、2012年の状況を改めて判断してから、という条件が付いている。しかし、例外適用を認めた理由からして、2013年になっても状況が改善する可能性は低いだろう。そうなると、本格的施行の2014年になっても特例措置が継続される可能性がある。

一方、2013年まで70%を適用したいとしたNH州の申請は拒否され、2013年には本則の80%にもっていくように、との回答が出ている。これらから類推すると、争点となりそうなのは、FL州、Guam、IN州といったところであろう。

Iowa州については、次のような事情があると報じられている(Des Moines Register)。 また、Kansas州については、次の通りである(Kansas Health Institute News)。 HHSKathleen Sebelius長官は、前Kansas州知事である。同州の保険市場の状況も熟知している。同長官がどのような判断をくだすのか、少し野次馬的な興味もあり、注目していきたい。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

5月28日 不法移民の雇用規制は適切(AZ州) 
Source :Justices Uphold Law Penalizing Hiring of Illegal Immigrants (New York Times)
AZ州法の不法移民に関する雇用規制を巡り、AZ州と、連邦政府、全米商工会議所、リベラルグループの間で争われていたが、26日、連邦最高裁がAZ州法は適切との判断を下した。

争点は次の2つであったが、いずれも適切との判断である(「Topics2010年12月10日(3) 連邦最高裁も賛否両論:AZ州法論議」参照)。
  1. 不法移民と知りながら雇用した企業に対する罰則で、AZ州政府がその企業の事業免許を剥奪できるとしている点

    AZ州政府側も、連邦政府、全米商工会議所(USCC)側も、移民法違反に対する罰則は連邦政府の専権事項であることは認めている。しかし、法律の文面上、事業免許による罰則は例外と読めるのである。AZ州政府は連邦法に書いてある通りにやっているだけ、と主張し、反対する側は連邦政府よりも執行力の強い罰則を課すのは、実質上専権事項を侵すことにつながる、と主張している。

  2. AZ州政府が"E-Verify"の利用を義務付けている点

    AZ州政府は、E-Verifyは連邦政府による情報提供であり、これに依存した確認を求めているのだからいいじゃないか、と主張している。一方の連邦政府側は、E-Verifyの信頼性に疑問があり、任意で利用すべきものであり、AZ州政府のように利用を義務付けることはできない、と主張している。
これにより、"E-Verify"義務付けの動きはますます強まるだろう(「Topics2011年4月15日 E-Verifyの義務付け」参照)。

ところで、今回の最高裁判決は、最高裁判事の間で5 vs 3 というように意見が分かれたものであった。しかも、これが党派色の強い結果であったことも注目しておくべきであろう。

Current Justices of the US Supreme Court (as of May 28, 2011)

Name Born Appt. by First day 今回の判決
John G. Roberts
(Chief Justice)
01955-01-27 January 27, 1955 George W. Bush 02005-09-29 September 29, 2005 賛 成
Antonin Scalia 01936-03-11 March 11, 1936 Ronald Reagan 01986-09-26 September 26, 1986 賛 成
Anthony Kennedy 01936-07-23 July 23, 1936 Ronald Reagan 01988-02-18 February 18, 1988 賛 成
Clarence Thomas 01948-06-23 June 23, 1948 George H. W. Bush 01991-10-23 October 23, 1991 賛 成
Ruth Bader Ginsburg 01933-03-15 March 15, 1933 Bill Clinton 01993-08-10 August 10, 1993 反 対
Stephen Breyer 01938-08-15 August 15, 1938 Bill Clinton 01994-08-03 August 3, 1994 反 対
Samuel Alito 01950-04-01 April 1, 1950 George W. Bush 02006-01-31 January 31, 2006 賛 成
Sonia Sotomayor 01954-06-25 June 25, 1954 Barack Obama 02009-08-08 August 8, 2009 反 対
Elena Kagan 01960-04-28 April 28, 1960 Barack Obama 02010-08-07 August 7, 2010 不投票
※ 参考テーマ「移民/外国人労働者」、「司  法

5月27日 医者が単一プランを勧める訳 
Source :A Doctor’s Push for Single-Payer Health Care for All Finds Traction in Vermont (New York Times)
上記sourceでは、VT州の単一保険プランを目指す法案成立の背景に、一人の女医の熱意があったことが紹介されている。この女医は、もともとNY州で単一保険プラン導入のための活動をしていたが、諦めてVT州に引越し、同様の活動を続けているそうだ。

上記sourceを読んでも、医者が単一保険プランを推奨する理由は、次の2つしか示されていない。
  1. 無保険のために必要な治療行為を受けようとしない人々がたくさんいて、理不尽に感じたから。
  2. たくさんの保険会社との間で膨大な書類のやり取りをしなければならないから。
しかし、どうしても得心がいかない。単一保険プランに医師が賛成して得をするのか、という下衆の勘繰りである。

そこで、単一保険プランを推進している医師のグループが運営するwebsiteを確認してみた。一つは、VT州で活動している"Vermont for Single Payer"である。ここでは単一保険プランについて、3つの利点を挙げている。
  1. 保険請求事務の相手先が一つになり、煩雑さが少なくなる。
  2. 医師が治療行為を施す前に、償還金額を予め知ることができる。
  3. 管理コストを節約できるとともに、患者の財政事情に関係なく治療行為が選択できる。
まだよくわからない。そこで、上記sourceに何度も出てくる"Physicians for a National Health Program"を覗いてみた。そうすると、このページにかなり強い調子で理由が述べられていた。
  1. 保険会社は、医療行為と何の関係もないところで無駄に費消している。
  2. 単一保険プランのもとでは、患者は医師の選択が可能となり、医師は診療行為における裁量権を取り戻せる。
  3. 民間保険会社を駆逐し、無駄に使われている資金を回収することで、単一保険プランの財源調達は可能となる。
要するに、保険会社に奪われていた医師の権限と財源を取り返したい、ということである。よくわかるのである。ちなみに、頭書の女医は、かつてこの団体の長を務めていたことがあるそうだ。

※ 参考テーマ「無保険者対策/VT州

5月26日(1) 下院予算委員長提案を否決 
Source :Senate Rejects House G.O.P. Medicare Plan by 57-40 Vote (New York Times)
25日、連邦議会上院において、下院予算委員長提案(決議)が否決された。投票結果は、40 vs 57 である。

民主党が多数を占める上院では、下院決議案をたなざらしにする選択肢もあったのだが、Medicare改革に対する批判が強烈なので、敢えて議決にかけて共和党上院議員に踏み絵を迫ったという政治的駆け引きである。

その結果、共和党から賛成が5票、不投票が2票、都合7票の反乱票があぶり出された。
民主党共和党合 計
賛 成04040
反 対52557
不投票123
共和党議員の反対票5票のうち3票は、中道派と呼ばれている議員達で、民主党との親和性の高い共和党議員達である。Medicare、Medicaid、公的年金などの改革案は、一度白紙に戻ったと考えておいた方がよさそうだ。

※ 参考テーマ「Medicare」、「無保険者対策/連邦レベル」、「無保険者対策/州レベル」、「公的年金改革

5月26日(2) ME州:保険料の幅を拡大へ 
Source :Maine Moves to Widen Rate Bands, Counter to Thrust of Reform Law (Atlantic Information Services)
Maine州(ME州)は、保険料の幅に関する規制を緩和する法案(LD 1333)を成立させた。同法案のポイントは次の通り。
  1. 個人、小規模企業を対象とした保険プランの保険料の幅に関する規制を徐々に緩和し、現在の1.5対1を3対1にまで拡大する。これは、連邦医療保険改革法で2014年に達成すべき年齢による格差の最大幅(3対1)と同じレベルである。

  2. 仮に連邦医療保険改革法が執行停止になった場合には、この幅は最大5対1にまで拡大することが可能である。

  3. 再保険制度を導入する。再保険料として、保険加入者一人当たり$4/Mを課す。

  4. 2014年1月より、小規模企業における健康増進策を促すため、従業員20人以下の企業に、従業員一人当たり$100の税額控除を認める(最大$2,000)。

  5. 2014年以降、他州からの個人保険プラン購入を認める。ただし、認める州は、CT、MA、NH、RIと、近隣州に限られる(なぜかVT州は含まれない)。
連邦医療保険改革法で保険料の幅を3対1に規定したのは、一般的にはそれ以上の格差が生じており、その幅を縮小させることで格差を縮小しようという意図であった。ところが、ME州は、連邦法の範囲内とはいえ、ベクトルは逆の方向で格差を拡大しようというのである。

同法案の支持者は、幅を狭くしていたことにより、若者の保険料が高くなりすぎていたというのである。この規制を緩和することで、13万3,000人が保険加入できるようになると試算している。一方、反対派は、これにより高齢者の保険料が上昇するのではないかと懸念している。

さて、現実はどう動くのであろうか。

※ 参考テーマ「無保険者対策/その他州

5月25日 10%の壁 
Source :Health Insurance Rate Hikes Face Tougher Scrutiny (Kaiser Health News)
19日、保険料引き上げに関する監督ルールがようやく確定した(「Topics2010年12月24日 保険会社の説明責任」参照)。そのポイントは次の通り。
  1. 保険料を10%以上引き上げる申請を行った場合、不合理な引き上げになっていないかどうか、充分な調査を行う。

  2. 州政府がその調査を担当する。充分な調査が行えない場合には、連邦政府に委ねることができる。

  3. 引き上げ申請を却下する権限は、連邦政府には賦与しない。州政府の中には、その権限を有するところもある。

  4. 施行は今年9月1日から。

  5. 2012年以降は、監督の対象となる引き上げ率について、州が独自に設定する。
こうした監督ルールに対して、保険会社は『保険料の引き上げ率のみに着目するやり方は間違っている』との批判を続けている。一方、保険料引き上げに反対するグループからは、次のような批判が寄せられている。
  • 監督ルールの対象となるのが、個人・小規模企業向けの保険プランに限定されている。大企業向けはもちろんのこと、個人・小規模企業用プランをまとめた"association health plans"も対象とすべき。

  • 医療コストの価格上昇率を監督ルールの適用対象とすべき。

  • 保険料の引き上げ利率が、監督ルール対象とならない9.9%に固定化されないか。

  • 保険会社の詳細な財務情報が公開されない。
確かにこうした規制は保険会社に対する牽制にはなるだろうが、引き上げ申請を拒否するだけの権限が州政府になければ実効性はあがらない。また、診療コストがそれだけ上がっているのであれば、むしろお墨付きを与える効果も出てくる。

より根本的には、医療コストの上昇を抑制する方策を考えるしかないことは明らかである。

※ 参考テーマ「無保険者対策/連邦レベル

5月24日 州レベルのMedicaid削減策  
Source :N.J. Seeks Waiver To Trim Medicaid Rolls; Texas Trims Medicaid Budget (Kaiser Health News)
各州でMedicaid支出削減策の検討が進んでいる。 マネージド・ケアを拡大しようとする試みは、連邦議会で共和党が提案している"block grants"に通じるものがある。

※ 参考テーマ「無保険者対策/州レベル

5月23日 Civil Unionと従業員ベネフィット 
Source :Illinois Civil Unions Law Impact on Employee Benefit Plans (Wang Kobayashi Austin, LLC)
IL州では、今年6月1日より、"Illinois Religious Freedom Protection and Civil Union Act"が施行となり、"Civil Union"に対して異性婚と同じ従業員ベネフィットと保護を賦与しなければならなくなる。上記sourceは、その影響をまとめたものである。ポイントは次の通り。
従業員ベネフィット 賦与水準
Fully-Insured Health Plans
Self-Insured Health Plans
FSA ×
企業年金プラン
義務付け
任意
× 賦与できない
州法で同等のベネフィットを給付しなければならないと規定していながら、こうして実際には差異が生じる。これは、ベネフィットによって、州法が適用される場合と連邦法が適用される場合があるためである。その典型が医療保険プランで、Fully-Insured Health Plansは州法に基づくプランなので、まったく同等のベネフィットの給付が必要となる。一方のSelf-Insured Health Plansは、連邦法に基づくため、その適用は事業主の裁量によることとなる(「Topics2010年1月21日(2) 2つの企業提供保険プラン」参照)。ただし、事業主が賦与することを決めたとしても、それに伴う連邦税については認められないことになる。

※ 参考テーマ「同性カップル

5月22日 6人組:一人脱落 
Source :Senate Group on Debt Loses a Key Republican (New York Times)
やはり超党派グループはうまくいかないようである(「Topics2011年5月10日 超党派Gangは失敗する?」参照)。

民 主 党共 和 党
Sen. Mark Warner (D-VA)- Sen. Saxby Chambliss (R-GA)
(保守代表)
-
Sen. Kent Conrad (D-ND) Sen. Tom Coburn(R-OK)
Sen. Richard Durbin (D-IL)
(リベラル代表)
Sen. Mike Crapo (R-ID)
上記6人組の中から、17日、Coburn上院議員(R-OK)が脱退を表明した。Medicare支出削減案について、合意が得られないことに失望した模様だ。

その後、Rob Portman上院議員(R-OH)が参加するのではないかとの観測も流れたが、結局、議員本人にその意思はないようだ(Cincinnati.Com)。

※ 参考テーマ「Medicare」、「政治/外交

5月21日 アメリカの大卒も苦しい 
Source :Many With New College Degree Find the Job Market Humbling (New York Times)
金融危機を経て、アメリカの大学を卒業した若者は、なかなか就職できないようである。

上記sourceで示された就職状況は次の通りとなっている。
これを見ると、大学を卒業しても、20%は働いていない。さらに20%が不本意な職に就いている。日本の大学生は、かなり恵まれているのかもしれない。

※ 参考テーマ「労働市場