7月8日(2) 企業年金改革法案に関する比較情報 Source : Comparison of Significant Pension Reform Proposals (ERIC、Deloitte)

上記sourceは、先に紹介した企業年金改革法案(「Topics2005年6月28日(1) 企業年金改革法案」参照)の主要項目について、政府提案(労働省)、企業サイドの要望(ERIC)と比較したものである。今後の議論の展開を追っていくうえで、参考になると思う。

7月8日(1) PBGCに関する情報 Source : Basics of the Pension Benefit Guaranty Corporation (PBGC)

上記sourceは、EBRIがまとめた、PBGCに関する基礎的情報ならびにその関連のweb linksである。ご参考まで。

7月7日 労働組合とベネフィット 
Source : The Effect of Unions on Employee Benefits: Recent Results from the Employer Costs for Employee Compensation Data (BLS)

上記sourceによれば、労働組合の有無により、ベネフィットのカバー率が異なる。医療保険プランの場合は16.4%ポイント、年金プランの場合は18.8%ポイントだけ、労働組合が組織されている場合の方が、カバー率が高い。

問題は、労働組合の存在が、このような結果に対して、どのような効果をもたらしているかである。第1説は、労働組合の交渉力が強く、独占的地位を占めているために、ベネフィットのカバー率が高いという考え方である。この場合、労働組合の存在は特定の職場の従業員にとってのベネフィットは高めることになるが、労働者全体の効用はむしろマイナスとなってしまう。

第2説は、市場の不完全性を補完する「交渉力」が効果を持っているとの説である。この考え方に立てば、労働者全体の効用を、一部ではあるにしろ、高める方向に働いていると言える。

上記sourceでは、両説の要素が半々との結論を出しているが、労働組合の組織率が低下してきていることを見る限り、労働組合の良心がベネフィットを支えているとは思えない。やはり、労組が職場における独占的地位を持っているため、と考えたほうがすっきりする。

7月5日 DC周辺のトップ経営者報酬 Source : 2004 Executive Compensation Report (Washington Post)

上記sourceは、Washington Post紙に掲載された、DC周辺企業のトップ経営者の報酬に関するレポートへのリンクである。企業経営者トップに対する報酬は、単なるサラリーやボーナスよりは、年金、株(ストック・オプション、譲渡制限株式)、企業ジェットの利用権など、直接の報酬としては出てこないような形での報酬が、大きな割合を占めている。

費用が直接表に出にくい形なため、批判も多いが、企業側としては、こうした形で報酬を提供しなければ、トップへのなり手がいない、経営コスト全体から較べれば僅かなもの、という反論があるようだ。

7月4日(2) 取締役の受託者責任 Source : BOARD MEMBER RESPONSIBILITIES FOR ERISA RETIREMENT PLAN MANAGEMENT (Sarbanes-Oxley Compliance Journal)

取締役の受託者責任。なかなか解決策の見つからない、極めて重いテーマである。当websiteでも、Enron、WorldComの事件をきっかけに、何度か問題提起をしてきたところである(「Topics2002年2月18日 経営者の受託者責任」参照)。

アメリカの企業年金の場合、通常は、取締役会が年金運営委員会(Plan Administrative Committee, PAC)を指名する。このPACが一義的には受託者となるのだが、取締役会も、PACを指名したということで、受託者("Appointing Fiduciary")として位置づけられる。

Appointing Fiduciary、つまり取締役会の責任は、PACへの監視義務を怠れば、受託者責任を全うしていなかったことになる。

では、具体的にAppointing Fiduciaryの責任を果たすために、経営者(=取締役会)は何をすればよいのか。極めて難しい課題であるが、上記sourceでは、取り敢えずの回答として、次の8項目を列挙している。

  1. プラン・スポンサー(経営側)として、受託者責任に関する文化を確立する。

  2. PACメンバーへの教育訓練を行う。これには、FEIが有効なプログラムを提供している。

  3. PACメンバーに、「健全な経営判断」と「健全な受託者判断」との違いを充分認識させる。

  4. PACメンバーが、利益相反にならない有能なアドバイザーを活用できるようにする。

  5. プラン提供者(ベンダー)の受託者責任を明確にしておく。

  6. 独立した投資アドバイザーに、プラン資産の投資について助言をもらう。

  7. Appointing FiduciaryとしてPACへのガバナンスを確立するため、最低限、ガバナンスに関する事項を文書化しておく。

  8. 最低年1回、PACからAppointing Fiduciaryに対して活動報告をさせ、同報告に関するレビュー、承認を文書化しておく。
これでもまだまだ具体的とは言い難いが、経営者が検討するための切っ掛けは提供していると思う。話はそれるが、SO法関連の情報誌(Sarbanes-Oxley Compliance Journal)が、ERISAに関心を払っているというのは、最近の現象として興味深い。

7月4日(1) 法令遵守チェックリスト Source : Compliance Checklist 2005 (Prudential Financial)

Sarbanes-Oxley法に年金関係の内容が入った(「Topics2002年7月27日(1) 企業不正防止法案」参照)ために、年金関係者の間では、法令遵守が課題となっているらしい。上記sourceは、年金関係者が取らなければいけない行動、確認事項について、チェックリストにまとめたものである。

先に紹介した企業年金改革法案(「Topics2005年6月28日(1) 企業年金改革法案」参照)と関連する箇所は、次の通り。

企業年金改革法案
チェックリスト該当箇所
11.情報開示 a. Form 5500 (労働省、内国歳入庁、PBGCに提出)の概要P.2 Summary of latest Annual Report (SAR)
11.情報開示 b. Form 4010 (PBGCに提出) の公表P.30 Annual Financial and Actuarial Information Reporting