10月20日 司法委員会も苛立つ Source : Senators Assail Miers's Replies, Ask for Details (Washington Post)

Miers氏が回答書と関連書類を提出した(「Topics2005年10月19日(2) Pro-Life」参照)翌日の19日、上院司法委員会の委員長Arlen Specter (R-Pa.)と、ranking memberのPatrick J. Leahy (D-Vt.)が、記者会見を開いた。

彼らの発言のポイントは次の2点。
  1. Miers氏の提出書類では、まったく不充分。もっと説明資料を大量に出すべき。
  2. 委員会外でのロビー活動がやかましい。これほどの騒ぎは前代未聞である。
1点目については、追加情報を提出するように、要請状を出したそうである。

こうしてみると、委員会幹部はMiers氏を支持していないのか、と勘繰りたくなるが、その反面、"Despite strong conservative opposition to Miers, the nomination is not in trouble " (Specter委員長) とも発言している。

とにかく、ワシントンは大騒ぎのようである。

10月19日(2) Pro-Life Source : Nominee Backed Ban on Abortion in 1989 Campaign (New York Times)

最初に告白しておくと、タイトルの"pro-life"の意味を知らなかった。LONGMANを引くと、"someone who is pro-life is opposed to abortion and uses this word to describe their opinion (adjective)"。反対語は、"pro-choice"で、"someone who is pro-choice believes that women have a right to have an abortion"。

誰のことかというと、最高裁判事候補のMiers氏である。上記sourceによると、1989年の民間団体のアンケート調査で、Miers氏は、「母体の危険がある場合を除いて妊娠中絶を禁止するとの法律改正に賛成するか」との問いに対して、賛成すると回答している。そして、このアンケート調査への回答を、上院からの質問書への回答とともに、上院に提出した。つまり、「妊娠中絶反対」の証拠書類を公開したのである。

当然、"pro-choice"派からは危険視される訳だが、上院共和党保守派の彼女に対する不信感(「Topics2005年10月7日(1) 右派の苛立ち」参照)を取り除くところまでには至っていないようだ。「妊娠中絶権を憲法は認めているのか」という根本的な問いかけに答えている訳ではないからだ。

いずれにしても、今の状況では、保守、リベラル双方から、質問攻めに会うことは間違いないのである。

10月19日(1) CBOもPBGCに同調 Source : Letter to Budget Chairman GreggLetter to HELP Chairman Enzi (CBO)

18日にも上院で採決されるのではないかと見られていた年金改革法案(HELP委員会)は、まだ採決されていないようである(S. 1783 "Pension Security and Transparency Act of 2005")。

他方、CBOが、上記法案に加え、下院の関連法案であるHR. 2830 "Pension Protection Act of 2005"について、試算を公表した。以前掲載したPBGC試算(「Topics2005年10月14日 PBGCが法案に反論」参照)と並べてみると、次のようになる。

 現行制度政府提案上院法案 (S.1783)下院法案 (HR.2830)
PBGC推計CBO推計CBO推計PBGC推計CBO推計PBGC推計CBO推計
今後10年間のPBGC財政負担$14.8B($63.4B)-$18.1B-$17.3B-
現行制度からの増加額--$7B$3.3B$9B$2.5B$9B
現行制度からの増加率--11%22.3%15%16.9%14%


「現行制度」の下での「今後10年間のPBGC財政負担」について、CBO推計を( )づけにしてあるのは、上記sourcesからの引用ではなく、別の推計から取ってきたことによる(「Topics2005年9月23日 PBGCのリスク度」参照)。別の推計とはいっても、増加額と増加率の関係を見ると、この数字を利用していることは明らかである。

さて、上の表から、特徴的な次の2点が指摘できる。
  1. 政府提案、上院法案、下院法案とも、PBGCの財政負担は大きく増加する。
  2. PBGC推計とCBO推計を比較すると、現行制度の下でのPBGC財政負担は、CBO推計の方が相当大きく、法案による影響額はPBGC推計の方が大きい。
特に、2点目は、『PBGCの財政負担は現行制度のもとで大きく膨らむが、法案による影響は限られている』という、先のCBO推計の主旨(「Topics2005年9月23日 PBGCのリスク度」参照)と合致する。

さて、これでも、面子をかけて議会両院は採決に臨むのかどうか、注目されるとことである。

10月18日(3) PBGCがUAL再生プランに反発 Source : PBGC Makes Serious Objection To UAL Turnaround Plan (Dow Jones)

10月20日の破産裁判所でのヒアリングを前に、UALの再生プランに対し、PBGCが強く反発しているとのことである。

PBGCは、既にUALとの間で、確定給付プランと資産の引取りについて、合意している(「Topics2005年5月12日 破産裁判所もUALを支持」参照)。しかし、PBGCによれば、PBGCが引き取る資産の中に株式が含まれており、その中の優先株については2年間の売却制限が付いているものの、普通株については売却制限が付いていなかった。ところが、今回、UALが提示してきた案では、UALの取締役会の同意がない限り、普通株について5年間売却できないことになっているという。

これには、PBGCばかりでなく、その他の債権者達(「Topics2002年12月17日 いよいよ始まったUAL債権者会議」参照)も反発している。航空業界の厳しい経営環境を考えれば、なるべく早く株式を売却してcashを確保したいところである。

また、US Airwaysの場合、株式売却制限期間は5ヶ月しかない(「Topics2005年8月31日(1) US AirwaysとPBGCが合意」参照)ことと比較してみても、UAL案は無茶苦茶のような気がする。

Chapter 11の最後に来て、混乱を招くのか、それとも単なるセレモニーなのか、よくわからないところである。

10月18日(2) GM医療費削減 Source : GM, UAW Reach Deal to Cut Health Costs (Washington Post)

17日、GMは、最大の労組UAWとの間で、医療費削減に関して暫定合意を交わした。そのポイントは、次の通り。
  1. GM全体の医療給付債務は$80B。
  2. うち、今回の暫定合意により、退職者医療に関する給付債務は、今後7年間で、約25%または$15B、削減できる。
  3. また、年間医療費支出を、約$3B削減できる。
  4. 今年、GMは、年間で$5.6Bの医療費を支出する見込みである。
  5. UAW組合員は、医療費コストの7%を負担している。他方、ホワイトカラーは、27%を負担している。この構造に変化があるかどうかは不明である。
これだけ大胆な削減をしても、先のDelphi破産による給付債務増が重いため、GM全体の収益改善につながるかどうか、見通しが立たないと見ているアナリストもいるようだ。実際の株価の動向は、次のようになっている(Yahoo-Finance)。

10月18日(1) 年金改革法案 上院採決へ Source : Senate Pension Reform Bill Slated for Vote (Plansponsor)

18日にも、上院で、年金改革法案が採決される見通しとのことである。上院採決の対象となるのは、立法権を有するHELP委員会(「Topics2005年7月29日 NESTEG Act of 2005の概要」参照)の法案(「Topics2005年9月8日(1) 再建企業に超過保険料を提案」参照)である。

この法案に対しては、産業界ばかりでなく、PBGCも異論を唱えており、その見通しは不透明である。また、下院での採決の動向も明らかにはなっていない。最終的には、Bush大統領が拒否権を発動する可能性もある。いずれにしても、肝心要のPBGCが納得していない法案を成立させても、生産的でないことは明らかである。

10月14日 PBGCが法案に反論 Source : Pensions Agency Says Deficit Will Grow (Washinton Post)

当websiteで何回も紹介している通り、議会では企業年金改革が議論されている。産業界を中心に、問題点を指摘する声も多く、なかなか本会議での審議、投票まで辿りつけないでいるが、ここにきて、PBGCが両院の法案に疑問を呈した。

現物が入手できていないので、詳細はわからないが、上記sourceによれば、両法案をもとに今後10年間の財政負担をPBGCが推計したところ、次のような結果となった。

 現行制度上院法案下院法案
今後10年間のPBGC財政負担$14.8B$18.1B$17.3B
現行制度からの増加額-$3.3B$2.5B
現行制度からの増加率-22.3%16.9%


両院の法案提出者は、相当怒っているようだが、PBGCの試算もうなづける。当websiteで以前紹介したように、両院の法案によるPBGC財政負担の軽減効果は極めて限られている(「Topics2005年9月23日 PBGCのリスク度」参照)。また、投資格付けが下がるに従って積立基準が厳しくなるとすれば、確定給付プランを停止または廃止に持ち込む企業が増えることは想像に難くない。それらによる財政負担増加効果は、かなりの規模に達するだろう。この辺りの読みを甘くしているところを、PBGCが突いてきているのではないかと思われる。