6日に可決された加州同性婚法案に対し、シュワ知事は署名を拒否すると表明した。これで、全米初の州法による同性婚の合法化は見送られたことになる。なお、加州で行われた世論調査では、賛成、反対とも46%で、真っ二つに分かれている(Washington Post)。次の州知事選、州民投票の最大の争点となりそうだ。
確定給付プランに関する積立金について、今週、新たな法案が提案されたそうである。舞台は、上院Health, Education, Labor and Pensions Committeeである。
この法案の特徴は、Chapter 11による再建手続きの中で、確定給付プランをPBGCに移行して再建が成立した場合、再建後3年間は、PBGC保険料を加入者一人当たり年間$1,250にするというものである。最近の航空会社によるChapter 11入り、年金の終了、再建というパターンを安易には認めない、という姿勢の現われと言うべきだろう。
しかし、既に年金プランがなくなったところに保険料を課すというのは、どういう理屈なのだろうか。苦しい説明をすると、PBGCに移行した年金債務の一部を補助してくれ、ということか。
以前にも紹介した通り、既に年金積立ルールの見直し法案がいくつか提案されており、秋の連邦議会で議論が続けられる。この法案もその一つとなるのだが、法案が提出されたHealth, Education, Labor and Pensions Committeeは、年金に関して立法権限を持つ委員会(「Topics2005年7月29日 NESTEG Act of 2005の概要」参照)であることに留意しておく必要があるだろう。
9月6日、加州議会が、同性婚を認める法案を、41対35で可決した。加州法における結婚の定義を、
"a civil contract between a man and a woman" から "civil contract between two persons" に変更する
という内容である。
もしこの法案が発効すれば、加州は全米で2番目に同性婚を認めた州となる。マサチューセッツ州の場合は、州最高裁判決により認められている(「Topics2004年6月30日 同性婚を巡る州レベルのせめぎあい」参照)ことから、州法により認めた最初の州となる。
加州最高裁は、先に同性カップルの親権・義務を全面的に認める判決を下しており(「Topics2005年8月23日(1) 同性カップルに親権を認める」参照)、加州では、同性婚の容認論が勢いを増している。ただし、シュワ知事は拒否権発動を示唆しており、また、州民投票に付される可能性もあるので、実際に発効するかどうかは明らかではない。
上記sourceに、同性婚を認めている州・国のデータが掲載されていたのでまとめておく。
- Massachusetts州:裁判所判決により同性婚を合法化
- California州:立法により同性婚を合法化(未定)
- Connecticut州:立法により同性世帯を合法化
- Vermont州:立法により同性世帯を合法化
- (その他の州の状況は、「Topics2004年6月30日 同性婚を巡る州レベルのせめぎあい」を参照)
- Netherlands, Belgium, Spain and Canada:立法により同性婚を合法化
9月2日、破産裁判所において、US Airwaysの年金をPBGCに引き継ぐ条件を認めるとの判決が下された。内容は、以前に掲載した通り(「Topics2005年8月31日(1) US AirwaysとPBGCが合意」参照)。破産裁判所での意見表明でも、反対意見は出ず、関係者の合意が再確認された。
これで、US Airwaysの再建、合併プランが確定した。そして、PBGCは、新会社の大株主として登場することになる。
上記sourceによれば、企業が提供する医療保険プランの負担では、大企業の従業員の負担割合が小さく(図表)、また、労働組合に加盟している場合の方が負担割合が小さい(図表)との結果が出された。まあ、当たり前の結果ではあるが、労働組合のバーゲニング・パワーがこのような形で発揮されることが、経済全体にとっての効用を高めているかどうかは、議論が分かれるところであり、当websiteでも問題提起し続けている課題でもある(「Topics2005年7月7日 労働組合とベネフィット」参照)。
9月3日、最高裁長官William Rehnquistが亡くなった。以前から闘病生活を送っており、長官交代も時間の問題と見られていたため、このこと自体はある程度織り込み済みであった。しかし、先に引退を表明していたSandra Day O'Connorと合わせて、2人の空席が生じることは、大きな問題となりうる。
この問題に対して、Bush大統領は異例とも言うべきすばやい対応を見せた。5日、O'Connor判事の後任として既に指名していたJohn Roberts氏を、最高裁長官候補として再指名したのである。もし実現すれば、50歳の最高裁長官が誕生する。
実は、このシナリオは、既にマスコミでも可能性の高いものと指摘されていた(Los Angeles Times)。なぜなら、Roberts氏は、Rehnquist長官の愛弟子であったこと、White Houseでの経験があること、パパBushからの信頼が厚かったことなどが挙げられる。ただ、「再」指名というのが、上院での指名審議を促進するのか、遅れをもたらすのか、定かではない。
以前から当websiteでも指摘している通り(拙稿「障害者差別禁止法に関する連邦最高裁判所判決について (2002/7/3)」参照)、最高裁判事の人事は、アメリカ社会にとっては極めて重要かつ長期に影響を及ぼす選択でもある。
8月30日、上記sourceが公表された(Kaiser、CBPP資料参照)。
ポイントが端的に表されている図表があったので、それを2つ掲載しておく。2000年以降5年間のトレンドとして、所得中位数が低下している。これは、アメリカ経済の好調さを考えると、所得格差が拡大しているものと思われる。特に、低所得者層の所得が伸び悩みまたは低下していると見られる。実際、貧困基準を下回る層が拡大している。また、医療保険プランを提供する企業の割合も徐々に減少している。Medicaidなどの公的医療保障制度などで救われている部分はあるにしても、こうした要因から、無保険者が増加しているものとみられる。
Number and Percent of People by Health Insurance
Coverage Type, 2000 to 2004
Uninsured
Medicaid/
SCHIPJob-Based Insurance
Number (millions)
Percent
Percent
Percent
2004 45.8
15.7%
12.9%
59.8%
2003 45.0
15.6%
12.4%
60.4%
2002 43.6
15.2%
11.6%
61.3%
2001 41.2
14.6%
11.2%
62.6%
2000 39.8
14.2%
10.6%
63.6%
もしこの仮説が正しいとすれば、Bush政権が提案するMedicaid予算削減(「Topics2005年3月3日 Bush vs. Governors」参照)は、とんでもないということになるだろう。